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08. 背中からハグされて思考回路がショート寸前
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「お前の命が尽きるまで、俺は最後までユカに添い遂げよう」
2人で親睦会と言う名のお茶会をした後、エアデールとは別れて私は与えられた自分の部屋へと戻っていた。エアデールは仕事が忙しいらしく夕食は別々に取った。仕事が忙しいなら無理して私の為に時間を作らなくても良かったのに、と何だか悪い事をしてしまった気がして、こうして寝る時間になって寝台の上で無駄にゴロゴロしていたら、昼間言われた言葉を思い出して悶々としていのである。
「···。」
違う。
断じて違う。
私は決して魔王であるエアデールに惚れた訳では無くて、男の人にあんな言葉を言ってもらった事など無いから無駄に意識しているだけだ、と自分に言い聞かせていた。エアデールの事を考えると、心無しか左足の太ももにある痣が熱い熱を持つ様な感覚がする。
もう寝てしまおう。
これ以上考えると、余計な事まで妄想してしまいそうで、私は目を閉じた。目を閉じると同時に部屋の扉が開く音。多分メイドさんが私が寝たのか確認しに来たのだろうと思い、寝返りを打つ振りをして背を向けた。急に寝台がギシリと小さく鳴り、お腹に腕が回って来た。
「···!?」
「何だ、起きていたのか」
一瞬にして身を固くすると、耳元でエアデールの声がした。後ろからギュッとホールドされて、私の心臓はドキドキが止まない。
(な、何で私の部屋に来るの──!?)
「あの···お仕事は?」
「終わった」
(···、何で自分の部屋に戻らないんだろう)
「どうして、私の部屋に?···疲れてるんじゃないの?」
「あぁ。どうしてだろうな、以前ユカを抱いた時の柔らかくて温かい感触を思い出したら、お前の部屋に向かっていた」
「···ッ」
何て生々しい(?)言葉を耳元で言って来るのだろう。もしかして、まさかこれから抱かれる···とか無いよね。背中に当たるエアデールの体温と、筋肉質な肉の感触が薄いシャツの上から伝わって来る。緊張と羞恥心からの煩い心臓の音が、どうか聞こえませんようにとしか願うしかない。
「そんなに身を固くしなくとも、今すぐに取って食おうとは思ってはいないから安心しろ」
クツクツと低いエアデールの笑い声が聞こえた。私、そんなにガッチガチに緊張していたのかな、と内心更に恥ずかしくなった。
「だって、···」
「あぁ。何もかもが初めてだった事は、この間わかった。それに、今は病み上がりみたいな物だろう。ただし、今日は抱かない変わりにこうさせてもらう」
「きゃっ、!?、ち、ちょっと···苦しい」
チュッ、と項にキスを落とされ、お腹に回された腕に力が入った。驚いて慌てふためいて、必死に腕から抜け出そうともがいていると、またもや笑い声が後ろから聞こえて来る。
「···、からかってます?」
「いや、小動物みたいで可愛いと思ってな」
「小動物···。いい加減、離してください」
「断る」
「もう、腕が痺れても知りませんからね」
「この位大した事は無い。ユカは柔らかくて、抱き心地がいいからな。···それより、お前ももう寝るんだ。おやすみ、ユカ」
何だかんだ言いながらも、お腹に回された腕と頭を撫でられる感覚に心地良さを覚えて、私はいつの間にか深い眠りへと落ちて行った。
「···」
朝。
目が覚めると、エアデールの姿は隣には無く、私一人が寝台の上に寝ていたのだけれど···。心無しか寂しさを感じてしまったのは、気のせいにしておく事にした。
2人で親睦会と言う名のお茶会をした後、エアデールとは別れて私は与えられた自分の部屋へと戻っていた。エアデールは仕事が忙しいらしく夕食は別々に取った。仕事が忙しいなら無理して私の為に時間を作らなくても良かったのに、と何だか悪い事をしてしまった気がして、こうして寝る時間になって寝台の上で無駄にゴロゴロしていたら、昼間言われた言葉を思い出して悶々としていのである。
「···。」
違う。
断じて違う。
私は決して魔王であるエアデールに惚れた訳では無くて、男の人にあんな言葉を言ってもらった事など無いから無駄に意識しているだけだ、と自分に言い聞かせていた。エアデールの事を考えると、心無しか左足の太ももにある痣が熱い熱を持つ様な感覚がする。
もう寝てしまおう。
これ以上考えると、余計な事まで妄想してしまいそうで、私は目を閉じた。目を閉じると同時に部屋の扉が開く音。多分メイドさんが私が寝たのか確認しに来たのだろうと思い、寝返りを打つ振りをして背を向けた。急に寝台がギシリと小さく鳴り、お腹に腕が回って来た。
「···!?」
「何だ、起きていたのか」
一瞬にして身を固くすると、耳元でエアデールの声がした。後ろからギュッとホールドされて、私の心臓はドキドキが止まない。
(な、何で私の部屋に来るの──!?)
「あの···お仕事は?」
「終わった」
(···、何で自分の部屋に戻らないんだろう)
「どうして、私の部屋に?···疲れてるんじゃないの?」
「あぁ。どうしてだろうな、以前ユカを抱いた時の柔らかくて温かい感触を思い出したら、お前の部屋に向かっていた」
「···ッ」
何て生々しい(?)言葉を耳元で言って来るのだろう。もしかして、まさかこれから抱かれる···とか無いよね。背中に当たるエアデールの体温と、筋肉質な肉の感触が薄いシャツの上から伝わって来る。緊張と羞恥心からの煩い心臓の音が、どうか聞こえませんようにとしか願うしかない。
「そんなに身を固くしなくとも、今すぐに取って食おうとは思ってはいないから安心しろ」
クツクツと低いエアデールの笑い声が聞こえた。私、そんなにガッチガチに緊張していたのかな、と内心更に恥ずかしくなった。
「だって、···」
「あぁ。何もかもが初めてだった事は、この間わかった。それに、今は病み上がりみたいな物だろう。ただし、今日は抱かない変わりにこうさせてもらう」
「きゃっ、!?、ち、ちょっと···苦しい」
チュッ、と項にキスを落とされ、お腹に回された腕に力が入った。驚いて慌てふためいて、必死に腕から抜け出そうともがいていると、またもや笑い声が後ろから聞こえて来る。
「···、からかってます?」
「いや、小動物みたいで可愛いと思ってな」
「小動物···。いい加減、離してください」
「断る」
「もう、腕が痺れても知りませんからね」
「この位大した事は無い。ユカは柔らかくて、抱き心地がいいからな。···それより、お前ももう寝るんだ。おやすみ、ユカ」
何だかんだ言いながらも、お腹に回された腕と頭を撫でられる感覚に心地良さを覚えて、私はいつの間にか深い眠りへと落ちて行った。
「···」
朝。
目が覚めると、エアデールの姿は隣には無く、私一人が寝台の上に寝ていたのだけれど···。心無しか寂しさを感じてしまったのは、気のせいにしておく事にした。
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