ある勇者がなんか嫌われ者らしいw

Erito

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プロローグ

ー陽炎ー

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目が覚めると、いつも通り天井が……ない。
なぜかそのまま立っているような姿勢で宙に浮いている。
周りをみれば何もない空間。
ただただ空間が広がっているように見える。
全部真っ白で影が見られないため、奥行きがわからない。でも、この空間はとても広いように感じる。

「死んだのか。」

不思議と悲しくない。
だが、少し、ほんのもう少しだけあの世界で自分にしか出来ない事があったのではないか、と微かな期待を抱いてしまう。
悔しい。
結局、嫌われ者のまま死んでしまった。
夢であってほしい。
しかし、仮にこれが夢だとしたら、どうしてこうにもやるせないのだろう。
物心ついた時には、周囲とは孤立していた。だからだろうか?
こうにも実感がわかないのは。
それとも、眠ったまま死んでしまったからだろうか?
孤独が別に嫌だったわけじゃない……いや、本当は今だって 普通に笑い合える、そんな日常に憧れている。
でも、必要なんだと思う。
犠牲になる人間が。
子供の頃、正義の英雄に誰しも憧れる。
しかし、決まって英雄は一人。
でも、実際こどものヒエラルキーとは所詮、「逆」ピラミッドなわけで、強者が何人もいる。
強者モドキが沢山いる。
そして、ヒエラルキー最下位層の少数の悪役は大勢の強者ズラをした集団に「正義の制裁」を下されるんだ。
しかしながら、英雄どもは知りもしないだろう。
悪役の存在意義を。
英雄どもは知らないだろう。
悪役が自分にとって、いかに都合の良い存在であるかを。
周囲の人間に憎まれ、疎まれ、死んでいく悪役の存在意義を。
現実とアニメは違う。
なら、なおさらこの世界に最初から悪を語ろうとする者はいない。
こどもの世界はアニメより、そこらへんに転がってる「現実」よりも、なんだか幻想染みていて、
そして、何より残酷である。
今、頭の中に俺の死を悲しむ者の顔は浮かばない。
もし、いたとしても、浮かばないのだから仕方ない。
何もない空間を見つめる。
悔しい。このまま悪役のまま、都合良く死んでやるもんか。

「リベンジだ。」

これは宣戦布告だ。俺を馬鹿にしてきた「馬鹿ども」に。
そして、「あいつ」にーーーー

ゆっくり目を閉じる。
これで死ねる。復讐宣言してやったんだ。
最高じゃないか。死ぬ瞬間に抵抗出来る奴なんてそうそういない。
死んでいく者達はドラマと違ってロマンチックな死なんかじゃない。
結局、死に際なんてあっさりさ。
なら、なんで涙なんか出るんだろう?
今まで周りから存在を否定されるような事しか言われたことなんてない。
悔しい。悪役なら、もっと完全な悪役なら、
「最後に文句の一つくらい言いたかった……!!」

「まだ死なれちゃ困るんだけど?」

「っ!?」

謎の声聞こえた直後、意識が遠のいていく。
くさいセリフを聞かれた恥ずかしさはもちろんある。でもーーーーとりあえず、良かった。
『死なれちゃ困る』この一言を俺は人生で初めて聞くことができたんだ。
そして、まだ俺は死んでいなかった。
「生きることができる」という実感は、とても暖かいものだと知ったこの時、
同じくらいリベンジのチャンスが巡ってきたことに心の底からホッとしていた。
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