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異常
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学校の外に出て行く。焦りからか、視界が歪んで見えたような気がした。
「国が…燃えてる…」
普段は活気があり、いつも何処からか笑い声の聴こえる。この国が今は悲痛な叫びしか聴こえない。病院、警備所、教会、国の主要な建物が全て学校の様に地に崩れ落ち燃えていた。国一番の大通りに出て辺りを確認する。民家には燃え移った以外に崩れた形跡はない。ここでバカな俺でも気づいた、間違いなく国を狙った攻撃だ。おそらく、王国兵士は何かしらの理由で動けず、警備員や医者を狙うことで国を大きく混乱させたわけだ。だからうちの学校が狙われたんだろう。
「スェチ、ビシに報告を頼む。国の主要施設は壊滅。王国兵士もいない状況だ。それと何かしらの団体が国を狙って来てるから気をつけろ」
「わかった!報告次第戻ってくる!ディア、一人になるが大丈夫だな?」
この状況で一人になるのはとても不安だ。だが弱音は吐いてられない、まだここにも多くの人が助けを求めてる。
「当たり前だ。辺りの救助をしておく」
それを聞いたスェチは即座に走り出した。
まずは医療関係者から救助だ。病院はここからさほど遠くない。
病院に向かう途中いろいろな事がわかった。まず国民からの怪我人はあまりいない。教会の前を通ったとき破壊されてない教会もあったが、警備所は全て破壊されていた。その警備所に幾つかの亡骸があったが、今は弔っている時間はない。
「ここが病院だったはず…」
確信が持てなかった。崩れ落ちた壁、燃える屋根、それらを見てると本当にここが病院だったのか、わからない。だが動いてる人を発見した。
「大丈夫ですか?動けますか?」
近寄ると返事は無いものの、微かに息がある。
「あなたを今から王国兵士専門学校に連れていきます。大丈夫ですね?」
小さくコクりと頷く。小柄な女性のため軽く、背負っても全然動けた。
「他にも生存者がいますか?」
彼女にそう聞くとゆっくりと瓦礫の方を指差す。そこを覗いてみると奥に男性が倒れ込んでいた。彼はこちらに気がつくとゆっくりと手を上げた。確実に生きている。
「待っていて下さい。必ず助け出します」
瓦礫は見た感じそこまで重くない。多分20kgくらいだろう。背中の彼女を落とさないように、片手で彼女を支えながら瓦礫を片手で除ける。
「動けますか?担いだ方がいいですか?」
倒れ込んでいる男性に声を掛ける。
「…大丈夫だ…瓦礫のせいで動けなかったんだ」
ゆっくりと立ち上がるが疲弊してるのは見てわかる。
「肩をお貸しします。他に生存者はいますか?」
彼がこちらの肩に手を掛ける。ずっしりとした体重が体に掛かる。
「他はダメだ…逃がそうとしたが黒いフードの連中に殺られた。幸い俺は…瓦礫の下敷きになり…死んだと思われたんだろう。彼女は子供だからか…見逃された…」
途切れ途切れながらもしっかりと説明してくれた。
「わかりました。ここから少し歩きますが、王国兵士専門学校に避難します。」
彼は頷くと彼はゆっくりと歩き出すが、すぐに倒れ込んだ。やはり無理をしていたのだろう。
「あなたを担いで行きます。大丈夫ですね?」
彼からの返事はない、気絶したのだろう。彼を腕と脇腹でしっかりと彼の胴体を掴みながら走り出す。先ほど来た道を帰る二人に、負荷をかけないよう慎重に走る。辺りに目をやると、先ほど通ってきた道が何かおかしい。気にかけている暇は無い、そう思いながらもキョロキョロ辺りを見回してしまう。焦燥感からか緊張感からかはわからない。しかし、一歩踏み出すのがここまで怖い日はなかった。後にそれが確信に変わる。
「死体が…増えてる…」
先ほどこの道になかった死体が倒れている。王国兵士の亡骸だ。赤いマントがやけに目立つ。これで確実に誰かがいるわけだ、それもかなりの手練れが。丸腰で接敵してしまうと終わりだ、死体から剣を拝借する。その時にチラッと見えた報告書もついでに拝借する。そしてすぐに走り出した。二人に負荷が掛かるかも知れないが全力で走った。バレないと良い、そう思いながら走った。が、現実は甘くない。
学校の近くについたが、黒いフードを纏った何かがいた。すぐに身を隠す。バレてはいないが、あいつがいるあの場所を通らないければ学校へは行けない。退くのを待つか?いや待てない。背中の彼女も彼も衰弱していっている。
「勝てないな…でもやるしかないか。起きて下さい」
彼を優しく、そして静かに起こす。
「どうした…?」
彼はゆっくりと目をあける。
「今から自分があの黒いフードを相手に時間を稼ぎます。ここからすぐ近くに学校があるので、そこまで彼女を連れて走ってください」
「…わかった。それでいいんだな?」
彼は返答を待たずに彼女を担いだ。手の震えが止まらないが、やるしかない。
「自分の後を付いてきて下さい」
彼は頷いた。大きく息をして、敵が後ろを見るのを待った。どのくらい待ったか。一分かはたまた十秒か、時間なんてわからない。待っていた時が来た。黒いフードが後ろを向いた。
「今です!」
黒いフードに一直線で突っ込んだ。彼もその後を付いてきていた。
「国が…燃えてる…」
普段は活気があり、いつも何処からか笑い声の聴こえる。この国が今は悲痛な叫びしか聴こえない。病院、警備所、教会、国の主要な建物が全て学校の様に地に崩れ落ち燃えていた。国一番の大通りに出て辺りを確認する。民家には燃え移った以外に崩れた形跡はない。ここでバカな俺でも気づいた、間違いなく国を狙った攻撃だ。おそらく、王国兵士は何かしらの理由で動けず、警備員や医者を狙うことで国を大きく混乱させたわけだ。だからうちの学校が狙われたんだろう。
「スェチ、ビシに報告を頼む。国の主要施設は壊滅。王国兵士もいない状況だ。それと何かしらの団体が国を狙って来てるから気をつけろ」
「わかった!報告次第戻ってくる!ディア、一人になるが大丈夫だな?」
この状況で一人になるのはとても不安だ。だが弱音は吐いてられない、まだここにも多くの人が助けを求めてる。
「当たり前だ。辺りの救助をしておく」
それを聞いたスェチは即座に走り出した。
まずは医療関係者から救助だ。病院はここからさほど遠くない。
病院に向かう途中いろいろな事がわかった。まず国民からの怪我人はあまりいない。教会の前を通ったとき破壊されてない教会もあったが、警備所は全て破壊されていた。その警備所に幾つかの亡骸があったが、今は弔っている時間はない。
「ここが病院だったはず…」
確信が持てなかった。崩れ落ちた壁、燃える屋根、それらを見てると本当にここが病院だったのか、わからない。だが動いてる人を発見した。
「大丈夫ですか?動けますか?」
近寄ると返事は無いものの、微かに息がある。
「あなたを今から王国兵士専門学校に連れていきます。大丈夫ですね?」
小さくコクりと頷く。小柄な女性のため軽く、背負っても全然動けた。
「他にも生存者がいますか?」
彼女にそう聞くとゆっくりと瓦礫の方を指差す。そこを覗いてみると奥に男性が倒れ込んでいた。彼はこちらに気がつくとゆっくりと手を上げた。確実に生きている。
「待っていて下さい。必ず助け出します」
瓦礫は見た感じそこまで重くない。多分20kgくらいだろう。背中の彼女を落とさないように、片手で彼女を支えながら瓦礫を片手で除ける。
「動けますか?担いだ方がいいですか?」
倒れ込んでいる男性に声を掛ける。
「…大丈夫だ…瓦礫のせいで動けなかったんだ」
ゆっくりと立ち上がるが疲弊してるのは見てわかる。
「肩をお貸しします。他に生存者はいますか?」
彼がこちらの肩に手を掛ける。ずっしりとした体重が体に掛かる。
「他はダメだ…逃がそうとしたが黒いフードの連中に殺られた。幸い俺は…瓦礫の下敷きになり…死んだと思われたんだろう。彼女は子供だからか…見逃された…」
途切れ途切れながらもしっかりと説明してくれた。
「わかりました。ここから少し歩きますが、王国兵士専門学校に避難します。」
彼は頷くと彼はゆっくりと歩き出すが、すぐに倒れ込んだ。やはり無理をしていたのだろう。
「あなたを担いで行きます。大丈夫ですね?」
彼からの返事はない、気絶したのだろう。彼を腕と脇腹でしっかりと彼の胴体を掴みながら走り出す。先ほど来た道を帰る二人に、負荷をかけないよう慎重に走る。辺りに目をやると、先ほど通ってきた道が何かおかしい。気にかけている暇は無い、そう思いながらもキョロキョロ辺りを見回してしまう。焦燥感からか緊張感からかはわからない。しかし、一歩踏み出すのがここまで怖い日はなかった。後にそれが確信に変わる。
「死体が…増えてる…」
先ほどこの道になかった死体が倒れている。王国兵士の亡骸だ。赤いマントがやけに目立つ。これで確実に誰かがいるわけだ、それもかなりの手練れが。丸腰で接敵してしまうと終わりだ、死体から剣を拝借する。その時にチラッと見えた報告書もついでに拝借する。そしてすぐに走り出した。二人に負荷が掛かるかも知れないが全力で走った。バレないと良い、そう思いながら走った。が、現実は甘くない。
学校の近くについたが、黒いフードを纏った何かがいた。すぐに身を隠す。バレてはいないが、あいつがいるあの場所を通らないければ学校へは行けない。退くのを待つか?いや待てない。背中の彼女も彼も衰弱していっている。
「勝てないな…でもやるしかないか。起きて下さい」
彼を優しく、そして静かに起こす。
「どうした…?」
彼はゆっくりと目をあける。
「今から自分があの黒いフードを相手に時間を稼ぎます。ここからすぐ近くに学校があるので、そこまで彼女を連れて走ってください」
「…わかった。それでいいんだな?」
彼は返答を待たずに彼女を担いだ。手の震えが止まらないが、やるしかない。
「自分の後を付いてきて下さい」
彼は頷いた。大きく息をして、敵が後ろを見るのを待った。どのくらい待ったか。一分かはたまた十秒か、時間なんてわからない。待っていた時が来た。黒いフードが後ろを向いた。
「今です!」
黒いフードに一直線で突っ込んだ。彼もその後を付いてきていた。
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