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02.
08.糸口
しおりを挟む昨日から、石橋くんのことが頭から離れない。
本当に人間として最低だと思う。
だからこれ以上関わらないのが、
彼にとって一番良いことだとはわかっている。
私じゃ石橋くんを幸せにできない。
逃げなかった私が悪いんだ。
「緋莉、今日は一緒に行こう?」
「…私朝一で役所調査に行かないといけないから、
途中までね」
「そっか、わかった。帰りはちゃんと連絡してね」
でも、檜垣さんの執着にはもううんざりだ。
石橋くん、どういうつもりだったんだろう。
私にどうしてほしいのか、分からない。
───
仕事終わり
「…?」
会社の最寄駅に檜垣さんを見つけた。
今日は神楽坂で接待とか言ってたはずだ。
檜垣さんの事業部の
3年目くらいの事務の子と2人だった。
偶然一緒に帰っているだけか、それとも…
絶妙な距離を保ちつつ、2人の後をつけた。
事務の子は檜垣さんに耳打ちして腕を組む。
檜垣さんも、満更ではない様子なのが明らかだ。
念のため、写真だけ撮って、
2人が一緒の ───うちとは違う方向の
電車がくるホームに降りるところまで見届けた。
「あー…見られちゃったか」
開き直ったように、横目で私を見て言う。
あの後、夜も帰って来ず、外から出社したらしい。
その前から、2人でよく飲みに行っていたらしいが
そんなことは正直どうでもよかったので、
何も気にしていなかったが。
「緋莉のことはもちろん好き、
でもあの子のことも好きなの」
「…何ですかそれ」
「緋莉がさあ、僕に興味なさすぎるから
ちょっと気を引こうと思っただけじゃん
案の定、ここまでしてやっと気づいた
もっとさあ……」
「不倫だから離婚してって言ったら?」
私がそう切り出すと、
いつもみたいに急に真顔になって私の頬を引っ叩く。
「しないって言ってるでしょ」
私の胸ぐらを掴んで床に引き倒される。
そこまでして、私に執着する理由がわからない。
「痛い…」
「緋莉がおかしなこと言うからでしょ?」
「おかしいのは瑤太さんだよ…」
「ああ…うるさいうるさいうるさい」
また私の首をギリギリと締め上げる。
息ができない。
「今日はどっか他所に行って、
殺してしまいそうだから、僕に顔見せるな」
どこにも行くなとか、どっか行けとか、
もう面倒くさい。
「…分かった、今日はどこかに泊まります」
明日は有休消化日なので、
別に仕事に行く用意もいらない。
今日の服のまま、財布と携帯だけ持って家を出た。
「自由だ~」
コンビニでタバコとお酒を買って、
飲みながらどこかへ行こう。
思ったより、綻びが大きくなっていたのか
勝手に涙が溢れてくる。
何も悲しいことは無いのに。
どうしてこうなってしまったんだろう。
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