廻って異世界

フォウ

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千客万来?

第31話 防衛計画

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 最近は、目覚めると当たり前のように、隣にあった温もりが、今日はない。

「……さっむぅ!」

 雛菊が造った新しい家は、防寒性能が高いので、口に出すほど寒さを感じないはずなのに、隣に雛菊がいないだけで、寒く感じる。

「……ヤバいな」

 中毒患者のように雛菊が隣に寝ているのが、当然になっている。
 思わず、危機感が口から漏れた。

「……雛菊は何処にいるのかな?」

 手早く着替えて、彼女を探そうとしてしまう。
 ……マジでヤバい。
 最近、特に雛菊が近くにいないことに違和感を覚える。
 まだ、出会って半年も経っていないのに、ずっと一緒だったように感じることがあるのだ。


 リビング、いない。
 台所にもいないな。
 かと言って、他の仲間の部屋に勝手に入るわけにもいかない。
 ノックして訊いてみるか。
 いや、先に外を見てみるべきか。
 その方が、言い分が立つ気もするし……。
 ……雪が積もっているし、しょうがないよな?

 あれこれと考えたが、結局ノックしてみることにした。
 しかし、紅葉の部屋は返事なし、朧と朔の部屋同じく……。
 これ、皆で外に出てるのか?

「しょうがない……」

 一端部屋に戻り、ダウンジャケットモドキを羽織って、外へ。
 ひとまず、目的地は貯蔵地。
 この集落のライフラインであり、様々な物資の製造源となるので、誰かしらいる可能性が高いのだが……。


「……違ったか」

 誰もいない。
 むしろ、ここが仕事場のはずの結もいない。
 無駄足となったことに、滑る雪道を慎重に歩いてきた徒労感を感じる。
 しかし、
 
 ……ガラガラと、遠くで音が聞こえた気がした。
 いや、雪が音を喰らう白の世界だ。
 遠くに感じるだけで意外と近いのかもしれない。

「……あっちか?」

 そう思ってそちらへ歩いて行くと、徐々に音が大きく聞こえるようになる。
 ……間違いない。

「ハル?
 おはよう」

 貯蔵地から、拠点の南側へ向かうと意外とすぐに、雛菊達を見付けた。
 俺が見付けるのと殆ど同時に、こちらに気付いたらしい雛菊が朝の挨拶をくれる。

「うん。
 おはよう。
 何をしているの?」

 雛菊は、大判の紙を広げているし、朧と朔は穴掘りをしている。
 そこへ妖精達が運んできた丸太が埋められ、踏み固めて立つ。

「柵作りよ。
 昨日ハルが言っていたでしょ?
 思ったより襲撃とかないなって。
 心配になったんで、周囲を調査したらね」
「……私が。
 私が変な痕跡を見付けたの……。
 この拠点をグルグル回るように、残っていた足跡。
 ……探られているってなったの」

 珍しく強く主張をしてきた朧が、雛菊の言葉を途中で遮った。
 言葉を取られた側の雛菊は苦笑気味。

「どうにも、ここ最近になってうちを偵察している妖怪がいるらしいとなってね。
 下手に襲撃される前に、防備を固めようと先ほどから、柵作りに勤しんでいたわ」
「……なるほど」

 雛菊達と話している間にも、支柱同士を繋ぎ、交差状の柵を作り上げていく結。
 見る間に柵が出来上がっていく様は、さすがとしか言えない。
 ……あれ?

「紅葉がいないような気がするけど?」

 穴堀をしている朧と朔に、柵を組み立てている結。
 現場監督をしている雛菊。
 ……紅葉が見当たらない。

「偵察に行ってもらっているの。
 この辺りの土地勘があって、足も早いあの子が最適でしょ?」
「……なるほど」

 否定は出来ない。
 適材適所ってことだろうな。
 ……。

「俺も手伝うよ。
 何をすれば良い?」
「じゃあ朝ご飯を食べて、果実の収穫をしてきて。
 こっちに人手を割いているから、収穫が間に合わないのよ」

 男として一緒に力仕事をしようとしたら、果樹園の仕事に回された。

「果樹園の管理も大事な仕事よ?」

 力仕事を外された不満が、顔に出たようだ。
 別に仕事に貴賤があるとは思わないけど、女性の多いコミュニティで、力仕事を外されると言うのは男として、情けない気がしてしまうのは、しょうがないだろう?

「人間のハルが、私と同じだけの腕力を発揮できるとでも?」
「……確かに」

 種族差を出されると弱い。
 幾ら男の方が体力があると言っても、人間の男と雌の馬では、馬の方が圧倒的に力仕事に向いているだろう。
 つまりは、そういうことである。

「じゃあ、頑張るかな」
「お願いね?」

 気を取り直した所に、お願いとウインクされては、もう反論の余地もないのだった。
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