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千客万来?
第40話 とある女子高生の話
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夜の帳が落ちた後、暗い田舎道を走る2人の少女。
高校生くらいの年齢に見えるが、着ているジャージの色が違うので、通う学校は別だと思われる。
大災害前であれば、不審者に注意しろと言われかねない行為だが、今では誰もがスルーする。
走っているのが、男性ならば警官が保護に来るかもしれないが……。
「……変わっちゃったな。
気楽だけど、変な世界」
「……そうね。
日本中が女子高のノリよ」
近くのベンチで休憩する。
いつもの日課だった。
「……そうだね」
小中と同じクラスだった親友の言葉に、ジュエルズアンバーとして、真相を知る大渕琥珀《おおぶちこはく》は、曖昧に同意するに留める。
「共学校も今じゃ女子高状態なの?」
「……どうだろうね。
私はもう全然学校へ行っていないから……」
大災害直後、男子生徒の大半がいなくなった混乱で、休校状態だった。
やっと再開したと思ったら、ダンジョンと魔物の騒動で、自宅待機。
混乱が解ける頃には、アンバーとして治安維持を担っていた。
「……ごめん」
自分だけが日常に戻って、申し訳ない気持ちの親友だが、
「ううん。
大丈夫。
むしろ、ずっとランニングに付き合ってくれて感謝してるよ」
と、笑う。
大災害以前は、違う高校でも、部活は同じバレー部でお互いに頑張っていた。
しかし、部活自体がなくなってしまったから、体力勝負の魔法少女と違って、親友にとっては、体力作りのランニングも今では趣味の領域だった。
「……そんなこと。
こういう運動出来るチャンスを逃がすと、太っちゃうから。
何せ、東海3県で一番優秀な魔法少女の護衛付きで、ランニング出来る機会だもの」
「来年には従妹に譲る称号よ。
大体、高校3年生で魔法少女はないって」
茶化しつつお礼を言う親友へ、魔法少女はウンザリだと笑う琥珀。
「そっか。
私達、高校3年生だったね。
全然、そんな気がなかったわ」
「しょうがないわよ。
災害前は、私達はまだ高2だったし、先輩達みたいに受験勉強とかするような機会もなかったから」
大災害が起きた時、2人はまだ高校2年生になったばかりだった。
未来の受験勉強よりも、今の青春に目が向いていたのだ。
それが一瞬で消えて、残ったのは五里霧中の世界。
「受験勉強か……。
私はどうしようかな……」
「今頃そんなことを言ってるの?」
「今をときめく魔法少女様と違って、こっちは部活くらいしか取り柄がなかったのよ?
それでスポーツ大に、推薦もらえればラッキーくらいしかなかったのに……」
琥珀の言葉に、肩を竦めて答えるのが精一杯だった。
少女の目の前には、黒い大きな壁があるような気さえして、不安が涙になって流れてくる。
「大学へ行ってさ、サークルとかで彼氏が出来て、就職して結婚するの。
共働きでお互いに苦労しながら、その内、子供が出来ちゃったりして……。
いや、分かってるんだよ?
大災害の前だって、お一人様で生きてく人もいたし。
私だって嫌なやつと結婚するくらいなら、独身で良いやって思ってたくらい」
本当にありふれた話だったかは分からない。
社会に出ていない子供なのだから。
しかし、
「……けど、それって今じゃ贅沢なんだよね?
独身でいるのも結婚するのも、"選択肢"の1つに過ぎなかったのは、過去の話で、大半の女性は独身しか選べない」
今の世界では選択肢として、存在していないと子供でも分かってしまう。
「……自殺した女性は一杯いるみたい。
子供を残すことも出来ない可能性が高くて、生きているだけって状況。
しかも、ただ生きるのでさえ以前より辛いんだものね。
……けど、私達は今の状況をどうにかしようとしている。
もうちょっとだけ待っててくれる?」
琥珀は、必死に訴える。
目の前の親友が、未来に絶望して生命を絶った人達と、ダブって見えたから。
「成り行きでやってる魔法少女だけどさ、魔法少女は夢と希望を届けるものらしいじゃない?
私もきっとそうなるから……。
もうちょっとだけ待っててほしいんだ!」
フォーティンの存在が伏せられている今、目の前の親友へ希望を確約はできない。
厚かましいお願いかもしれないけど。
「……信じるよ。
琥珀は、嘘つかないし。
けどさ、一生独身だったら琥珀が私を養ってよ?
それでチャラにしてあげる!」
「……。
……一生背負うのは、重いなぁ。
けど、そんなことにならないって私は思っているから、その条件で手を打ってあげる!」
茶化すような言葉に、同じくらいの茶化すような言葉で返す。
これ以上ないほどの、自信を込めて。
……大渕琥珀は18歳。
まだまだ、絶望するような歳じゃないのだから。
高校生くらいの年齢に見えるが、着ているジャージの色が違うので、通う学校は別だと思われる。
大災害前であれば、不審者に注意しろと言われかねない行為だが、今では誰もがスルーする。
走っているのが、男性ならば警官が保護に来るかもしれないが……。
「……変わっちゃったな。
気楽だけど、変な世界」
「……そうね。
日本中が女子高のノリよ」
近くのベンチで休憩する。
いつもの日課だった。
「……そうだね」
小中と同じクラスだった親友の言葉に、ジュエルズアンバーとして、真相を知る大渕琥珀《おおぶちこはく》は、曖昧に同意するに留める。
「共学校も今じゃ女子高状態なの?」
「……どうだろうね。
私はもう全然学校へ行っていないから……」
大災害直後、男子生徒の大半がいなくなった混乱で、休校状態だった。
やっと再開したと思ったら、ダンジョンと魔物の騒動で、自宅待機。
混乱が解ける頃には、アンバーとして治安維持を担っていた。
「……ごめん」
自分だけが日常に戻って、申し訳ない気持ちの親友だが、
「ううん。
大丈夫。
むしろ、ずっとランニングに付き合ってくれて感謝してるよ」
と、笑う。
大災害以前は、違う高校でも、部活は同じバレー部でお互いに頑張っていた。
しかし、部活自体がなくなってしまったから、体力勝負の魔法少女と違って、親友にとっては、体力作りのランニングも今では趣味の領域だった。
「……そんなこと。
こういう運動出来るチャンスを逃がすと、太っちゃうから。
何せ、東海3県で一番優秀な魔法少女の護衛付きで、ランニング出来る機会だもの」
「来年には従妹に譲る称号よ。
大体、高校3年生で魔法少女はないって」
茶化しつつお礼を言う親友へ、魔法少女はウンザリだと笑う琥珀。
「そっか。
私達、高校3年生だったね。
全然、そんな気がなかったわ」
「しょうがないわよ。
災害前は、私達はまだ高2だったし、先輩達みたいに受験勉強とかするような機会もなかったから」
大災害が起きた時、2人はまだ高校2年生になったばかりだった。
未来の受験勉強よりも、今の青春に目が向いていたのだ。
それが一瞬で消えて、残ったのは五里霧中の世界。
「受験勉強か……。
私はどうしようかな……」
「今頃そんなことを言ってるの?」
「今をときめく魔法少女様と違って、こっちは部活くらいしか取り柄がなかったのよ?
それでスポーツ大に、推薦もらえればラッキーくらいしかなかったのに……」
琥珀の言葉に、肩を竦めて答えるのが精一杯だった。
少女の目の前には、黒い大きな壁があるような気さえして、不安が涙になって流れてくる。
「大学へ行ってさ、サークルとかで彼氏が出来て、就職して結婚するの。
共働きでお互いに苦労しながら、その内、子供が出来ちゃったりして……。
いや、分かってるんだよ?
大災害の前だって、お一人様で生きてく人もいたし。
私だって嫌なやつと結婚するくらいなら、独身で良いやって思ってたくらい」
本当にありふれた話だったかは分からない。
社会に出ていない子供なのだから。
しかし、
「……けど、それって今じゃ贅沢なんだよね?
独身でいるのも結婚するのも、"選択肢"の1つに過ぎなかったのは、過去の話で、大半の女性は独身しか選べない」
今の世界では選択肢として、存在していないと子供でも分かってしまう。
「……自殺した女性は一杯いるみたい。
子供を残すことも出来ない可能性が高くて、生きているだけって状況。
しかも、ただ生きるのでさえ以前より辛いんだものね。
……けど、私達は今の状況をどうにかしようとしている。
もうちょっとだけ待っててくれる?」
琥珀は、必死に訴える。
目の前の親友が、未来に絶望して生命を絶った人達と、ダブって見えたから。
「成り行きでやってる魔法少女だけどさ、魔法少女は夢と希望を届けるものらしいじゃない?
私もきっとそうなるから……。
もうちょっとだけ待っててほしいんだ!」
フォーティンの存在が伏せられている今、目の前の親友へ希望を確約はできない。
厚かましいお願いかもしれないけど。
「……信じるよ。
琥珀は、嘘つかないし。
けどさ、一生独身だったら琥珀が私を養ってよ?
それでチャラにしてあげる!」
「……。
……一生背負うのは、重いなぁ。
けど、そんなことにならないって私は思っているから、その条件で手を打ってあげる!」
茶化すような言葉に、同じくらいの茶化すような言葉で返す。
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まだまだ、絶望するような歳じゃないのだから。
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