廻って異世界

フォウ

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千客万来?

第43話 ログハウスへようこそ

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「まさかダンジョンの中にログハウスがあるなんて……」

 妖精1号に連れられて、4階層までやって来た一行は、ログハウスのようなものに入るように、案内され、実際に内装がログハウスそのもので、感嘆の声を上げることになった。

「主曰く、ホテルや旅館では違和感があるだろうから、これくらいにしておくとのことです」
「ログハウスでも十分おかしいんだけどね……」

 無表情に説明をする妖精に、呆れた声を返すルビー。
 安心して休める空間を提供されている身とはいえ、ゴツゴツした洞窟の中にログハウスはおかしい。

「……まあ良いじゃない。
 それで、あれこれと説明をお願いできるかしら?」

 クォーツがルビーを嗜めて、妖精1号へ本題を促す。
 下手に機嫌を損ねて、せっかくの休憩場を失いたくないのだ。

「何を知りたいでしょうか?
 答えられる範囲でお答えするように指示されておりますが、所詮、自分はただの雑用妖精です。
 保有する情報は多くありません。
 予めご了承願います」

 深々と頭を下げる妖精1号だが、改めて観察すれば、その仕草は機械の動作に見える。

「ありがとう。
 まず、このダンジョンの目的についてお願いできるかしら?」

 とはいえ、振りの可能性もあるので礼を言って慎重に進めようとするクォーツ。

「正確には、ここは外敵を排除する防衛エリアであり、同時に、生物を時間遅延状態へ順化するための慣らし運転の場です」

 しかし、クォーツの様子を気にするでもなく、坦々と回答する妖精1号。

「防衛エリア?
 時間遅延状態?」
「信じがたい話ですが、フォーティンの言っていた情報と一致はしています。
 フォーティンのいる場所では、時間の流れが24倍遅いと言う情報がありました」

 混乱気味のルビーと異なり、事前情報との符合性を確認する自衛官。

「……妖精1号さん。
 その時間のズレについて詳しく教えてもらえますか?」
「正確には、毎秒正確にズレているのではなく、微妙に誤差がありますので、把握しきれません。
 おおよそ、1階層では地上の1分に対して、50秒程度の遅れですが、6層辺りになると10分単位のズレになります。
 6層で一晩過ごせば、地上では10日ほどが経過している計算になるでしょうか?」
「フォーティンの言っていることに一致しているとみて言いかもしれませんが、よくよく考えると不味いですね。
 一旦、帰還しないと……」

 妖精1号の説明に顔色を変えた自衛官。
 時間軸の急変ではなく、徐々に流れが変わり、身体を順化させる。
 言われれば納得できるが、見落としやすい話と言えなくもない。
 しかし、この情報を元にすり合わせをしないと……。

「……仮に我々が体感数日でフォーティンの元に着き、話し合いをして帰還したとしてですが、その頃には、下手すると数年の時が流れている可能性があります。
 情報のすり合わせは必須ですね」

 数日分の食料を持って挑んでいる攻略メンバーだが、地上待機組からみたら、数ヶ月や数年単位で潜っていたことになる。
 下手すると、偽物扱いで問答無用に殺されかねない。

「出来るだけ情報をいただけますか?
 我々は、それを持って一旦地上へ帰還します」
「どうしてそうなるの?
 まだ全然進んでいないのに?」

 自衛官が戻ることを決めたように話すため、1日で撤退と言う話しに納得できないと文句を言うルビー。

「このまま強行してから帰還した場合、地上の人々からみた我々は、数ヶ月から数年単位でダンジョンにいた人間にみえるのです。
 魔物扱いされかねない」
「……不味いじゃないですか?!」
「ええ。
 とにかく、一旦戻って調整しないと……。
 ですが、次の挑戦のためにも情報が欲しいのです」

 誰だって数ヶ月飲まず食わずの人間が出てきたら、魔物と思うだろう。
 そうならないためには、再調整が必須となる。

「「「……」」」

 自衛官とルビーのやり取りに皆が顔を青くしている中、

「このダンジョンは何階層まであるの?
 防衛エリアって言うのは?」

 ルビーは質問を始める。
 正直、少しでも時間が惜しいと思えてならないのだ。

「この防衛エリアは合計20層で構成されています。
 防衛エリアとは、そのまま奥にある重要施設を守るための対外勢力を排除するエリアとの意味です」
「……質問を変えるわ。
 私達は排除する対外勢力とみなされている?
 私達以外に知的生命体はいないと思うけど?」

 要領を得ないと感じたルビーが、質問内容を変える。

「現行人類は該当しません。
 この施設はあなた方からみて古代人にあたる人々が、種の絶滅を免れるために準備した延命装置となります。
 排除すべき対外勢力とは、他の古代人が該当します」
「……逆ではありませんか?
 普通、同胞こそ味方では?」

 サファイアが口を開く。
 確かに兄弟だって、骨肉の争いのような事例はあるが、そこまで極端に近しい間柄でもないなら、異種族よりは同胞優先だろうと……。
 しかし、

「いえ、我々の施設の利用方法を知る古代人は、リソースを奪う危険性がありますが、現行人類には、リソースを奪うメリットがありません。
 故に協調路線を取りたいと考えます」

 自分達の脅威になり得ないので利用させてもらうと言う言い分であった。

「……正直、明け透けな話だと思います。
 ですが、下手な言い訳よりは安心できました」

 ひっそりと拳を握りながら、応える自衛官。
 日本を守る自衛官としては、腹立たしいが、相手を利用したいのは日本政府も同じ。
 ならば、ビジネスライクに付き合う方が安心だと割りきる。

「さて、それでですが……」

 出来うる限りの情報収集を行い、帰還すると目的を定めた攻略メンバー達。
 この情報が、ダンジョンとの付き合い方を変えていくことになるだろうと確信をもって……。
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