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村造りシミュレーション
第59話 余波
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最近は、魔法少女業務もなくなり、岐阜市内のホテルで待機と言う名の休暇を満喫していたジュエルズルビーこと菅沼由実華。
一応、毎週土曜日に岐阜市体育館で、魔法についての実習を行っているが、それくらいしか仕事がない。
急ピッチで進んでいる迷宮内仮設拠点の設営が完了すれば、迷宮攻略部隊は、長期間の拘束時間が発生する訳だから、それまでの余暇の前借りなのだが……。
そんな由実華だが、急な呼び出しを受けて、急遽各務ケ原航空自衛隊基地へと顔を出すことになった。
もちろん、他の攻略部隊メンバ-と共に……。
「急な呼び出しとなり、すみません。
少しご相談したいことがありまして……」
会議室に集められたメンバーを前に、召集主である赤坂三尉が、謝罪と共に切り出す。
「実はですね。
迷宮内から、インターネットへのアクセスを確認したのです」
「フォーティンからの新情報?」
ネットへのアクセスで、攻略部隊召集の流れならば、それしかないだろうと確認をするジュエルズルビーであったが、予想を裏切り赤坂三尉は、
「違います。
私もよく分からないのですが、とあるゲームの攻略サイトへアクセスしたようです。
詳しくはお手元の資料をご確認ください」
そう言う赤坂の言葉に各自の前に置かれた資料を確認する。
そこには、『夢幻千年京』攻略サイトへのアクセスについて、と銘打たれたA4数枚の資料。
ゲームの大まかな内容等が書かれている。
自衛官達ももバカ真面目に、携帯ゲームの調査をさせられるとは思っていなかっただろう。
「簡単に言うと、美少女妖怪を仲間にしながら、街作りをするアプリゲームです。
街作りをすると言う点が少し珍しいものの、基本的には良くあるアプリゲームの類いですね」
ガチャで仲間を増やして、街を作りつつバトルもある男性向けのアプリゲーム。
「特に奇妙なことは、コンテンツそのものが既に配信を停止していることですね」
「つまり、既に意味のない攻略情報と言うわけですね?」
メインターゲットを男性にしているゲームは、今では採算が取れず、停止しているものも多い。
件の『夢幻千年京』は、比較的健闘していたが、数ヵ月前、遂に配信を終了した。
「まあ、そうなりますな。
それで、ここからが本題なのですが、これの発信源はフォーティンではないと言うことです」
一旦、区切ってパソコンを起動、正面の大型モニターへ繋ぐ赤坂三尉。
そんな彼女の台詞に緊張を膨らませるメンバー達。
「このアクセスに使用されたIPアドレスは、今までフォーティンが使っていたものとは、別のIPアドレスでした。
大災害前から使われていたIPアドレスで、持ち主を特定した所、この高校生が該当します」
正面モニターに映されたのは、色白でぽっちゃり気味の少年。
何処かで見たことのあるような顔立ちだった。
「この少年の名前は、能義晴彦。
大災害は17歳で、大災害時に行方不明となり、現在も安否確認が出来ていません」
「能義?
聞いたことがある名字ね?」
赤坂三尉の説明に、ジュエルズルビーがふと考え込む。
……その必要もないのだが。
「能義秋葉《のぎあきは》。
次期ジュエルズ候補であり、魔法使いとしての高い素養をみせた少女です」
「ああ、ぶっ飛んだ才能があったけど、小学生だから候補止まりになってる娘ね?
……あれ?」
当然のように、下調べを終えている赤坂三尉が説明を続け、それに納得するルビーだが、他にも特徴があったようなと首を傾げる。
「……私の従妹です。
ついでに言うと晴くん、能義晴彦の方も従弟ですね……」
遠慮がちにで答えるのは、ジュエルズアンバー。
ただ、その顔は非常に困ったと言うような表情である。
「……ただ、晴くんは昔から身体が弱くて、親戚の集まりにも顔をあまり出していないんです。
秋ちゃんは、よくオタク気質だと嫌っていましたが……」
アンバーとしては、交流が少ないので従姉弟関係だからと、情報を求められても困るのだ。
「……いえ、オタク気質と言う情報はありがたいです。
このアクセスが、晴彦さんご本人である可能性が高まりました」
申し訳なさそうなアンバーだが、赤坂から見れば、ありがたい情報であった。
「フォーティンと能義晴彦さんに繋がりがある可能性が高い。
まあ同一人物ではないでしょうね……」
偽名を名乗る必要性がないし、能義晴彦と、14と言う数字に特別な関連性も見付けられなかった。
あえて言うなら、
「晴くんは竜宮城に招かれた浦島太郎。
乙姫に相当する存在がいるんですね?」
「はい。
それこそが、フォーティンと言う仮説が成り立つかと思います。
しかし……」
アンバーの言葉に頷きつつ、言い淀む赤坂三尉。
幾ら付き合いが少ないと言っても、言うべきか悩んでいた。
「その仮説が正しいなら、晴くんはフォーティンにより、監禁させている可能性がある。
と言うことですね?」
しかし、アンバーは赤坂が言いたかったことをはっきりと答える。
「……はい。
浦島伝説と同じような状況であれば、能義晴彦さんはさほど酷いことにあっていない可能性もありますが……」
希望的観測だった。
竜宮城とJ15ダンジョンは別物だし、外界の状況も違う。
「「「……」」」
会議室を沈黙が支配する。
そんな中で、
「……変な話をしても良いかしら?
例えば、能義晴彦くんなりの救難信号と言う可能性はないかしら?」
躊躇いながら口を開いたのは、ジュエルズクォーツ。
「どういうことです?」
突飛もない言葉に、聞き返すアンバー。
一応、血の繋がりがある従弟なのだから、心配はしている。
だが、
「……監禁監視状態なのかしら?
そんな中で、フォーティンの目を盗んでスマホを使うことが出来た。
そしたら、助けを呼びたいでしょう?
けれど、フォーティンはスマホが何かを知っている……。
下手な救難信号は送れないですよね?」
クォーツの説明を聞いてもよく分からない。
「アメリカで、ピザを注文する振りして、警察を呼んだ話は知らない?
例えば、このゲームアプリのチャットで救援を呼ぼうとした。
けれど、アプリが配信を終了していた。
なら、こういう攻略サイトへコメントを残して……」
「!!
フォーティンには、遊んでいるだけと見せ掛けて、救援信号を送ろうとした!」
クォーツの言葉を遮るようにして、アンバーが叫ぶ。
「……攻略を急いだ方が良さそうね」
「……もう1つ、妖精1号には気付かれないようにする必要があると思われますよ?」
ルビーが迷宮攻略への意欲をみせ、クォーツが追加の提案を行う。
「そうですね。
妖精1号の役割が読めてきました。
第6階層の別勢力と言う言い分も……」
「フォーティンは、こちらと情報交換はしたいけれど、能義晴彦さんは還したくない。
だから、あえて邪魔をする戦力を用意していると言うことね?」
赤坂三尉と杉本一尉。
2人の自衛官も頷き合う。
こうして、紅葉が攻略サイトを開いた余波により、善意の協力者から腹黒い黒幕へと貶められるフォーティン。
……酷い話である。
一応、毎週土曜日に岐阜市体育館で、魔法についての実習を行っているが、それくらいしか仕事がない。
急ピッチで進んでいる迷宮内仮設拠点の設営が完了すれば、迷宮攻略部隊は、長期間の拘束時間が発生する訳だから、それまでの余暇の前借りなのだが……。
そんな由実華だが、急な呼び出しを受けて、急遽各務ケ原航空自衛隊基地へと顔を出すことになった。
もちろん、他の攻略部隊メンバ-と共に……。
「急な呼び出しとなり、すみません。
少しご相談したいことがありまして……」
会議室に集められたメンバーを前に、召集主である赤坂三尉が、謝罪と共に切り出す。
「実はですね。
迷宮内から、インターネットへのアクセスを確認したのです」
「フォーティンからの新情報?」
ネットへのアクセスで、攻略部隊召集の流れならば、それしかないだろうと確認をするジュエルズルビーであったが、予想を裏切り赤坂三尉は、
「違います。
私もよく分からないのですが、とあるゲームの攻略サイトへアクセスしたようです。
詳しくはお手元の資料をご確認ください」
そう言う赤坂の言葉に各自の前に置かれた資料を確認する。
そこには、『夢幻千年京』攻略サイトへのアクセスについて、と銘打たれたA4数枚の資料。
ゲームの大まかな内容等が書かれている。
自衛官達ももバカ真面目に、携帯ゲームの調査をさせられるとは思っていなかっただろう。
「簡単に言うと、美少女妖怪を仲間にしながら、街作りをするアプリゲームです。
街作りをすると言う点が少し珍しいものの、基本的には良くあるアプリゲームの類いですね」
ガチャで仲間を増やして、街を作りつつバトルもある男性向けのアプリゲーム。
「特に奇妙なことは、コンテンツそのものが既に配信を停止していることですね」
「つまり、既に意味のない攻略情報と言うわけですね?」
メインターゲットを男性にしているゲームは、今では採算が取れず、停止しているものも多い。
件の『夢幻千年京』は、比較的健闘していたが、数ヵ月前、遂に配信を終了した。
「まあ、そうなりますな。
それで、ここからが本題なのですが、これの発信源はフォーティンではないと言うことです」
一旦、区切ってパソコンを起動、正面の大型モニターへ繋ぐ赤坂三尉。
そんな彼女の台詞に緊張を膨らませるメンバー達。
「このアクセスに使用されたIPアドレスは、今までフォーティンが使っていたものとは、別のIPアドレスでした。
大災害前から使われていたIPアドレスで、持ち主を特定した所、この高校生が該当します」
正面モニターに映されたのは、色白でぽっちゃり気味の少年。
何処かで見たことのあるような顔立ちだった。
「この少年の名前は、能義晴彦。
大災害は17歳で、大災害時に行方不明となり、現在も安否確認が出来ていません」
「能義?
聞いたことがある名字ね?」
赤坂三尉の説明に、ジュエルズルビーがふと考え込む。
……その必要もないのだが。
「能義秋葉《のぎあきは》。
次期ジュエルズ候補であり、魔法使いとしての高い素養をみせた少女です」
「ああ、ぶっ飛んだ才能があったけど、小学生だから候補止まりになってる娘ね?
……あれ?」
当然のように、下調べを終えている赤坂三尉が説明を続け、それに納得するルビーだが、他にも特徴があったようなと首を傾げる。
「……私の従妹です。
ついでに言うと晴くん、能義晴彦の方も従弟ですね……」
遠慮がちにで答えるのは、ジュエルズアンバー。
ただ、その顔は非常に困ったと言うような表情である。
「……ただ、晴くんは昔から身体が弱くて、親戚の集まりにも顔をあまり出していないんです。
秋ちゃんは、よくオタク気質だと嫌っていましたが……」
アンバーとしては、交流が少ないので従姉弟関係だからと、情報を求められても困るのだ。
「……いえ、オタク気質と言う情報はありがたいです。
このアクセスが、晴彦さんご本人である可能性が高まりました」
申し訳なさそうなアンバーだが、赤坂から見れば、ありがたい情報であった。
「フォーティンと能義晴彦さんに繋がりがある可能性が高い。
まあ同一人物ではないでしょうね……」
偽名を名乗る必要性がないし、能義晴彦と、14と言う数字に特別な関連性も見付けられなかった。
あえて言うなら、
「晴くんは竜宮城に招かれた浦島太郎。
乙姫に相当する存在がいるんですね?」
「はい。
それこそが、フォーティンと言う仮説が成り立つかと思います。
しかし……」
アンバーの言葉に頷きつつ、言い淀む赤坂三尉。
幾ら付き合いが少ないと言っても、言うべきか悩んでいた。
「その仮説が正しいなら、晴くんはフォーティンにより、監禁させている可能性がある。
と言うことですね?」
しかし、アンバーは赤坂が言いたかったことをはっきりと答える。
「……はい。
浦島伝説と同じような状況であれば、能義晴彦さんはさほど酷いことにあっていない可能性もありますが……」
希望的観測だった。
竜宮城とJ15ダンジョンは別物だし、外界の状況も違う。
「「「……」」」
会議室を沈黙が支配する。
そんな中で、
「……変な話をしても良いかしら?
例えば、能義晴彦くんなりの救難信号と言う可能性はないかしら?」
躊躇いながら口を開いたのは、ジュエルズクォーツ。
「どういうことです?」
突飛もない言葉に、聞き返すアンバー。
一応、血の繋がりがある従弟なのだから、心配はしている。
だが、
「……監禁監視状態なのかしら?
そんな中で、フォーティンの目を盗んでスマホを使うことが出来た。
そしたら、助けを呼びたいでしょう?
けれど、フォーティンはスマホが何かを知っている……。
下手な救難信号は送れないですよね?」
クォーツの説明を聞いてもよく分からない。
「アメリカで、ピザを注文する振りして、警察を呼んだ話は知らない?
例えば、このゲームアプリのチャットで救援を呼ぼうとした。
けれど、アプリが配信を終了していた。
なら、こういう攻略サイトへコメントを残して……」
「!!
フォーティンには、遊んでいるだけと見せ掛けて、救援信号を送ろうとした!」
クォーツの言葉を遮るようにして、アンバーが叫ぶ。
「……攻略を急いだ方が良さそうね」
「……もう1つ、妖精1号には気付かれないようにする必要があると思われますよ?」
ルビーが迷宮攻略への意欲をみせ、クォーツが追加の提案を行う。
「そうですね。
妖精1号の役割が読めてきました。
第6階層の別勢力と言う言い分も……」
「フォーティンは、こちらと情報交換はしたいけれど、能義晴彦さんは還したくない。
だから、あえて邪魔をする戦力を用意していると言うことね?」
赤坂三尉と杉本一尉。
2人の自衛官も頷き合う。
こうして、紅葉が攻略サイトを開いた余波により、善意の協力者から腹黒い黒幕へと貶められるフォーティン。
……酷い話である。
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