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村造りシミュレーション
第65話 自己紹介
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「さて、改めて自己紹介をするのだけど……」
リビングの大机を挟んで右側に、俺達。
俺から雛菊、朧、朔、莧に茨の6人。
向かい合う形で、5人の転移者達。
口火を切った雛菊に促される形で、体格の良い女性が、
「ここは自分から……。
迷宮攻略部隊補助自衛官の杉本暁美《すぎもとあけみ》大尉であります。
以後お見知りおきを」
「へ?」
と話す。
正直、驚いた。
自衛隊のしかも大尉?
全然、一般人じゃないよな?
しかも、迷宮攻略部隊? え?
もしかして、パラレル日本人?
「杉本一尉の部下で同じく迷宮攻略部隊補助自衛官の村井《むらい》なずな曹長であります。
基本的に通信関連任務を引き受けております」
こちらも、自衛隊の人だ。
曹長って、漫画とかに出てくる軍曹よりも上の階級だよな?
「迷宮攻略部隊長の菅沼由実華です。
コードネームで、ジュエルズルビーと名乗っています」
口振りから、自衛官じゃなさそうだけど、リーダーが一般人ってこと?
いや、コードネームとか言ってるし、一般人じゃないのかな?
どちらにしろ、完璧に別世界の日本人かな……。
「迷宮攻略部隊副隊長のジュエルズサファイアこと、明兼寺満子であります。
よろしくでありますぞ。
……雛菊ちゃんに、幻の莧っち茨っち。
果ては鬼の双子幼女。
パラダイスはここにあったでであり……。
っとと」
続いて、自己紹介したのは例の怪しいオタク女。
……独り言のつもりだろうか?
そして、パラレル日本でも、『夢幻千年京』と同名で同内容のアプリゲームが出ていたのだろうか?
後、自己紹介しながら涎を拭うな。
「迷宮攻略部隊衛生担当の石田美樹、彼女達同様にジュエルズクォーツと言うコードネームを使っています。
また、先ほど失神したのは、大渕琥珀さん。
まあ、そちらの能義晴彦さんの従姉弟とのことですから、もうご存知ですよね?」
最後になった石田さんが、ついでに琥珀さんの説明をする。
さて、次は俺かな?
「会った時に名乗ったけど、一応もう一回。
能義晴彦です。
一応、この集団のリーダーってことで良いんだよね?」
「そうね。
何せ、ここに町を開拓するのは、ハルが主上から命じられたお役目でしょ?
私達はあくまで協力者だもの」
自分で言っていて、自信がなくなった。
結局、基本的な方針から何から何まで、主導しているのは雛菊だし……。
でもそうだな。
開拓命令を受けているのは、俺なんだよな……。
「……うむ。
人間の晴彦氏が荒野の開拓を命じられて、それを妖怪が手伝っている……。
『夢幻千年京』のメインストーリーそのものでありますな。
ただ、主人公はデフォルト名が萩浦《はぎうら》とうま。
初期パートナーが座敷わらしの紗智のはずですので、根本から違うようでもありますが……」
やはりと言うか、この人。
ジュエルズサファイアさんは、『夢幻千年京』のユーザーだな。
それも結構なヘビーユーザーっぽい。
じゃなきゃ、莧や茨を当たり前に知ってるとも思えない。
女性のユーザーもそこそこいたらしいけど、俺のいた日本じゃ、メインは男性ユーザーだったんだが、彼女達の日本だと女性のユーザーが多かった?
……いや、みた感じサファイアさん以外に知っている感じはない。
彼女は見るからに陰キャだろうし。
「……サファイアさんは、『夢幻千年京』に詳しいんですね?」
「ふひぃ!
ちがうぜすぞ!
男性ユーザーばっかりだから、自分でもモテるかもなんて思ってなかったですぞ!
ヲタ婚イケる!
とか……。
自分……。
自分はミジンコですぞ……」
あ、撃沈した。
……うん、そういう人なんだと、触れないようにしよう。
少なくとも、俺の知っている『夢幻千年京』と相違なさそう。
「……次は私の自己紹介ね?
私は能義雛菊。
ハルの奥さんよ」
「いや、妖狐とかクラフトが得意とか、他にも言うべき情報があるでしょ……」
雛菊へツッコミを入れる。
と言うか、その情報は、先ほど熱弁しただろうに……。
「……私は能義朧。
私もお兄様の奥さん」
「朧、雛菊の真似は……」
初対面の女性陣相手に変なこと言わないで欲しい。
そう思って嗜めたが、
「……成人した鬼族は異性に裸を視られたら、その相手に嫁ぐ仕来り。
お兄様が娶らないと言うなら、私には自害するしか道がない」
「え……」
「お兄様が婚姻よりも私の自害を望むなら……」
何処からともなく、巨大な鉈を取り出して首に押し当てる朧。
「ストップ!
ストップストップ!!
朧も俺の奥さん、奥さんだから!!」
「……と言うわけよ?」
慌てて、凶行を止めると、ニタァと笑う朧。
まさか、こんな行動に出るなんて、しかも初対面の女性陣がいる、このタイミングで……。
「お兄ちゃん。
一応、鬼の掟は事実なのだ。
と言うわけで、末永くよろしくお願いしますなのだ」
そう言って、三つ指付いて頭を下げる朔。
……マジか。
鬼の婚姻事情なんて『夢幻千年京』でも公表されていないから、否定も出来ないけど……。
「私もお兄ちゃんに裸を視られて、お兄ちゃんの妻になった鬼族の成人なのだ。
よって名前は能義朔。
よろしくなのだ」
……朧や雛菊と違って、無邪気な朔が嘘を付くとも思えないので、事実なんだろうな。
紅葉も含め妹分としては可愛いんだけど、恋人として見れるかな?
「うむ。
僕の名は、莧。
猪笹王と言う猪の妖怪変化さ。
あいにくと、晴彦との間に婚姻関係はないが、憎からず思っているよ」
ついで、巨乳美女なのに男装麗人と言う癖の強いお姉さん。
莧が、自己紹介する。
……本当に残念だよな。
グイイィィ! と思いっきり脇腹がつねられる。
犯人はもちろん隣の雛菊。
「私は茨。
夜刀神って言う蛇神の一種ね。
私もこのコミュニティーでは新参なので、晴彦と関係を持っていないわ。
拒む気もないけれどね……」
流し目を向けてくる茨。
綺麗なお姉さんなので、そんな誘惑されると辛い。
辛いけど、浮気とか考えていない。
考えていないので、
「酷いパパよね。
身重のママを放っておいて、他の女性と良い雰囲気になろうとするなんて……。
シクシク」
わざとらしく泣き真似しないで欲しい。
「うむ、つまり晴彦氏はケモッ娘ハーレム野郎でファイナルアンサーですかな?」
「変なまとめ方しないでください!
この世界だと、一夫多妻は普通なんですよ!
妖怪は女しか生まれないので、人間の男を拐わないと数が維持できない。
強硬派妖怪勢力の襲撃があるので、人間社会も男不足が日常茶飯事なんです!」
オタクっぽい煽りをしてくるサファイアさんに言い返す。
あくまで、雛菊の受け売りなんだけど。
「いやいや、糾弾する気はないですぞ?
ただ、妙な感じを受けたんですぞ。
まず、雛菊はもう少しスレンダーでした」
俺の反論を、ニマニマした顔で受け流すサファイアさんは、雛菊を指差して指摘する。
「いや、妊娠した影響でしょ?」
「なるほど……。
では朧と朔、彼女らは人間を便利な家畜扱いしていた鬼族ですぞ?
しかも、このメンツの中で彼女らを抑えられそうなのはいない環境。
よく下克上されておりませんな?」
確かに、ゲーム中の朧達はそんな感じだったけど……。
「それはゲームと現実の違いってやつで……」
「うむ、ゲームと現実の差だと?
まあ、そう思うのは勝手ですぞ?
ですが、ここは現実の日本であり、突如発生したダンジョンの中ですぞ?」
ゲームと現実の差異だろうと答える俺に、ここはゲーム世界等ではないと突き付けてくるサファイアさん。
「え……?
日本? ダンジョン?
……。
俺がいた日本はこことは別のパラレルワールドだったんじゃないですかね?
少なくとも、俺がいた日本にダンジョンなんて……」
混乱してパラレル日本説を口走ってしまった俺だが、サファイアさんは冷静だった。
「我々の日本にもダンジョンなんてなかったですぞ?
少なくとも西暦2030年5月18日までは」
「……え?」
2030年の5月18日?
俺が病院の問診票に記入した日付と同じ?
「はっきり言うですぞ?
能義晴彦氏、あなたはダンジョンに偶然迷い込んでしまった男性。
ダンジョンはあなたを逃がさないために、偽りの世界を用意した。
ここは能義晴彦を捕えておくための竜宮城なのですぞ!」
ビシッ!!
と指を指すサファイアさん。
決めたつもりなのかもしれないけど……。
「いやいや、ダンジョンってモンスターが一杯いるあれですよね?
ここは、妖怪や眷属はいるけれど、モンスターなんていないし……。
龍脈エネルギーって、万能なエネルギーのある世界ですよ?」
無理がありすぎる。
だって、ダンジョンってのは、人を誘い込んで殺す存在だろ?
明確に、ダンジョンが何かは分からない。
マンガやアニメでも媒体毎に、内容が違うし。
けれど、ダンジョンが人を殺すと言うのは大体共通認識だと思う。
だけど、ここは明らかに違うだろ?
「先ほど自分が言ったように、ここは竜宮城なのですぞ!
晴彦氏を逃がさないために、様々な利益を与えて飼い殺しにして……」
「それはないですよ。
だって、本当に飼い殺しにしたいなら、こんな不便な使用にはしないだろ?
ここで得られる龍脈エネルギーは、1日に百もないんですよ?
何も考えずに浪費したら、3日くらいで死んでしまうレベルのエネルギーしか与えないって、矛盾しているじゃないですか!」
マジでこれ!
一晩中、この家の全ての明かりを付けっぱなしにすれば、マイナス収支になるのだ。
飼い殺しにする気とは到底思えない。
「それは……。
本当にどういうことでありますか?
フォーティンは何がしたいのやら?」
やはりゲームの仕様が分かっているからか、説明が楽だけど、サファイアさんがよく分からない人物名を呟く。
ニックネームみたいな気がするけど……。
ガバッと急に雛菊が頭を抱えた?
「フォーティン?
フォー、ティン……。
14、端末14号
あああああぁぁ!!」
次の瞬間には、頭を押えて絶叫する雛菊。
慌てて、椅子を立ち雛菊を抱き締める。
「どうしたんだ?!
雛菊、大丈夫!?」
「……ごめんなさい。
少し休む、わ。
明日には頭の整理も付くと思うから、彼女達には、泊まってもらって」
俺の記憶の中で初めて見る取り乱し様。
「俺が付き添うよ。
朧達、お願い……」
辛そうな雛菊を支え、朧達に来客を頼む。
ここは一旦、お開きにしよう。
リビングの大机を挟んで右側に、俺達。
俺から雛菊、朧、朔、莧に茨の6人。
向かい合う形で、5人の転移者達。
口火を切った雛菊に促される形で、体格の良い女性が、
「ここは自分から……。
迷宮攻略部隊補助自衛官の杉本暁美《すぎもとあけみ》大尉であります。
以後お見知りおきを」
「へ?」
と話す。
正直、驚いた。
自衛隊のしかも大尉?
全然、一般人じゃないよな?
しかも、迷宮攻略部隊? え?
もしかして、パラレル日本人?
「杉本一尉の部下で同じく迷宮攻略部隊補助自衛官の村井《むらい》なずな曹長であります。
基本的に通信関連任務を引き受けております」
こちらも、自衛隊の人だ。
曹長って、漫画とかに出てくる軍曹よりも上の階級だよな?
「迷宮攻略部隊長の菅沼由実華です。
コードネームで、ジュエルズルビーと名乗っています」
口振りから、自衛官じゃなさそうだけど、リーダーが一般人ってこと?
いや、コードネームとか言ってるし、一般人じゃないのかな?
どちらにしろ、完璧に別世界の日本人かな……。
「迷宮攻略部隊副隊長のジュエルズサファイアこと、明兼寺満子であります。
よろしくでありますぞ。
……雛菊ちゃんに、幻の莧っち茨っち。
果ては鬼の双子幼女。
パラダイスはここにあったでであり……。
っとと」
続いて、自己紹介したのは例の怪しいオタク女。
……独り言のつもりだろうか?
そして、パラレル日本でも、『夢幻千年京』と同名で同内容のアプリゲームが出ていたのだろうか?
後、自己紹介しながら涎を拭うな。
「迷宮攻略部隊衛生担当の石田美樹、彼女達同様にジュエルズクォーツと言うコードネームを使っています。
また、先ほど失神したのは、大渕琥珀さん。
まあ、そちらの能義晴彦さんの従姉弟とのことですから、もうご存知ですよね?」
最後になった石田さんが、ついでに琥珀さんの説明をする。
さて、次は俺かな?
「会った時に名乗ったけど、一応もう一回。
能義晴彦です。
一応、この集団のリーダーってことで良いんだよね?」
「そうね。
何せ、ここに町を開拓するのは、ハルが主上から命じられたお役目でしょ?
私達はあくまで協力者だもの」
自分で言っていて、自信がなくなった。
結局、基本的な方針から何から何まで、主導しているのは雛菊だし……。
でもそうだな。
開拓命令を受けているのは、俺なんだよな……。
「……うむ。
人間の晴彦氏が荒野の開拓を命じられて、それを妖怪が手伝っている……。
『夢幻千年京』のメインストーリーそのものでありますな。
ただ、主人公はデフォルト名が萩浦《はぎうら》とうま。
初期パートナーが座敷わらしの紗智のはずですので、根本から違うようでもありますが……」
やはりと言うか、この人。
ジュエルズサファイアさんは、『夢幻千年京』のユーザーだな。
それも結構なヘビーユーザーっぽい。
じゃなきゃ、莧や茨を当たり前に知ってるとも思えない。
女性のユーザーもそこそこいたらしいけど、俺のいた日本じゃ、メインは男性ユーザーだったんだが、彼女達の日本だと女性のユーザーが多かった?
……いや、みた感じサファイアさん以外に知っている感じはない。
彼女は見るからに陰キャだろうし。
「……サファイアさんは、『夢幻千年京』に詳しいんですね?」
「ふひぃ!
ちがうぜすぞ!
男性ユーザーばっかりだから、自分でもモテるかもなんて思ってなかったですぞ!
ヲタ婚イケる!
とか……。
自分……。
自分はミジンコですぞ……」
あ、撃沈した。
……うん、そういう人なんだと、触れないようにしよう。
少なくとも、俺の知っている『夢幻千年京』と相違なさそう。
「……次は私の自己紹介ね?
私は能義雛菊。
ハルの奥さんよ」
「いや、妖狐とかクラフトが得意とか、他にも言うべき情報があるでしょ……」
雛菊へツッコミを入れる。
と言うか、その情報は、先ほど熱弁しただろうに……。
「……私は能義朧。
私もお兄様の奥さん」
「朧、雛菊の真似は……」
初対面の女性陣相手に変なこと言わないで欲しい。
そう思って嗜めたが、
「……成人した鬼族は異性に裸を視られたら、その相手に嫁ぐ仕来り。
お兄様が娶らないと言うなら、私には自害するしか道がない」
「え……」
「お兄様が婚姻よりも私の自害を望むなら……」
何処からともなく、巨大な鉈を取り出して首に押し当てる朧。
「ストップ!
ストップストップ!!
朧も俺の奥さん、奥さんだから!!」
「……と言うわけよ?」
慌てて、凶行を止めると、ニタァと笑う朧。
まさか、こんな行動に出るなんて、しかも初対面の女性陣がいる、このタイミングで……。
「お兄ちゃん。
一応、鬼の掟は事実なのだ。
と言うわけで、末永くよろしくお願いしますなのだ」
そう言って、三つ指付いて頭を下げる朔。
……マジか。
鬼の婚姻事情なんて『夢幻千年京』でも公表されていないから、否定も出来ないけど……。
「私もお兄ちゃんに裸を視られて、お兄ちゃんの妻になった鬼族の成人なのだ。
よって名前は能義朔。
よろしくなのだ」
……朧や雛菊と違って、無邪気な朔が嘘を付くとも思えないので、事実なんだろうな。
紅葉も含め妹分としては可愛いんだけど、恋人として見れるかな?
「うむ。
僕の名は、莧。
猪笹王と言う猪の妖怪変化さ。
あいにくと、晴彦との間に婚姻関係はないが、憎からず思っているよ」
ついで、巨乳美女なのに男装麗人と言う癖の強いお姉さん。
莧が、自己紹介する。
……本当に残念だよな。
グイイィィ! と思いっきり脇腹がつねられる。
犯人はもちろん隣の雛菊。
「私は茨。
夜刀神って言う蛇神の一種ね。
私もこのコミュニティーでは新参なので、晴彦と関係を持っていないわ。
拒む気もないけれどね……」
流し目を向けてくる茨。
綺麗なお姉さんなので、そんな誘惑されると辛い。
辛いけど、浮気とか考えていない。
考えていないので、
「酷いパパよね。
身重のママを放っておいて、他の女性と良い雰囲気になろうとするなんて……。
シクシク」
わざとらしく泣き真似しないで欲しい。
「うむ、つまり晴彦氏はケモッ娘ハーレム野郎でファイナルアンサーですかな?」
「変なまとめ方しないでください!
この世界だと、一夫多妻は普通なんですよ!
妖怪は女しか生まれないので、人間の男を拐わないと数が維持できない。
強硬派妖怪勢力の襲撃があるので、人間社会も男不足が日常茶飯事なんです!」
オタクっぽい煽りをしてくるサファイアさんに言い返す。
あくまで、雛菊の受け売りなんだけど。
「いやいや、糾弾する気はないですぞ?
ただ、妙な感じを受けたんですぞ。
まず、雛菊はもう少しスレンダーでした」
俺の反論を、ニマニマした顔で受け流すサファイアさんは、雛菊を指差して指摘する。
「いや、妊娠した影響でしょ?」
「なるほど……。
では朧と朔、彼女らは人間を便利な家畜扱いしていた鬼族ですぞ?
しかも、このメンツの中で彼女らを抑えられそうなのはいない環境。
よく下克上されておりませんな?」
確かに、ゲーム中の朧達はそんな感じだったけど……。
「それはゲームと現実の違いってやつで……」
「うむ、ゲームと現実の差だと?
まあ、そう思うのは勝手ですぞ?
ですが、ここは現実の日本であり、突如発生したダンジョンの中ですぞ?」
ゲームと現実の差異だろうと答える俺に、ここはゲーム世界等ではないと突き付けてくるサファイアさん。
「え……?
日本? ダンジョン?
……。
俺がいた日本はこことは別のパラレルワールドだったんじゃないですかね?
少なくとも、俺がいた日本にダンジョンなんて……」
混乱してパラレル日本説を口走ってしまった俺だが、サファイアさんは冷静だった。
「我々の日本にもダンジョンなんてなかったですぞ?
少なくとも西暦2030年5月18日までは」
「……え?」
2030年の5月18日?
俺が病院の問診票に記入した日付と同じ?
「はっきり言うですぞ?
能義晴彦氏、あなたはダンジョンに偶然迷い込んでしまった男性。
ダンジョンはあなたを逃がさないために、偽りの世界を用意した。
ここは能義晴彦を捕えておくための竜宮城なのですぞ!」
ビシッ!!
と指を指すサファイアさん。
決めたつもりなのかもしれないけど……。
「いやいや、ダンジョンってモンスターが一杯いるあれですよね?
ここは、妖怪や眷属はいるけれど、モンスターなんていないし……。
龍脈エネルギーって、万能なエネルギーのある世界ですよ?」
無理がありすぎる。
だって、ダンジョンってのは、人を誘い込んで殺す存在だろ?
明確に、ダンジョンが何かは分からない。
マンガやアニメでも媒体毎に、内容が違うし。
けれど、ダンジョンが人を殺すと言うのは大体共通認識だと思う。
だけど、ここは明らかに違うだろ?
「先ほど自分が言ったように、ここは竜宮城なのですぞ!
晴彦氏を逃がさないために、様々な利益を与えて飼い殺しにして……」
「それはないですよ。
だって、本当に飼い殺しにしたいなら、こんな不便な使用にはしないだろ?
ここで得られる龍脈エネルギーは、1日に百もないんですよ?
何も考えずに浪費したら、3日くらいで死んでしまうレベルのエネルギーしか与えないって、矛盾しているじゃないですか!」
マジでこれ!
一晩中、この家の全ての明かりを付けっぱなしにすれば、マイナス収支になるのだ。
飼い殺しにする気とは到底思えない。
「それは……。
本当にどういうことでありますか?
フォーティンは何がしたいのやら?」
やはりゲームの仕様が分かっているからか、説明が楽だけど、サファイアさんがよく分からない人物名を呟く。
ニックネームみたいな気がするけど……。
ガバッと急に雛菊が頭を抱えた?
「フォーティン?
フォー、ティン……。
14、端末14号
あああああぁぁ!!」
次の瞬間には、頭を押えて絶叫する雛菊。
慌てて、椅子を立ち雛菊を抱き締める。
「どうしたんだ?!
雛菊、大丈夫!?」
「……ごめんなさい。
少し休む、わ。
明日には頭の整理も付くと思うから、彼女達には、泊まってもらって」
俺の記憶の中で初めて見る取り乱し様。
「俺が付き添うよ。
朧達、お願い……」
辛そうな雛菊を支え、朧達に来客を頼む。
ここは一旦、お開きにしよう。
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あらかじめご了承の上読み進めてください。
注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。
注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。
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