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村造りシミュレーション
第66話 明かされる(雛菊にとって都合の良い)真実
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「大丈夫?」
苦悩している振りを続けないといけないのに、心配そうなハルの声で、表情筋が緩んじゃう。
全然大丈夫じゃないよ~。
「少しお水をもらえるかしら……」
あら? 思ったよりも辛そうな声が出たわね。
堪えているのは事実だものね。
辛さじゃなくて喜びだけど……。
「取ってくる。
ちょっと待ってて!」
「ああ、リビングによってお客さんにお風呂を案内してあげて?
彼女達も身体を暖めないと風邪を引いてしまうわ。
着替えも……」
ちょっとだけ、席を外して欲しいの。
あれこれお願いね?
「わかった。
直ぐに戻るよ」
慌てて、部屋を出ていくハル。
その足音が遠ざかったのを確認して……。
枕をバンバンとベッドに叩き付ける。
あの琥珀が倒れた時は、そんなに心配そうじゃなかったハルが、私の頭痛にはこの反応よ?
ざまぁ! 本当にざまぁ!
枕叩きが2桁を超えた辺りで、ハルの足音が聞こえてくる。
……時間切れね。
「戻ったよ。
これを……」
「ありがとう。
少し落ち着いたわ」
興奮を発散できたお陰でね……。
と、内心舌を出す。
さて、この世界の真実を伝えましょうか。
「……ハル、よく聞いて。
私とハルは従姉じゃなかったわ」
「それは、サファイアさんの言ったフォーティンとか言うのが関係しているの?」
そりゃ、明らかにそういう風に見えるように演技したものね。
「ええ。
私は九尾の狐。
美尾山《みおやま》の社に奉られていた能義家の守護獣だったの……。
と言っても、魔素の薄い現代じゃ大して役にも立てなかったけどね」
「美尾山の社……、俺がよく行っていた裏山の?」
「そうよ。
多分、ハルは私の気配を僅かにだけど感じていたんじゃないかしら?」
「……妙に落ち着くとは思っていたよ」
……物心付くか付かないかから、ずっと持っていたお守りに私の気配が染み付いてるんだもの。
ハルにとっては、母親よりも寄り添っていた時間が長いわ。
私の気配を感じて、安堵するのも当然ね。
「私はハルをずっと見守っていた。
魔素が少ないから、見守るので精一杯だったけど……。
そんなある日よ?
急に世界に魔素が満ちた。
当然、私はハルに会おうと向かったの。
けれど、ハルの元に辿り着いた私が見たのは、不気味な穴に吸い込まれようとしているハル。
もちろん、慌てて保護したわ」
実際は、私が気を失ったハルを近くのダンジョンへ保護したんだけどね。
魔素濃度が高いダンジョン内の方が、怪我の治りも早いし。
「保護したまでは良かったのだけどね……。
ごめんなさい。
気を抜いたところを、ダンジョンの管理者に洗脳されたの。
管理者は、ハルを捕えておくために、ハルが持っていたスマホのデータを、元にこの世界を構築。
監視と誘導のために私を置いたわ」
「……つまり、ゲームの世界へ転生したと思わされていたってこと?
そのために、利用されたのが雛菊?」
真っ青な顔をするハル。
本当にハルを不安にさせる端末14号は質が悪いわ。
やっぱりこんなところはさっさと出ていきましょ。
「ごめんなさいね。
私が洗脳されたばかりに、ハルは家族とも引き離されて、こんな世界に1人きりに……」
「いやいや!
ずっと雛菊が居てくれたじゃないか!
1人きりだなんて!」
幻術の応用で涙を流すと、ハルが抱きしめてくれる。
……我慢我慢。
「ありがとう。
……ハル。
私達も迷宮攻略部隊に付いて行って、一旦外へ出ましょう。
ここにいると危険だわ」
「確かに。
……けど、紅葉や他のみんなは?」
紅葉達は、元々ダンジョンの住人だものね……。
本当はハルと2人きりの方が良いけど、直ぐバレるだろうし、正直に言うべきね。
「……問題ないわ。
紅葉達は仲間になる時にハルの血を飲んでいるもの」
「それって、妖精を作る時に使った残り?
それが意味あるのか?」
妖精を作る時に採血させてもらった血を薄めて小分けしていたもの。
あれにハルとの主従関係を持たせる術式を組んでいたのよね……。
安定重視で、媒体を使わなければ、紅葉達を置き去りに出来たのに。
「血を飲ませたのは、血の契約を交わしているつもりだったから、偶然でしかないけれどね。
魔物は契約に縛られる。
その中で、直接的な血の契約は間接支配よりも優先権が上なの」
下手に勘繰られても困るから、『夢幻千年京』の演出を再現した振りをしていく。
ガチャガチャを引く時、ゲーム内の設定では、主人公は1滴の血を龍穴に捧げて、その血を飲んだ相手が仲間として契約出来ていると言う設定だったはずよね。
私はゲームの契約を忠実に再現してただけですって振りをする。
さすが私。
運まで味方に付けちゃってるわ。
全ての悪行は端末14号に押し付けるつもりだから。
「全員で脱出は可能……。
違うわね。
結と妖精達はそのままだわ……」
「……ああ。
どうしょうもないのか?」
彼女らは、元は生き物でさえない枝や葉だ。
幾ら私でもどうしょうもないの。
「……無理ね。
ここのダンジョンを出れば、ただの葉や枝に戻ってしまうわ。
ここを維持してもらって、たまに戻ってくるしかないんじゃないかしら?」
「……そうだな。
うん、今生の別れじゃないし……」
うん、良いわね。
ここを維持する口実が出来たわ。
下手すると私達とハルを引き離そうとするやつが出るかもしれないし、そうなったらここでしばらく籠城すれば、地上の連中は寿命で死ぬでしょ?
そのためにもここは維持しないとね。
「そう言えば、今更だけど雛菊って……」
「そうね。
まあ、元々九尾の狐だったから、雛菊で良いと思っているわよ?
それとも新しい名前を用意してくれるのかしら?」
ハルとの関係を結んだ感慨深い名前ではあるけど、所詮はゲームのキャラの名前だもの。
どうせなら、私だけの名前をハルから贈って欲しいわ。
……名前を付けてもらったタイミングで外見を弄ろうかしら?
完全に、端末14号の呪縛が解けた振りでもして……。
「そうだな。
……ごめん、ちょっと待ってもらって良い?」
「もちろん。
けど、良い名前じゃなかったら、許さないわよ?」
そんな急に、別の名前何て浮かばないでしょうしね。
「わかった。
約束する」
本当に一時はどうなるかと思ったけど、結果的にはプラスになったわ。
やはり日頃の行いが、良いやつは報われるのね。
苦悩している振りを続けないといけないのに、心配そうなハルの声で、表情筋が緩んじゃう。
全然大丈夫じゃないよ~。
「少しお水をもらえるかしら……」
あら? 思ったよりも辛そうな声が出たわね。
堪えているのは事実だものね。
辛さじゃなくて喜びだけど……。
「取ってくる。
ちょっと待ってて!」
「ああ、リビングによってお客さんにお風呂を案内してあげて?
彼女達も身体を暖めないと風邪を引いてしまうわ。
着替えも……」
ちょっとだけ、席を外して欲しいの。
あれこれお願いね?
「わかった。
直ぐに戻るよ」
慌てて、部屋を出ていくハル。
その足音が遠ざかったのを確認して……。
枕をバンバンとベッドに叩き付ける。
あの琥珀が倒れた時は、そんなに心配そうじゃなかったハルが、私の頭痛にはこの反応よ?
ざまぁ! 本当にざまぁ!
枕叩きが2桁を超えた辺りで、ハルの足音が聞こえてくる。
……時間切れね。
「戻ったよ。
これを……」
「ありがとう。
少し落ち着いたわ」
興奮を発散できたお陰でね……。
と、内心舌を出す。
さて、この世界の真実を伝えましょうか。
「……ハル、よく聞いて。
私とハルは従姉じゃなかったわ」
「それは、サファイアさんの言ったフォーティンとか言うのが関係しているの?」
そりゃ、明らかにそういう風に見えるように演技したものね。
「ええ。
私は九尾の狐。
美尾山《みおやま》の社に奉られていた能義家の守護獣だったの……。
と言っても、魔素の薄い現代じゃ大して役にも立てなかったけどね」
「美尾山の社……、俺がよく行っていた裏山の?」
「そうよ。
多分、ハルは私の気配を僅かにだけど感じていたんじゃないかしら?」
「……妙に落ち着くとは思っていたよ」
……物心付くか付かないかから、ずっと持っていたお守りに私の気配が染み付いてるんだもの。
ハルにとっては、母親よりも寄り添っていた時間が長いわ。
私の気配を感じて、安堵するのも当然ね。
「私はハルをずっと見守っていた。
魔素が少ないから、見守るので精一杯だったけど……。
そんなある日よ?
急に世界に魔素が満ちた。
当然、私はハルに会おうと向かったの。
けれど、ハルの元に辿り着いた私が見たのは、不気味な穴に吸い込まれようとしているハル。
もちろん、慌てて保護したわ」
実際は、私が気を失ったハルを近くのダンジョンへ保護したんだけどね。
魔素濃度が高いダンジョン内の方が、怪我の治りも早いし。
「保護したまでは良かったのだけどね……。
ごめんなさい。
気を抜いたところを、ダンジョンの管理者に洗脳されたの。
管理者は、ハルを捕えておくために、ハルが持っていたスマホのデータを、元にこの世界を構築。
監視と誘導のために私を置いたわ」
「……つまり、ゲームの世界へ転生したと思わされていたってこと?
そのために、利用されたのが雛菊?」
真っ青な顔をするハル。
本当にハルを不安にさせる端末14号は質が悪いわ。
やっぱりこんなところはさっさと出ていきましょ。
「ごめんなさいね。
私が洗脳されたばかりに、ハルは家族とも引き離されて、こんな世界に1人きりに……」
「いやいや!
ずっと雛菊が居てくれたじゃないか!
1人きりだなんて!」
幻術の応用で涙を流すと、ハルが抱きしめてくれる。
……我慢我慢。
「ありがとう。
……ハル。
私達も迷宮攻略部隊に付いて行って、一旦外へ出ましょう。
ここにいると危険だわ」
「確かに。
……けど、紅葉や他のみんなは?」
紅葉達は、元々ダンジョンの住人だものね……。
本当はハルと2人きりの方が良いけど、直ぐバレるだろうし、正直に言うべきね。
「……問題ないわ。
紅葉達は仲間になる時にハルの血を飲んでいるもの」
「それって、妖精を作る時に使った残り?
それが意味あるのか?」
妖精を作る時に採血させてもらった血を薄めて小分けしていたもの。
あれにハルとの主従関係を持たせる術式を組んでいたのよね……。
安定重視で、媒体を使わなければ、紅葉達を置き去りに出来たのに。
「血を飲ませたのは、血の契約を交わしているつもりだったから、偶然でしかないけれどね。
魔物は契約に縛られる。
その中で、直接的な血の契約は間接支配よりも優先権が上なの」
下手に勘繰られても困るから、『夢幻千年京』の演出を再現した振りをしていく。
ガチャガチャを引く時、ゲーム内の設定では、主人公は1滴の血を龍穴に捧げて、その血を飲んだ相手が仲間として契約出来ていると言う設定だったはずよね。
私はゲームの契約を忠実に再現してただけですって振りをする。
さすが私。
運まで味方に付けちゃってるわ。
全ての悪行は端末14号に押し付けるつもりだから。
「全員で脱出は可能……。
違うわね。
結と妖精達はそのままだわ……」
「……ああ。
どうしょうもないのか?」
彼女らは、元は生き物でさえない枝や葉だ。
幾ら私でもどうしょうもないの。
「……無理ね。
ここのダンジョンを出れば、ただの葉や枝に戻ってしまうわ。
ここを維持してもらって、たまに戻ってくるしかないんじゃないかしら?」
「……そうだな。
うん、今生の別れじゃないし……」
うん、良いわね。
ここを維持する口実が出来たわ。
下手すると私達とハルを引き離そうとするやつが出るかもしれないし、そうなったらここでしばらく籠城すれば、地上の連中は寿命で死ぬでしょ?
そのためにもここは維持しないとね。
「そう言えば、今更だけど雛菊って……」
「そうね。
まあ、元々九尾の狐だったから、雛菊で良いと思っているわよ?
それとも新しい名前を用意してくれるのかしら?」
ハルとの関係を結んだ感慨深い名前ではあるけど、所詮はゲームのキャラの名前だもの。
どうせなら、私だけの名前をハルから贈って欲しいわ。
……名前を付けてもらったタイミングで外見を弄ろうかしら?
完全に、端末14号の呪縛が解けた振りでもして……。
「そうだな。
……ごめん、ちょっと待ってもらって良い?」
「もちろん。
けど、良い名前じゃなかったら、許さないわよ?」
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