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村造りシミュレーション
第69話 米がある幸せ
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自己紹介の後、バラバラになった各自が再び集まったのは、夕飯時のこと。
そのメニューは、俺にとっては個人的に非常に楽しみであった。
なんと、久し振りのご飯があるのだ。
攻略部隊も俺達と一緒に帰還することになった。
……まあ、俺達だけで地上に出るのはマズいわな。
そんなわけで、持っていた食糧を放出してくれると言うことになり、その中にあった米がご飯として献立に登ったのだ。
「……旨いよ。
久し振りの米だよ」
「いや、このメニューを日常的に食べていて、お米に喜ばれても、正直複雑でありますぞ?」
泣いて喜ぶ俺に対して、複雑そうな攻略部隊メンバーを代表して、サファイアさんがツッコミをいれる。
食卓には、鯛のあら汁、マグロやハマチの刺身が並び、デザートのリンゴやブドウが出番を控えている。
「この手の魚は、入手困難で高額になってますからね……。
私達も久し振りのお刺身は嬉しいところです」
「地上じゃそんな感じなんですか?」
杉本さんが苦笑しつつ追従する。
地上には地上の苦労があるらしい。
「小さい漁船はありますが、漁師の方々も数が減っているので、マグロ漁船のようなものは運航出来ない状況です。
農家も人手不足で、収穫が追い付いていないとか。
自衛隊の一部が、その手の応援に駆り出される始末です」
「そうなんですね。
うちは保存食の干物を作るために、釣りで魚を確保しているんですけど、逆にマグロとかは調理に対して、割に合わないから外れ扱いです。
マグロの切り身も持って帰りますか?」
解体の手間を考えると、内臓取り出して煮詰めた海水に付けるだけの小型魚の方が楽なのだ。
そのため、マグロやハマチのような大型魚は、数日食べる分だけ回収して、龍脈エネルギーへ変換している。
「ぜひ。
サファイアさんに冷凍してもらいましょう。
大量の干物と言うのもありがたいです。
支援物資として、自衛隊の方で買い取りますよ?」
「そうなると、結に頼んで食糧を生産させましょうか?
自衛隊は数日毎に生産した食材を回収し、その代金を私達へ振り込むと言うのはどう?」
雛菊が、提案を出す。
ダンジョンで食糧を生産するか……。
魔素を使えば容易と言えるものな……。
「……なるほど。
検討の余地はありそうですね。
ただ、そのレベルになると上の判断を必要にします。
地上で交渉をお願いできますか?」
「もちろんよ。
賢明な判断を期待しておくわ」
何故だろう。
雛菊の笑顔が微妙に黒い気がする。
杉本さんも、妙に慎重な言い回しだ。
「さて、本題よ。
このダンジョンを出る予定だけど、私とハルそれから紅葉と莧は、明日引き継ぎと撤退準備をして、明後日出立する予定よ?
……ね?」
「あ、うん」
「そうですの」
「僕もだね……」
雛菊の促す言葉に同意する俺や紅葉、莧。
逆に居残り組となる朧や朔、茨は少し不機嫌そうだが、文句を言う気もなさそう。
今回の地上帰還では、2つに別れることになる。
これは居残り組の茨と朧による提案だからだ……。
「妾は、魔鉄鋼の加工をしばらく続けたい。
いざと言う時の武器がないのは心許ないのでな」
「私は朔と2人で5層の人間をこの拠点へ護衛するわ。
この拠点は大きくしておくに越したことがないから」
「私はお兄ちゃんと外へ出たかったのだ……」
と言うのが、それぞれの言い分。
双子の姉に強制された不幸な鬼っ娘もいなかった訳じゃないが……。
「……うん。
地上では、住む場所が決まるまで、こちらがホテルを用意する。
安心して欲しい」
朔の文句については、杉本さんも黙殺したらしい。
ダンジョン内で護衛出来る人材は、多いに越したことないからな。
「そうさせてもらうわね。
その後については追々かしら?」
「そうなります。
そもそも、ダンジョンから出た後は私ではなく、上官が対応することになると思いますので」
あくまでも、彼女達は迷宮攻略部隊であり、迷宮内のことに対応するのみ。
地上では他の人間が対応するのが筋なんだろう。
「他に何かご質問は?」
「……ハルの家族についてだけど」
「ご両親も妹さんもご無事ですよ。
特に妹さんは、高い魔素制御能力をみせておりますので、国からも期待されております」
裏返すと、才能豊かだから優遇されているとも言えるんだろうな。
迷宮突入時点では、俺の生存は半信半疑よりマシ程度だったらしいので、妹に魔法の才能がなければ、彼女らが情報を持っていない可能性が高かったはずだ。
「そうね……。
しばらくハルの生存は伏せてもらえるかしら?」
「何故です?」
「ハルの情報が、一般人レベルまで漏れることになるでしょ?
誰だって、死んだと思っていた身内が生きていたら、情報を発信したくなるわ。
それは困るのよ……」
……どっちだろう。
いまいち家族内で扱いの悪かった俺への配慮?
それとも純粋に、リスク管理?
どちらにしろありがたいけど……。
しかし、
「……どうせ、自分の子供が産まれるまでの時間稼ぎですの」
「な、な、何のことかしら?」
紅葉が冷たく吐き捨てると、明らかに動揺してしまう雛菊。
どうやら、俺の予想はどちらも外れらしい。
「以前、雛菊に聞いた感じですと、お兄のご両親はご両親なりに、お兄を大事にしていたですの。
だから、しっかりリスクを説明した上で、口止めすれば、それを破ってまで、吹聴しないですの。
逆に考えるですの。
今の地上は、男性が少ない。
加えて、身体の弱いお兄を心配しているご両親。
少しでも良さげな相手と婚約させようくらいはしても、おかしくないですの。
少なくとも、化け物の婿に差し出すとは思えないですの!」
「バカね!
私は能義家の守護神だったのよ。
私以上に能義家に取って最良の嫁はいないわ。
そんな私を否定なんて……」
紅葉の言葉を強く否定する雛菊に、図星だなと分かってしまう。
一見、筋が通っていそうで、前提が無茶苦茶な説明は雛菊がテンパってる時によくやる作戦だもの。
「……まあ、雛菊さんの建前もあり得ないリスクではありませんので、ご家族への連絡はそちらへ一任いたしましょう」
あ、杉本さんも呆れて丸投げにした。
……いや、良いけどね。
「そう。
感謝するわ」
雛菊は、多分分かっていて聞き流しているんだろうな。
……まあ良いや。
俺も食事に集中しよ。
何せ、せっかくの白米だ。
温かい内に食べないのは失礼だろう。
そのメニューは、俺にとっては個人的に非常に楽しみであった。
なんと、久し振りのご飯があるのだ。
攻略部隊も俺達と一緒に帰還することになった。
……まあ、俺達だけで地上に出るのはマズいわな。
そんなわけで、持っていた食糧を放出してくれると言うことになり、その中にあった米がご飯として献立に登ったのだ。
「……旨いよ。
久し振りの米だよ」
「いや、このメニューを日常的に食べていて、お米に喜ばれても、正直複雑でありますぞ?」
泣いて喜ぶ俺に対して、複雑そうな攻略部隊メンバーを代表して、サファイアさんがツッコミをいれる。
食卓には、鯛のあら汁、マグロやハマチの刺身が並び、デザートのリンゴやブドウが出番を控えている。
「この手の魚は、入手困難で高額になってますからね……。
私達も久し振りのお刺身は嬉しいところです」
「地上じゃそんな感じなんですか?」
杉本さんが苦笑しつつ追従する。
地上には地上の苦労があるらしい。
「小さい漁船はありますが、漁師の方々も数が減っているので、マグロ漁船のようなものは運航出来ない状況です。
農家も人手不足で、収穫が追い付いていないとか。
自衛隊の一部が、その手の応援に駆り出される始末です」
「そうなんですね。
うちは保存食の干物を作るために、釣りで魚を確保しているんですけど、逆にマグロとかは調理に対して、割に合わないから外れ扱いです。
マグロの切り身も持って帰りますか?」
解体の手間を考えると、内臓取り出して煮詰めた海水に付けるだけの小型魚の方が楽なのだ。
そのため、マグロやハマチのような大型魚は、数日食べる分だけ回収して、龍脈エネルギーへ変換している。
「ぜひ。
サファイアさんに冷凍してもらいましょう。
大量の干物と言うのもありがたいです。
支援物資として、自衛隊の方で買い取りますよ?」
「そうなると、結に頼んで食糧を生産させましょうか?
自衛隊は数日毎に生産した食材を回収し、その代金を私達へ振り込むと言うのはどう?」
雛菊が、提案を出す。
ダンジョンで食糧を生産するか……。
魔素を使えば容易と言えるものな……。
「……なるほど。
検討の余地はありそうですね。
ただ、そのレベルになると上の判断を必要にします。
地上で交渉をお願いできますか?」
「もちろんよ。
賢明な判断を期待しておくわ」
何故だろう。
雛菊の笑顔が微妙に黒い気がする。
杉本さんも、妙に慎重な言い回しだ。
「さて、本題よ。
このダンジョンを出る予定だけど、私とハルそれから紅葉と莧は、明日引き継ぎと撤退準備をして、明後日出立する予定よ?
……ね?」
「あ、うん」
「そうですの」
「僕もだね……」
雛菊の促す言葉に同意する俺や紅葉、莧。
逆に居残り組となる朧や朔、茨は少し不機嫌そうだが、文句を言う気もなさそう。
今回の地上帰還では、2つに別れることになる。
これは居残り組の茨と朧による提案だからだ……。
「妾は、魔鉄鋼の加工をしばらく続けたい。
いざと言う時の武器がないのは心許ないのでな」
「私は朔と2人で5層の人間をこの拠点へ護衛するわ。
この拠点は大きくしておくに越したことがないから」
「私はお兄ちゃんと外へ出たかったのだ……」
と言うのが、それぞれの言い分。
双子の姉に強制された不幸な鬼っ娘もいなかった訳じゃないが……。
「……うん。
地上では、住む場所が決まるまで、こちらがホテルを用意する。
安心して欲しい」
朔の文句については、杉本さんも黙殺したらしい。
ダンジョン内で護衛出来る人材は、多いに越したことないからな。
「そうさせてもらうわね。
その後については追々かしら?」
「そうなります。
そもそも、ダンジョンから出た後は私ではなく、上官が対応することになると思いますので」
あくまでも、彼女達は迷宮攻略部隊であり、迷宮内のことに対応するのみ。
地上では他の人間が対応するのが筋なんだろう。
「他に何かご質問は?」
「……ハルの家族についてだけど」
「ご両親も妹さんもご無事ですよ。
特に妹さんは、高い魔素制御能力をみせておりますので、国からも期待されております」
裏返すと、才能豊かだから優遇されているとも言えるんだろうな。
迷宮突入時点では、俺の生存は半信半疑よりマシ程度だったらしいので、妹に魔法の才能がなければ、彼女らが情報を持っていない可能性が高かったはずだ。
「そうね……。
しばらくハルの生存は伏せてもらえるかしら?」
「何故です?」
「ハルの情報が、一般人レベルまで漏れることになるでしょ?
誰だって、死んだと思っていた身内が生きていたら、情報を発信したくなるわ。
それは困るのよ……」
……どっちだろう。
いまいち家族内で扱いの悪かった俺への配慮?
それとも純粋に、リスク管理?
どちらにしろありがたいけど……。
しかし、
「……どうせ、自分の子供が産まれるまでの時間稼ぎですの」
「な、な、何のことかしら?」
紅葉が冷たく吐き捨てると、明らかに動揺してしまう雛菊。
どうやら、俺の予想はどちらも外れらしい。
「以前、雛菊に聞いた感じですと、お兄のご両親はご両親なりに、お兄を大事にしていたですの。
だから、しっかりリスクを説明した上で、口止めすれば、それを破ってまで、吹聴しないですの。
逆に考えるですの。
今の地上は、男性が少ない。
加えて、身体の弱いお兄を心配しているご両親。
少しでも良さげな相手と婚約させようくらいはしても、おかしくないですの。
少なくとも、化け物の婿に差し出すとは思えないですの!」
「バカね!
私は能義家の守護神だったのよ。
私以上に能義家に取って最良の嫁はいないわ。
そんな私を否定なんて……」
紅葉の言葉を強く否定する雛菊に、図星だなと分かってしまう。
一見、筋が通っていそうで、前提が無茶苦茶な説明は雛菊がテンパってる時によくやる作戦だもの。
「……まあ、雛菊さんの建前もあり得ないリスクではありませんので、ご家族への連絡はそちらへ一任いたしましょう」
あ、杉本さんも呆れて丸投げにした。
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「そう。
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