廻って異世界

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地上での生活

第100話 夕食事情

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 宵闇の京都を歩く俺とミコトに浜名さん。
 変な組み合わせだろう?
 俺もそう思う。
 俺と浜名さんが一緒なのに、眞緒がおらず、かといってミコトと一緒なのに、シャイ子さん達が誰も同行していない。

 この3人の共通点は、空腹であると言う点。
 よほど疲れていたのか、夕飯時にも寝たままだった浜名さん。
 薄味でいまいち食が進まなかった俺とミコト。
 そんな空腹トリオで街へ繰り出したわけだ。
 なお、俺達の分を分けあった眞緒達は、眠そうだったので、ホテルで休憩中。
 夜と言っても、まだ20時前。
 しかも京都の都市部だけに、昼間よりも人通りが多いくらいだし、危険は少ないと判断されたために、3人での外食となったわけだ。
 しかし、

「……盛者必衰。
 諸行無常……」

 ガクリッと肩を落として歩くミコト。

「まあラーメンって、結構男性向けな食事だから……」

 そんな彼女を慰める浜名さん。
 ラーメン激戦区京都市街は、カフェの並ぶお洒落街へと生まれ変わっていたのだ。

「ラーメンの場合、店主も男の方が多かったろうしな……」

 なんとなくラーメン屋店主と言うと、頑固親父のイメージがある。
 客も店主もいないのでは、店を畳むしかないだろう。

「それはそうなのだけどね……。
 やっぱり、2人には美味しいラーメンをご馳走したかったわ」

 多少上向いた感じだけど、まだ落ち込み気味だ。

「けど、本当にどうするの?
 私、結構お腹空いたんだけど……」

 浜名さんが、話題を代えてくれた。
 ……ありがたい。

「そうね。
 無難にハンバーガー屋かしら?
 居酒屋とかも、閉店が多いし……」
「確かに、居酒屋とかも男性の職場と言うイメージだからな……」

 ラーメン屋と並んで、男性が大将をやってそうなイメージだ。
 いや、ラーメン屋よりは女性の店長多いかもしれないけど……。

「それ以前に、晴彦くんは17歳でしょ?
 25歳未満の男性は、19時以降の酒類提供店は入店禁止よ?」
「確かに今の戸籍も17歳になってるけど、何で25歳?
 お酒は二十歳《はたち》から、じゃなくて?」

 未成年者飲酒禁止法だっけ?
 18歳で成人だけど、酒や煙草は20歳からって法律。

「家で飲む分には、男女ともに20歳からよ。
 25歳までに、自分の飲める量を把握しておきましょうってこと。
 興奮剤入りのお酒とかで悪酔いさせて、責任を取らせる手口とか、結構あったらしいの」

 怖いな。
 そこまでするものなのか?

「つまり、飲める量を把握することで、違和感に気付き易くすると言うことか……。
 それにしても、法律で縛らなくても……」
「お酒が飲めるって、やっぱり格好いいと言うイメージみたい。
 しかも、下心ある女性の方も煽てるんだって」

 ……なるほど。
 お酒が飲めると言うのは、特別感があるかもしれないか。

「結局、ファーストフードが無難だな。
 ファミレスとかでも酒の提供はあるわけだし……」

 どこのファミレスも、ビールやワインを提供していた。

「ファミレスは、大丈夫。
 お酒の提供が禁止されているから」
「そうなのか?」
「厳密には、お酒の提供を続ける場合は、ファミリーレストランを名乗ることが禁じられたの。
 パルやバー、ラウンジ等と酒類提供店と分かるように、名称を変更する義務が生じているわ。
 ……まあ、ファミレス自体が絶滅危惧種だけどね」

 浜名さんの説明、最後に不穏な一言が付け加えられたが、それはともかく、結構法律が変わってるんだな。
 少し勉強しないと不味いかも……。

「じゃあ、このまま真っ直ぐ進みましょ」
「了解。
 ……けど、明日からどうしよう?
 あのホテルの料理は、基本薄味の料理なんだよな?」

 ナビゲートしてくれる浜名さんへ応えつつ、明日からの方針に迷う。

「薄味が基本と言うよりも、薄味しか出せないってのが正しいでしょうね。
 全般的に調味料が高騰している状況だもの」
「食料自体が高騰しているし、調味料は後回しになるわね」

 浜名さんに続いて、ミコトも説明を続けてくれる。
 醤油にしろ味噌にしろ、塩が必要なわけだが、醤油や味噌に加工するより、塩として利用したいわな。
 そうなると原材料費が高くなる。
 そもそも、大豆とか輸入してるから、尚更高く付くことになるか。
 ……調味料が不足するのも当然だな。

「……逆によくハンバーガー屋とかが残っているよな。
 真っ先に潰れそうな気もするけど……」
「大手のチェーン店は壊滅的ね。
 ただ、個人経営とかは結構残ってるわよ?
 洋食は野菜を煮詰めたりして、ソースが作れるでしょ?」

 確かにケチャップとかは、トマトがメインか。
 砂糖、塩も使うけど、日本の発酵食品ほどの手間にはならないだろう。

「……ダンジョンへ戻ろうかな?」

 思わず、呟いてしまう。
 少なくともあそこにいれば、薄味に困ることはない。
 結に頼めば、ワンチャン米も手に入る可能性がある。

「……それは困るわ。
 私はともかく百鬼の子達は、ダンジョン内で生活できる程の呪力耐性がない。
 4層までなら半月くらいは暮らせるでしょうけど、5層を越えたら1週間で衰弱しちゃう」
「それじゃあ、ダメだな。
 どうしたものか……」

 ミコトは大丈夫でも、シャイ子さん達が無事ではない。
 なら、浜名さんも無理だよな?
 かと言って、J15ダンジョン近郊では暮らせない。
 そもそも、自衛隊が管理しているだろうから、近場だからと言って食料が手に入る訳じゃない。

「……海はどうかしら?」
「……なるほど、少なくとも塩は手に入るよね?
 他の食材も入手難易度が下がりそう」

 ミコトの提案は良さげな気がする。
 こちとら、干物造り経験者だし。
 となると、

「どの辺がオススメ?」
「ちょっと、晴彦くん!」

 既に海方面へ、拠点を移す気でいる俺を止めようとする浜名さんだが、

「伊勢方面がオススメよ?
 あの辺なら龍脈が走ってるから、晴彦がいれば農業も出来る。
 漁業と農業が出来れば、少なくともこの食生活よりはだいぶマシ」

 ミコトも乗り気である。
 こうなると、今のメンバーで止められるやつはいないだろう。

「それじゃあ、明日か明後日にはホテルを引き払おう。
 移動は……」
「シャイ子達に交代で運転させるわ。
 皆免許は持ってたはずだし」

 こうして、食事と言う重大な問題を解決するために、拠点を移すことにした俺達であった。
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