廻って異世界

フォウ

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地上での生活

第108話 結端末

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 二見浦近辺で、空き家となっている家を借りた翌朝。
 二見浦近郊まで着いたと言う連絡を受けて、出迎えに行ったムー子さんと共にやって来た朔は、

「えらく大きな穴を掘ったのだ?」

 と第一声。
 本来、人が2~3人入れそうな穴は必要ないからな。

「色々あったんだ」
「色々?
 魔術でやらかしたようにしか見えんのだ」

 うん、バレてるね。

「まあ、正直に言うとね……」
「よく無事だったのだ。
 龍脈に穴を空けるのが、そもそも危険行為なのだ」

 はぐらかす意味もないから正直に自白したら、無事を喜ばれた。
 本当に危険だったんだな……。

「それじゃあ、これを穴の中へ放り込むのだ」
「ゴルフボールみたいだな?」

 呆れ気味の朔が差し出したのは、金属製のゴルフボール。

「気持ちは分かるのだ。
 けど、これは結の種子みたいなものなのだ。
 これが龍脈を介して、結の本体に接続されると、本拠地と同じような形での街作りが可能になるのだ」
「それは助かる。
 ……これがあったから、あっさり拠点作りを始めようと言い出したんだな」

 朔の話を聞いて疑問が晴れた俺は、穴へ向かって、ゴルフボール擬きを投げ込む。
 ゴルフボール擬きが穴底へ落ちると、いきなり息苦しくなる。

「これ、は?」
「た、ぶん。
 魔素が急に、減ったえいきょ、うなのだ……」

 ハアハアと途切れ途切れになりながら、朔へ訊ねると、朔の方も息継ぎをしながら答える。
 魔素不足ってこんなにキツいのか……。

 そんな俺達。
 俺と朔、ミコトの3人がへたり込んでいる中。

 ズゾゾゾゾ!

 と勢いよく蕎麦を啜るような音が響く。
 そして、足元から響くように伝わってくる振動。

「急成長なのだ!
 何処かに掴まるのだ!」

 !
 朔の声を聞いて、近くの木にしがみつく。
 直後、直下型の地震のような激しい揺れ。
 魔素欠乏もあって、眼も開けていられず、ただ近くの木に掴まって身体を固くする。
 不意に呼吸が楽になる。
 ……助かったらしい。

「……危なかったのだ」
「私も久方ぶりに肝が冷えたわ……」

 近くでしゃがんでいた朔とミコトも、安堵の声を上げている。
 酸欠のような状態での直下型地震直面だ。
 普通に死ぬかと思ったからな。

「よくよく考えてみると、急成長のために大量の魔素を吸収するのは自然だったのだ」
「なるほど、魔素欠乏による苦しさと急成長の影響で、直下型地震みたいな振動があったと……」

 原因がはっきりすると、もう少し慎重に動くべきだったで終わる話だが、それが最初から出来れば苦労しないわな。

「さて、結の端末とのことだし、実質、結本人? だよな。
 聞こえるか? 結!」

 多分、これ以上の危険はないはずなので、結(仮)へ呼び掛ける。
 すると、巨木の一部が開き、 結が姿を顕す。

「……久し振りで良いかしら?
 元気にしているようね」
「うん、久し振り。
 と言っても、そっちの感覚だと1日ぶりくらいかな?」

 ニッコリと微笑む結の言葉から、結の側ではさほど時間が経っていないと、推測する。

「……そんな所ね。
 さて、早速街作りを始めてちょうだい。
 このユニットのプリセット立ち上げは、直ぐに完了させるから」
「忙しそうだな……」

 手早く情報を伝えてくる結に、急かさないでほしいと返そうと思ったが、

「私はあまりこの状況を維持できないわ」
「お兄ちゃん、時間の流れが遅いところにいる結は、こっちとの時間差分だけ圧縮された情報を受けるのだ。
 幾ら結でも処理落ちする可能性があるのだ」

 結と朔の両方から指摘される。
 圧縮された情報を受ける……。

「つまり、こっちで10分くらいの間に起きた出来事が、結には1分で伝わるイメージか?」

 言葉だと上手く表現できないけど、ニュアンスは伝わるかな?

「多分、合ってるのだ。
 漫画とかである時間停止中の攻撃が、時間が動き出すと、同時に全部食らうイメージなのだ」
「……うん。
 また今度、そっちに戻るから、話はその時に……」

 うん、思った通りの状況だし、会話は二の次にすべきだな。

「……自立モード開始しました。
 マスター、まず何をいたしましょう?」

 ハイライトの消えた瞳に変わる結。
 自立モードと言う言葉からしても、本体の結とは切り離されたと言うことかな?
 どちらにしろ、

「うん、まずは整地かな?」

 第6層の拠点と違って、海から直接山になってるような地形だからな……。

「待つのだ!」
「え?」
「魔素による整地を開始します」

 俺の言葉に焦った制止を掛けてくる朔だが、結端末は俺達を気にも掛けずに、実行宣言。
 直後、再び直下型地震に見舞われる俺達。
 どうやら、結本体のように、疑問と指示のニュアンス違いを理解するだけの情報処理能力はないらしい。
 今度は、魔素があるだけ、余裕があったので、そんなことを呑気に考えていたほどだ。

 ……もちろん、落ち着いた後に朔とミコトから責められたのは、当然の話だろうが。
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