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地上での生活
第109話 名前を考える
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「さて、晴彦は車で待機しているシャイ子達を呼んできなさい」
「え?
スマホで呼べば良いんじゃ……」
整地が終わり、一面が真っ平らに整えられたところで、ミコトにお使いを命じられる。
わざわざ歩いて呼びに行かなくてもと、思ったが、その途端、笑顔の隅に青筋が浮かぶミコト。
「晴彦の不用意な発言が怖いから、少し離れていろってことよ?」
「全くなのだ!」
ミコトの言葉に、目の笑っていない朔も同意する。
これは、どう見ても怒っているようにしか見えない。
「それじゃあ、車の方に行ってくるよ……」
愛想笑いをしつつ、怒りの発信源から走って離れる。
こういう時は、下手なことをしないに限るから。
戦略的撤退をした俺だが、
「だから! 私達のことは放っておいてください!
別段、鳥羽の海女さん達と喧嘩別れした訳じゃないですから!」
シャイ子さんの叫び声を耳にする。
うん、内容からして、例の疎開組の人間がやって来たとみるべきか。
俺には気付いていないだろうし……。
『揉めているようだけど、戻っても大丈夫?』
ウィスで眞緒にメッセージを送る。
俺も、俺なりに学んだんですよ。
男の少ない今時は、俺みたいなやつでもモテたりするから、不用意に女性の集団に近付かない方が良いとね。
『戻らない方が良いと思う。
見るからに厄介そうな人達』
『了解。
少し森の中で待機してるわ』
眞緒の返信を見て、戻るのを諦める。
ミコトと朔へも、
『車で揉め事。
森に隠れて様子見中』
連絡を上げて……。
さて、どうしたものか?
手持ち無沙汰も良いところだしな。
……よし!
「雛菊。
雛菊のイメージが完全に、今の状態で固まってるんだよな……」
雛菊とのウィス履歴を開く。
そこに残された画像、白い小狐。
クリクリの目で不思議そうにこちらを見ている様が愛らしい。
「……どうなんだろ?
やっぱり、晴の一字を入れるべきだろうな……」
先に先入観のない娘の方の名前を考えようと思ったが、こっちは晴の字を入れたくて悩む。
絶対じゃないと思うけど、晴の字を入れないのは繋がりを拒絶するようで悲しい。
……美晴。
ありきたりかな?
晴華、晴美、晴香。……どれも親や親戚にいた気がする。
せっかくの綺麗な白毛に関わる意味も入れたいよな?
白を象徴するものとか?
雪、……はないな。
晴生まれだし……。
月の光を白いと言うけど、晴れの月でハヅキとか?
晴月?
「それくらいなら、月晴でツキハの方が良いと思うけど……」
……ダメだ。
娘の愛らしさに、全然及ばない。
月と真珠は関連付けられることが多いよな?
真珠、……珠。
晴れ真珠? 珠の字は良いよな……。
昔から、女の子によく使われる字だし、母親が玉藻前だし。
「晴に珠でハルミ。
美尾晴珠《みおはるみ》にしよう!」
よし! ひとまず娘の名前は決まった。
難問は、雛菊の方だな?
……うん、雛菊で良くない?
『色々と遅くなっていてごめん。
娘の名前だけど、晴れに珠と書いて、はるみってどうかな?』
軽い謝罪から入り、本題となる名前をウィスに上げる。
次いで、
『後、雛菊だけど……。
もうすっかり雛菊という名前で、印象が固まっちゃったんだけどさ……』
と、言い訳を送る。
だって、印象が固まっちゃったものは、どうしょうもないし。
「……さて、後は向こうの状況だけど?」
トーク画面を切り替え、眞緒達とのトークへ変更したが、追加の情報はなし。
状況を知るために木の影に隠れながら、近付こうかな?
……うん?
ある日、森の中。
熊さんと擦れ違った。
俺の前をツキノワグマが通り過ぎていった。
多分、シャイ子さん達と言い争いをしている連中に、見付からないように気配消していたせいだな。
熊は俺に気付くこともなく、車の方へ向かう。
『そっちに熊が向かったようだけど、大丈夫?』
ひとまず、メッセージを入れておく。
我ながら、本州最強の猛獣が向かったとは思えないような軽さだけど……。
酒呑童子と熊が戦うと聞いて、熊が勝つとは思えない。
シャイ子さんと酒呑童子が結び付くかと言われると疑問だけど……。
中々、既読が付かない。
大丈夫かな……。
『助かった。
熊のお陰で、面倒くさい連中が逃げてった』
待つことしばし、既読が付くと同時に、メッセージが返ってきたけど、熊に襲われたと言う緊迫感はなさそう。
「熊が出てラッキー、って思う辺り、シャイ子さん達も常人とは別枠だな」
思わず呟きが漏れ、それに苦笑しながら車へ戻ることにした。
「え?
スマホで呼べば良いんじゃ……」
整地が終わり、一面が真っ平らに整えられたところで、ミコトにお使いを命じられる。
わざわざ歩いて呼びに行かなくてもと、思ったが、その途端、笑顔の隅に青筋が浮かぶミコト。
「晴彦の不用意な発言が怖いから、少し離れていろってことよ?」
「全くなのだ!」
ミコトの言葉に、目の笑っていない朔も同意する。
これは、どう見ても怒っているようにしか見えない。
「それじゃあ、車の方に行ってくるよ……」
愛想笑いをしつつ、怒りの発信源から走って離れる。
こういう時は、下手なことをしないに限るから。
戦略的撤退をした俺だが、
「だから! 私達のことは放っておいてください!
別段、鳥羽の海女さん達と喧嘩別れした訳じゃないですから!」
シャイ子さんの叫び声を耳にする。
うん、内容からして、例の疎開組の人間がやって来たとみるべきか。
俺には気付いていないだろうし……。
『揉めているようだけど、戻っても大丈夫?』
ウィスで眞緒にメッセージを送る。
俺も、俺なりに学んだんですよ。
男の少ない今時は、俺みたいなやつでもモテたりするから、不用意に女性の集団に近付かない方が良いとね。
『戻らない方が良いと思う。
見るからに厄介そうな人達』
『了解。
少し森の中で待機してるわ』
眞緒の返信を見て、戻るのを諦める。
ミコトと朔へも、
『車で揉め事。
森に隠れて様子見中』
連絡を上げて……。
さて、どうしたものか?
手持ち無沙汰も良いところだしな。
……よし!
「雛菊。
雛菊のイメージが完全に、今の状態で固まってるんだよな……」
雛菊とのウィス履歴を開く。
そこに残された画像、白い小狐。
クリクリの目で不思議そうにこちらを見ている様が愛らしい。
「……どうなんだろ?
やっぱり、晴の一字を入れるべきだろうな……」
先に先入観のない娘の方の名前を考えようと思ったが、こっちは晴の字を入れたくて悩む。
絶対じゃないと思うけど、晴の字を入れないのは繋がりを拒絶するようで悲しい。
……美晴。
ありきたりかな?
晴華、晴美、晴香。……どれも親や親戚にいた気がする。
せっかくの綺麗な白毛に関わる意味も入れたいよな?
白を象徴するものとか?
雪、……はないな。
晴生まれだし……。
月の光を白いと言うけど、晴れの月でハヅキとか?
晴月?
「それくらいなら、月晴でツキハの方が良いと思うけど……」
……ダメだ。
娘の愛らしさに、全然及ばない。
月と真珠は関連付けられることが多いよな?
真珠、……珠。
晴れ真珠? 珠の字は良いよな……。
昔から、女の子によく使われる字だし、母親が玉藻前だし。
「晴に珠でハルミ。
美尾晴珠《みおはるみ》にしよう!」
よし! ひとまず娘の名前は決まった。
難問は、雛菊の方だな?
……うん、雛菊で良くない?
『色々と遅くなっていてごめん。
娘の名前だけど、晴れに珠と書いて、はるみってどうかな?』
軽い謝罪から入り、本題となる名前をウィスに上げる。
次いで、
『後、雛菊だけど……。
もうすっかり雛菊という名前で、印象が固まっちゃったんだけどさ……』
と、言い訳を送る。
だって、印象が固まっちゃったものは、どうしょうもないし。
「……さて、後は向こうの状況だけど?」
トーク画面を切り替え、眞緒達とのトークへ変更したが、追加の情報はなし。
状況を知るために木の影に隠れながら、近付こうかな?
……うん?
ある日、森の中。
熊さんと擦れ違った。
俺の前をツキノワグマが通り過ぎていった。
多分、シャイ子さん達と言い争いをしている連中に、見付からないように気配消していたせいだな。
熊は俺に気付くこともなく、車の方へ向かう。
『そっちに熊が向かったようだけど、大丈夫?』
ひとまず、メッセージを入れておく。
我ながら、本州最強の猛獣が向かったとは思えないような軽さだけど……。
酒呑童子と熊が戦うと聞いて、熊が勝つとは思えない。
シャイ子さんと酒呑童子が結び付くかと言われると疑問だけど……。
中々、既読が付かない。
大丈夫かな……。
『助かった。
熊のお陰で、面倒くさい連中が逃げてった』
待つことしばし、既読が付くと同時に、メッセージが返ってきたけど、熊に襲われたと言う緊迫感はなさそう。
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思わず呟きが漏れ、それに苦笑しながら車へ戻ることにした。
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