廻って異世界

フォウ

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地上での生活

第118話 親子対面

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 朔の加入により、一般人と同様に行動出来るようになった俺達。
 そして、それで問題なく雛菊の待つホテルへ辿り着く。
 さすがミコトをして、朔と絡むくらいなら向こうが逃げ出すと称賛されただけのことはある。
 まあ、トイレ同行の羞恥プレーは健在だったので、個人的には精神ダメージがあったのだが。

 長らく借りている部屋へ入ると、フワッと薫る雛菊の香り。
 やっと帰ってきたと実感して、気を抜いたのが失敗だった。

 ドスンッ!

 大きな音と共に強い衝撃。
 腹に体当たりをしてきたのは、雪のような白い狐
 ウィスで見た写真通りなら彼女が、俺の娘だ。

「晴珠?
 初めましてで良いかな?」

 と、痛む腹を我慢しつつ声を掛けてみる。
 すると光と共に狐は形を変え、白い髪の少女へ。

「こちらこそ!
 お父様! これからよろしくお願いします」
「……」

 目の前での変化に驚く俺へ、

「驚いたでしょ?
 ハルをビックリさせるって、結構時間を掛けて練習してたのよ?」

 奥のソファーから、悪戯成功と言う顔で笑う雛菊。
 まあ、驚いたよ。
 写真に送られてきた狐を、自分の娘と認識していた自分にね。
 だけど……。
 礼儀正しく頭を下げる小学生くらいの少女。
 うん、可愛い。
 そして、

「それとお帰り!
 後で話したいことがあるの?
 良いわね?」

 笑顔に、何故か青筋を浮かべていた雛菊。
 大分怒っているけど、何かしただろうか?
 ……いや、思いっきり浮気してたわ。
 そりゃ怒るわな……。

「とにかく、皆座って。
 お茶を入れるわ」
「分かった」

 促されるままに、各々ソファーに座る。
 多分、浮気のお叱りは後程と言うことだろう。
 そして、自然な様子で俺の上に座る晴珠。

「おい……」
「やっとお父様に会えたんですよ?
 これくらいは許して貰っても良いと思うんですけど……」

 晴珠へ注意しようとしたら、泣きそうな顔になる。

「お父様がお嫌でしたら、降りますわ。
 私、お父様に嫌われるのは堪えられませんので……」
「大丈夫!
 全然、俺の上に座ってて良いから!」

 ついに涙を流しながら、降りようとする晴珠を止める。

「ありがとうございます……」

 涙を拭いながら、お礼を言われる。
 ……うん、晴珠にとっては、やっと会えた父親だからな。
 拒絶は良くないと言うことだろう。

「……さて、そこそこ頻繁に連絡を取っていたから、お互いの情報は知ってるわね?
 ハル達は疲れているだろうし、手短に済ませるわよ?」

 各自の前にお茶を並べた雛菊が、切り出す。
 雛菊とミコトの間でもやり取りがあったはずで、下手すると俺よりも拠点のことを知っているだろうしな。

「まずは、私はそこのハルの使い魔筆頭兼正妻。
 よろしくね?
 そして、膝の上にいるのが、私とハルの娘で美尾晴珠」

 笑顔で自己紹介をする雛菊。
 対して、アー子さんは恐縮している。

「よろしくお願いします……。
 大口アースです……。
 この度は旦那さんに粗相のほどを……」

 ああ、浮気相手と正妻の対面になるのか……。
 けどそれは、

「雛菊、身体の関係になったのは、俺が悪いから……」

 俺が変な高揚感から、彼女達を襲ったようなものだ。
 原因不明だけど、悪いのが俺と言う事実は変わらない。

「うん。
 それについてだけど、あなたはハルのことをどう思っているの?」
「え、えっと……。
 言い辛いっすけど、その……。
 好きっす……。
 自分等、あまりモテたこともないんで……。
 初めてで……。
 そのせいと言われたら自信ないっすけど……」

 浮気相手の正妻に、問い質されるとか地獄だよな……。
 けど、それでも尚、好意を示してくれたことが嬉しかった。

「そう……。
 それなら良いわよ。
 仲良くしましょ?」

 雛菊が受け入れてくれたことも……。
 あれ?
 元々、雛菊はあまり独占欲とかみせるタイプじゃないよな?
 何で怒っているんだ?
 いや、浮気は旦那に問題があると考えるタイプかな?

「それで見た感じだと、眞緒は関係を持ったけど、優歌とは未だみたいね?
 ハルももう少し甲斐性をみせなさいな?」
「「……」」

 雛菊の出歯亀っぽい台詞に顔を赤くして、沈黙する眞緒達。
 多分、俺の顔も赤いことだろう。

「大きなお世話だ!」
「さて、今後についてだけど、数日休息を取ったら、皆で東京へ向かうわ」
「東京へ?」

 俺の文句を受け流した雛菊が、今後の予定を口にする。

「そうよ。
 山崎さん、後見人に会いに行くの」
「そういえば、まだ会ったことがないな……」

 首相だけに忙しいだろうし、しょうがないと思うが……。

「ええ、向こうもやっと時間が取れそうと言うことでね?
 来週金曜日の午後から顔合わせ。
 念のため、来週の頭には東京へ出発よ」
「そうだな……」

 意味深な目を向けてくる雛菊だが、トラブルに巻き込まれる確率の高さを考えると、数日の余裕は必須だろうから、何も言えん。
 
 何せ、今回の旅行は予定が滋賀県のホテルで連泊だった。
 しかし、実際は滋賀で1泊に京都で3泊、二見の拠点外で1泊と新拠点で7泊。
 頻繁に宿を代えている。

「移動手段は車よ。
 1台は、大型キャンピングカーを魔素で動く車に改造したものを用意したわ。
 あなた達の乗ってきた車も、魔素動力に改造する予定。
 これで、魔素量の多い者が乗ってる限り無限に動かせる寸法ね」
「……チートだな」

 今の時代、車の使用が控えられている、最大の原因が燃料となるガソリンの入手なのに、そこがクリアされてる。
 殆ど反則級の対応だと思うのだけど……。

「何を今更言ってるのよ?
 拠点だって、かなりの反則技でしょ?」
「確かに……」

 事実を突かれて苦笑するしかない俺。

「さて、それでだけど各自欲しいものとかあるでしょ?
 明後日までは休日とするから、買い出しや休息に充てなさいな。
 ただし、ハルはホテルから出ないようにね」
「……だよな」

 しっかり俺に釘を差して、解散を宣言する。
 今日は、……水曜日か。
 ホテルのデジタル時計に表示された曜日を見て確認する。
 ……曜日や日付の感覚なんて殆どなかったからな。

「さて、晴珠は少しお姉さん達と、色々と話をしなさいな。
 疲れさせない範囲でね?
 私とハルは大事なお話があるからね?」

 曜日について考えていた俺を呼び戻したのは、有無を言わさない圧力を放つ雛菊の言葉。
 どうやら、お説教タイムに突入するらしい。
 やっぱり忘れていなかったか……。
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