廻って異世界

フォウ

文字の大きさ
117 / 139
地上での生活

第114話 順調だけど

しおりを挟む
「おかしい……」

 新拠点での生活を初めて5日。
 明後日には、雛菊と晴珠の待つホテルへ向かう予定なのだが……。

「何がおかしいの?」
「例の都会から疎開してきた人達の件。
 この拠点を造り始めた時点で、場所がバレてるわけだろ?
 なのに、今のところ全く襲撃の気配がない」

 俺と同じ区画を割り当てられた眞緒が、訊ねてきたので、正直に答える。

「熊に遭遇したからじゃないの?」
「確かに!」

 俺自身もあの熊に相対した時は、ビビりまくっていた。
 ミコト達によって、美味しく料理されたせいで、熊への恐怖が薄れていたわ。

「……そうなると、もうしばらくは猶予があるのかな?
 けどな……」
「どうしたの?」

 収穫したリンゴを眞緒に手渡しつつ、不安に眉を潜める。

「ほら、明後日には此処を離れるだろ?
 残るメンバーは、ミコトとシャイ子さん、スタ子さん、ミュー子さんの4人。
 しかも、ミコト曰くシャイ子さんとスタ子さんは、妊娠中と言うことだった。
 ……本当かどうかも分からないけど」

 ミコトは、シャイ子さんとスタ子さんが、おめでただと言っていたが、身体を重ねた回数は出会った日の1回切りだし。
 しかも、あれから2週間弱だから、本当に受精していても、まだ着床すら怪しい時期だろう?
 ミコトが嘘を付く理由もないので、信じるべきかもしれないけど……。
 
 逆に、そうなると数ヶ月もすると実働メンバーが、ミコトとミュー子さんの2人だけになってしまう。
 いくら、最低限の衣と住は整ったと言っても、不安が絶えない。

「……そうね」
「どうしたら良いんだろう?」

 少し考え、やはり同じ結論が出たらしい眞緒へ、相談してみる。
 と言うのも、

「ミコトさん達にまず相談じゃないの?」
「それは……。
 ……それはしたくない。
 ミコトの言動をみてると、自分の能力を過大評価して、その皺寄せをシャイ子さん達が担っている気がする」

 真っ当な意見は、間違いなく眞緒だけど、今日までの言動をみているとどうにも不安だ。

「相談しても大丈夫だと、突っぱねられて終わる気がする」
「さすがにそれは……。
 ……あり得るかもしれないけど」

 ミコトを擁護しようとして、失敗する眞緒。
 同じような印象抱いてるじゃないか……。

「例えば、信用できる仲間を内緒で増やして、なし崩しに此処の住人を増やすとかなら、反論しづらいはずだけど……」

 現在保有する2台の車のうち、1台で移動し、もう1台は此処に残す。
 加えて、荷物もそこそこ多いから、今の乗員予定である5人が同行限界だろう。
 ならば、今以上に仲間が増えれば、その人はこの拠点に残らざるをえない。

「一理はあるのかな……」

 眞緒が首を傾げつつも頷く。
 しかし、歯切れは悪い。
 ……当然だろう。

「問題は、二見浦近郊にはまともな伝がない点だろうな……。
 地元でもないし、親戚もいない」
「加えて時間もないわよ?」

 ……眞緒の指摘。
 それが一番の大きい問題点。
 仮に遠縁の親戚がいたとしても、僅か2日で人格を把握できるはずもない。
 ……それなりに信用出来そうな人の宛がないと困るんだけど。

「難しい話ね……。
 まずは、雛菊さんに相談したら?」
「それが一番かな?」

 少なくとも俺達より知恵が回るのは事実だ。

「ウィスのチャットに入れておくかな……」

『明後日にはそっちへ向かうわけなんだけど、造った拠点について相談
 こっちにミコトと大江百花の3人が残る予定だけど、人手少なくなるから良い手ない?』

 こんな感じで良いかな?
 ……珍しい。
 直ぐに既読が付いた。
 雛菊はあまりスマホを弄らないタイプなのか、朝入れたチャットが夜まで未読なことも珍しくないのに……。

『難しい問題ね
 正直、私もその辺りに伝はないわ
 けど、ミコトなら土木用の土人形くらいは作れるわよ?』
「あ……」
「どうしたの?」

 雛菊の返答に思わず、間抜けな声が出る。
 そういえば、ミコト自身は結構魔法に堪能だったわ。

「これ……」
「……」

 返答する気力がなくなり、眞緒にチャットを見せると、彼女も苦笑している。
 あれこれと世話になっているのに、どうにもミコトが魔法に長けている印象がないんだよな……。

『そういえばそうだった
 ごめん、変なこと訊いて……』
『気にしないで大丈夫
 帰ってくるのを待ってるわ』

 ひとまず謝罪のメールを入れて、眞緒に視線を向ける。

「さあ、仕事を進めましょうか?」
「そうだね」

 懸念はなかったことにして、大量のリンゴへ手を伸ばす。
 通常収穫である鳥羽の海女さん達へ提供する分とは、別に自分達がホテルへ持ち帰る分の収穫もあるので、あまりのんびりしていれない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生?したら男女逆転世界

美鈴
ファンタジー
階段から落ちたら見知らぬ場所にいた僕。名前は覚えてるけど名字は分からない。年齢は多分15歳だと思うけど…。えっ…男性警護官!?って、何?男性が少ないって!?男性が襲われる危険がある!?そんな事言われても…。えっ…君が助けてくれるの?じゃあお願いします!って感じで始まっていく物語…。 ※カクヨム様にも掲載しております

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
コミカライズ企画進行中です!! 2巻2月9日電子版解禁です!! 紙は9日に配送開始、12日発売! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&2巻出版!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、コミカライズ決定いたしました!現在企画進行中!!そしてオリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 12日には、楽天koboにおいてファンタジー5位となりました!皆様のおかげです! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 オリコンランキングライトノベル 週間BOOKランキング 18位(2025年9月29日付)

貞操逆転世界で出会い系アプリをしたら

普通
恋愛
男性は弱く、女性は強い。この世界ではそれが当たり前。性被害を受けるのは男。そんな世界に生を受けた葉山優は普通に生きてきたが、ある日前世の記憶取り戻す。そこで前世ではこんな風に男女比の偏りもなく、普通に男女が一緒に生活できたことを思い出し、もう一度女性と関わってみようと決意する。 そこで会うのにまだ抵抗がある、優は出会い系アプリを見つける。まずはここでメッセージのやり取りだけでも女性としてから会うことしようと試みるのだった。

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜

水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。 その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。 危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。 彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。 初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。 そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。 警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。 これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

現代錬金術のすゝめ 〜ソロキャンプに行ったら賢者の石を拾った〜

涼月 風
ファンタジー
御門賢一郎は過去にトラウマを抱える高校一年生。 ゴールデンウィークにソロキャンプに行き、そこで綺麗な石を拾った。 しかし、その直後雷に打たれて意識を失う。 奇跡的に助かった彼は以前の彼とは違っていた。 そんな彼が成長する為に異世界に行ったり又、現代で錬金術をしながら生活する物語。

男が少ない世界に転生して

美鈴
ファンタジー
※よりよいものにする為に改稿する事にしました!どうかお付き合い下さいますと幸いです! 旧稿版も一応残しておきますがあのままいくと当初のプロットよりも大幅におかしくなりましたのですいませんが宜しくお願いします! 交通事故に合い意識がどんどん遠くなっていく1人の男性。次に意識が戻った時は病院?前世の一部の記憶はあるが自分に関する事は全て忘れた男が転生したのは男女比が異なる世界。彼はどの様にこの世界で生きていくのだろうか?それはまだ誰も知らないお話。

処理中です...