廻って異世界

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地上での生活

第121話 ペット保護園建設予定地

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 河川環境楽園、そして世界淡水魚園アクア•トト。
 岐阜県と愛知県の境、木曽川の側に作られたハイウェイオアシスの1つ。
 淡水魚を中心に、日本と世界の水棲生物を展示した水族館と、周辺施設だった。
 近所にて、J3ダンジョンが発見されるまでは……。
 発見と言うのは、語弊があるかもしれない。
 J3ダンジョンは活発に、周辺へ魔物を派遣し、人々を拐い続けた。
 それに抵抗する地上人が、反撃の拠点としたのが、環境楽園周辺施設だ。
 高速道路から直結し、物資の運び込みに便利だったため、しょうがない選択だった。
 そんな環境楽園からJ3ダンジョンのある、かさだ広場を挟んだ先、各務ケ原市総合運動公園へやって来た眞緒と朔。

「ここに飼育放棄されたペットを、放し飼い状態にする保護園を設置するのだ」
「ええ……」

 朔の質問へ同意する眞緒。
 その顔は苦い表情であった。

「しょうがないと言うことなのだ」
「……うん。
 エサ代やその原料は用意できるし、そこまで人目に付く訳じゃないけど、住む場所についてはどうしょうもないって……」

 人間が苦労して、日々を生き抜いている状況で、ペットを優先すれば、反感を買う。
 その反感が大きくなれば、関係者への攻撃と言う結果を招くだろう。
 それに関しては、さすがの雛菊も対処しきれないとのことだ。
 だから最初からペットを保護する土地には、それなりの理由が必要となる。
 それが、

「此処なら、J3ダンジョンから魔物が出て来た時に、元ペット達が最初に接触することになる。
 そうなれば、近所の人達が不意打ちで被害を受けるリスクが減らせるから……」
「人の役に立っていれば、反感も買いにくいのだ」

 端から見れば、生け贄のような扱い。
 これはこれで、愛護団体から苦情がありそうではあるが……。

「元々、ペットを飼っていた人達が怒りそうだけどね……」
「まさしく、どうしょうもないのだ。
 自分達が手放したせいなのだ。
 今でも、自分の食事を減らして、ペットを飼育している人もいるのだ」
「……そうね」

 口先だけの自称愛護団体は、何時でも何処でもボウフラのように湧いてでる。
 そもそも、本当に動物愛護に動いている人間は、行動を起こす。
 口だけの愛護家等はただのクレーマーにすぎない。

「……けど、私自身も正直納得できていないわ。
 こんな囮にするような真似をしなくても、二見にある拠点とかなら、飼育出来るだけの余力はあるわよね?」
「当然あるのだ。
 けど、ギリギリで生きている人間だって、少なくないのに、ペットを優先するのか?
 ペットを拠点で保護すれば、そのうち、人々も大挙して押し寄せてくるのだ。
 その中にはペットを飼えるのだから、働かないけど養えなどとほざく、権利ばかりを主張する人間も少なくないはずなのだ」

 余力があるからと、何故、それをコミュニティーへ何も還元しない人間に、使わなければならないのだ。
 と、考える朔。
 彼女らは、貴重なリソースを維持するために、取捨選別をしてきた古代人に影響されてきたのだから、当然だろう。

「保護園も同じなのだ。
 ペット達は人間によって、自立出来なくなった動物なのだ。
 でも、権利ばかり主張する連中はそんな背景は気にしないのだ。
 ペットに使うくらいなら、自分に寄越せと言い出すのだ。
 けど、ここに保護園を作るなら?」
「元ペット達は、命を天秤に賭けて、役割をこなしていることになる。
 誰も代わろうと思わない」

 何時、魔物に襲われるか分からない危険地帯で暮らし、人の身代わりになると言う役。
 特に権利を主張するだけの連中が嫌う役割だろう。

「そういうことなのだ。
 その中で、例外になるのが、眞緒の母親なのだ。
 獣医兼職員として、保護に当たると聞いたのだ?」
「……ええ。
 他にも知り合いの獣医やブリーダーの人に声を掛けると言っていたわ」

 開店休業中の獣医やブリーダーを集めて、頑張るらしい。
 元々、動物好きからその職業へ進んだ人間が多い業種だけに、意外なほど人が集まっているらしい。

「実際のところは、眞緒の身内がいるからと、雛菊が目を掛けているし、下手な街中よりも安全なのだ。
 けど、そんな裏事情は知らないはずなのに……」
「度を超した動物好きって、そういうところがあるから……」

 呆れる朔に苦笑で返す眞緒。
 そんな2人の前に、眞緒を少し大人びさせたような女性が現れる。

「遅くなりました、夕蔓眞緒の母親で、夕蔓真琴と申します。
 美尾雛菊さんの代理の方で間違いありませんか?」
「合ってるのだ。
 美尾朔と言うのだ。
 よろしく」

 女性、朔達が噂をしていた眞緒の母親は、やって来るなり、きっちりと挨拶をする。
 そして、

「眞緒も久しぶり。
 こんなご時世だから、もう少し実家に顔を出してくれても良いと思うのだけど?」

 娘へお小言も忘れない。
 だが、

「仕事をしているんだから、しょうがないでしょ?
 その伝で、母さんの援助が得られそうなのよ?」

 娘も負けじと言い返す。
 互いに嫌い合っているわけではないが、それなりに溝も深い。

 前途多難な気がするのだ、と内心でため息を付きつつ、

「それじゃあ、詳しい打ち合わせを行うのだ」

 朔は、下手に口を挟まずに保護園運営について、話を詰めることにした。
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