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地上での生活
第123話 神奈川県某所
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がらがらの東名高速を飛ばして、辿り着いたのは、神奈川県某所。
未成年者後見人となった現首相を訪ねた先は、みなとみらい近郊のマンションの1室。
……正直、意外だった。
もちろん、総理官邸とかに呼ばれるとも思っていなかったが、1国の首相がタワーマンションに住んでいるとも思っていなかった。
特に、大災害以降、タワーマンションは退去者が多く、価値が下がっているらしいし……。
本当に此処で合っているのかと不安を覚えたものの、鈴木さんが出迎えてくれたので、間違ってはいないはずなのだ。
「初めまして、美尾晴彦さんと雛菊さん。
そして、付き添いの皆さんですね?
さあ上がってください」
鈴木さんに連れられて到着した1室で、出迎えてくれたのは、間違いなく山崎浅葱首相その人であった。
まあ、テレビ等で観る険しい表情ではなく、明るい顔で気の良いおばさん、と言う雰囲気ではあったが。
お邪魔しますと中に入り、リビングに通される。
7人の大所帯で押し掛けることになり、申し訳ないが、ホストの山崎さんと、その秘書の鈴木さんも合わせ、問題なく席に着くことが出来た。
逆に、2つの空席があるテーブルが中央に鎮座しても、余裕なのだから、大きな部屋だと思う。
「後、2名ほどやって来る予定だけど、少し遅れているの。
ごめんなさいね」
どうやら、空席ではなく主人不在の席だったらしい。
その席に視線を向けた一瞬、複雑な表情を向ける山崎さん。
お茶の準備を進める鈴木さんも、眉を潜めたので、山崎家における公然の問題らしい。
「さて、事務的な話は手短に済ませましょうか?」
「そうね。
契約書の準備は?」
全員の着席を確認した山崎さんが、口を開くと、雛菊も頷いて、書類を出すように促す。
「……こちらにございます」
それを聞いた鈴木さんが、鞄から書類を差し出してくる。
「……準備万端だなぁ」
「当たり前でしょ?
今時、調整はチャットでやり取りして、最後の契約だけサインして終わりよ?」
初顔合わせとは思えないスムーズさに、呆れ半分の感想が漏れたら、雛菊に呆れられた。
「それもそうか……」
「と言うわけで、ハル?
サインなさいな」
納得している俺に差し出された契約書。
「やっぱり、俺がサインするんだ……」
「当然でしょ?
代表者はハルなのだから。
まあ、内容は問題ないから、ハルはサインだけすれば良いわ」
俺が代表者と言われても困るけど……。
まあ、雛菊が確認しているから大丈夫か。
そう考えて、各書類の署名欄へ美尾晴彦とサインしていく。
「……助かります。
これで少なからず、我が国の食料供給が安定します」
「……まあ、自衛隊と非公式で行っていたものを日本政府と公的な形にしただけでは、あるけどね」
ホッとした顔の山崎さんに、苦笑する雛菊。
確かに、今の時点でも拠点で生産された食料が自衛隊を経由して、各地へ供給されている。
「……しかし、改めてお話するにも、意外と話題がありませんね?」
「しょうがないわ。
顔合わせこそ初めてだけど、私が出せる情報はほとんど出したし、改めて聞きたい情報もないしね」
気の抜けたような山崎さんの言葉に、苦笑で返す雛菊。
あれこれと、調整してくれていたからな。
かと言って、現首相と学生及び民間人では、共通の話題と言うのも難しい。
「一応、娘達にも家にいるように言ったんですけど、何処かへ出掛けているようでしてね……」
「空席の?」
「はい、先ほど連絡したら、もう少しで帰ると言う話です。
晴彦さん達と同年代なので、話も合うかと家にいるよう頼んだのですが……」
どうやら、山崎さん達も話が合わない、と言う危惧はあった模様。
まあ、同年代だから話が合うとも限らないが、可能性くらいはあるかもしれない。
しかし、
「……何て言うか、普通のお母さんなんですね。
首相って立場だし、もっとこう……」
「お手伝いさんがいるような?」
言い掛けて、さすがにデリカシーがないかと途中で口隠ってしまったが、山崎さんが苦笑して引き継いでくれた。
「以前は夫が、専業主夫でみてくれていたのだけど、大災害でね。
今は、身寄りを失くした遠縁の娘をお手伝いさんに雇ってるけど、まあ、名目上と言う感じね……」
実質は、娘として引き取ったけど、下手に気を遣わせないように、雇った形なわけだな。
けど、大災害で旦那さんを喪ったか……。
多分、災害対策で旦那さんに寄り添う余裕も、なかったんじゃないかな?
そして、娘さん達は、俺達が来ることを知りながら、家を空けていると……。
……下手に刺激しないようにだけ注意しよう。
薮蛇厳禁だしな……。
未成年者後見人となった現首相を訪ねた先は、みなとみらい近郊のマンションの1室。
……正直、意外だった。
もちろん、総理官邸とかに呼ばれるとも思っていなかったが、1国の首相がタワーマンションに住んでいるとも思っていなかった。
特に、大災害以降、タワーマンションは退去者が多く、価値が下がっているらしいし……。
本当に此処で合っているのかと不安を覚えたものの、鈴木さんが出迎えてくれたので、間違ってはいないはずなのだ。
「初めまして、美尾晴彦さんと雛菊さん。
そして、付き添いの皆さんですね?
さあ上がってください」
鈴木さんに連れられて到着した1室で、出迎えてくれたのは、間違いなく山崎浅葱首相その人であった。
まあ、テレビ等で観る険しい表情ではなく、明るい顔で気の良いおばさん、と言う雰囲気ではあったが。
お邪魔しますと中に入り、リビングに通される。
7人の大所帯で押し掛けることになり、申し訳ないが、ホストの山崎さんと、その秘書の鈴木さんも合わせ、問題なく席に着くことが出来た。
逆に、2つの空席があるテーブルが中央に鎮座しても、余裕なのだから、大きな部屋だと思う。
「後、2名ほどやって来る予定だけど、少し遅れているの。
ごめんなさいね」
どうやら、空席ではなく主人不在の席だったらしい。
その席に視線を向けた一瞬、複雑な表情を向ける山崎さん。
お茶の準備を進める鈴木さんも、眉を潜めたので、山崎家における公然の問題らしい。
「さて、事務的な話は手短に済ませましょうか?」
「そうね。
契約書の準備は?」
全員の着席を確認した山崎さんが、口を開くと、雛菊も頷いて、書類を出すように促す。
「……こちらにございます」
それを聞いた鈴木さんが、鞄から書類を差し出してくる。
「……準備万端だなぁ」
「当たり前でしょ?
今時、調整はチャットでやり取りして、最後の契約だけサインして終わりよ?」
初顔合わせとは思えないスムーズさに、呆れ半分の感想が漏れたら、雛菊に呆れられた。
「それもそうか……」
「と言うわけで、ハル?
サインなさいな」
納得している俺に差し出された契約書。
「やっぱり、俺がサインするんだ……」
「当然でしょ?
代表者はハルなのだから。
まあ、内容は問題ないから、ハルはサインだけすれば良いわ」
俺が代表者と言われても困るけど……。
まあ、雛菊が確認しているから大丈夫か。
そう考えて、各書類の署名欄へ美尾晴彦とサインしていく。
「……助かります。
これで少なからず、我が国の食料供給が安定します」
「……まあ、自衛隊と非公式で行っていたものを日本政府と公的な形にしただけでは、あるけどね」
ホッとした顔の山崎さんに、苦笑する雛菊。
確かに、今の時点でも拠点で生産された食料が自衛隊を経由して、各地へ供給されている。
「……しかし、改めてお話するにも、意外と話題がありませんね?」
「しょうがないわ。
顔合わせこそ初めてだけど、私が出せる情報はほとんど出したし、改めて聞きたい情報もないしね」
気の抜けたような山崎さんの言葉に、苦笑で返す雛菊。
あれこれと、調整してくれていたからな。
かと言って、現首相と学生及び民間人では、共通の話題と言うのも難しい。
「一応、娘達にも家にいるように言ったんですけど、何処かへ出掛けているようでしてね……」
「空席の?」
「はい、先ほど連絡したら、もう少しで帰ると言う話です。
晴彦さん達と同年代なので、話も合うかと家にいるよう頼んだのですが……」
どうやら、山崎さん達も話が合わない、と言う危惧はあった模様。
まあ、同年代だから話が合うとも限らないが、可能性くらいはあるかもしれない。
しかし、
「……何て言うか、普通のお母さんなんですね。
首相って立場だし、もっとこう……」
「お手伝いさんがいるような?」
言い掛けて、さすがにデリカシーがないかと途中で口隠ってしまったが、山崎さんが苦笑して引き継いでくれた。
「以前は夫が、専業主夫でみてくれていたのだけど、大災害でね。
今は、身寄りを失くした遠縁の娘をお手伝いさんに雇ってるけど、まあ、名目上と言う感じね……」
実質は、娘として引き取ったけど、下手に気を遣わせないように、雇った形なわけだな。
けど、大災害で旦那さんを喪ったか……。
多分、災害対策で旦那さんに寄り添う余裕も、なかったんじゃないかな?
そして、娘さん達は、俺達が来ることを知りながら、家を空けていると……。
……下手に刺激しないようにだけ注意しよう。
薮蛇厳禁だしな……。
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