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地上での生活
第125話 日本の抱える問題
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「……雛菊さん、人工授精は不可能なのでしょうか?」
ホテルへ移動する車内。
助手席に座る山崎さんが、俺の隣の雛菊へ声を掛けてくる。
「……不可能ではないわ。
魔素を完全に遮断した容器へ封入し、同じく魔素を完全に遮断したボックス内で、十月十日育成すれば、理論的には可能と言う感じね。
酸素よりも浸透性が高い魔素を、どう遮断するかが問題だけど……」
雛菊の回答を聞いていたが……。
いや、そんなの無理だろう?
「実質、不可能と言うことでしょうか?」
「私はそう認識しているけど……。
それは、古代文明期でそういう技術が必要なかったせいだわ。
現代のように必要に駆られて研究すればあるいわとも思う」
必要なかったから、研究されていないのか……。
希望はあるけど、古代文明の知識が使えない分、研究に苦労しそうだな。
「必要なかったと言うのは?
古代人と現代人では生殖能力に差があるのですか?」
「……それもあるわね。
現代でも排卵誘発剤ってあるでしょ?」
他人事な俺と異なり、山崎さんは必死に情報の深堀りを始める。
雛菊も、特に情報を絞る気はなさそうで良かった。
「ありますけど、あれは個人差や薬効にバラつきがありますね……」
「古代文明だと、魔法で受精までエスコート出来るから、母体が望めば確実に妊娠できるわけよ」
「……すごいですね。
現代の自然妊娠の受胎率は30%未満と言うのが一般的ですのに……」
「意外と低いんですね?」
山崎さんの言葉に俺が驚いた。
けど、京都でのやらかしを考えるに、眞緒とシャイ子さん達6人で、行為に及んだのは合計7人。
うち、シャイ子さんとムー子さんの2人がと考えると、2/7で3割弱だからそんなものなのかもしれない。
「……そこから流産の確率が15%くらいあると言われているわ。
だから、自然妊娠で子供が産まれる確率は10~20%くらいね。
これは大災害前の数字だから、大災害以降はもっと下がってる可能性が高いけど……」
俺に説明してくれていた山崎さんだったが、途中から、どんよりと顔を曇らせる。
うん。
気持ちは分かる。
結構、全滅寸前じゃないか、人類。
「流産の危険ね……。
……現代人は大変ね。
私達の感覚だと、故意でもないと胎児が死傷するなんてあり得ないんだけど……」
雛菊も少し同情気味である。
あれ?
「胎児は魔素に弱いんだろ?
魔法が使えないなら、流産の確率は同じくらいじゃ?」
「魔素には弱いけど、魔法は使えるわよ?
治癒魔法は他人にも掛けれるでしょ?」
「そういえば……。
ややっこしいな」
拠点作りの時も、俺やミコトが簡単な治癒魔法でシャイ子さん達の擦り傷を治療してたな。
「後は、労働時間の問題もあるかしら?
今、この国の労働時間は相当長いんじゃない?」
「いえ、灯りの消耗とかもありますから、就労時間は8時間前後だと思いますけど……」
燃料がないから、電気代とかも跳ね上がってるもんな……。
「……長いじゃない。
古代文明期の労働時間は、2時間弱くらいよ?
その影響で、子供を育てる欲求が強かったのかもしれないけど……」
「そんな労働時間でよくやってけたな?」
雛菊の言葉に驚いた。
そんな短い時間でよく社会が回ったと思う。
しかし、
「……結の存在を忘れているでしょ?」
と呆れられた。
そうだったわ。
食料供給だけなら、結のような拠点管理システムで十分賄える。
「古代文明期の社会は、基盤に結のような拠点管理システムがあって、それの手の届かない所を補助生物、莧達のような存在ね。
その統制を労働人が行い、更に上に一般人がいるって構図だったわ」
「労働人? 一般人?」
変な話が出てきたぞ?
「古代文明期もどうしても、子供を産めない人間はいたのよ。
そういう人間が労働人にされるわ。
彼らは、一般人とパートナーになることは禁じられていたし、労働人同士でパートナーになっても、生活補助はなしだったわね。
労働人と言っても、特別労働時間が長かったわけじゃないけど……。
暇だから、労働中毒になることが多くてね」
やっぱり何処か階級主義的な要素があったんだな。
……雛菊達のような人のようで、人でない存在がいる以上はしょうがないかもしれないけど。
けど、
「暇って……」
「そりゃ、ゲームのような消費型コンテンツもあったけどね?
消費型コンテンツってことは、自分がいなくなったら消えるのよ?
当然、創作活動を行う人もいたけど、それが全部後世に残ると思う?」
……残らないよな。
よほど、世界的に認められでもしない限り……。
「つまり、仕事ってのは、自分のいた証を遺すための行動なのか」
「そういうことだと思うわ」
子供を産めないから、その代償行為が仕事へ没頭する行動だったわけだ。
「……色々と課題が山積みなのは分かりました。
やはり、一夫多妻制度は必要なんですね……」
「そうね。
後は、労力の確保。
拠点管理システムを獲得しないと、一夫多妻にしたところで、人口は増えないわ」
話を本筋に戻した山崎さんの言葉に、追い討ちを掛ける雛菊。
まあ、どうにかしないと詰むのは事実だからな。
……雛菊なりの助言なんだと思う。
ホテルへ移動する車内。
助手席に座る山崎さんが、俺の隣の雛菊へ声を掛けてくる。
「……不可能ではないわ。
魔素を完全に遮断した容器へ封入し、同じく魔素を完全に遮断したボックス内で、十月十日育成すれば、理論的には可能と言う感じね。
酸素よりも浸透性が高い魔素を、どう遮断するかが問題だけど……」
雛菊の回答を聞いていたが……。
いや、そんなの無理だろう?
「実質、不可能と言うことでしょうか?」
「私はそう認識しているけど……。
それは、古代文明期でそういう技術が必要なかったせいだわ。
現代のように必要に駆られて研究すればあるいわとも思う」
必要なかったから、研究されていないのか……。
希望はあるけど、古代文明の知識が使えない分、研究に苦労しそうだな。
「必要なかったと言うのは?
古代人と現代人では生殖能力に差があるのですか?」
「……それもあるわね。
現代でも排卵誘発剤ってあるでしょ?」
他人事な俺と異なり、山崎さんは必死に情報の深堀りを始める。
雛菊も、特に情報を絞る気はなさそうで良かった。
「ありますけど、あれは個人差や薬効にバラつきがありますね……」
「古代文明だと、魔法で受精までエスコート出来るから、母体が望めば確実に妊娠できるわけよ」
「……すごいですね。
現代の自然妊娠の受胎率は30%未満と言うのが一般的ですのに……」
「意外と低いんですね?」
山崎さんの言葉に俺が驚いた。
けど、京都でのやらかしを考えるに、眞緒とシャイ子さん達6人で、行為に及んだのは合計7人。
うち、シャイ子さんとムー子さんの2人がと考えると、2/7で3割弱だからそんなものなのかもしれない。
「……そこから流産の確率が15%くらいあると言われているわ。
だから、自然妊娠で子供が産まれる確率は10~20%くらいね。
これは大災害前の数字だから、大災害以降はもっと下がってる可能性が高いけど……」
俺に説明してくれていた山崎さんだったが、途中から、どんよりと顔を曇らせる。
うん。
気持ちは分かる。
結構、全滅寸前じゃないか、人類。
「流産の危険ね……。
……現代人は大変ね。
私達の感覚だと、故意でもないと胎児が死傷するなんてあり得ないんだけど……」
雛菊も少し同情気味である。
あれ?
「胎児は魔素に弱いんだろ?
魔法が使えないなら、流産の確率は同じくらいじゃ?」
「魔素には弱いけど、魔法は使えるわよ?
治癒魔法は他人にも掛けれるでしょ?」
「そういえば……。
ややっこしいな」
拠点作りの時も、俺やミコトが簡単な治癒魔法でシャイ子さん達の擦り傷を治療してたな。
「後は、労働時間の問題もあるかしら?
今、この国の労働時間は相当長いんじゃない?」
「いえ、灯りの消耗とかもありますから、就労時間は8時間前後だと思いますけど……」
燃料がないから、電気代とかも跳ね上がってるもんな……。
「……長いじゃない。
古代文明期の労働時間は、2時間弱くらいよ?
その影響で、子供を育てる欲求が強かったのかもしれないけど……」
「そんな労働時間でよくやってけたな?」
雛菊の言葉に驚いた。
そんな短い時間でよく社会が回ったと思う。
しかし、
「……結の存在を忘れているでしょ?」
と呆れられた。
そうだったわ。
食料供給だけなら、結のような拠点管理システムで十分賄える。
「古代文明期の社会は、基盤に結のような拠点管理システムがあって、それの手の届かない所を補助生物、莧達のような存在ね。
その統制を労働人が行い、更に上に一般人がいるって構図だったわ」
「労働人? 一般人?」
変な話が出てきたぞ?
「古代文明期もどうしても、子供を産めない人間はいたのよ。
そういう人間が労働人にされるわ。
彼らは、一般人とパートナーになることは禁じられていたし、労働人同士でパートナーになっても、生活補助はなしだったわね。
労働人と言っても、特別労働時間が長かったわけじゃないけど……。
暇だから、労働中毒になることが多くてね」
やっぱり何処か階級主義的な要素があったんだな。
……雛菊達のような人のようで、人でない存在がいる以上はしょうがないかもしれないけど。
けど、
「暇って……」
「そりゃ、ゲームのような消費型コンテンツもあったけどね?
消費型コンテンツってことは、自分がいなくなったら消えるのよ?
当然、創作活動を行う人もいたけど、それが全部後世に残ると思う?」
……残らないよな。
よほど、世界的に認められでもしない限り……。
「つまり、仕事ってのは、自分のいた証を遺すための行動なのか」
「そういうことだと思うわ」
子供を産めないから、その代償行為が仕事へ没頭する行動だったわけだ。
「……色々と課題が山積みなのは分かりました。
やはり、一夫多妻制度は必要なんですね……」
「そうね。
後は、労力の確保。
拠点管理システムを獲得しないと、一夫多妻にしたところで、人口は増えないわ」
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