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ここは何処だろう?そんなことより娘とお風呂だ夕食だ
しおりを挟む「井戸を抜けるとそこは綺麗な草原でした。ってか?」
康成は草原に一人佇んでいた。
草原は夕焼けに染まり何か懐かしいようにも感じ、単純に綺麗だと思った。
少し丘になっている場所へ行くと丘から建物が多数見えた。
「ん?あれは?村か?」
丘から目測で1キロ程の所に集落を発見した。
「暗くなる前にどうにかしないとな、腹も減ったし...」
蔵掃除で疲れた体が訴えるかのように腹から音を鳴らすと康成はそこそこの空腹状態であることに気づき考えた。
「んーと、帰るか」
そういうと康成は草原にポツリと佇む井戸へ足を運び梯子から中へと降りた。
途中空気が変わるかのように蔵のカビの匂いが立ち込め、なんとなくではあるが家に帰って来たのだとわかった。
「よし、探索は明日にしよ。明日は休みだし、娘と風呂入ってビール飲んで寝よ」
普通の日本男児なら好奇心に負けて、見たことない場所だひゃっほーいとかするのだろう。
しかし康成は家庭持ち、子持ちだ。
そこらの未婚の時間がある若者より手堅く生活する必要がある。
自分のことより子供との約束を優先するのが普通だ。智之もそう言っていた。
そんなこんなで蔵を出ると外は暗くなりかけていた。
「腹減ったほいっ、腹減ったほいっ今日の夕食なんじゃろな?」
自作の歌を流行りの曲にあわせて歌いながら康成は家に帰宅した。
「パパおつかれさまー、ナツばばと遊んでたの」
トコトコと玄関まで流行りの人形を持ち娘がパパを出迎えた。
「彩ちゃーん!パパ帰宅したよ!一緒にご飯とお風呂入ろ!」
「うん!おふろで鉄砲であそぶ!」
「掃除で汚れてるだろ、先に入ってきな」
棗にそう言われ康成は風呂へ急いだ
「ふぃー、家の風呂が広いのは田舎の特権だよなー」
田舎でそこそこの名家であり風呂も二畳半ほどあり足を伸ばしても問題なし
湧水を利用し沸かしているため多分水質も良い
「明日は保育園に送ってもう一度あそこに行ってみようかな
でも、なんだろ?あの懐かしいような感じは…見たこともないはずだけど…」
景色も知らないはず、それに井戸と繋がっている
まさか異世界じゃあるまいし…
そんなことを考えているとそこそこの水圧が康成の顔面を直撃した。
「パパ!くらえ!」
水鉄砲を構えた娘が康成の前に立ち上がった
「びっぐべあーはくしゃく!てんちゅー!」
児童アニメの真似をしながら娘が康成へ水鉄砲を発射するといつものように立ち上がり
「ふわーはっは!また懲りずに現れたか、あやプリティよ!今日の私は一味違うぞ!変身!」
康成は泡で髪を上げ、桶で息子を隠すと
「すっぽんぽん伯爵参上!ほーれまてまて!」
事案
時間もたち風呂をあがると娘の体を拭き、棗へ娘着替えを頼み娘は茶の間へ向かった。
「ナツばば!すっぽんぽん伯爵だぞー!」
「こらー!康成!!何教えてんだい!この26歳児が!」
いつも通りの怒鳴り声が家に響きわたり天童家は今日も平和です。
「ぷはー一杯目はビールで良いけど二杯目からはハイボールだな!」
夕食を食べながら晩酌をしていると康成は今日の井戸について聞いてみた
「井戸?あーあったね。いつからあるかわからないけど私が小さい時にはあったよ。扉を付けてるけど落ちないようにしなさいって言われてたね。」
「そんな前からあったのか、中に入ったことある?」
「物落としたとかしない限り入る理由がないからね…でも枯れ井戸だよ?」
まぁそりゃそうだ、好き好んで気味が悪くてカビ臭い井戸に入る理由がないもんな。
草原のことも一応話しとくか。
草原のことを話すと母ちゃんは可愛そうな眼で俺を見ている。
「はぁ…昔から家の男たちは妄想がお好きで困るんだよね…あの人も夢でどうのこうのとか良く言ってたし、あんたは何か罰当たりなことしたか、狐か狸に化かされたんじゃないの?」
まぁ息子が急にこんな話をしたらそう思うよな
「明日残りの片付け終わったらもう一度試してみるよ」
「あいよ、楽しみにして待ってるよ」
そんな話をしていると服の袖を掴まれた
「パパ…ねむい…」
彩愛がうつらうつらしながら袖をつまみ俺を見ている。
「いい時間だからそろそろ寝るか…俺も夜勤明けだし」
「あいよ、片付けしとくから早く寝な」
片付けを棗に任せると康成は彩愛をだっこし部屋へとのぼっていった。
「パパおやすみ…」
「彩ちゃんおやすみ、明日のことは明日考えるか…」
目を閉じると疲れからかすぐに夢の中へと沈んでいった。
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