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第7話:真帆の違和感【10月14日】
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それから数日が過ぎた。俺――いや、「美桜」の日常は相変わらず波乱万丈だった。女子としての生活に少しずつ慣れてきた部分もあれば、「やっぱり俺は男なんだから!」と心の中で叫びたくなる瞬間も多い。特に今日みたいに真帆と一緒に下校する日は、気を抜くと口調が乱れそうでヒヤヒヤする。
「美桜ちゃん、なんか最近変わったよね?」
突然、真帆がそう切り出してきた。バス停までの道を並んで歩きながら、彼女は少し真剣な顔をしている。
「え? ど、どうして?」
俺はできるだけ自然に返事をしようとしたが、声が裏返ったかもしれない。
真帆は少し首を傾げてから続けた。
「うーん、なんとなく……言葉にするの難しいんだけど…」
彼女はふと立ち止まり、俺の顔をじっと見た。
(やばっ…近い近い!)顔が火照る。
「なんか何時もなんか考えてるみたいで、授業中も上の空でしょ。なんか悩んでることがあるなら言って欲しいなって思ってるよ。」
真帆は鋭い。真帆から見て、中身の入れ替わった美桜はよほど変なんだろう…
「そ、そんなことないよ。」何故か早口になる…
「ちょっと疲れただけ?」真帆に言葉を重ねられた。「なんか最近口癖っぽい。」
俺は、口をパクパクさせて俯いた。そんな姿を見て真帆が笑った。
「あと、体育祭の時のリレーや創作ダンスとか、すごく堂々としてたし。普段もちょっと大胆になったっていうか……」
真帆を見上げる。
確かに体育祭で派手に走り回ったり踊ったりしたけど、「大胆になった」なんて言われるのは意外だった。むしろ女子の体に慣れていないからこそ、必死で振る舞ってるだけなのに。
「あとさ」真帆が少し声を落とした。「最近、『美桜』の声が聞こえる気がするんだよね」
「えっ?」
俺は思わず足を止めた。
「わ、私の声?」
「ううん」真帆は少し困惑したような表情で首を振った。「気のせいだと思ってるけど……例えば今みたいに美桜ちゃんと話してる時とか……急に別の美桜ちゃんの声が頭の中に響くっていうか……『真帆、それ違うよ』みたいな感じでさ」
「な……」
喉がカラカラになった。まさかそんなことがあるなんて。真帆の目は真剣そのもので、冗談を言ってるようには見えない。
「それって、いつから?」
「うーん、ハッキリしたのは体育祭あたりからかな」真帆は遠くを見るような目をした。「最初は疲れかなって思ってたんだけど……なんだか……美桜ちゃんがもう一人いるみたいっていうか……」
「…………」
言葉が出なかった。もしかして……真帆の中にも“何か”があるのかもしれない。俺の体の中にいるのが桐生昴の魂だとしたら……真帆の中にあるのは……?
「もしかして……」
真帆がポツリと言った。「本当の美桜ちゃんは今どこにいるんだろうって思うことがあるんだ」
***
その夜、ベッドに入ってもなかなか寝付けなかった。
俺の記憶と異なる昴。何度も見る夢。俺がここにいる理由……
どこにいるか解らない美桜。真帆の話すもう一人の美桜……?
考えれば考えるほど思考はぐちゃぐちゃになり。美桜に会いたい気持ちでいっぱいになる……真帆が言う「もう一人の美桜」が実在するなら……
まどろみ始めた時だった。
夢を見た。
『お願い……』
か細い声。暗闇の中で小さな手が僕の手を掴んでいる。
『昴…………だめ……』
「美桜……?」
振り返った時、そこにいたのは……
――真帆の顔だった。でもその瞳は……紛れもなく寿美桜のものだった。
『昴……気づいて……』
彼女の口から紡がれた言葉は、どこか悲痛で……でも確かに“彼女”のものだった。
「……っ!」
ハッと目が覚めた。息が荒い。額には汗が滲んでいる。
「今の夢は……」
翌朝、登校中に真帆に会った。彼女はいつもの明るい笑顔だったが、少し目が腫れているように見えた。
「おはよう、美桜ちゃん」
「おはよう……」
言葉に詰まった。昨晩の夢と真帆の発言が頭を巡る。
「どうしたの?顔色悪いよ?」
「あ……うん」
俺は決心して口を開いた。
「真帆……昨日言ってたことなんだけど……」
真帆は少し驚いたように目を丸くした。
「うん?」
「……もしかして……真帆の中にいるのは……」
その時だった。
『昴…』
頭の中に……俺が紛れもなく「美桜の声」と認識する声が響いた。
真帆の表情が一瞬変わった。まるで「違う誰か」が話しているかのように。彼女の唇が微かに動いた。
『私……ここ……』
そしてすぐに、真帆の顔に戻った。彼女は不思議そうな顔で俺を見ていた。
「……美桜ちゃん?どうしたの?」
(まさか、居るのか?真帆の中に…)
「もう直ぐ修学旅行だよ、今日は班決めなんだから、早く教室に行こっ!」
教室はいつもより賑やかだった。机の上には大量のプリントが山積みになっている。修学旅行の行程表や持ち物リスト――来週からは京都へ修学旅行だ。
「美桜ー!同じ班で良いよね。」
班票を手に真帆が元気に駆け込んできた。いつも通りの明るい笑顔だが、さっきの“異変”を思い出してしまう。
「もちろん、真帆宜しくー」俺も明るく応える。
「あとは千代里ちゃんと、緋香里ちゃんで女子は良いよね」
「うん」
「千代里ちゃーん、緋香里ちゃーん同じ班ね~」
「オッケーー」
「いいよー」
真帆が叫ぶと、軽快に返事が返って来る。真帆凄い。
「あとは男子だけど、どこと組む?」
班行動は、男女一緒に周るのだ。
「うーん……」
真帆の視線がクラスを泳ぐ。ふと、彼女の目に止まったのは――
「そうだなー」
真帆の視線の先に俺も目を向けると
そこには
教室に入って来た昴の姿があった。
真帆は「美桜」に恋する「昴」を見つめている。
「ねぇ……あれ」
真帆が小さく呟いた。俺も目で追う――
昴が一緒に入って来た女子と話している。隣のクラスの女子だ。
「ほらあ……」
真帆の声が急に低くなった。
「……あの子最近よく昴くんと一緒にいるよね。もしかして……?」
「まあ……」
真帆の言う通り、最近昴は別の女子とよく一緒にいる。美術部の子で、たまたま同じ展示会に作品を出していて仲良くなったらしい。俺の記憶にはない話だ…
「なんかさ……」
真帆がふと呟いた。
「美桜ちゃんってこういう時どう思うの?」
「え?」
突然の質問に言葉が詰まる。真帆が俺をじっと見ている。
「だってさ……もし“私の昴”が他の子と仲良くしてたら……嫌じゃない?」
“私の昴”――その言葉が胸に刺さる。俺は慌てて表情を取り繕う。
「えっ?別に?付き合ってるわけでもないし?」
「そうなの?」真帆が意外そうに眉を上げた。
「あんなに仲良かったのに?“付き合いたい”って思ってたんじゃないの?」
「えっと……」
言葉に詰まる。確かに未来では付き合っていたが――今の俺は「美桜」だ。「昴」ではない。
「まぁ……それは……」
「美桜ちゃんって変だよ?」真帆が首を傾げる。
「この前まで『昴くんが優しい』『昴くんが面白い』ってずっと言ってたのに……今は急に他人みたいに話すし」
「そ、それは……」
「それに――」
真帆の目が急に暗くなる。
「私……時々聞こえるんだよね。美桜ちゃんの叫びが…」
「え?」
心臓が跳ねる。
「……気のせいじゃないの?」
「そうかなぁ?」真帆が不思議そうに首を捻る。
「でもね……今日も聞こえたんだ。“昴を守って”って……美桜ちゃんの声が…」
「……」
その言葉で俺は確信した。真帆は「何か」を感じている。彼女の直感は確かだ。彼女の中には本当に“美桜”が――
「もしかして真帆……何か感じてるの?」
思わず口に出してしまった。
真帆が目を丸くした。
「え?感じてるって……何を?」
「いや……その……」
「私が言ってるのは――」
真帆が俺の手を掴んだ。「美桜ちゃんが“変わった”ってこと!」
「え?」
「だってさ!前までと全然違うじゃん!話し方も考え方も……それに昴くんに対する態度だって!」
「…」
「美桜ちゃん……何かあったの?私に隠してる?」
真帆の問いかけが鋭い。
(まずい……このままでは真帆にバレてしまう)
「別に……何もないよ……」
「本当に?」
真帆の目が疑わしげだ。
「本当だよ。ただちょっと……考えることがあって」
「どんな?」
「その……将来のこととか?」
「ふーん」
真帆が納得していない様子で眉をひそめる。
(ダメだ……これ以上追及されたら……)
「……あっ」
そのときだった。頭の中にノイズが走るような感覚が――
『すばる……』
どこからか響いてきた“声”――それは間違いなく“美桜”の声だった。
真帆の瞳が一瞬だけ揺らいだ。
「どうしたの?」真帆が俺の顔を覗き込む。
「今の……聞こえた?」俺は真帆を見つめる。
「え?」
「声だよ……『すばる……』って……」
真帆の表情が凍りついた。
「あ……」
真帆の口がぽかんと開く。彼女の目から涙が溢れ出した。
「なんで……泣いて……」
「わからない……」真帆が震える声で言った。「でも……胸の奥が熱くて……勝手に涙が出てきて……」
彼女の手が俺の腕をぎゅっと掴んだ。
「美桜ちゃん……」
「何?」
「私……怖いんだ」
真帆の声がかすれている。
「私の中に……何かいるの?」
(やはり……)
いるんだ彼女の中に――
――真帆の手の感触が冷たい。
「大丈夫だよ……」俺は震える真帆の手を握り返した。
「私は……私の中の“何か”が怖いんだ」
真帆の声は弱々しい。彼女は涙を拭いながら続けた。
「時々ね……自分じゃない誰かの記憶が浮かんでくるの。見たこともない景色とか、聞いたこともない声とか……」
(やはり……彼女の中には“美桜”がいる)
「例えば……?」
「例えば……」真帆が虚空を見つめる。「冬の寒い日……誰かと一緒に歩いてる記憶があるの。雪が降っていて……周りはイルミネーションでキラキラしてて……」
「イルミネーション?」
「うん……そのとき『この人とずっと一緒にいられたら』って思った記憶があって……」
(まさか……)
「それ……クリスマスの時期?」
真帆の目が見開かれた。
「どうしてわかったの?」
「え……」
言葉に詰まる。
「あとね……」真帆が続けた。「誰かの手を握っていた記憶もあるの。その手がすごく暖かくて……安心できて……」
(クリスマス……誰かの手……)
俺は息を飲んだ。
真帆は俺と共通する“美桜”の記憶を断片的に持っている。
「真帆……」
俺は慎重に言葉を選んだ。
「その記憶……怖い?」
「うん……」真帆が小さくうなずく。「でも……なぜか懐かしい感じもするんだ」
(真帆の中にいる“美桜”は……昴との記憶を持っている)
俺は思わず拳を握りしめた。
「美桜ちゃん……」真帆が俺を見つめる。「私……おかしいのかな?」
「そんなことない」
俺は即答した。
「誰にだって、そういう……不思議な記憶はあるよ」
「本当に?」
「ああ」俺はうなずく。「だから……怖がらなくていい」
「でも……」真帆の目が不安そうに揺れる。「私の中の“何か”が……勝手にしゃべり出すことがあるんだ」
「え?」
「例えば……」真帆が声を潜めた。「授業中に突然『ここはこうするんだよ』って声が聞こえてきて……でも私の口からは何も言ってないのに」
(これは……もう間違いなく“美桜”だ)
「それ……いつから?」
「わからない……でも最近多いかも」
真帆の目からまた涙がこぼれた。
「怖いよ……美桜ちゃん……私どうすればいいの?」
俺は真帆をそっと抱きしめた。彼女の震える肩が悲しげだった。
「大丈夫だよ……私がついてるから」
「本当?」
「ああ」
真帆の力になると、そう誓った。
***
10月中旬の暑くもなく寒くもない爽やかな日差しの休日。今日は真帆に誘われて修学旅行用の買い物に街に出ることになった。
同じ班になった千代里ちゃんと、緋香里ちゃんも一緒だ。俺(昴)とは、あまり接点がなかったのでよく知らなかったけど、二人とも気さくで、気兼ねの要らない良い子たち。二人は真帆の次に美桜と仲が良かったらしい。
千代里ちゃんは細身で長い黒髪を一つにまとめ、薄い色のメガネが知的な輪郭を作っている。彼女の声は落ち着いていて、話す言葉はいつも慎重に選ばれる。荷物の詰め方も几帳面で、私の手伝いをする時も動作が静かだが確実だ。
緋香里ちゃんは対照的に短めの栗色の髪にワンポイントのヘアピンをつけ、彫りの深い顔立ちと鋭い瞳が特徴的だ。おしゃれが好きで、話題に事欠かない。笑うと目じりが上がって、周囲を巻き込むような勢いがある。
既に真帆は両手に紙袋を下げてにこにこと先導している。
(良かった…)
先日の不安そうな面影は今は鳴りを潜めている。
千代里ちゃんはリストを片手に効率よく店を選ぶ。緋香里ちゃんはキッチンカーで買ったらしいクレープを口元に運んで、目をきらきらさせている。俺はスカートの裾を気にしつつ、彼女たちの後をついていくだけだった。
「次はランジェリーショップね」
真帆が言う。制服での行動が多いから、夜用の下着や予備のストッキングを買っておきたいというのが理由だった。千代里ちゃんはすっとメモを取り出し、必要枚数とサイズを確認する。彼女の落ち着いた声があると、自然に動きが整う。
(…そう言えば、男性下着専門店ってないよな……)
なんてくだらないことを考えながらついて行く(実際は無いことは無いらしいと後で知った)。
店内はほどよく照明が落とされ、優しいピンクのカーテン越しに商品が並ぶ。俺は不慣れな手つきでパッケージを手に取り、どういう色が無難か考える。千代里ちゃんがそっと「落ち着いた色が似合うよ」と囁いてくれて、胸の緊張が少しほどける。真帆は面白がって俺の選んだものを覗き込み、緋香里ちゃんは「もっと可愛いのもいいんじゃない?」とからかう。四人のやり取りは軽やかで、買い物の時間が安心に変わっていく。
…ちなみに最近は女性下着くらいで動揺はしなくなっている…
下着の次は実用的なバッグ類。修学旅行中は両手を空けて行動したいから、小さめのサコッシュや斜め掛けバッグが重宝する。店先で迷っていると、千代里ちゃんが機転を利かせて、「荷物は最小限にして、夜は写真用の小物で遊ぼう」と提案する。緋香里ちゃんはすぐに派手なチャームを見つけてはしゃぎ、真帆は「これで写真映え間違いなし」と満足そうだ。
「お菓子は忘れないでね」緋香里ちゃんが小声で言い、駄菓子屋に吸い寄せられるように足を踏み入れた。定番のポテトチップス、グミ、チョコレート、クッキーを選ぶ、4人いるから担当ジャンルを割り振ることにした。俺はしょっぱい系担当になりポテチの小袋を手に取って眺める。
その時、店の前で見覚えのあるシルエットが目に入った。前に名刺を渡してきた芸能スカウトだ、変わらずのスーツ姿で佇んでいた。俺と視線が合い控えめな笑みをたたえた。心臓が一瞬早鐘を打つのを感じる。
「こんにちは、今日は買い物?」
男はゆっくり近づいてきた。声は抑揚が柔らかく、会話の間合いを崩さない。真帆がさっと前に出て俺をかばうように移動する。
「美桜の知り合い?」
千代里ちゃんが、緋香里ちゃんと共に寄って来て誰何する。
「もし時間があるなら、軽くお話ししませんか?…おや、君の周りは可愛い子が多いね。」
スカウトの視線は確かで、プロとしての温度があった。
慣れた手つきで3人に名刺を渡している。
「うそ、東京ドラマティックエンタテインメントって、聖也くんが所属してるあの?」
緋香里ちゃんが目をキラキラさせ驚いている、どうも有名な人が所属している事務所のようだ。
「そうだよ、他にも看板タレントが何人も所属しているよ。」
「すごいすごい、え、何?美桜スカウトされてるの?」
緋香里ちゃんの視線が俺とスカウトを何度も往復する。
「声を掛けさせて貰ってるんだけど、けんもほろろでね。」
「えー勿体ないー」
「緋香里!」千代里ちゃんが緋香里ちゃんの手を取ってたしなめる。
「きみは、存在感が大きいのに今にも消えてしまいそうな不思議な雰囲気がある。否応なしに目で追い続けてしまう、とても魅力的なんだ…僕も長年この仕事をして、多くの綺麗な娘を見てきたけど、それだけじゃない何かがきみには有る。…なんなんだろうね可愛い女の子なのに、男の子のような、誰でもない誰かのような…」
(…!)
何か俺の状況を見透かしたようなスカウトの言葉にどきりとする。
「凄いね、美桜。こんなに言ってもらえるなんて。」
スカウトならではの美辞麗句かもしれないが、人をよく見ていることを感じさせる。
言葉を詰まらせていると、真帆が手を握ってくれる。
「お誘いありがとうございます…すみませんが、今日は修学旅行の準備で手一杯なので失礼します。」
と、俺は答えた。
「そうか…修学旅行があるんだね、了解。じゃあまた日を改めるよ。」
スカウトは、お辞儀をすると「諦めないからね。」と言って店を出ていった。
男が去った後、四人は並んで息を吐いた。千代里ちゃんが静かに言う。「何かあったら。いつでも相談して」真帆はすぐに明るく、「ま…話だけでも聞いてみてもいいかもね」と付け加える。緋香里ちゃんはやや興奮した顔のままだ。
レジで会計を済ませ、帰り道にそれぞれの袋を抱える。真帆はずっと俺の様子を気にしているようで、時折さりげなく視線を送ってくる。千代里ちゃんは黙って俺の買った下着の包装をジップで整え、緋香里ちゃんは買ったお菓子を既に開けている。
帰りのバス停で、真帆が小さく言った。「もし迷ったら、私たちに話してね。私たち、そういうのは得意だから」
千代里ちゃんと緋香里ちゃんもうなずく。四人の輪は買い物袋の重さ以上に温かく、まだ整理がつかない胸の中をそっと落ち着かせた。夕陽がゆっくり街を赤く染め、修学旅行の前夜を穏やかな期待で満たしていった。
「美桜ちゃん、なんか最近変わったよね?」
突然、真帆がそう切り出してきた。バス停までの道を並んで歩きながら、彼女は少し真剣な顔をしている。
「え? ど、どうして?」
俺はできるだけ自然に返事をしようとしたが、声が裏返ったかもしれない。
真帆は少し首を傾げてから続けた。
「うーん、なんとなく……言葉にするの難しいんだけど…」
彼女はふと立ち止まり、俺の顔をじっと見た。
(やばっ…近い近い!)顔が火照る。
「なんか何時もなんか考えてるみたいで、授業中も上の空でしょ。なんか悩んでることがあるなら言って欲しいなって思ってるよ。」
真帆は鋭い。真帆から見て、中身の入れ替わった美桜はよほど変なんだろう…
「そ、そんなことないよ。」何故か早口になる…
「ちょっと疲れただけ?」真帆に言葉を重ねられた。「なんか最近口癖っぽい。」
俺は、口をパクパクさせて俯いた。そんな姿を見て真帆が笑った。
「あと、体育祭の時のリレーや創作ダンスとか、すごく堂々としてたし。普段もちょっと大胆になったっていうか……」
真帆を見上げる。
確かに体育祭で派手に走り回ったり踊ったりしたけど、「大胆になった」なんて言われるのは意外だった。むしろ女子の体に慣れていないからこそ、必死で振る舞ってるだけなのに。
「あとさ」真帆が少し声を落とした。「最近、『美桜』の声が聞こえる気がするんだよね」
「えっ?」
俺は思わず足を止めた。
「わ、私の声?」
「ううん」真帆は少し困惑したような表情で首を振った。「気のせいだと思ってるけど……例えば今みたいに美桜ちゃんと話してる時とか……急に別の美桜ちゃんの声が頭の中に響くっていうか……『真帆、それ違うよ』みたいな感じでさ」
「な……」
喉がカラカラになった。まさかそんなことがあるなんて。真帆の目は真剣そのもので、冗談を言ってるようには見えない。
「それって、いつから?」
「うーん、ハッキリしたのは体育祭あたりからかな」真帆は遠くを見るような目をした。「最初は疲れかなって思ってたんだけど……なんだか……美桜ちゃんがもう一人いるみたいっていうか……」
「…………」
言葉が出なかった。もしかして……真帆の中にも“何か”があるのかもしれない。俺の体の中にいるのが桐生昴の魂だとしたら……真帆の中にあるのは……?
「もしかして……」
真帆がポツリと言った。「本当の美桜ちゃんは今どこにいるんだろうって思うことがあるんだ」
***
その夜、ベッドに入ってもなかなか寝付けなかった。
俺の記憶と異なる昴。何度も見る夢。俺がここにいる理由……
どこにいるか解らない美桜。真帆の話すもう一人の美桜……?
考えれば考えるほど思考はぐちゃぐちゃになり。美桜に会いたい気持ちでいっぱいになる……真帆が言う「もう一人の美桜」が実在するなら……
まどろみ始めた時だった。
夢を見た。
『お願い……』
か細い声。暗闇の中で小さな手が僕の手を掴んでいる。
『昴…………だめ……』
「美桜……?」
振り返った時、そこにいたのは……
――真帆の顔だった。でもその瞳は……紛れもなく寿美桜のものだった。
『昴……気づいて……』
彼女の口から紡がれた言葉は、どこか悲痛で……でも確かに“彼女”のものだった。
「……っ!」
ハッと目が覚めた。息が荒い。額には汗が滲んでいる。
「今の夢は……」
翌朝、登校中に真帆に会った。彼女はいつもの明るい笑顔だったが、少し目が腫れているように見えた。
「おはよう、美桜ちゃん」
「おはよう……」
言葉に詰まった。昨晩の夢と真帆の発言が頭を巡る。
「どうしたの?顔色悪いよ?」
「あ……うん」
俺は決心して口を開いた。
「真帆……昨日言ってたことなんだけど……」
真帆は少し驚いたように目を丸くした。
「うん?」
「……もしかして……真帆の中にいるのは……」
その時だった。
『昴…』
頭の中に……俺が紛れもなく「美桜の声」と認識する声が響いた。
真帆の表情が一瞬変わった。まるで「違う誰か」が話しているかのように。彼女の唇が微かに動いた。
『私……ここ……』
そしてすぐに、真帆の顔に戻った。彼女は不思議そうな顔で俺を見ていた。
「……美桜ちゃん?どうしたの?」
(まさか、居るのか?真帆の中に…)
「もう直ぐ修学旅行だよ、今日は班決めなんだから、早く教室に行こっ!」
教室はいつもより賑やかだった。机の上には大量のプリントが山積みになっている。修学旅行の行程表や持ち物リスト――来週からは京都へ修学旅行だ。
「美桜ー!同じ班で良いよね。」
班票を手に真帆が元気に駆け込んできた。いつも通りの明るい笑顔だが、さっきの“異変”を思い出してしまう。
「もちろん、真帆宜しくー」俺も明るく応える。
「あとは千代里ちゃんと、緋香里ちゃんで女子は良いよね」
「うん」
「千代里ちゃーん、緋香里ちゃーん同じ班ね~」
「オッケーー」
「いいよー」
真帆が叫ぶと、軽快に返事が返って来る。真帆凄い。
「あとは男子だけど、どこと組む?」
班行動は、男女一緒に周るのだ。
「うーん……」
真帆の視線がクラスを泳ぐ。ふと、彼女の目に止まったのは――
「そうだなー」
真帆の視線の先に俺も目を向けると
そこには
教室に入って来た昴の姿があった。
真帆は「美桜」に恋する「昴」を見つめている。
「ねぇ……あれ」
真帆が小さく呟いた。俺も目で追う――
昴が一緒に入って来た女子と話している。隣のクラスの女子だ。
「ほらあ……」
真帆の声が急に低くなった。
「……あの子最近よく昴くんと一緒にいるよね。もしかして……?」
「まあ……」
真帆の言う通り、最近昴は別の女子とよく一緒にいる。美術部の子で、たまたま同じ展示会に作品を出していて仲良くなったらしい。俺の記憶にはない話だ…
「なんかさ……」
真帆がふと呟いた。
「美桜ちゃんってこういう時どう思うの?」
「え?」
突然の質問に言葉が詰まる。真帆が俺をじっと見ている。
「だってさ……もし“私の昴”が他の子と仲良くしてたら……嫌じゃない?」
“私の昴”――その言葉が胸に刺さる。俺は慌てて表情を取り繕う。
「えっ?別に?付き合ってるわけでもないし?」
「そうなの?」真帆が意外そうに眉を上げた。
「あんなに仲良かったのに?“付き合いたい”って思ってたんじゃないの?」
「えっと……」
言葉に詰まる。確かに未来では付き合っていたが――今の俺は「美桜」だ。「昴」ではない。
「まぁ……それは……」
「美桜ちゃんって変だよ?」真帆が首を傾げる。
「この前まで『昴くんが優しい』『昴くんが面白い』ってずっと言ってたのに……今は急に他人みたいに話すし」
「そ、それは……」
「それに――」
真帆の目が急に暗くなる。
「私……時々聞こえるんだよね。美桜ちゃんの叫びが…」
「え?」
心臓が跳ねる。
「……気のせいじゃないの?」
「そうかなぁ?」真帆が不思議そうに首を捻る。
「でもね……今日も聞こえたんだ。“昴を守って”って……美桜ちゃんの声が…」
「……」
その言葉で俺は確信した。真帆は「何か」を感じている。彼女の直感は確かだ。彼女の中には本当に“美桜”が――
「もしかして真帆……何か感じてるの?」
思わず口に出してしまった。
真帆が目を丸くした。
「え?感じてるって……何を?」
「いや……その……」
「私が言ってるのは――」
真帆が俺の手を掴んだ。「美桜ちゃんが“変わった”ってこと!」
「え?」
「だってさ!前までと全然違うじゃん!話し方も考え方も……それに昴くんに対する態度だって!」
「…」
「美桜ちゃん……何かあったの?私に隠してる?」
真帆の問いかけが鋭い。
(まずい……このままでは真帆にバレてしまう)
「別に……何もないよ……」
「本当に?」
真帆の目が疑わしげだ。
「本当だよ。ただちょっと……考えることがあって」
「どんな?」
「その……将来のこととか?」
「ふーん」
真帆が納得していない様子で眉をひそめる。
(ダメだ……これ以上追及されたら……)
「……あっ」
そのときだった。頭の中にノイズが走るような感覚が――
『すばる……』
どこからか響いてきた“声”――それは間違いなく“美桜”の声だった。
真帆の瞳が一瞬だけ揺らいだ。
「どうしたの?」真帆が俺の顔を覗き込む。
「今の……聞こえた?」俺は真帆を見つめる。
「え?」
「声だよ……『すばる……』って……」
真帆の表情が凍りついた。
「あ……」
真帆の口がぽかんと開く。彼女の目から涙が溢れ出した。
「なんで……泣いて……」
「わからない……」真帆が震える声で言った。「でも……胸の奥が熱くて……勝手に涙が出てきて……」
彼女の手が俺の腕をぎゅっと掴んだ。
「美桜ちゃん……」
「何?」
「私……怖いんだ」
真帆の声がかすれている。
「私の中に……何かいるの?」
(やはり……)
いるんだ彼女の中に――
――真帆の手の感触が冷たい。
「大丈夫だよ……」俺は震える真帆の手を握り返した。
「私は……私の中の“何か”が怖いんだ」
真帆の声は弱々しい。彼女は涙を拭いながら続けた。
「時々ね……自分じゃない誰かの記憶が浮かんでくるの。見たこともない景色とか、聞いたこともない声とか……」
(やはり……彼女の中には“美桜”がいる)
「例えば……?」
「例えば……」真帆が虚空を見つめる。「冬の寒い日……誰かと一緒に歩いてる記憶があるの。雪が降っていて……周りはイルミネーションでキラキラしてて……」
「イルミネーション?」
「うん……そのとき『この人とずっと一緒にいられたら』って思った記憶があって……」
(まさか……)
「それ……クリスマスの時期?」
真帆の目が見開かれた。
「どうしてわかったの?」
「え……」
言葉に詰まる。
「あとね……」真帆が続けた。「誰かの手を握っていた記憶もあるの。その手がすごく暖かくて……安心できて……」
(クリスマス……誰かの手……)
俺は息を飲んだ。
真帆は俺と共通する“美桜”の記憶を断片的に持っている。
「真帆……」
俺は慎重に言葉を選んだ。
「その記憶……怖い?」
「うん……」真帆が小さくうなずく。「でも……なぜか懐かしい感じもするんだ」
(真帆の中にいる“美桜”は……昴との記憶を持っている)
俺は思わず拳を握りしめた。
「美桜ちゃん……」真帆が俺を見つめる。「私……おかしいのかな?」
「そんなことない」
俺は即答した。
「誰にだって、そういう……不思議な記憶はあるよ」
「本当に?」
「ああ」俺はうなずく。「だから……怖がらなくていい」
「でも……」真帆の目が不安そうに揺れる。「私の中の“何か”が……勝手にしゃべり出すことがあるんだ」
「え?」
「例えば……」真帆が声を潜めた。「授業中に突然『ここはこうするんだよ』って声が聞こえてきて……でも私の口からは何も言ってないのに」
(これは……もう間違いなく“美桜”だ)
「それ……いつから?」
「わからない……でも最近多いかも」
真帆の目からまた涙がこぼれた。
「怖いよ……美桜ちゃん……私どうすればいいの?」
俺は真帆をそっと抱きしめた。彼女の震える肩が悲しげだった。
「大丈夫だよ……私がついてるから」
「本当?」
「ああ」
真帆の力になると、そう誓った。
***
10月中旬の暑くもなく寒くもない爽やかな日差しの休日。今日は真帆に誘われて修学旅行用の買い物に街に出ることになった。
同じ班になった千代里ちゃんと、緋香里ちゃんも一緒だ。俺(昴)とは、あまり接点がなかったのでよく知らなかったけど、二人とも気さくで、気兼ねの要らない良い子たち。二人は真帆の次に美桜と仲が良かったらしい。
千代里ちゃんは細身で長い黒髪を一つにまとめ、薄い色のメガネが知的な輪郭を作っている。彼女の声は落ち着いていて、話す言葉はいつも慎重に選ばれる。荷物の詰め方も几帳面で、私の手伝いをする時も動作が静かだが確実だ。
緋香里ちゃんは対照的に短めの栗色の髪にワンポイントのヘアピンをつけ、彫りの深い顔立ちと鋭い瞳が特徴的だ。おしゃれが好きで、話題に事欠かない。笑うと目じりが上がって、周囲を巻き込むような勢いがある。
既に真帆は両手に紙袋を下げてにこにこと先導している。
(良かった…)
先日の不安そうな面影は今は鳴りを潜めている。
千代里ちゃんはリストを片手に効率よく店を選ぶ。緋香里ちゃんはキッチンカーで買ったらしいクレープを口元に運んで、目をきらきらさせている。俺はスカートの裾を気にしつつ、彼女たちの後をついていくだけだった。
「次はランジェリーショップね」
真帆が言う。制服での行動が多いから、夜用の下着や予備のストッキングを買っておきたいというのが理由だった。千代里ちゃんはすっとメモを取り出し、必要枚数とサイズを確認する。彼女の落ち着いた声があると、自然に動きが整う。
(…そう言えば、男性下着専門店ってないよな……)
なんてくだらないことを考えながらついて行く(実際は無いことは無いらしいと後で知った)。
店内はほどよく照明が落とされ、優しいピンクのカーテン越しに商品が並ぶ。俺は不慣れな手つきでパッケージを手に取り、どういう色が無難か考える。千代里ちゃんがそっと「落ち着いた色が似合うよ」と囁いてくれて、胸の緊張が少しほどける。真帆は面白がって俺の選んだものを覗き込み、緋香里ちゃんは「もっと可愛いのもいいんじゃない?」とからかう。四人のやり取りは軽やかで、買い物の時間が安心に変わっていく。
…ちなみに最近は女性下着くらいで動揺はしなくなっている…
下着の次は実用的なバッグ類。修学旅行中は両手を空けて行動したいから、小さめのサコッシュや斜め掛けバッグが重宝する。店先で迷っていると、千代里ちゃんが機転を利かせて、「荷物は最小限にして、夜は写真用の小物で遊ぼう」と提案する。緋香里ちゃんはすぐに派手なチャームを見つけてはしゃぎ、真帆は「これで写真映え間違いなし」と満足そうだ。
「お菓子は忘れないでね」緋香里ちゃんが小声で言い、駄菓子屋に吸い寄せられるように足を踏み入れた。定番のポテトチップス、グミ、チョコレート、クッキーを選ぶ、4人いるから担当ジャンルを割り振ることにした。俺はしょっぱい系担当になりポテチの小袋を手に取って眺める。
その時、店の前で見覚えのあるシルエットが目に入った。前に名刺を渡してきた芸能スカウトだ、変わらずのスーツ姿で佇んでいた。俺と視線が合い控えめな笑みをたたえた。心臓が一瞬早鐘を打つのを感じる。
「こんにちは、今日は買い物?」
男はゆっくり近づいてきた。声は抑揚が柔らかく、会話の間合いを崩さない。真帆がさっと前に出て俺をかばうように移動する。
「美桜の知り合い?」
千代里ちゃんが、緋香里ちゃんと共に寄って来て誰何する。
「もし時間があるなら、軽くお話ししませんか?…おや、君の周りは可愛い子が多いね。」
スカウトの視線は確かで、プロとしての温度があった。
慣れた手つきで3人に名刺を渡している。
「うそ、東京ドラマティックエンタテインメントって、聖也くんが所属してるあの?」
緋香里ちゃんが目をキラキラさせ驚いている、どうも有名な人が所属している事務所のようだ。
「そうだよ、他にも看板タレントが何人も所属しているよ。」
「すごいすごい、え、何?美桜スカウトされてるの?」
緋香里ちゃんの視線が俺とスカウトを何度も往復する。
「声を掛けさせて貰ってるんだけど、けんもほろろでね。」
「えー勿体ないー」
「緋香里!」千代里ちゃんが緋香里ちゃんの手を取ってたしなめる。
「きみは、存在感が大きいのに今にも消えてしまいそうな不思議な雰囲気がある。否応なしに目で追い続けてしまう、とても魅力的なんだ…僕も長年この仕事をして、多くの綺麗な娘を見てきたけど、それだけじゃない何かがきみには有る。…なんなんだろうね可愛い女の子なのに、男の子のような、誰でもない誰かのような…」
(…!)
何か俺の状況を見透かしたようなスカウトの言葉にどきりとする。
「凄いね、美桜。こんなに言ってもらえるなんて。」
スカウトならではの美辞麗句かもしれないが、人をよく見ていることを感じさせる。
言葉を詰まらせていると、真帆が手を握ってくれる。
「お誘いありがとうございます…すみませんが、今日は修学旅行の準備で手一杯なので失礼します。」
と、俺は答えた。
「そうか…修学旅行があるんだね、了解。じゃあまた日を改めるよ。」
スカウトは、お辞儀をすると「諦めないからね。」と言って店を出ていった。
男が去った後、四人は並んで息を吐いた。千代里ちゃんが静かに言う。「何かあったら。いつでも相談して」真帆はすぐに明るく、「ま…話だけでも聞いてみてもいいかもね」と付け加える。緋香里ちゃんはやや興奮した顔のままだ。
レジで会計を済ませ、帰り道にそれぞれの袋を抱える。真帆はずっと俺の様子を気にしているようで、時折さりげなく視線を送ってくる。千代里ちゃんは黙って俺の買った下着の包装をジップで整え、緋香里ちゃんは買ったお菓子を既に開けている。
帰りのバス停で、真帆が小さく言った。「もし迷ったら、私たちに話してね。私たち、そういうのは得意だから」
千代里ちゃんと緋香里ちゃんもうなずく。四人の輪は買い物袋の重さ以上に温かく、まだ整理がつかない胸の中をそっと落ち着かせた。夕陽がゆっくり街を赤く染め、修学旅行の前夜を穏やかな期待で満たしていった。
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