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第42話『結婚指輪を受け取りましょう』
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5月13日、土曜日。
午後2時過ぎ。
優奈と俺はNR東京中央線各駅停車の上り方面の列車に乗車する。近くに3席連続で空いている座席があるため、俺達は隣同士に座った。
どうして、俺達がこの電車に乗っているのかというと、
「完成した結婚指輪、楽しみですね!」
「楽しみだな」
そう。これから琴宿区にあるジュエリーショップに行き、2週間前に購入した俺達の結婚指輪を受け取りに行くためだ。
昨日の夕方頃に、ジュエリーショップから優奈のスマホに「結婚指輪が完成し、お店に届いた」と連絡が入った。今日は俺も優奈も特に予定がなかったので、今日の午後に受け取りに行くことにしたのだ。
結婚指輪が完成した連絡を受けてから、優奈は今のようにニコニコしていることが多い。俺と一緒に、デザインや刻印する文字を決めたからかな。それに、結婚指輪は俺達が結婚した証でもあるから、上機嫌な優奈を見ていると俺も嬉しい気持ちになってくる。フレアスカートに半袖のブラウスが似合っているのもあって本当に可愛く、優奈の笑顔を見るとドキッとすることも。
今日は晴れているから、車窓から見える景色が輝いて見える。晴れて良かったと思う。
「結婚指輪を見せて、家族が喜んでくれたら嬉しいです」
「きっと喜んでくれるさ」
結婚指輪を受け取った後は、指輪を見せるために優奈の実家に伺うことになっている。また、明日が母の日ということもあり、実家に向かう途中で優奈の母親の彩さんへのプレゼントを買う予定だ。優奈のご家族が喜んでくれたら嬉しいな。
母の日当日である明日は、俺のバイトが終わった後に、母さんへの母の日のプレゼントを持って、俺の実家に行く予定だ。その際に、俺の家族に結婚指輪を見せることになっている。俺の家族も喜んでくれると嬉しい。
優奈と話していたのもあり、琴宿駅までの7分間はあっという間だった。
琴宿駅で電車を降りて、俺達はジュエリーショップに一番近い南口の改札に向かって歩き出す。
ゴールデンウィークは明けたけど、土曜日のお昼過ぎなのもあって琴宿駅の中には多くの人がいる。その中にはこちらを見てくる人が何人もいて。優奈と結婚して半月以上経ったので、こうして人の視線が集まることにも慣れてきた。
南口の改札を通り、俺達は琴宿駅を出て、ジュエリーショップへ向かう。
何度来ても、商業施設や高層ビルが集まり、たくさんの人が行き交う琴宿駅周辺の景色は凄いなって思う。
「和真君と結婚してから半月ほどですが、この道は何度も歩いていますね」
「そうだな。結婚指輪を買った初デートに5連休中の映画デート。それで今回か。これまで、琴宿に来るのは年に数回程度だったから、半月に3回はかなり来ている感じがする」
「頻度が物凄く上がりましたね」
「ああ。優奈と結婚したおかげだな」
独身のままだったら、半月に3回も琴宿に来ることはなかっただろうから。
そういえば、優奈と一緒に琴宿に来たのは全て土曜日だな。優奈がいなければ、3週連続で土曜日に来ることもなかっただろう。
「和真君と結婚指輪を買いに来たのは2週間前ですか。もっと昔のことのように感じますね」
「そうだな。2週間の中で色々なことがあったからなぁ」
「ですね。あと、5連休の初日に今の家に引っ越したのも大きいかと」
「それは言えてるな」
住む環境と一緒に住んでいる人が変わったのはかなり大きい。実家で暮らしていた日々が昔のことになり始めている。優奈と一緒に新居で暮らすことに慣れてきたからだろうか。
それから程なくして、俺達は結婚指輪を購入したジュエリーショップに到着した。
店内に入ると……あのときと変わらず、静かで高級感のある空間だ。
「いらっしゃいませ」
女性の店員さんが俺達に声を掛けてきた。その店員さんは俺達が結婚指輪を購入した際に接客してくれた方だ。向こうもそれに気付いたのか、ニコッと笑ってお辞儀をしてきた。
「昨日の夕方に、結婚指輪が届いたと連絡していただいた長瀬と申します」
と、優奈が言う。優奈が「長瀬」と言うとグッとくるものがある。
「2週間ほど前にご購入された学生さんですよね。お待ちしておりました」
女性の店員さんは笑顔でそう言ってくれる。やっぱり、俺達のことを覚えてくれていたか。それが嬉しい。優奈も同じ気持ちなのか可愛い笑顔になっていた。
俺が注文書の控えを渡すと、店員さんにカウンターまで案内されて、椅子に座る。そういえば、結婚指輪を買ったときにもこの椅子に座ったっけ。ちょっと懐かしい気分になる。
案内されてから2、3分ほどで、店員さんが指輪を2つ乗っているトレーを持ってやってきた。トレーを置いた瞬間、優奈は「わぁっ」と可愛らしい声を漏らす。
「こちらになります」
「はいっ。素敵ですね! 和真君」
「ああ、そうだな。綺麗だ」
トレーには、俺達が選んだプラチナ製のシンプルなデザインの結婚指輪が2つ置かれている。このデザインは既製品だけど、ショーケースに飾られていたものよりも煌めいて見える。また、俺達の左手の薬指のサイズにそれぞれ合わせているから、パッと見てもサイズの違いが分かって。それが何だかいいなぁと思えた。
「まずはデザインと、指輪の内側に刻印された文字が合っているか確認していただけますか?」
「はいっ」
優奈が元気良く返事する。可愛いな。
俺達は結婚指輪を見て、デザインと内側に刻印された文字を確認する。また、指輪を買ったときにスマホで写真を撮っていたので、その写真と見比べながら。
「デザインはOKだな」
「そうですね。内側には注文通り『K&Y』と刻印されています」
「ああ。俺達の結婚指輪って感じがするな」
「ええ。刻印してもらって良かったですね。デザインと刻印された文字を確認しました。合っています」
「良かったです。では、次に指輪のサイズ確認をお願いします。大きい方が旦那様の和真様、小さい方が奥様の優奈様が付けるものになります」
「分かりましたっ」
指輪のサイズが合っているかどうかはとても重要だもんな。
ちゃんと、俺達の指に合っている指輪になっているだろうか。結婚指輪を購入したときに左手の薬指にサイズを測ってもらったけど。ちょっと緊張する。
俺は大きい方の指輪を手に取り、左手の薬指に付ける。
「……おおっ」
ビッタリだ。サイズを測ってもらったから当たり前かもしれないけど、サイズがピッタリなことに感動。思わず声が漏れてしまった。その声が聞こえたのか、店員さんはクスッと笑う。
「わぁっ……!」
優奈はそんな可愛らしい声を上げながら、自分の左手の薬指に付けた結婚指輪を見ている。嬉しそうな笑顔になっており、指輪を見る目が輝いている。凄く可愛いお嫁さんだ。
俺の視線を感じ取ったのか、優奈はこちらを向いてくる。指輪を付けている俺の左手を見ると優奈はニコッと笑った。
「俺の方はサイズがピッタリだったよ。キツくもゆるくもないから、付け心地がいい。優奈はどうだ?」
「私もピッタリで、付け心地がいいです。あと、結婚指輪が綺麗ですし、和真君と同じものを付けていることが凄く嬉しいです!」
「俺も優奈との結婚指輪を付けられて嬉しいよ。今の優奈の言葉を聞いてより嬉しくなった」
「そうですかっ」
「ふふっ、仲がよろしいですね。結婚指輪をご購入いただいたときよりも仲睦まじい感じがします」
女性の店員さんは柔らかい笑顔でそう言った。仲がいいと言ってもらえるのは嬉しいけど、ちょっと照れくさい気持ちもある。優奈も同じような気持ちなのか、頬をほんのりと赤らめて「えへへっ」と笑った。
「では、お二人とも指輪のサイズは大丈夫ということで」
「はい、大丈夫です」
「私も大丈夫です」
「良かったです。では、受け取りの手続きをしていきましょう」
その後、俺が指輪の受取書類にサインした。
また、結婚指輪を入れるケースを購入する。結婚指輪なので、2つ入れられる白いケースを購入した。
あと、俺はドーナッツ屋でバイトをしているので、バイト中は指輪が付けられない。なので、持ち歩き用のケースも購入。お揃いのデザインで、色は俺がベージュ、優奈が桃色のものを購入した。結婚指輪を無事に受け取れたからか、優奈はケースを選ぶときも嬉しそうで。
嬉しそうな優奈を見ていると、結婚指輪を買って本当に良かったと思えた。
午後2時過ぎ。
優奈と俺はNR東京中央線各駅停車の上り方面の列車に乗車する。近くに3席連続で空いている座席があるため、俺達は隣同士に座った。
どうして、俺達がこの電車に乗っているのかというと、
「完成した結婚指輪、楽しみですね!」
「楽しみだな」
そう。これから琴宿区にあるジュエリーショップに行き、2週間前に購入した俺達の結婚指輪を受け取りに行くためだ。
昨日の夕方頃に、ジュエリーショップから優奈のスマホに「結婚指輪が完成し、お店に届いた」と連絡が入った。今日は俺も優奈も特に予定がなかったので、今日の午後に受け取りに行くことにしたのだ。
結婚指輪が完成した連絡を受けてから、優奈は今のようにニコニコしていることが多い。俺と一緒に、デザインや刻印する文字を決めたからかな。それに、結婚指輪は俺達が結婚した証でもあるから、上機嫌な優奈を見ていると俺も嬉しい気持ちになってくる。フレアスカートに半袖のブラウスが似合っているのもあって本当に可愛く、優奈の笑顔を見るとドキッとすることも。
今日は晴れているから、車窓から見える景色が輝いて見える。晴れて良かったと思う。
「結婚指輪を見せて、家族が喜んでくれたら嬉しいです」
「きっと喜んでくれるさ」
結婚指輪を受け取った後は、指輪を見せるために優奈の実家に伺うことになっている。また、明日が母の日ということもあり、実家に向かう途中で優奈の母親の彩さんへのプレゼントを買う予定だ。優奈のご家族が喜んでくれたら嬉しいな。
母の日当日である明日は、俺のバイトが終わった後に、母さんへの母の日のプレゼントを持って、俺の実家に行く予定だ。その際に、俺の家族に結婚指輪を見せることになっている。俺の家族も喜んでくれると嬉しい。
優奈と話していたのもあり、琴宿駅までの7分間はあっという間だった。
琴宿駅で電車を降りて、俺達はジュエリーショップに一番近い南口の改札に向かって歩き出す。
ゴールデンウィークは明けたけど、土曜日のお昼過ぎなのもあって琴宿駅の中には多くの人がいる。その中にはこちらを見てくる人が何人もいて。優奈と結婚して半月以上経ったので、こうして人の視線が集まることにも慣れてきた。
南口の改札を通り、俺達は琴宿駅を出て、ジュエリーショップへ向かう。
何度来ても、商業施設や高層ビルが集まり、たくさんの人が行き交う琴宿駅周辺の景色は凄いなって思う。
「和真君と結婚してから半月ほどですが、この道は何度も歩いていますね」
「そうだな。結婚指輪を買った初デートに5連休中の映画デート。それで今回か。これまで、琴宿に来るのは年に数回程度だったから、半月に3回はかなり来ている感じがする」
「頻度が物凄く上がりましたね」
「ああ。優奈と結婚したおかげだな」
独身のままだったら、半月に3回も琴宿に来ることはなかっただろうから。
そういえば、優奈と一緒に琴宿に来たのは全て土曜日だな。優奈がいなければ、3週連続で土曜日に来ることもなかっただろう。
「和真君と結婚指輪を買いに来たのは2週間前ですか。もっと昔のことのように感じますね」
「そうだな。2週間の中で色々なことがあったからなぁ」
「ですね。あと、5連休の初日に今の家に引っ越したのも大きいかと」
「それは言えてるな」
住む環境と一緒に住んでいる人が変わったのはかなり大きい。実家で暮らしていた日々が昔のことになり始めている。優奈と一緒に新居で暮らすことに慣れてきたからだろうか。
それから程なくして、俺達は結婚指輪を購入したジュエリーショップに到着した。
店内に入ると……あのときと変わらず、静かで高級感のある空間だ。
「いらっしゃいませ」
女性の店員さんが俺達に声を掛けてきた。その店員さんは俺達が結婚指輪を購入した際に接客してくれた方だ。向こうもそれに気付いたのか、ニコッと笑ってお辞儀をしてきた。
「昨日の夕方に、結婚指輪が届いたと連絡していただいた長瀬と申します」
と、優奈が言う。優奈が「長瀬」と言うとグッとくるものがある。
「2週間ほど前にご購入された学生さんですよね。お待ちしておりました」
女性の店員さんは笑顔でそう言ってくれる。やっぱり、俺達のことを覚えてくれていたか。それが嬉しい。優奈も同じ気持ちなのか可愛い笑顔になっていた。
俺が注文書の控えを渡すと、店員さんにカウンターまで案内されて、椅子に座る。そういえば、結婚指輪を買ったときにもこの椅子に座ったっけ。ちょっと懐かしい気分になる。
案内されてから2、3分ほどで、店員さんが指輪を2つ乗っているトレーを持ってやってきた。トレーを置いた瞬間、優奈は「わぁっ」と可愛らしい声を漏らす。
「こちらになります」
「はいっ。素敵ですね! 和真君」
「ああ、そうだな。綺麗だ」
トレーには、俺達が選んだプラチナ製のシンプルなデザインの結婚指輪が2つ置かれている。このデザインは既製品だけど、ショーケースに飾られていたものよりも煌めいて見える。また、俺達の左手の薬指のサイズにそれぞれ合わせているから、パッと見てもサイズの違いが分かって。それが何だかいいなぁと思えた。
「まずはデザインと、指輪の内側に刻印された文字が合っているか確認していただけますか?」
「はいっ」
優奈が元気良く返事する。可愛いな。
俺達は結婚指輪を見て、デザインと内側に刻印された文字を確認する。また、指輪を買ったときにスマホで写真を撮っていたので、その写真と見比べながら。
「デザインはOKだな」
「そうですね。内側には注文通り『K&Y』と刻印されています」
「ああ。俺達の結婚指輪って感じがするな」
「ええ。刻印してもらって良かったですね。デザインと刻印された文字を確認しました。合っています」
「良かったです。では、次に指輪のサイズ確認をお願いします。大きい方が旦那様の和真様、小さい方が奥様の優奈様が付けるものになります」
「分かりましたっ」
指輪のサイズが合っているかどうかはとても重要だもんな。
ちゃんと、俺達の指に合っている指輪になっているだろうか。結婚指輪を購入したときに左手の薬指にサイズを測ってもらったけど。ちょっと緊張する。
俺は大きい方の指輪を手に取り、左手の薬指に付ける。
「……おおっ」
ビッタリだ。サイズを測ってもらったから当たり前かもしれないけど、サイズがピッタリなことに感動。思わず声が漏れてしまった。その声が聞こえたのか、店員さんはクスッと笑う。
「わぁっ……!」
優奈はそんな可愛らしい声を上げながら、自分の左手の薬指に付けた結婚指輪を見ている。嬉しそうな笑顔になっており、指輪を見る目が輝いている。凄く可愛いお嫁さんだ。
俺の視線を感じ取ったのか、優奈はこちらを向いてくる。指輪を付けている俺の左手を見ると優奈はニコッと笑った。
「俺の方はサイズがピッタリだったよ。キツくもゆるくもないから、付け心地がいい。優奈はどうだ?」
「私もピッタリで、付け心地がいいです。あと、結婚指輪が綺麗ですし、和真君と同じものを付けていることが凄く嬉しいです!」
「俺も優奈との結婚指輪を付けられて嬉しいよ。今の優奈の言葉を聞いてより嬉しくなった」
「そうですかっ」
「ふふっ、仲がよろしいですね。結婚指輪をご購入いただいたときよりも仲睦まじい感じがします」
女性の店員さんは柔らかい笑顔でそう言った。仲がいいと言ってもらえるのは嬉しいけど、ちょっと照れくさい気持ちもある。優奈も同じような気持ちなのか、頬をほんのりと赤らめて「えへへっ」と笑った。
「では、お二人とも指輪のサイズは大丈夫ということで」
「はい、大丈夫です」
「私も大丈夫です」
「良かったです。では、受け取りの手続きをしていきましょう」
その後、俺が指輪の受取書類にサインした。
また、結婚指輪を入れるケースを購入する。結婚指輪なので、2つ入れられる白いケースを購入した。
あと、俺はドーナッツ屋でバイトをしているので、バイト中は指輪が付けられない。なので、持ち歩き用のケースも購入。お揃いのデザインで、色は俺がベージュ、優奈が桃色のものを購入した。結婚指輪を無事に受け取れたからか、優奈はケースを選ぶときも嬉しそうで。
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