ルピナス

桜庭かなめ

文字の大きさ
84 / 302
第3章

第18話『たまご』

しおりを挟む
 渚の家に行くのは4月以来だったので、緊張よりも懐かしさの方が強かった。
 俺と彩花で渚を彼女の部屋に連れて行く。こんな形ではあるけど、まさか渚の部屋で3人で過ごす瞬間が来るとは。以前、渚の家でお世話になったときには想像もできなかった。

「渚先輩、とりあえずベッドに横になっていてください」
「うん」

 渚は制服姿のまま、彩花の言うようにベッドに横になる。

「まずは体を綺麗にして寝間着に着替えないといけませんね」
「じゃあ、俺は台所でお粥とか消化のいいものを作ってくるよ。渚、何か食べたいものとかあるか?」
「……直人の作るものなら何でも。ていうか、直人って料理作れたんだね」

 俺って料理ができないイメージを持たれていたのか。去年、家庭科の調理実習があったはずだけど、そのときは別の班だったな。

「彩花が来るまでの1年間はずっと自炊してたんだ。もちろん、洗濯や掃除などの家事も。彩花ほど上手くは作れないけど、それなりにはできるぞ」

 そうは言っても、最近は彩花に頼りきりだから腕が鈍っているかもしれないな。

「じゃあ、玉子が入ったお粥が食べたい」
「分かった」

 玉子が入ったお粥かぁ、いいよなぁ。岩のりとかをまぶしたらかなり美味しいんだ。

「何が直人をここまで柔らかい表情にさせているんだろう……」
「ん? いや、玉子粥は最高だと思っていただけだ」
「直人先輩、食べたいものを訊くと大抵は卵を使った料理なんですよ」
「そっか。……何か、今の彩花ちゃんの言葉が物凄く奥さんっぽくて羨ましいというか、悔しいというか」

 渚は笑いながらそう言った。

「直人先輩の奥さんみたいですか。う、嬉しい……」

 彩花はうっとりした表情をしている。どうやら、渚から俺の奥さんのようだと言われてかなり嬉しかったようだ。

「じゃあ、俺は玉子粥を作ってくるから」

 俺はそう言って、渚の部屋を出て1階の台所に向かう。美穂さんがまだ作っていないといいんだけど。
 台所に行くと、美穂さんが夕飯の準備をしようとしていたところだった。

「あら、藍沢君。2人に追い出されちゃった?」
「さすがに着替えの場にいるのはまずいですからね。あと、渚が玉子粥を食べたいと言ったので作ろうと思いまして」
「そうなの。もちろん作っていいけど、藍沢君って料理はできるの?」
「できますよ。1年生のときは1人暮らししていましたから」
「じゃあ、渚の夜ご飯は藍沢君に任せるわ。私は藍沢君と彩花ちゃんの夜ご飯を作るから。何か食べたいものとかある? 卵ならたくさんあるけど」

 何で卵と言うんだろう。そんなに食べたそうな表情をしていたのかな。実際に卵料理を食べたいから、お言葉に甘えてしまおう。

「パッと思いついたのがオムライスなんですけど、いいですか?」
「分かったわ。ふふっ、藍沢君が初めて子供っぽく見えたわ。高校生の男の子って可愛いのね」

 可愛いって言われたこと久しくなかったな。小学生以来じゃないだろうか。

「ご飯も多めに炊いてあるし、材料も揃っているから好きに使ってね」
「ありがとうございます」

 俺は美穂さんの横で玉子粥を作り始める。

「へえ、慣れた手つきね。渚の旦那さんにするには最高ね。あの子、料理はそこまで得意じゃないから」
「玉子粥は簡単ですよ。特に何か材料を切るわけでもないですし。それよりも、今からオムライスが楽しみなんですけど」
「あらあら、プレッシャーをかけてくれるじゃない。でも、料理好きな息子がいるとこんな感じなのかもね。もしかしたら、将来、義理の息子になるかもしれないけど」
「あはは……」

 めぐみさんのときもそうだったけど、親からのプレッシャーは凄いな。2人とも俺のことを信頼してくれているから、今のように言うのだと思うけど。

「ねえ、藍沢君。渚や彩花ちゃんのことは好き?」

 そう訊かれたとき、一瞬、胸が苦しくなった。

「……大切な人です。それは広瀬咲という女の子も同じです」

 好きかどうかをどうにかごまかしたくて、俺はそんな風に答える。

「……そう。大切だからこそ、答えが出せないのね」
「……渚から聞いていると思いますが、俺は一度、答えを出した後に1人の女の子を亡くしているんです。ですから、答えを出すのが怖いんです。でも、今……答えが出せていないから、渚が倒れることになった。もし、もっとひどいことになっていたらと思うと、俺はどうしていいのか分からなくなってきました」

 そう、咲の設けたリミットまでに答えが出せなかったからこそ、決勝ラウンドに持ち込むことになってしまった。そのことで渚は普段以上の練習をするようになり、体調を崩してしまったんだ。
 決めても、決めなくても。自分が存在していること自体で誰かを苦しめる。それこそ俺の持っている『悪』なんだ。

「ごめんなさい。こんなことを話して」
「気にしないでいいわよ。でも、藍沢君は幸せ者ね。何人もの人から大切に想われていて、自分も大切に想っている。それはとても素敵なことだと思う」
「……そうですか」

 俺はこんな自分自身のことが醜くなっているけど。
 ふぅっ……と美穂さんは長く息を吐く。

「藍沢君には酷かもしれないけど、誰も傷付かない選択肢ってないんじゃないかしら。だから、たくさん悩んだ方がいいわ。よく考えた上での決断なら、渚も彩花ちゃんも、広瀬さんっていう女の子も、その傷を乗り越えられるんじゃないかしら」
「……父にも同じようなことを言われました」

 それができるほど、俺は強い人間じゃない。だから、咲が決勝ラウンドで勝負を決すると言ってくれたとき、少し気が楽になった自分がいる。

「でも、いつか……答えを出せるときが来るんですかね」
「……来るわよ、きっと。みんなも納得できる答えを出せるときがね。ただ、前にも言ったけど、渚を恋人にするっていう答えなら母として嬉しいわ」

 娘を恋人にさせたい気持ちは分かるけれど、どうして美穂さんは体が触れそうになるくらいになるまで近づくのか。まるで自分を売り込んでいるように。

「渚が大人になったら、私みたいになるかもしれないわね」
「似ていますもんね」

 見た目だけは。

「あっ、今……見た目だけ似ているって思ったでしょ」
「まさにその通りですけど、決して悪い意味じゃないですよ。何というか、渚は爽やかで活発な感じですけど、美穂さんは穏やかな雰囲気があって。俺はどっちも素敵だなと思います」

 どちらかというと、中身は彩花に似ている部分が多いかも。
 気付けば、美穂さんの頬が赤くなっていた。美穂さんは上目遣いで俺のことを見てくる。

「……私が渚と同じ高校生だったら、藍沢君のことを好きになっていたかも」
「……旦那さんにそれを言わないでくださいね」

 今と同じようなやり取りを、めぐみさんにもしたような気がする。

「ねえ、藍沢君」
「なんですか?」
「……今夜、一緒に寝よっか?」
「何を言うかと思えば!」

 同級生の女子の母親と寝るなんて絶対にごめんだ! ていうか、まず、娘のクラスメイトの男子と一緒に寝ようと思うのがおかしいだろう。

「だって、体調を崩している渚と同じ部屋に寝るわけにはいかないでしょ。あと、このくらいの息子がいたらと思ったら一度寝てみたくて」
「結局は自分の願望ですか。ていうか、4月に泊まりに来たときに、勝手に俺の側で寝ていたじゃないですか!」
「そういえばそうね。あのときは凄くドキドキしたわ」

 どうしよう、このままだと美穂さんと一緒に寝る流れになってしまいそうだ。

「でも、俺と彩花に一緒に寝てほしいと渚が甘えるかもしれません」
「甘えは甘えでも限度ってものがあるじゃない、物理的に」
「それはそうですけど」
「私の部屋は結構広いし、ベッドもダブルだし一緒に寝ても大丈夫よ」

 そこまで娘世代の男と寝たいのか。娘と2人暮らしで旦那さんの愛が欲しい時期なんじゃないですか。近いうちに帰ってきてあげてください。

「ふえっ? い、一緒に寝る、ですか……?」

 その瞬間、背筋が凍った。
 ゆっくりと振り返ると、バスタオルを持った彩花が、複雑そうな表情をして俺と美穂さんのことを見ていた。

「そうなの。息子がいたらどんな感じなのかなぁって」
「わ、私にはお2人が仲良くイ……イチャイチャしているようにしか見えませんでした! 私はいけない瞬間を見てしまったのですね。前にも一緒に寝たことがあると美穂さんが仰っていましたし……」

 こ、こいつ……結構前から聞いていたのかよ。それなら止めてくれればいいのに。

「落ち着け、彩花。これは美穂さんの悪戯心というやつで……」
「私は本気だけど」

 そういうことを言うのが悪戯心なんだよ! と、心の中で突っ込む。
 こうなったら、最終奥義だ。

「……あっ、ごめんなさい。俺、今日は彩花と一緒に寝る約束を今、思い出しました」

 もちろん、そんな約束はしていないけど、この状況を切り抜けるにはこれしか方法はない。
 彩花はとまどっている様子だけど、俺がウインクをして何とか意思を伝える。
 すると、彩花は分かってくれたようで、俺に向かって小さく頷く。

「そ、そうなんです。渚先輩と同じ部屋で寝るのはいけないですし。じゃあ、2人でどこか別の部屋で一緒に寝ないとねって話していたんですよ。私達、寮では一緒に寝るときもありますから、同じ部屋でもかまわないのですが……」

 さすがは彩花。俺と2ヶ月以上一緒に住んでいるだけはある。とっさのことだったのに最高の対応をしてくれた。

「そうだったの。残念ねぇ。じゃあ、藍沢君と一緒に寝るのはまたの機会で。客間があるから、2人はそこで一緒に寝てね」

 美穂さんは本当に残念そうにしている。本気で俺と寝ようとしていたんだな。そして、諦めてもいないんだな。

「それよりも、直人先輩。玉子粥はそろそろできそうですか? 渚先輩、家に帰ってきて安心したのかお腹が空いているので」
「そうか。もうすぐできるよ」
「あと、直人先輩に食べさせてほしいというご注文が」
「了解」

 直接言えばいいのにと思ったけど、なかなか言えないか。体調も崩しているし。それでも甘えてくれて嬉しいし安心する。

「じゃあ、渚に玉子粥を食べさせ終わったら、私達も夕飯にしましょうか。今日は藍沢君の要望でオムライスよ」
「さすがは直人先輩ですね」

 クスクスと笑う彩花。
 玉子粥は無事に完成。渚の部屋へと持って行き、渚に食べさせてあげると彼女は嬉しそうな笑みを浮かべていた。たまに美味しいと言い、全部食べてくれたことがとても嬉しかったのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラスメイトの王子様系女子をナンパから助けたら。

桜庭かなめ
恋愛
 高校2年生の白石洋平のクラスには、藤原千弦という女子生徒がいる。千弦は美人でスタイルが良く、凛々しく落ち着いた雰囲気もあるため「王子様」と言われて人気が高い。千弦とは教室で挨拶したり、バイト先で接客したりする程度の関わりだった。  とある日の放課後。バイトから帰る洋平は、駅前で男2人にナンパされている千弦を見つける。普段は落ち着いている千弦が脚を震わせていることに気付き、洋平は千弦をナンパから助けた。そのときに洋平に見せた笑顔は普段みんなに見せる美しいものではなく、とても可愛らしいものだった。  ナンパから助けたことをきっかけに、洋平は千弦との関わりが増えていく。  お礼にと放課後にアイスを食べたり、昼休みに一緒にお昼ご飯を食べたり、お互いの家に遊びに行ったり。クラスメイトの王子様系女子との温かくて甘い青春ラブコメディ!  ※特別編2が完結しました!(2025.9.15)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、いいね、感想などお待ちしております。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

管理人さんといっしょ。

桜庭かなめ
恋愛
 桐生由弦は高校進学のために、学校近くのアパート「あけぼの荘」に引っ越すことに。  しかし、あけぼの荘に向かう途中、由弦と同じく進学のために引っ越す姫宮風花と二重契約になっており、既に引っ越しの作業が始まっているという連絡が来る。  風花に部屋を譲ったが、あけぼの荘に空き部屋はなく、由弦の希望する物件が近くには一切ないので、新しい住まいがなかなか見つからない。そんなとき、 「責任を取らせてください! 私と一緒に暮らしましょう」  高校2年生の管理人・白鳥美優からのそんな提案を受け、由弦と彼女と一緒に同居すると決める。こうして由弦は1学年上の女子高生との共同生活が始まった。  ご飯を食べるときも、寝るときも、家では美少女な管理人さんといつもいっしょ。優しくて温かい同居&学園ラブコメディ!  ※特別編11が完結しました!(2025.6.20)  ※お気に入り登録や感想をお待ちしております。

まずはお嫁さんからお願いします。

桜庭かなめ
恋愛
 高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。  4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。  総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。  いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。  デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!  ※特別編6が完結しました!(2025.11.25)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想をお待ちしております。

10年ぶりに再会した幼馴染と、10年間一緒にいる幼馴染との青春ラブコメ

桜庭かなめ
恋愛
 高校生の麻丘涼我には同い年の幼馴染の女の子が2人いる。1人は小学1年の5月末から涼我の隣の家に住み始め、約10年間ずっと一緒にいる穏やかで可愛らしい香川愛実。もう1人は幼稚園の年長組の1年間一緒にいて、卒園直後に引っ越してしまった明るく活発な桐山あおい。涼我は愛実ともあおいとも楽しい思い出をたくさん作ってきた。  あおいとの別れから10年。高校1年の春休みに、あおいが涼我の家の隣に引っ越してくる。涼我はあおいと10年ぶりの再会を果たす。あおいは昔の中性的な雰囲気から、清楚な美少女へと変わっていた。  3人で一緒に遊んだり、学校生活を送ったり、愛実とあおいが涼我のバイト先に来たり。春休みや新年度の日々を通じて、一度離れてしまったあおいとはもちろんのこと、ずっと一緒にいる愛実との距離も縮まっていく。  出会った早さか。それとも、一緒にいる長さか。両隣の家に住む幼馴染2人との温かくて甘いダブルヒロイン学園青春ラブコメディ!  ※特別編5が完結しました!(2025.7.6)  ※小説家になろう(N9714HQ)とカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録や感想をお待ちしております。

友達の妹が、入浴してる。

つきのはい
恋愛
 「交換してみない?」  冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。  それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。  鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。  冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。  そんなラブコメディです。

あの日、幼稚園児を助けたけど、歳の差があり過ぎてその子が俺の運命の人になるなんて気付くはずがない。

NOV
恋愛
俺の名前は鎌田亮二、18歳の普通の高校3年生だ。 中学1年の夏休みに俺は小さい頃から片思いをしている幼馴染や友人達と遊園地に遊びに来ていた。 しかし俺の目の前で大きなぬいぐるみを持った女の子が泣いていたので俺は迷子だと思いその子に声をかける。そして流れで俺は女の子の手を引きながら案内所まで連れて行く事になった。 助けた女の子の名前は『カナちゃん』といって、とても可愛らしい女の子だ。 無事に両親にカナちゃんを引き合わす事ができた俺は安心して友人達の所へ戻ろうとしたが、別れ間際にカナちゃんが俺の太ももに抱き着いてきた。そしてカナちゃんは大切なぬいぐるみを俺にくれたんだ。 だから俺もお返しに小学生の頃からリュックにつけている小さなペンギンのぬいぐるみを外してカナちゃんに手渡した。 この時、お互いの名前を忘れないようにぬいぐるみの呼び名を『カナちゃん』『りょうくん』と呼ぶ約束をして別れるのだった。 この時の俺はカナちゃんとはたまたま出会い、そしてたまたま助けただけで、もう二度とカナちゃんと会う事は無いだろうと思っていたんだ。だから当然、カナちゃんの事を運命の人だなんて思うはずもない。それにカナちゃんの初恋の相手が俺でずっと想ってくれていたなんて考えたことも無かった…… 7歳差の恋、共に大人へと成長していく二人に奇跡は起こるのか? NOVがおおくりする『タイムリープ&純愛作品第三弾(三部作完結編)』今ここに感動のラブストーリーが始まる。 ※この作品だけを読まれても普通に面白いです。 関連小説【初恋の先生と結婚する為に幼稚園児からやり直すことになった俺】     【幼馴染の彼に好きって伝える為、幼稚園児からやり直す私】

恋人、はじめました。

桜庭かなめ
恋愛
 紙透明斗のクラスには、青山氷織という女子生徒がいる。才色兼備な氷織は男子中心にたくさん告白されているが、全て断っている。クールで笑顔を全然見せないことや銀髪であること。「氷織」という名前から『絶対零嬢』と呼ぶ人も。  明斗は半年ほど前に一目惚れしてから、氷織に恋心を抱き続けている。しかし、フラれるかもしれないと恐れ、告白できずにいた。  ある春の日の放課後。ゴミを散らしてしまう氷織を見つけ、明斗は彼女のことを助ける。その際、明斗は勇気を出して氷織に告白する。 「これまでの告白とは違い、胸がほんのり温かくなりました。好意からかは分かりませんが。断る気にはなれません」 「……それなら、俺とお試しで付き合ってみるのはどうだろう?」  明斗からのそんな提案を氷織が受け入れ、2人のお試しの恋人関係が始まった。  一緒にお昼ご飯を食べたり、放課後デートしたり、氷織が明斗のバイト先に来たり、お互いの家に行ったり。そんな日々を重ねるうちに、距離が縮み、氷織の表情も少しずつ豊かになっていく。告白、そして、お試しの恋人関係から始まる甘くて爽やかな学園青春ラブコメディ!  ※夏休み小話編2が完結しました!(2025.10.16)  ※小説家になろう(N6867GW)、カクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想などお待ちしています。

処理中です...