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最終章
第22話『つるぎ-中編-』
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お見舞いにやってきた美月と美緒。
当然、御子柴さんとは初対面になるわけで。幸い、御子柴さんが寝間着姿なのもあって、変に誤解されるようなことはないと思うけど。
「彼女達は藍沢君のご家族かい?」
さっきまで、俺と話していたときと同じ口調で御子柴さんが話してくれるので、変な空気にならずに済みそうだ。
「俺と同じ髪の色の方が、俺の妹で中2の藍沢美月。それで、黒いおさげの髪の方が、俺の実家のある地域に住んでいる同級生の幼なじみの椎名美緒。俺がこういう状態だからっていうのもあるんだけど、夏休みだから月原に遊びに来ているんだよ」
「へえ、そうなんだ。美緒ちゃんに美月ちゃんか」
御子柴さんはにっこりと笑顔を見せて、
「初めまして。僕、藍沢君と同じ高校に通っている御子柴香苗といいます。といっても、彼とは昨日初めてまともに話したんだけどね」
「そうなんですか。初めまして、私、椎名美緒といいます。なおくんの言ったように、彼の……幼なじみです」
「初めまして、藍沢美月です」
「可愛らしい妹さんと幼なじみさんだね。さすがは藍沢君、可愛い女の子に囲まれているねぇ。女バスでも可愛い女の子達と一緒にいるじゃないか」
「た、たまたまじゃないかな」
コメントに困る。
御子柴さんの気さくな性格が功を奏し、すぐにいい空気へと変わっていく。きっと、御子柴さんは剣道部でも慕われているんだろうな。
「というか、女バスでの俺を知っていたんだ」
「ああ。剣道部の行き帰りでたまに見かけていたからね」
「なるほどなぁ」
「へえ、御子柴さんって剣道をやっているんだね」
「まあね。だから、藍沢君のことは高校を入学する直前から知ってたんだ。彼、中学のときに地区大会で優勝した経験があるでしょ」
「そうだね。個人戦で2連覇して取材も受けてたよね」
「剣道大会で優勝したお兄ちゃん、かっこよかったなぁ」
俺の剣道に関する思い出を語る美月と美緒の顔は、とてもいきいきとしていた。そんな2人を見ていると胸が締め付けられる。
「優勝したときの記事を見て、僕は藍沢君のことを知ったんだ。だから、一方的に彼のことを知っていたんだよ」
「そうだったんだ。凄いね、なおくん。いつの間にかそんな存在になっていたなんて」
「……自分でもびっくりだよ」
優勝したのは地方の大会だったし、地方新聞社のネット記事になるとは知っていたけど、まさか……月原に住んでいる女の子に読まれていたなんて。本当に予想外のことばかりである。
「月原高校に入学して、仮入部期間に藍沢君と会えたときは興奮したんだけどな」
「えっ、なおくん……仮入部してたの?」
「そうなの? お兄ちゃん」
美月と美緒は驚いた表情を見せている。
確かに、思い返せばこのことを言うのは初めてだったし、唯の事件を境に剣道から離れ、竹刀を握ることすらなかったから、2人が驚いてしまうのは無理もないのかも。
「高校に入学した直後に一度、剣道部を見学していただけだよ。仮入部さえしなかった。ただ、そのときにはもう御子柴さんは入部を決意していて、練習に参加していたんだってさ」
「へえ、そうなんだ……」
「憧れの人の姿が見えたら、興奮しちゃいますよね」
美月は冷静さを取り戻しているけど、美緒はまださっきの驚きの余韻が残っているみたいだ。かつて、俺を一番近くで見てきただけあって、剣道部を見学していたことにかなり驚いてしまったんだな。
「藍沢君と一緒に剣道ができれば一番良かったんだけどね。うちの剣道部は男女一緒に活動しているから。でも、彼にも剣道をしない理由はあるみたいだし、女バスのサポートもしているからね……」
笑顔を見せながら御子柴さんはそう言ってくれたけど、彼女の目はどこか寂しそうに見えた。それはあのときの唯と重なる。
「どうしたの? 藍沢君、思い詰めたような表情をして」
「……あっ、いや……何でもない」
本当に……今もなお、唯を思い出すと周りが見えなくなることがある。
「ただ、今の藍沢君の表情や、美緒ちゃんや美月ちゃんの反応を見る限り、藍沢君が剣道から離れた理由は相当なものなんだろうね」
御子柴さんはしんみりとした表情をしながらそう言った。理由を察したためか、さっきとは違ってどんな経緯で剣道から離れることになったのか訊こうとしない。
今なら、御子柴さんに理由を話せるかもしれない。つまり、2年前に起こった唯の事件のことを。
「なおくん……」
「……彼女になら話せるかもしれない」
当時の俺達に全く関わりのない、剣道好きな女の子である御子柴さんなら、今の俺の状況を打破するようなことを言ってくれるかもしれない。そんな期待……いや、甘い考えを抱いている自分がいる。
ただ、ここで何も話さなければ……何も変わることができない。それだけは確実だと思った。
「俺が、剣道を辞めた理由は――」
「なおくん」
意を決し、御子柴さんに唯のことを話し始めようとしたとき、美緒が割って入る。
「今から話そうとしていることは、なおくんが何度も苦しんでいることなんだよ。なおくんには……辛い想いはなるべくさせたくないの」
美緒はそう話すと、ゆっくりと首を横に振った。
「藍沢君、無理して僕に理由を言わなくてもいいんだよ」
御子柴さんも温かい言葉をかけてくれる。
俺のことを心配する美緒の気持ちは痛いほどに分かる。けれど、
「たぶん、話すと辛い気持ちになると思う。それでも、剣道が大好きな御子柴さんには俺が剣道を離れた理由を知っておいてほしいと思ったんだ」
力になりたいという御子柴さんの想いにも応えたいから。それに、いつまでも逃げてばかりではいられないと御子柴さんを話していて少しずつ思い始めてきたんだ。
「……分かったよ、なおくん。でも、無理はしないでね」
「気になったところを訊くかもしれないけど、そのときはもちろん、藍沢君の言える範囲でかまわない」
「……ああ」
いざ話すことになると、どこから話そうか迷うな。でも、俺が剣道をしなくなった決定的な理由だけは最初に話すべきかな。
「2年以上前、柴崎唯っていう剣道の大好きな女の子が亡くなったんだ」
俺は剣道から離れた理由を御子柴さんに話し始めるのであった。
当然、御子柴さんとは初対面になるわけで。幸い、御子柴さんが寝間着姿なのもあって、変に誤解されるようなことはないと思うけど。
「彼女達は藍沢君のご家族かい?」
さっきまで、俺と話していたときと同じ口調で御子柴さんが話してくれるので、変な空気にならずに済みそうだ。
「俺と同じ髪の色の方が、俺の妹で中2の藍沢美月。それで、黒いおさげの髪の方が、俺の実家のある地域に住んでいる同級生の幼なじみの椎名美緒。俺がこういう状態だからっていうのもあるんだけど、夏休みだから月原に遊びに来ているんだよ」
「へえ、そうなんだ。美緒ちゃんに美月ちゃんか」
御子柴さんはにっこりと笑顔を見せて、
「初めまして。僕、藍沢君と同じ高校に通っている御子柴香苗といいます。といっても、彼とは昨日初めてまともに話したんだけどね」
「そうなんですか。初めまして、私、椎名美緒といいます。なおくんの言ったように、彼の……幼なじみです」
「初めまして、藍沢美月です」
「可愛らしい妹さんと幼なじみさんだね。さすがは藍沢君、可愛い女の子に囲まれているねぇ。女バスでも可愛い女の子達と一緒にいるじゃないか」
「た、たまたまじゃないかな」
コメントに困る。
御子柴さんの気さくな性格が功を奏し、すぐにいい空気へと変わっていく。きっと、御子柴さんは剣道部でも慕われているんだろうな。
「というか、女バスでの俺を知っていたんだ」
「ああ。剣道部の行き帰りでたまに見かけていたからね」
「なるほどなぁ」
「へえ、御子柴さんって剣道をやっているんだね」
「まあね。だから、藍沢君のことは高校を入学する直前から知ってたんだ。彼、中学のときに地区大会で優勝した経験があるでしょ」
「そうだね。個人戦で2連覇して取材も受けてたよね」
「剣道大会で優勝したお兄ちゃん、かっこよかったなぁ」
俺の剣道に関する思い出を語る美月と美緒の顔は、とてもいきいきとしていた。そんな2人を見ていると胸が締め付けられる。
「優勝したときの記事を見て、僕は藍沢君のことを知ったんだ。だから、一方的に彼のことを知っていたんだよ」
「そうだったんだ。凄いね、なおくん。いつの間にかそんな存在になっていたなんて」
「……自分でもびっくりだよ」
優勝したのは地方の大会だったし、地方新聞社のネット記事になるとは知っていたけど、まさか……月原に住んでいる女の子に読まれていたなんて。本当に予想外のことばかりである。
「月原高校に入学して、仮入部期間に藍沢君と会えたときは興奮したんだけどな」
「えっ、なおくん……仮入部してたの?」
「そうなの? お兄ちゃん」
美月と美緒は驚いた表情を見せている。
確かに、思い返せばこのことを言うのは初めてだったし、唯の事件を境に剣道から離れ、竹刀を握ることすらなかったから、2人が驚いてしまうのは無理もないのかも。
「高校に入学した直後に一度、剣道部を見学していただけだよ。仮入部さえしなかった。ただ、そのときにはもう御子柴さんは入部を決意していて、練習に参加していたんだってさ」
「へえ、そうなんだ……」
「憧れの人の姿が見えたら、興奮しちゃいますよね」
美月は冷静さを取り戻しているけど、美緒はまださっきの驚きの余韻が残っているみたいだ。かつて、俺を一番近くで見てきただけあって、剣道部を見学していたことにかなり驚いてしまったんだな。
「藍沢君と一緒に剣道ができれば一番良かったんだけどね。うちの剣道部は男女一緒に活動しているから。でも、彼にも剣道をしない理由はあるみたいだし、女バスのサポートもしているからね……」
笑顔を見せながら御子柴さんはそう言ってくれたけど、彼女の目はどこか寂しそうに見えた。それはあのときの唯と重なる。
「どうしたの? 藍沢君、思い詰めたような表情をして」
「……あっ、いや……何でもない」
本当に……今もなお、唯を思い出すと周りが見えなくなることがある。
「ただ、今の藍沢君の表情や、美緒ちゃんや美月ちゃんの反応を見る限り、藍沢君が剣道から離れた理由は相当なものなんだろうね」
御子柴さんはしんみりとした表情をしながらそう言った。理由を察したためか、さっきとは違ってどんな経緯で剣道から離れることになったのか訊こうとしない。
今なら、御子柴さんに理由を話せるかもしれない。つまり、2年前に起こった唯の事件のことを。
「なおくん……」
「……彼女になら話せるかもしれない」
当時の俺達に全く関わりのない、剣道好きな女の子である御子柴さんなら、今の俺の状況を打破するようなことを言ってくれるかもしれない。そんな期待……いや、甘い考えを抱いている自分がいる。
ただ、ここで何も話さなければ……何も変わることができない。それだけは確実だと思った。
「俺が、剣道を辞めた理由は――」
「なおくん」
意を決し、御子柴さんに唯のことを話し始めようとしたとき、美緒が割って入る。
「今から話そうとしていることは、なおくんが何度も苦しんでいることなんだよ。なおくんには……辛い想いはなるべくさせたくないの」
美緒はそう話すと、ゆっくりと首を横に振った。
「藍沢君、無理して僕に理由を言わなくてもいいんだよ」
御子柴さんも温かい言葉をかけてくれる。
俺のことを心配する美緒の気持ちは痛いほどに分かる。けれど、
「たぶん、話すと辛い気持ちになると思う。それでも、剣道が大好きな御子柴さんには俺が剣道を離れた理由を知っておいてほしいと思ったんだ」
力になりたいという御子柴さんの想いにも応えたいから。それに、いつまでも逃げてばかりではいられないと御子柴さんを話していて少しずつ思い始めてきたんだ。
「……分かったよ、なおくん。でも、無理はしないでね」
「気になったところを訊くかもしれないけど、そのときはもちろん、藍沢君の言える範囲でかまわない」
「……ああ」
いざ話すことになると、どこから話そうか迷うな。でも、俺が剣道をしなくなった決定的な理由だけは最初に話すべきかな。
「2年以上前、柴崎唯っていう剣道の大好きな女の子が亡くなったんだ」
俺は剣道から離れた理由を御子柴さんに話し始めるのであった。
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