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特別編-入れ替わりの夏-
第8話『カラメル-中編-』
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ホテルによる花火大会が終わって、俺と彩花は部屋に付いているお風呂に入ることに。
午後に彩花が言っていたように、俺達が住んでいる部屋の風呂よりも広く、これなら2人で入ってもゆったりと浸かれそうだ。
準備もできたので、俺は彩花と一緒にお風呂に入る。
彩花の希望で俺、彩花の順番で髪と体を洗うことに。さっそく、髪を洗おうとシャンプーに手を伸ばしたときだった。
「直人先輩、私が洗いますよ」
「いいの?」
「はい。直人先輩の髪を洗って、背中を流してみたかったんです」
「そういえば、一緒に家の風呂に入ったり、温泉に浸かったりしたことはあるけど、髪や体を洗ってもらったことはなかったな」
家の風呂の湯船には何度か一緒に入ったことはある。そして以前、俺の家族と一緒に旅行へ行ったときには、彩花と一緒に部屋に付いている露天風呂に入ったことも。
もしかして、俺の髪や体を洗ってみることも、この旅行でしたかったことの1つなのかもしれない。旅行に行くってだけで普段と違うわけだから、今までやったことないことができるかもしれないと考えているのかも。
「じゃあ、お願いするよ、彩花」
「はいっ!」
鏡越しで、バスタオルを巻いた姿の彩花が笑顔を見せる。ほんのり頬が赤いのは今のこの状況に緊張しているからだろう。そんな俺もタオルを腰に巻いているんだけど。
「それじゃ、髪を洗いますね」
「お願いします」
彩花の手によって俺の髪が洗われていく。ここのシャンプーも泡立ちがいいんだな。
「彩花、上手だね。気持ちいいよ」
「ありがとうございます。かゆいところはありませんか?」
「ないよ。このままお願い」
「そうですか。ふふっ、こんなことを言うと何だか美容師さんになった気分です」
確かに、かゆいところはないか、って髪を切りに行ったときくらいしか言われないもんな。まあ、美容師さんはバスタオル姿でお客さんの髪を洗わないけど。
「はい、じゃあ……シャワーで泡を落としますよ。目を瞑ってくださいね」
「うん」
目を瞑ると、シャワーで髪に付いた泡を落としてゆく。泡を落としきった後にはタオルで優しく髪を拭いてくれる。俺の髪なのに丁寧に扱ってくれて有り難い限りだ。
「じゃあ、次は体を洗いましょう」
「お願いします」
鏡で彩花のことを見ると、彼女が持っているのはホテルのタオルではなくて、家から持ってきたボディタオルだ。まあ、泡立ちもいいし、洗うと気持ちがいいからな。
「流すのは背中だけで大丈夫ですか?」
「前はさすがに自分でやるよ」
「分かりました。では、背中を流しますね」
「うん」
すると、彩花はボディタオルを使って優しく背中を流してくれる。うん、気持ちいいな。
「上手だね。気持ちいいよ」
「ふふっ、ありがとうございます。直人先輩の背中、結構大きいんですね」
「ははっ、そっか」
その後も、彩花による背中流しは続く。こんな風にしてもらったのは本当に久しぶりだな。小さい頃は美緒と一緒にお風呂に入っていたこともあったので、美緒が背中を流してくれたけど。
「どうですか?」
「凄く気持ちいいよ」
「……良かったです。さっ、背中は流し終わりました」
「うん、ありがとう」
その後、俺はボディタオルで前の方を洗い、シャワーで泡を落として、ゆっくりと湯船に浸かる。
「今でもじっと見られるとちょっと恥ずかしいですけど、そこは直人先輩に任せます」
と、彩花が言うので俺はゆっくりと目を瞑って体を癒やしていく。恥ずかしいのなら見ない方がいいだろう。今日の疲れを取ろう。
髪を洗う音やシャワーの音が心地いいな。無音よりもこういった音があった方が何故か眠気が増してくる。
彩花は髪と体を洗い終えると、俺に寄り添うようにして湯船に浸かる。そんな彩花は見られるとちょっと恥ずかしいと言っただけあって、タオルを巻いていた。
「2人で浸かっても十分に広いですね」
「そうだな」
実際に家の湯船よりも広いけれど、彩花が俺に寄り添っているからなぁ。でも、ゆったりしているか。
「直人先輩」
俺の名前を口にすると、彩花は俺にそっとキスしてきた。
「こうして先輩と向き合っていたので、キスしたくなっちゃいました」
「彩花の気持ちは分かるし、俺も同じだけど、ここでキスに集中すると、必ずのぼせる運命になると思う」
「確かに、イチャイチャできなくなってしまう」
「……ただ、もう一回だけ。ここでキスしよう」
「はい、先輩」
そして、彩花と抱きしめ合って、もう一度キスする。今までずっと湯船に浸かっていたからかちょっとのぼせかけている。
「今はこうして直人先輩に抱かれながらゆっくりとさせてください」
「……ああ」
これまであったことを思い返すと、彩花とこうしてゆっくりできるのは本当に幸せなことだよなぁ。そう思いながら、体を癒やしていったのであった。
午後に彩花が言っていたように、俺達が住んでいる部屋の風呂よりも広く、これなら2人で入ってもゆったりと浸かれそうだ。
準備もできたので、俺は彩花と一緒にお風呂に入る。
彩花の希望で俺、彩花の順番で髪と体を洗うことに。さっそく、髪を洗おうとシャンプーに手を伸ばしたときだった。
「直人先輩、私が洗いますよ」
「いいの?」
「はい。直人先輩の髪を洗って、背中を流してみたかったんです」
「そういえば、一緒に家の風呂に入ったり、温泉に浸かったりしたことはあるけど、髪や体を洗ってもらったことはなかったな」
家の風呂の湯船には何度か一緒に入ったことはある。そして以前、俺の家族と一緒に旅行へ行ったときには、彩花と一緒に部屋に付いている露天風呂に入ったことも。
もしかして、俺の髪や体を洗ってみることも、この旅行でしたかったことの1つなのかもしれない。旅行に行くってだけで普段と違うわけだから、今までやったことないことができるかもしれないと考えているのかも。
「じゃあ、お願いするよ、彩花」
「はいっ!」
鏡越しで、バスタオルを巻いた姿の彩花が笑顔を見せる。ほんのり頬が赤いのは今のこの状況に緊張しているからだろう。そんな俺もタオルを腰に巻いているんだけど。
「それじゃ、髪を洗いますね」
「お願いします」
彩花の手によって俺の髪が洗われていく。ここのシャンプーも泡立ちがいいんだな。
「彩花、上手だね。気持ちいいよ」
「ありがとうございます。かゆいところはありませんか?」
「ないよ。このままお願い」
「そうですか。ふふっ、こんなことを言うと何だか美容師さんになった気分です」
確かに、かゆいところはないか、って髪を切りに行ったときくらいしか言われないもんな。まあ、美容師さんはバスタオル姿でお客さんの髪を洗わないけど。
「はい、じゃあ……シャワーで泡を落としますよ。目を瞑ってくださいね」
「うん」
目を瞑ると、シャワーで髪に付いた泡を落としてゆく。泡を落としきった後にはタオルで優しく髪を拭いてくれる。俺の髪なのに丁寧に扱ってくれて有り難い限りだ。
「じゃあ、次は体を洗いましょう」
「お願いします」
鏡で彩花のことを見ると、彼女が持っているのはホテルのタオルではなくて、家から持ってきたボディタオルだ。まあ、泡立ちもいいし、洗うと気持ちがいいからな。
「流すのは背中だけで大丈夫ですか?」
「前はさすがに自分でやるよ」
「分かりました。では、背中を流しますね」
「うん」
すると、彩花はボディタオルを使って優しく背中を流してくれる。うん、気持ちいいな。
「上手だね。気持ちいいよ」
「ふふっ、ありがとうございます。直人先輩の背中、結構大きいんですね」
「ははっ、そっか」
その後も、彩花による背中流しは続く。こんな風にしてもらったのは本当に久しぶりだな。小さい頃は美緒と一緒にお風呂に入っていたこともあったので、美緒が背中を流してくれたけど。
「どうですか?」
「凄く気持ちいいよ」
「……良かったです。さっ、背中は流し終わりました」
「うん、ありがとう」
その後、俺はボディタオルで前の方を洗い、シャワーで泡を落として、ゆっくりと湯船に浸かる。
「今でもじっと見られるとちょっと恥ずかしいですけど、そこは直人先輩に任せます」
と、彩花が言うので俺はゆっくりと目を瞑って体を癒やしていく。恥ずかしいのなら見ない方がいいだろう。今日の疲れを取ろう。
髪を洗う音やシャワーの音が心地いいな。無音よりもこういった音があった方が何故か眠気が増してくる。
彩花は髪と体を洗い終えると、俺に寄り添うようにして湯船に浸かる。そんな彩花は見られるとちょっと恥ずかしいと言っただけあって、タオルを巻いていた。
「2人で浸かっても十分に広いですね」
「そうだな」
実際に家の湯船よりも広いけれど、彩花が俺に寄り添っているからなぁ。でも、ゆったりしているか。
「直人先輩」
俺の名前を口にすると、彩花は俺にそっとキスしてきた。
「こうして先輩と向き合っていたので、キスしたくなっちゃいました」
「彩花の気持ちは分かるし、俺も同じだけど、ここでキスに集中すると、必ずのぼせる運命になると思う」
「確かに、イチャイチャできなくなってしまう」
「……ただ、もう一回だけ。ここでキスしよう」
「はい、先輩」
そして、彩花と抱きしめ合って、もう一度キスする。今までずっと湯船に浸かっていたからかちょっとのぼせかけている。
「今はこうして直人先輩に抱かれながらゆっくりとさせてください」
「……ああ」
これまであったことを思い返すと、彩花とこうしてゆっくりできるのは本当に幸せなことだよなぁ。そう思いながら、体を癒やしていったのであった。
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