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第3話『百合ノススメ-前編-』
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4月12日、火曜日。
散々な月曜日からのとても長い夜が明けた。何で朝になっちゃうんだろう。
「学校、行きたくないなぁ……」
その全ての原因は朝倉先輩。彼女は風紀委員だから、その名目で私に会いに来そうな気がする。
――私は待ってるよ。
沙耶先輩の放った優しいその言葉が、何度も頭の中で再生されて。
パンツに関してはとんでもない変態さんだけど、そこを除けば優しい先輩……なんだよね。先輩の顔を思い出すと、会いたくない気持ちと、先輩の顔は見ておきたい気持ちが生まれる。それらの気持ちが心の中で戦っている。
「……恋をすると面倒だなぁ」
朝倉先輩のことが好きじゃなければ、こんなに悩むこともなかったはず。無視すればいいだけのことなんだから。本当に……自分自身が面倒な存在に思えてくる。
何だかんだ悩みながらも、結局学校に行くことにしたのであった。
私立白布女学院高等学校。
家から徒歩で行ける範囲にあって、特に共学に行きたい気持ちもなかった。むしろ、女子だけの方が学校生活を送る上でいいかなと思って進学したんだけど……まさか、パンツ大変態な先輩がいるとは思うはずもなく。
先輩にはとんでもない変態さんがいるけど、私のクラスである1年3組のみんなはそこまで変態じゃない……はず。
「おはよう! ことみん……って、何だか元気ないね」
クラスメイトで友達の唐沢理沙ちゃんが、さっそく私の異変に気がついたみたい。顔に出ちゃっているのかな。
「ちょっと、昨日の放課後に色々とあって……」
「えっ、何があったの?」
「……3年生の朝倉先輩とちょっとね」
先輩の名前を言った瞬間、理沙ちゃんの眼がキラリと光る。
「朝倉、ってあの風紀委員の朝倉先輩だよね」
「うん、そうだよ」
「朝倉先輩って結構人気あるんだ。背が高くて、クールで、紳士的で。朝倉先輩が風紀委員になってから、規律を守る生徒がより多くなったって話もあるよ」
「……えっ?」
あり得ない。背が高いのは本当だけど、クールで、紳士的だなんてね。そんな言葉の欠片も感じられなかったので、笑うことすらできなかった。
それにしても、パンツは見て、触って、嗅がないと堪能できたとは言えないあの変態さんが風紀委員であることさえも信じられないのに、彼女のおかげで高校の風紀がより守られているって。そんなに朝倉先輩って人気者なんだ。
「まあ、前から名前だけは小耳に挟んでいたけれどね……」
「本当にそれだけ? ちなみに、朝倉先輩に好意を抱いている子もいるみたいだよ」
「そ、そうなの?」
「あっ、今の反応からして、ことみんも朝倉先輩のことが好きなんだ」
「……そんなことないもん」
本当は好きだけれど、あんなことをしてくる朝倉先輩のことを好きだと口にしてしまったら、何だか悔しい気がしたんだ。
私が自分の席に座ると、理沙ちゃんは私の前の席に座った。
「本当に好きじゃないの?」
「……理沙ちゃんだから言うけどさ、朝倉先輩は私を襲おうとした男達から助けてくれたんだよね」
「凄くいい先輩じゃん!」
この後の話の展開が面白くなると思ったのか、理沙ちゃんは興味津々そうに聞く。
「けどさ、その後……お礼がしたいから先輩を私の家に招き入れたんだよね。それで私の部屋に付いたら、お礼に……パンツを見せてくれって言ってきたんだよ」
「ええっ! パ、パンンンンンッ!」
「大声出さないでよ!」
慌てて理沙ちゃんの口を押さえる。彼女に大声でパンツ見せたって言われたら、昨日以上の恥ずかしさが襲ってくることは間違いなし。危なかった。
「はあっ、はあっ……」
「……いい? 理沙ちゃん。朝倉先輩にパンツを見せたなんて他の子に言ったら、友達辞めちゃう自信あるよ」
パンツで友人関係が変わってしまうかもしれない自分が悲しい。
「分かったよ。さっきはあまりに驚いちゃって……」
「……分かってくれたならいいよ」
「それにしても、あの朝倉先輩がことみんのパンツを見たいだなんて。まあ、朝倉先輩は変態……みたいな話を小耳に挟んだことがあるけど、今まで嘘だと思ってた」
「本当だったよ。見ただけじゃなくて触れたし、匂いも嗅がれたよ」
ううっ、事実を言っているだけなのに、こんなにも恥ずかしいなんて。
「……なるほどね。だから、朝倉先輩のおかげで学校の風紀が良くなった、って言ったときにあんな反応をしたんだね。納得した」
「あり得ないよ、本当に。しかも、風紀委員のくせにね」
あの朝倉先輩なら、見る、触る、嗅ぐ以上のことをしそうだし。きっと、学院のみんなは朝倉先輩の本性を知らないんだ。風紀委員としてあるまじき行為をしていることも。だから、朝倉先輩に影響されるんだと思う。
「しかも、パンツを散々堪能した後に、何を理由か分からないけど、風紀委員になって自分の相棒になれって言ってきたんだよ。本当にわがままだよね」
そう、朝倉先輩ってわがままな女性だよ。パンツを見せるだけだと思ったら、触ってきて、嗅いできて。それで終わるかと思ったら、風紀委員になれだの、自分の相棒になれだの……好きなことばかり言ってきて。
「そんな変態で我が儘な朝倉先輩がことみんは嫌いなんだね」
「そ、それは……わがままなところは嫌い、だけど……」
嫌いなところは確かにある。
けれど、私を助けてくれたり、無理矢理に風紀委員にしようとはしない優しさがあったり、そういうところは好き……だけど。
「あたしは困ってることみんを見たくないよ」
「えっ……?」
心配そうな表情をして私のことを見る理沙ちゃん。けれど、彼女が言ったように私を困らせたくないのか、すぐに優しげな笑顔に変わる。
「ことみんと出会って間もないけれど、ことみんの考えていることは何となくだけど分かるんだよ。だからさ、ことみんが迷わなくていいように……」
すると、理沙ちゃんは両手で私の手をぎゅっと握ってきた。理沙ちゃんの手は温かく、眼は優しく、頬はほんのりと赤くなっていた。
「あたしと百合、してください」
散々な月曜日からのとても長い夜が明けた。何で朝になっちゃうんだろう。
「学校、行きたくないなぁ……」
その全ての原因は朝倉先輩。彼女は風紀委員だから、その名目で私に会いに来そうな気がする。
――私は待ってるよ。
沙耶先輩の放った優しいその言葉が、何度も頭の中で再生されて。
パンツに関してはとんでもない変態さんだけど、そこを除けば優しい先輩……なんだよね。先輩の顔を思い出すと、会いたくない気持ちと、先輩の顔は見ておきたい気持ちが生まれる。それらの気持ちが心の中で戦っている。
「……恋をすると面倒だなぁ」
朝倉先輩のことが好きじゃなければ、こんなに悩むこともなかったはず。無視すればいいだけのことなんだから。本当に……自分自身が面倒な存在に思えてくる。
何だかんだ悩みながらも、結局学校に行くことにしたのであった。
私立白布女学院高等学校。
家から徒歩で行ける範囲にあって、特に共学に行きたい気持ちもなかった。むしろ、女子だけの方が学校生活を送る上でいいかなと思って進学したんだけど……まさか、パンツ大変態な先輩がいるとは思うはずもなく。
先輩にはとんでもない変態さんがいるけど、私のクラスである1年3組のみんなはそこまで変態じゃない……はず。
「おはよう! ことみん……って、何だか元気ないね」
クラスメイトで友達の唐沢理沙ちゃんが、さっそく私の異変に気がついたみたい。顔に出ちゃっているのかな。
「ちょっと、昨日の放課後に色々とあって……」
「えっ、何があったの?」
「……3年生の朝倉先輩とちょっとね」
先輩の名前を言った瞬間、理沙ちゃんの眼がキラリと光る。
「朝倉、ってあの風紀委員の朝倉先輩だよね」
「うん、そうだよ」
「朝倉先輩って結構人気あるんだ。背が高くて、クールで、紳士的で。朝倉先輩が風紀委員になってから、規律を守る生徒がより多くなったって話もあるよ」
「……えっ?」
あり得ない。背が高いのは本当だけど、クールで、紳士的だなんてね。そんな言葉の欠片も感じられなかったので、笑うことすらできなかった。
それにしても、パンツは見て、触って、嗅がないと堪能できたとは言えないあの変態さんが風紀委員であることさえも信じられないのに、彼女のおかげで高校の風紀がより守られているって。そんなに朝倉先輩って人気者なんだ。
「まあ、前から名前だけは小耳に挟んでいたけれどね……」
「本当にそれだけ? ちなみに、朝倉先輩に好意を抱いている子もいるみたいだよ」
「そ、そうなの?」
「あっ、今の反応からして、ことみんも朝倉先輩のことが好きなんだ」
「……そんなことないもん」
本当は好きだけれど、あんなことをしてくる朝倉先輩のことを好きだと口にしてしまったら、何だか悔しい気がしたんだ。
私が自分の席に座ると、理沙ちゃんは私の前の席に座った。
「本当に好きじゃないの?」
「……理沙ちゃんだから言うけどさ、朝倉先輩は私を襲おうとした男達から助けてくれたんだよね」
「凄くいい先輩じゃん!」
この後の話の展開が面白くなると思ったのか、理沙ちゃんは興味津々そうに聞く。
「けどさ、その後……お礼がしたいから先輩を私の家に招き入れたんだよね。それで私の部屋に付いたら、お礼に……パンツを見せてくれって言ってきたんだよ」
「ええっ! パ、パンンンンンッ!」
「大声出さないでよ!」
慌てて理沙ちゃんの口を押さえる。彼女に大声でパンツ見せたって言われたら、昨日以上の恥ずかしさが襲ってくることは間違いなし。危なかった。
「はあっ、はあっ……」
「……いい? 理沙ちゃん。朝倉先輩にパンツを見せたなんて他の子に言ったら、友達辞めちゃう自信あるよ」
パンツで友人関係が変わってしまうかもしれない自分が悲しい。
「分かったよ。さっきはあまりに驚いちゃって……」
「……分かってくれたならいいよ」
「それにしても、あの朝倉先輩がことみんのパンツを見たいだなんて。まあ、朝倉先輩は変態……みたいな話を小耳に挟んだことがあるけど、今まで嘘だと思ってた」
「本当だったよ。見ただけじゃなくて触れたし、匂いも嗅がれたよ」
ううっ、事実を言っているだけなのに、こんなにも恥ずかしいなんて。
「……なるほどね。だから、朝倉先輩のおかげで学校の風紀が良くなった、って言ったときにあんな反応をしたんだね。納得した」
「あり得ないよ、本当に。しかも、風紀委員のくせにね」
あの朝倉先輩なら、見る、触る、嗅ぐ以上のことをしそうだし。きっと、学院のみんなは朝倉先輩の本性を知らないんだ。風紀委員としてあるまじき行為をしていることも。だから、朝倉先輩に影響されるんだと思う。
「しかも、パンツを散々堪能した後に、何を理由か分からないけど、風紀委員になって自分の相棒になれって言ってきたんだよ。本当にわがままだよね」
そう、朝倉先輩ってわがままな女性だよ。パンツを見せるだけだと思ったら、触ってきて、嗅いできて。それで終わるかと思ったら、風紀委員になれだの、自分の相棒になれだの……好きなことばかり言ってきて。
「そんな変態で我が儘な朝倉先輩がことみんは嫌いなんだね」
「そ、それは……わがままなところは嫌い、だけど……」
嫌いなところは確かにある。
けれど、私を助けてくれたり、無理矢理に風紀委員にしようとはしない優しさがあったり、そういうところは好き……だけど。
「あたしは困ってることみんを見たくないよ」
「えっ……?」
心配そうな表情をして私のことを見る理沙ちゃん。けれど、彼女が言ったように私を困らせたくないのか、すぐに優しげな笑顔に変わる。
「ことみんと出会って間もないけれど、ことみんの考えていることは何となくだけど分かるんだよ。だからさ、ことみんが迷わなくていいように……」
すると、理沙ちゃんは両手で私の手をぎゅっと握ってきた。理沙ちゃんの手は温かく、眼は優しく、頬はほんのりと赤くなっていた。
「あたしと百合、してください」
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