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第18話『パンツ・フォー!』
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放課後。
風紀委員会は放課後にもお仕事があるけれど、どのような仕事をするんだろう。校内の巡回、とか? 私のときのように、襲われそうな生徒を助けることは頻繁にはないよね。
私が風紀委員会の活動室に行くと、既に千晴先輩は来ていた。
「千晴先輩、今日もお疲れ様です」
「お疲れ様、琴実さん」
「あの……当たり前でしょうけど、放課後も委員会の活動があるんですよね。実際に、私も沙耶先輩に助けられましたし」
「そうですね。校内を巡回して、何か校則に違反することをしていたり、または違反しそうな生徒を見つけた場合には注意喚起。そして、危険な目に遭いそうな生徒を助けることもするのですよ。琴実さんが助けてもらったときのような校外での活動は珍しいケースなのですが」
なるほど。だから、私のことも助けたのかな。その場所は、学校から随分と離れていたところだったけど。
千晴先輩とせっかく2人きりなんだ。あの時のことを知っているかもしれない。
「……沙耶先輩はその仕事の一環で私を助けたんですよね。そのことについて、沙耶先輩から何か聞いていますか?」
「琴実さんを助けた翌日だったでしょうか。校内を巡回していたら、あなたを襲おうとした男達を校門近くで見かけたので、後をつけたそうです。案の定、あなたのことを追いかけ始めたので、朝倉さんも追跡したと言っておりました」
「そうだったんですか。だから、学校の外でも沙耶先輩が助けてくれたんですね」
沙耶先輩が助けてくれていなかったら、今頃、私はキズモノになっていたかもしれない。そう思うと恐ろしい気持ちになる。
「朝倉さんは基本的に真面目で頼りがいがありますので、風紀委員長としても心強いのですが……パンツのことになると途端に敵になります。そんな彼女のことを止められる期待の星なのですよ、琴実さん」
ガッ、と千晴先輩に両肩を掴まれる。私、そんなに期待されちゃっているんだ。同時に、沙耶先輩……過去にパンツ絡みでどんな悪行を?
「今日もお疲れさん……って、あれ?」
さ、沙耶先輩! 勘違いされそうなタイミングで来ちゃうなんて。
「私、もう少しゆっくり来れば良かったかな?」
やっぱり勘違いされた。
「私は別に女性同士で付き合うことはかまわないと思っている。校則に生徒同士の恋愛が禁止されている規則は記述されていないし、私は何も言うつもりはないよ。むしろ、藤堂さんが女性のことを好きなんだと分かって、可愛らしいと思っているところだよ」
「変な方向に想像しすぎですよ、朝倉さん!」
「そうです! 千晴先輩に両肩を掴まれているのはその……どうしてでしたっけ?」
「琴実さんに朝倉さんのことを頼みますわ……と、風紀委員長である私からパッションを送っていたのです! パッション!」
千晴先輩が気合いを入れてそう言うと、沙耶先輩はクスクスと笑う。
「へえ、意外に藤堂さんって熱い性格なんだね。クールそうな印象だけど。でも、私にはキツいからというよりはコールドだね……」
「それはあなたのパンツ好きがいけないだけですよ。今朝だって唐沢さんのスカートの中身を見ていたではありませんか。あなたがそういうとんでもない変態なので、琴実さんに激励を送っていたのです」
「私はパンツが大好きだけど、節度を持って味わっているつもりだよ」
「パンツを味わうこと自体がいけないんです! 風紀委員として! それ以前に人として! それに、女性として恥ずかしいと思わないのですか?」
「女の子じゃなかったらこんなにパンツを堪能できないから、私は女の子に生まれて本当に良かったと思っているよ」
「ううっ……」
毎度のこと、千晴先輩は沙耶先輩のことを怒っているなぁ。よほどのことがない限り、2人が卒業するまでずっとこういう光景を見ることになりそう。
あと、どうやら沙耶先輩の誤解が解けたみたいだ。
でも、沙耶先輩……女の子同士で付き合うことはかまわないと思っているんだ。これは朗報かな。それに、校則で生徒同士の恋愛について特に明記されていないってことは、沙耶先輩が在学している間に付き合うことになっても、堂々と付き合えるんだ。
「どうしたんだい? 琴実ちゃん。嬉しそうな顔をしているけれど、そんなに風紀委員の仕事が楽しみなのかな?」
「そ、そういうわけではありません」
沙耶先輩と一緒に仕事できることは嬉しいし、楽しみだけど。
「お疲れ様です。あっ、みなさん揃っているんですね。琴実ちゃんは今日が初めての放課後のお仕事だね。まあ、朝倉先輩みたいに、複数人の一般人男性相手に蹴りを喰らわせるような展開はないだろうから大丈夫だと思うよ。それに、基本は校内での活動だから」
「そうであってほしいです」
あのときの出来事は極めて特殊なケースであってほしい。というか、ひより先輩から蹴りを喰らわせる、っていう言葉が出るなんて。
「ひよりさんも来たところで、今日の放課後の仕事を始めましょう。琴実さんにもちょっと話しましたが、今日は校内の巡回を中心にやっていきます。琴実さんは朝倉さんと一緒に巡回してください」
「分かりました」
「何かあったらその場で注意し、自分1人で対処できそうになければ、私やひよりさんのスマートフォンに連絡をください。まあ、琴実さんは朝倉さんがいますので、そういう展開にはならないと思いますが。あるとすれば、朝倉さんがパンツのことで収拾が付かなくなることくらいでしょうか。そのときは遠慮なく私に連絡をお願いします、琴実さん」
「……了解です」
白布女学院の中で一番注意しておかなければならない人と一緒に行動するのか。よく考えたら、私、かなり重要なことを任されているような。
「それでは、腕章を付けて巡回を始めましょう」
千晴先輩とひより先輩は腕章を付けて、さっそく活動室を後にする。
沙耶先輩と2人きりか。先輩のことだから、今日の私のパンツを堪能しないと仕事ができないと言いそうで恐い。
「私は仕事をする前にご褒美をいただくことはしないよ」
「……私のパンツは先輩へのご褒美のために存在しているんじゃありません」
心を読まれていた。恥ずかしい。
でも、今朝の理沙ちゃんのパンツを堪能する先輩のことを見ていたら、私のパンツだって堪能してくれたっていいじゃないって思った。だから、何も問題なく仕事が終わったらご褒美として堪能させてあげちゃおうかなって。
「琴実ちゃん」
すると、沙耶先輩は私の頭に右手を乗せると、ゆっくりと目の高さを私に合わせて、
「不安に思っていることがあるかもしれないけど、私がいるから大丈夫だよ。万が一、あのときのような状況になっても、琴実ちゃんのことは絶対に私が守る」
安心してと爽やかな笑みでそんなことを言ってきた。
放課後の初仕事で不安になっている私のことを元気づけるために言ってくれたのは分かっているけど、本当に……キュンとする。普段は変態でどうしようもないけど、たまにこういう風にかっこよくなるから、沙耶先輩のことが大好きになるんだ。
「ありがとうございます、沙耶先輩」
「じゃあ、私達も巡回に行こうか。行くよ、パンツ・フォー!」
「……風紀委員の仕事を始めるときのお決まりのセリフなんですね」
「そうだよ。パンツ前進っていう意味なんだけど」
意味が分からない。
「私がこの掛け声を広めようとしているのに、藤堂さんは一度も言ったことがないんだよ。パンツ・フォーって言った方が、確実に気持ちが締まるのにね」
「それは沙耶先輩だけなのでは……」
「さあ、琴実ちゃんも言おう! パンツ・フォー!」
「……ふぉー」
2人きりでも、今の私には「パンツ・フォー」なんて言葉は言えないよ。恥ずかしすぎるって。
「もしかしたら、パンツ・フォーって言うのはハードルが高いのかもしれないね。ひよりちゃんはすぐに言ってくれたからさ」
「そ、そうなんですね」
ひより先輩はいつもほんわかとした笑みを浮かべているからなぁ。パンツ・フォーくらいじゃ羞恥心を全く抱かないのかもしれない。
「いずれは、一緒に元気よく『パンツ・フォー!』って言ってくれるようになると嬉しいな」
「言いませんよ。パンツ前進だなんて」
少なくとも、風紀委員の仕事には関係ないし。むしろ、その掛け声って女の子のパンツを堪能するときに言うべき言葉なんじゃ。パンツに向かって前進って意味で。
「それじゃ、行こうか」
「はい」
どうか、平和に巡回が終わりますように。そう思いながら、沙耶先輩と一緒に風紀委員会の活動室を出発するのであった。
風紀委員会は放課後にもお仕事があるけれど、どのような仕事をするんだろう。校内の巡回、とか? 私のときのように、襲われそうな生徒を助けることは頻繁にはないよね。
私が風紀委員会の活動室に行くと、既に千晴先輩は来ていた。
「千晴先輩、今日もお疲れ様です」
「お疲れ様、琴実さん」
「あの……当たり前でしょうけど、放課後も委員会の活動があるんですよね。実際に、私も沙耶先輩に助けられましたし」
「そうですね。校内を巡回して、何か校則に違反することをしていたり、または違反しそうな生徒を見つけた場合には注意喚起。そして、危険な目に遭いそうな生徒を助けることもするのですよ。琴実さんが助けてもらったときのような校外での活動は珍しいケースなのですが」
なるほど。だから、私のことも助けたのかな。その場所は、学校から随分と離れていたところだったけど。
千晴先輩とせっかく2人きりなんだ。あの時のことを知っているかもしれない。
「……沙耶先輩はその仕事の一環で私を助けたんですよね。そのことについて、沙耶先輩から何か聞いていますか?」
「琴実さんを助けた翌日だったでしょうか。校内を巡回していたら、あなたを襲おうとした男達を校門近くで見かけたので、後をつけたそうです。案の定、あなたのことを追いかけ始めたので、朝倉さんも追跡したと言っておりました」
「そうだったんですか。だから、学校の外でも沙耶先輩が助けてくれたんですね」
沙耶先輩が助けてくれていなかったら、今頃、私はキズモノになっていたかもしれない。そう思うと恐ろしい気持ちになる。
「朝倉さんは基本的に真面目で頼りがいがありますので、風紀委員長としても心強いのですが……パンツのことになると途端に敵になります。そんな彼女のことを止められる期待の星なのですよ、琴実さん」
ガッ、と千晴先輩に両肩を掴まれる。私、そんなに期待されちゃっているんだ。同時に、沙耶先輩……過去にパンツ絡みでどんな悪行を?
「今日もお疲れさん……って、あれ?」
さ、沙耶先輩! 勘違いされそうなタイミングで来ちゃうなんて。
「私、もう少しゆっくり来れば良かったかな?」
やっぱり勘違いされた。
「私は別に女性同士で付き合うことはかまわないと思っている。校則に生徒同士の恋愛が禁止されている規則は記述されていないし、私は何も言うつもりはないよ。むしろ、藤堂さんが女性のことを好きなんだと分かって、可愛らしいと思っているところだよ」
「変な方向に想像しすぎですよ、朝倉さん!」
「そうです! 千晴先輩に両肩を掴まれているのはその……どうしてでしたっけ?」
「琴実さんに朝倉さんのことを頼みますわ……と、風紀委員長である私からパッションを送っていたのです! パッション!」
千晴先輩が気合いを入れてそう言うと、沙耶先輩はクスクスと笑う。
「へえ、意外に藤堂さんって熱い性格なんだね。クールそうな印象だけど。でも、私にはキツいからというよりはコールドだね……」
「それはあなたのパンツ好きがいけないだけですよ。今朝だって唐沢さんのスカートの中身を見ていたではありませんか。あなたがそういうとんでもない変態なので、琴実さんに激励を送っていたのです」
「私はパンツが大好きだけど、節度を持って味わっているつもりだよ」
「パンツを味わうこと自体がいけないんです! 風紀委員として! それ以前に人として! それに、女性として恥ずかしいと思わないのですか?」
「女の子じゃなかったらこんなにパンツを堪能できないから、私は女の子に生まれて本当に良かったと思っているよ」
「ううっ……」
毎度のこと、千晴先輩は沙耶先輩のことを怒っているなぁ。よほどのことがない限り、2人が卒業するまでずっとこういう光景を見ることになりそう。
あと、どうやら沙耶先輩の誤解が解けたみたいだ。
でも、沙耶先輩……女の子同士で付き合うことはかまわないと思っているんだ。これは朗報かな。それに、校則で生徒同士の恋愛について特に明記されていないってことは、沙耶先輩が在学している間に付き合うことになっても、堂々と付き合えるんだ。
「どうしたんだい? 琴実ちゃん。嬉しそうな顔をしているけれど、そんなに風紀委員の仕事が楽しみなのかな?」
「そ、そういうわけではありません」
沙耶先輩と一緒に仕事できることは嬉しいし、楽しみだけど。
「お疲れ様です。あっ、みなさん揃っているんですね。琴実ちゃんは今日が初めての放課後のお仕事だね。まあ、朝倉先輩みたいに、複数人の一般人男性相手に蹴りを喰らわせるような展開はないだろうから大丈夫だと思うよ。それに、基本は校内での活動だから」
「そうであってほしいです」
あのときの出来事は極めて特殊なケースであってほしい。というか、ひより先輩から蹴りを喰らわせる、っていう言葉が出るなんて。
「ひよりさんも来たところで、今日の放課後の仕事を始めましょう。琴実さんにもちょっと話しましたが、今日は校内の巡回を中心にやっていきます。琴実さんは朝倉さんと一緒に巡回してください」
「分かりました」
「何かあったらその場で注意し、自分1人で対処できそうになければ、私やひよりさんのスマートフォンに連絡をください。まあ、琴実さんは朝倉さんがいますので、そういう展開にはならないと思いますが。あるとすれば、朝倉さんがパンツのことで収拾が付かなくなることくらいでしょうか。そのときは遠慮なく私に連絡をお願いします、琴実さん」
「……了解です」
白布女学院の中で一番注意しておかなければならない人と一緒に行動するのか。よく考えたら、私、かなり重要なことを任されているような。
「それでは、腕章を付けて巡回を始めましょう」
千晴先輩とひより先輩は腕章を付けて、さっそく活動室を後にする。
沙耶先輩と2人きりか。先輩のことだから、今日の私のパンツを堪能しないと仕事ができないと言いそうで恐い。
「私は仕事をする前にご褒美をいただくことはしないよ」
「……私のパンツは先輩へのご褒美のために存在しているんじゃありません」
心を読まれていた。恥ずかしい。
でも、今朝の理沙ちゃんのパンツを堪能する先輩のことを見ていたら、私のパンツだって堪能してくれたっていいじゃないって思った。だから、何も問題なく仕事が終わったらご褒美として堪能させてあげちゃおうかなって。
「琴実ちゃん」
すると、沙耶先輩は私の頭に右手を乗せると、ゆっくりと目の高さを私に合わせて、
「不安に思っていることがあるかもしれないけど、私がいるから大丈夫だよ。万が一、あのときのような状況になっても、琴実ちゃんのことは絶対に私が守る」
安心してと爽やかな笑みでそんなことを言ってきた。
放課後の初仕事で不安になっている私のことを元気づけるために言ってくれたのは分かっているけど、本当に……キュンとする。普段は変態でどうしようもないけど、たまにこういう風にかっこよくなるから、沙耶先輩のことが大好きになるんだ。
「ありがとうございます、沙耶先輩」
「じゃあ、私達も巡回に行こうか。行くよ、パンツ・フォー!」
「……風紀委員の仕事を始めるときのお決まりのセリフなんですね」
「そうだよ。パンツ前進っていう意味なんだけど」
意味が分からない。
「私がこの掛け声を広めようとしているのに、藤堂さんは一度も言ったことがないんだよ。パンツ・フォーって言った方が、確実に気持ちが締まるのにね」
「それは沙耶先輩だけなのでは……」
「さあ、琴実ちゃんも言おう! パンツ・フォー!」
「……ふぉー」
2人きりでも、今の私には「パンツ・フォー」なんて言葉は言えないよ。恥ずかしすぎるって。
「もしかしたら、パンツ・フォーって言うのはハードルが高いのかもしれないね。ひよりちゃんはすぐに言ってくれたからさ」
「そ、そうなんですね」
ひより先輩はいつもほんわかとした笑みを浮かべているからなぁ。パンツ・フォーくらいじゃ羞恥心を全く抱かないのかもしれない。
「いずれは、一緒に元気よく『パンツ・フォー!』って言ってくれるようになると嬉しいな」
「言いませんよ。パンツ前進だなんて」
少なくとも、風紀委員の仕事には関係ないし。むしろ、その掛け声って女の子のパンツを堪能するときに言うべき言葉なんじゃ。パンツに向かって前進って意味で。
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