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本編-ARIA-
第78話『候補者現状』
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午前11時半。
私立月が丘高等学校に到着し、事務室でいじめ調査を担当している教師と話をしたいという旨を伝えると、私達は会議室へと通された。
「立派な高校ですね」
「そうですね。私と氷室、岡村が卒業した高校は公立高校だったので、ここまで立派な校舎ではありませんでしたね」
その立派さに、一瞬、大学のキャンパスかと思ったほどだ。私立高校の場合、快適に学校生活を送るための環境も一つの売りにしているのだろう。
「未だに校門前ではマスコミ関係者のような方がいましたよね」
「ええ。おそらく、美来さんの受けたいじめの取材がメインだと思いますが、私の友人が勤めている報道局が、実名は伏せていますが氷室が彼女をいじめから助けたと報道したので、それを理由に来ているマスコミ関係者もいるかもしれません」
朝の段階では鷺沼の働いている局だけだったが、他の局がこの事実を報道すれば、今よりも多くのマスコミ関係者が学校前に集まるかもしれない。
数分もしないうちに会議室に1人の女性が入ってきた。浅野さんと同年代くらいだろうか。若い女性だ。
「お待たせしました。月が丘高校専任講師の片倉綾音です。声楽部の顧問をしています。私を中心に職員の調査チームを作って、今は朝比奈美来さんの受けたいじめについて調査を行なっています」
声楽部の顧問、ということは氷室と面識のある教師か。唯一、まともに対応をしてくれていたと氷室が話していたな。
「そうですか。突然のことでしたが、お時間を作っていただきありがとうございます。私、警視庁捜査一課の羽賀尊と申します」
「同じく、警視庁捜査一課の浅野千尋です。よろしくお願いします」
「よろしくお願いいたします。それで、本日はどのようなご用件でしょうか。いじめのことについては、美来ちゃんの親御さんから警察には被害届を出さないと聞いていますが。あっ、もしかして……氷室さんが逮捕された件でしょうか?」
片倉さんは氷室と面識があるだけあって、すぐに氷室の逮捕の件で来たのだと感付いたみたいだ。
「はい。今回お伺いしたのは、美来さんの受けたいじめではなく、氷室智也が逮捕されたことについてです」
「……昨日、氷室さんが逮捕されたことをニュースで知ったとき、被害者である少女の名前は出ませんでしたが、ほとんどの職員はすぐにその少女が美来ちゃんではないかと思ったみたいです。実際に私もそう思いました」
「1週間ほど前、氷室が美来さんの父親と一緒に、美来さんの受けたいじめを話し合うためにここに来たんですよね」
すると、片倉さんは目を見開いた。
「なぜ、そのことを知っているのですか? 氷室さんへの取り調べや、美来ちゃんのご自宅に行って聞いたのでしょうか?」
「美来さんの家にお伺いしたこともそうですが、実は氷室とは20年来の友人なのです。なので、以前から個人的に美来さんのいじめについて相談を受けていました。大まかにですが、いじめについては知っております。声楽部の方はあなたのおかげで着実に解決の方へ向かっており、クラスの方は隠蔽があったために調査が難航していると」
「そうです。報道にもあるように、クラスでのいじめの隠蔽に関わった校長と教頭、美来ちゃんの担任の先生が懲戒解雇処分になりました」
片倉さんは複雑そうな表情をしている。担当している部活でいじめがあり、クラスでのいじめについては組織ぐるみで隠蔽しようとしていた。それに関わった職員が懲戒解雇となれば、そのような表情になってしまうのは仕方ないか。
「片倉さん。公にはなっていませんが、私や浅野さんを含めて、一部の警察官の間では氷室智也は無実であり、第三者によって嵌められた可能性があると考えています」
「えっ! そうなんですか!」
片倉さんは非常に驚いている様子だ。あれだけ大々的に氷室が逮捕されたと報道されているのだ。そんな彼が無実かもしれないと警察関係者から言われれば、驚いてしまうのも無理はない。
「可能性があるというだけです。そして、被害者が朝比奈美来さんであることから、真犯人がいるのであれば、それは月が丘高校の関係者であると我々は考えています」
「……氷室さんが無実であると思いたいです。氷室さんは裏で罪を犯していたのかと落胆したり、怒っていたりする職員もいます。ただ、美来ちゃんのことであそこまで動いてくれた人が強制わいせつなんてしないと言っている職員もいます」
「そういう方がいるのは、氷室や美来さんにとって心強いと思います」
「警視庁に戻ったら、氷室さんに伝えましょう」
やはり、学校関係者の中にも氷室が無実だと思っている人がいるようだ。今後、こういう人の声も報道されていくといいのだが。その可能性は薄そうだな。
「真犯人が学校関係者というと、やはり懲戒解雇された3人の先生方の中にいるということですか?」
「その3人も候補として挙げていますが、それよりも真犯人である可能性が高いのは美来さんのクラスメイトである諸澄司と、いじめの中心となった佐相柚葉の2人です。2人は今、授業を受けているのですか?」
まだ、正午になっていないので、今も授業が行なわれているだろう。いじめがあっても、1年1組は今も通常の授業は行なわれているはず。昼休みになってからでもいいので、2人がいるのなら話を聞きたいところだ。
すると、片倉さんは首をゆっくりと横に振って、
「いえ、2人とも今日は学校には来ていません」
「何ですって?」
「羽賀さんや浅野さんならご存じかもしれませんが、諸澄司君は美来ちゃんにストーカー行為をしていました。本人もそれを認めました。学校からの処分で今は自宅謹慎となっており、後日、反省文を提出するようにしているんです」
「そうだったのですか……」
自宅謹慎となっているが、彼の場合は自宅に留まっているとは思えん。もしかしたら、美来さんの家の場所を捜索しているかもしれないし、警視庁に勾留されている氷室と面会をしているかもしれない。後で、種田さんに諸澄司の行動を監視するように言っておくか。
「諸澄司については分かりました。では、佐相柚葉さんの方は? いじめの件で彼女も自宅謹慎になっているのですか?」
「時間があれば、月が丘高校の情報をチェックするようにしていますが、いじめに関わった生徒の情報は一切出ていませんね」
頻繁にチェックしている浅野さんが知らないということは、別の理由で来ていないのだろうか。それとも、ついさっき謹慎処分が決まって、佐相さんを自宅に帰したのか。
「佐相さんは……今週の月曜日から学校に来ていないんです」
「月曜日からですか。理由は……病気が長引いているとか?」
今週の月曜日からということは、今日で4日連続欠席しているのか。病気なのかと訊いてはみたが、現在のクラスの状況を考えれば、おそらく病気以外の理由で欠席しているのだろう。
「……実は、今度は佐相さんがクラスでいじめに遭っているそうなんです。月曜日の午後に彼女の親御さんから連絡があって……」
「なるほど……」
美来さんが不登校になり、隠蔽されると思っていたクラスでのいじめは公になった。報道された内容には、いじめの中心となった生徒から謝罪はなかったとも伝えられていた。そのことによって、一部のクラスメイトが佐相柚葉を排除しようとするために、いじめを行なったのかもしれない。
「まさか、諸澄君も佐相さんも学校に来ていないとは意外ですね」
「諸澄司については、氷室がストーカー行為を学校に伝えたと聞いていたので、謹慎処分くらいはあり得るだろうと思っていました。佐相さんの方も……今の1年1組の状況を考えれば、いじめはなくとも学校に居辛かったかもしれませんね」
事実として1年1組には美来さん、諸澄司、佐相柚葉がいないということか。重要な証言を取れそうな生徒は他にいるだろうか。
「羽賀さん、家庭調査票を見せてもらいましょうよ」
佐相柚葉が何日も欠席しているということに気を取られていて、家庭調査票を見せてもらうことを忘れていた。危ない。
「そうですね。すみませんが、佐相柚葉のご家族についての情報が知りたいのです。お手数をおかけしますが、家庭調査票を見せていただけませんか? あとは諸澄司についても」
「分かりました。すぐに持ってきますので、ここでお待ちください」
そう言うと、片倉さんは会議室を後にした。
月が丘高校で重要な証言を取れると踏んでいたのだが、それは甘かったようだ。諸澄司、佐相柚葉どちらも学校にいないとは。
種田さんからは監視カメラの調査結果についてまだ連絡がない。なので、他の刑事に諸澄司について調査してもらうようにしよう。電話をしてその旨を伝え、部下に諸澄司の家に向かってもらうよう要請した。
「羽賀さん、どうしますか? 家庭調査票を見せてもらったら、諸澄君と佐相さんの家に向かいますか?」
「諸澄司については今、部下に調査するよう電話をしましたので、何かあったら連絡が来るでしょう。せっかくここに来たのですから、私達は何人かの生徒に話を聞いてもいいかもしれません。もうすぐ昼休みですからね。いじめのアンケートについて教えてくれた1年1組の生徒や、月村さんの妹さんもこの学校にいるので」
「そうなんですか。それなら、まずはその生徒に話を聞いた方がいいかもしれませんね」
諸澄司や佐相柚葉について話を聞いておきたいところだ。事件を匂わすような発言を友人やクラスメイトにしているかもしれない。
「お待たせしました。1年1組の生徒の家庭調査票を持ってきました」
「ありがとうございます」
片倉さんは分厚いファイルを持っている。あの中に諸澄司と佐相柚葉の家庭情報が入っているのか。
「こちらが佐相さんで、こちらが諸澄君ですね」
諸澄司の方は……父親はIT関係に勤めているのか。彼の家族が警察関係者という可能性も考えたが違っていたか。
「羽賀さん! 佐相さんの家庭調査票のここなんですが……」
浅野さん、何か重要な情報を見つけたようだ。
彼女が指さす箇所に書かれていた内容は、
「佐相繁。年齢は50歳。続柄は父親。そして、勤務先が……警視庁」
どうやら、これで私立月が丘高等学校と警察の繋がりが明らかになったようだ。それも、とても強い繋がりが。
私立月が丘高等学校に到着し、事務室でいじめ調査を担当している教師と話をしたいという旨を伝えると、私達は会議室へと通された。
「立派な高校ですね」
「そうですね。私と氷室、岡村が卒業した高校は公立高校だったので、ここまで立派な校舎ではありませんでしたね」
その立派さに、一瞬、大学のキャンパスかと思ったほどだ。私立高校の場合、快適に学校生活を送るための環境も一つの売りにしているのだろう。
「未だに校門前ではマスコミ関係者のような方がいましたよね」
「ええ。おそらく、美来さんの受けたいじめの取材がメインだと思いますが、私の友人が勤めている報道局が、実名は伏せていますが氷室が彼女をいじめから助けたと報道したので、それを理由に来ているマスコミ関係者もいるかもしれません」
朝の段階では鷺沼の働いている局だけだったが、他の局がこの事実を報道すれば、今よりも多くのマスコミ関係者が学校前に集まるかもしれない。
数分もしないうちに会議室に1人の女性が入ってきた。浅野さんと同年代くらいだろうか。若い女性だ。
「お待たせしました。月が丘高校専任講師の片倉綾音です。声楽部の顧問をしています。私を中心に職員の調査チームを作って、今は朝比奈美来さんの受けたいじめについて調査を行なっています」
声楽部の顧問、ということは氷室と面識のある教師か。唯一、まともに対応をしてくれていたと氷室が話していたな。
「そうですか。突然のことでしたが、お時間を作っていただきありがとうございます。私、警視庁捜査一課の羽賀尊と申します」
「同じく、警視庁捜査一課の浅野千尋です。よろしくお願いします」
「よろしくお願いいたします。それで、本日はどのようなご用件でしょうか。いじめのことについては、美来ちゃんの親御さんから警察には被害届を出さないと聞いていますが。あっ、もしかして……氷室さんが逮捕された件でしょうか?」
片倉さんは氷室と面識があるだけあって、すぐに氷室の逮捕の件で来たのだと感付いたみたいだ。
「はい。今回お伺いしたのは、美来さんの受けたいじめではなく、氷室智也が逮捕されたことについてです」
「……昨日、氷室さんが逮捕されたことをニュースで知ったとき、被害者である少女の名前は出ませんでしたが、ほとんどの職員はすぐにその少女が美来ちゃんではないかと思ったみたいです。実際に私もそう思いました」
「1週間ほど前、氷室が美来さんの父親と一緒に、美来さんの受けたいじめを話し合うためにここに来たんですよね」
すると、片倉さんは目を見開いた。
「なぜ、そのことを知っているのですか? 氷室さんへの取り調べや、美来ちゃんのご自宅に行って聞いたのでしょうか?」
「美来さんの家にお伺いしたこともそうですが、実は氷室とは20年来の友人なのです。なので、以前から個人的に美来さんのいじめについて相談を受けていました。大まかにですが、いじめについては知っております。声楽部の方はあなたのおかげで着実に解決の方へ向かっており、クラスの方は隠蔽があったために調査が難航していると」
「そうです。報道にもあるように、クラスでのいじめの隠蔽に関わった校長と教頭、美来ちゃんの担任の先生が懲戒解雇処分になりました」
片倉さんは複雑そうな表情をしている。担当している部活でいじめがあり、クラスでのいじめについては組織ぐるみで隠蔽しようとしていた。それに関わった職員が懲戒解雇となれば、そのような表情になってしまうのは仕方ないか。
「片倉さん。公にはなっていませんが、私や浅野さんを含めて、一部の警察官の間では氷室智也は無実であり、第三者によって嵌められた可能性があると考えています」
「えっ! そうなんですか!」
片倉さんは非常に驚いている様子だ。あれだけ大々的に氷室が逮捕されたと報道されているのだ。そんな彼が無実かもしれないと警察関係者から言われれば、驚いてしまうのも無理はない。
「可能性があるというだけです。そして、被害者が朝比奈美来さんであることから、真犯人がいるのであれば、それは月が丘高校の関係者であると我々は考えています」
「……氷室さんが無実であると思いたいです。氷室さんは裏で罪を犯していたのかと落胆したり、怒っていたりする職員もいます。ただ、美来ちゃんのことであそこまで動いてくれた人が強制わいせつなんてしないと言っている職員もいます」
「そういう方がいるのは、氷室や美来さんにとって心強いと思います」
「警視庁に戻ったら、氷室さんに伝えましょう」
やはり、学校関係者の中にも氷室が無実だと思っている人がいるようだ。今後、こういう人の声も報道されていくといいのだが。その可能性は薄そうだな。
「真犯人が学校関係者というと、やはり懲戒解雇された3人の先生方の中にいるということですか?」
「その3人も候補として挙げていますが、それよりも真犯人である可能性が高いのは美来さんのクラスメイトである諸澄司と、いじめの中心となった佐相柚葉の2人です。2人は今、授業を受けているのですか?」
まだ、正午になっていないので、今も授業が行なわれているだろう。いじめがあっても、1年1組は今も通常の授業は行なわれているはず。昼休みになってからでもいいので、2人がいるのなら話を聞きたいところだ。
すると、片倉さんは首をゆっくりと横に振って、
「いえ、2人とも今日は学校には来ていません」
「何ですって?」
「羽賀さんや浅野さんならご存じかもしれませんが、諸澄司君は美来ちゃんにストーカー行為をしていました。本人もそれを認めました。学校からの処分で今は自宅謹慎となっており、後日、反省文を提出するようにしているんです」
「そうだったのですか……」
自宅謹慎となっているが、彼の場合は自宅に留まっているとは思えん。もしかしたら、美来さんの家の場所を捜索しているかもしれないし、警視庁に勾留されている氷室と面会をしているかもしれない。後で、種田さんに諸澄司の行動を監視するように言っておくか。
「諸澄司については分かりました。では、佐相柚葉さんの方は? いじめの件で彼女も自宅謹慎になっているのですか?」
「時間があれば、月が丘高校の情報をチェックするようにしていますが、いじめに関わった生徒の情報は一切出ていませんね」
頻繁にチェックしている浅野さんが知らないということは、別の理由で来ていないのだろうか。それとも、ついさっき謹慎処分が決まって、佐相さんを自宅に帰したのか。
「佐相さんは……今週の月曜日から学校に来ていないんです」
「月曜日からですか。理由は……病気が長引いているとか?」
今週の月曜日からということは、今日で4日連続欠席しているのか。病気なのかと訊いてはみたが、現在のクラスの状況を考えれば、おそらく病気以外の理由で欠席しているのだろう。
「……実は、今度は佐相さんがクラスでいじめに遭っているそうなんです。月曜日の午後に彼女の親御さんから連絡があって……」
「なるほど……」
美来さんが不登校になり、隠蔽されると思っていたクラスでのいじめは公になった。報道された内容には、いじめの中心となった生徒から謝罪はなかったとも伝えられていた。そのことによって、一部のクラスメイトが佐相柚葉を排除しようとするために、いじめを行なったのかもしれない。
「まさか、諸澄君も佐相さんも学校に来ていないとは意外ですね」
「諸澄司については、氷室がストーカー行為を学校に伝えたと聞いていたので、謹慎処分くらいはあり得るだろうと思っていました。佐相さんの方も……今の1年1組の状況を考えれば、いじめはなくとも学校に居辛かったかもしれませんね」
事実として1年1組には美来さん、諸澄司、佐相柚葉がいないということか。重要な証言を取れそうな生徒は他にいるだろうか。
「羽賀さん、家庭調査票を見せてもらいましょうよ」
佐相柚葉が何日も欠席しているということに気を取られていて、家庭調査票を見せてもらうことを忘れていた。危ない。
「そうですね。すみませんが、佐相柚葉のご家族についての情報が知りたいのです。お手数をおかけしますが、家庭調査票を見せていただけませんか? あとは諸澄司についても」
「分かりました。すぐに持ってきますので、ここでお待ちください」
そう言うと、片倉さんは会議室を後にした。
月が丘高校で重要な証言を取れると踏んでいたのだが、それは甘かったようだ。諸澄司、佐相柚葉どちらも学校にいないとは。
種田さんからは監視カメラの調査結果についてまだ連絡がない。なので、他の刑事に諸澄司について調査してもらうようにしよう。電話をしてその旨を伝え、部下に諸澄司の家に向かってもらうよう要請した。
「羽賀さん、どうしますか? 家庭調査票を見せてもらったら、諸澄君と佐相さんの家に向かいますか?」
「諸澄司については今、部下に調査するよう電話をしましたので、何かあったら連絡が来るでしょう。せっかくここに来たのですから、私達は何人かの生徒に話を聞いてもいいかもしれません。もうすぐ昼休みですからね。いじめのアンケートについて教えてくれた1年1組の生徒や、月村さんの妹さんもこの学校にいるので」
「そうなんですか。それなら、まずはその生徒に話を聞いた方がいいかもしれませんね」
諸澄司や佐相柚葉について話を聞いておきたいところだ。事件を匂わすような発言を友人やクラスメイトにしているかもしれない。
「お待たせしました。1年1組の生徒の家庭調査票を持ってきました」
「ありがとうございます」
片倉さんは分厚いファイルを持っている。あの中に諸澄司と佐相柚葉の家庭情報が入っているのか。
「こちらが佐相さんで、こちらが諸澄君ですね」
諸澄司の方は……父親はIT関係に勤めているのか。彼の家族が警察関係者という可能性も考えたが違っていたか。
「羽賀さん! 佐相さんの家庭調査票のここなんですが……」
浅野さん、何か重要な情報を見つけたようだ。
彼女が指さす箇所に書かれていた内容は、
「佐相繁。年齢は50歳。続柄は父親。そして、勤務先が……警視庁」
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