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特別編-オータムホリデイズ-
エピローグ『あきない』
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入れ替わってしまったという美来と有紗さんのイタズラによって、驚きから始まる月曜日にとなったけれど……すぐに嘘であると分かったので、ゆったりとした祝日を過ごすことができそうだ。
「智也君の作った朝ご飯、美味しいね!」
「美味しいですよね! 愛おしい想いが味をより一層深くさせてくれる気がします。もしかしたら、智也さんの愛情がたくさん注がれているから、こんなにも美味しいのかもしれませんね。はぁ、お味噌汁も美味しい。幸せです……」
うっとりとした表情でお味噌汁を飲むメイド服姿を女子高生って、果たして美来以外に存在するのだろうか。また、僕と美来と向かい合って食べている有紗さんもメイド服姿だ。きっと、2人とも今日は家から出ずにゆっくりと過ごすつもりなんだろう。ちなみに、2人とも夏仕様のメイド服を着ている。
「2人に美味しいと言ってもらえて僕も嬉しいですよ」
「智也さんってお料理も上手ですよね」
「ありがとう。ただ、美来ほどじゃないよ。作れる料理のレパートリーもあまり多くないし。美来の好きな料理を作れるようにもなりたいな」
「もう、たくさん作ることができているじゃないですか。でも、いずれは一緒に好きな料理を作りましょうね」
「そうだね」
「まあ、お料理以外のものも作りたいですよね」
「……そういうときもいずれ来るだろうね」
「……夫婦だねぇ。あぁ、暑い暑い。夏のメイド服を着て良かった」
有紗さんはニヤニヤしながら僕達のこと見ている。
「ふふっ、そうですか。もしかしたら下着姿になりたいくらいに暑くなってしまうかもしれませんよ? まあ、事と次第では私の方が下着姿になったり、下着さえもつけない状態になったりするかもしれませんが……」
有紗さんからのからかいに動じず、美来は艶やかな笑みを浮かべながらそう言った。そんな美来の言葉を真に受けたのか、有紗さんの顔が真っ赤になる。
「ふふっ、有紗さんったら顔を赤くしちゃってかわいい。もし、そうなるとしたら、お風呂に入るときくらいですよ」
「そ、そうだよね。てっきり、私のいる前で智也君と営んじゃうかと思ってさ」
「……さすがに、夫婦の営みは智也さんと2人きりのときにしますよ」
今の有紗さんの言葉は予想外だったのか、美来も顔を真っ赤にする。まったく、朝から何を話しているんだか。
「話は変わりますけど、智也さんはいつから有紗さんと私が入れ替わっていないって気付いたんですか?」
「最初から何かおかしいなとは思っていたよ。話し方がぎこちなかったし。ただ、実際に入れ替わると戸惑って上手く話せないのかな……とも思ったけれど」
「なるほどです」
「最初から感付かれていたんだね、美来ちゃん」
「でも、昨日は映画を観ましたし、お昼ご飯を食べているときにもしも入れ替わったらどうするかって話しましたからね。言霊ってあるじゃないですか。だから、本当のことになっちゃったのかな……って真剣に思いましたよ」
あと、夏休みに美来と一緒に旅行に行ったとき、旅先のホテルの部屋で幽霊と出会ったことがあったから。しかも、冷たい体に触ったし。そんな不思議な体験をしているので入れ替わりもあり得るかもしれないとは思ったよ。もしかしたら、その幽霊の仕業かもしれないと考えたほどだ。
「話しているときはそう思いましたけど、黙っているときの様子は普段の美来と有紗さんにしか見えなかったです。だから、2人は本当に入れ替わったんじゃなくて、僕を驚かそうと嘘をついていると思ったんですよ」
「なるほどね。さすがは智也君」
「そうですね。ただ、智也さんを驚かせるつもりだったのに、逆に私達が驚かされちゃいましたよね。まさか、私達が寝ぼけて口づけをしていたところを見られていたなんて」
「……だよね。……ごめん、夢の中で智也君と口づけしちゃって」
「いえ、気にしないでください。むしろ、夢で見ることは自由であっていいと思っているくらいですから」
「そう言ってくれると安心するよ」
意外だな、僕に関することなのに美来が寛容な発言をするなんて。現実のことじゃないから自由でいいと思っているのかも。
「ただ、夢の中でした智也君との口づけがあまりにも気持ちいいと思ったら、まさか現実では美来ちゃんと口づけをしているなんてね」
「私もですよ。まるで本当に口づけをしているような感じでしたから。まあ、有紗さんの唇は柔らかくて甘い匂いがしたので、悪くはなかったですけど……」
「……美来ちゃんにそう言ってもらえると結構嬉しいよ。それに、あのときは驚いてすぐに唇を離したけれど、いい意味で結構ドキドキしたよ。女の子との口づけもなかなかいいなって思えるくらいに」
「そ、そうですか……」
端から見ていると、有紗さんが美来のことを口説いているようにしか思えない。今の有紗さんの言葉からして、もしかしたら誰か女性と付き合っている未来もあり得るかもしれないな。
「智也さん、有紗さん。今日はどうしますか?」
「夕方に帰るまでここでゆっくりしたいなって思っているけれど」
「僕もそのつもりかな。せっかくの祝日だし、家でゆっくりとしようかなって」
「そうですか。では、今日は有紗さんと私でたっぷりと智也さんにご奉仕させていただきますね」
「えっ、あたしも?」
「ええ。だって、入れ替わったと智也さんに嘘をついちゃいましたし」
「そ、そうだね……」
どうやら、美来と有紗さんは僕を騙したことに罪悪感を抱いているようだ。僕は全然怒っていないんだけれどな。嘘をつくことは基本的には良くないけれど。
「お礼としてのご奉仕は喜んで受けるつもりですけど、お詫びとしてのご奉仕なら受けるつもりはありませんよ。もし、嘘をついてお詫びをしたいのであれば……そんなことは気にせずに3人で楽しくゆっくりと過ごしましょう。ただ、2人は今、可愛いメイドさんとしてここにいるようなので、美味しいコーヒーを淹れてくれませんか」
あんな嘘をつかれたからこそ、普段と変わらずゆったりとした時間を過ごしたいのだ。
「……こうなったら、とびっきり美味しいコーヒーを淹れないといけませんね」
「そうね、美来ちゃん。ただ、美来ちゃんの言葉を借りれば、愛情をたっぷり注ぐと味わい深くなるかもね」
「そういう風に言われると何だか恥ずかしいです……」
「頑張って智也君に美味しいコーヒーを淹れようね」
「……ええ」
こうして見てみると仲のいい姉妹みたいだな。
段々と涼しくなり秋めいてきたこの時期。これからはより秋が深くなっていくけれど、僕達はきっと今のような温かい時間を過ごし、愛おしく思うことだろう。
特別編-オータムホリデイズ- おわり
次の話から、特別編-ホームでシック2-です。
「智也君の作った朝ご飯、美味しいね!」
「美味しいですよね! 愛おしい想いが味をより一層深くさせてくれる気がします。もしかしたら、智也さんの愛情がたくさん注がれているから、こんなにも美味しいのかもしれませんね。はぁ、お味噌汁も美味しい。幸せです……」
うっとりとした表情でお味噌汁を飲むメイド服姿を女子高生って、果たして美来以外に存在するのだろうか。また、僕と美来と向かい合って食べている有紗さんもメイド服姿だ。きっと、2人とも今日は家から出ずにゆっくりと過ごすつもりなんだろう。ちなみに、2人とも夏仕様のメイド服を着ている。
「2人に美味しいと言ってもらえて僕も嬉しいですよ」
「智也さんってお料理も上手ですよね」
「ありがとう。ただ、美来ほどじゃないよ。作れる料理のレパートリーもあまり多くないし。美来の好きな料理を作れるようにもなりたいな」
「もう、たくさん作ることができているじゃないですか。でも、いずれは一緒に好きな料理を作りましょうね」
「そうだね」
「まあ、お料理以外のものも作りたいですよね」
「……そういうときもいずれ来るだろうね」
「……夫婦だねぇ。あぁ、暑い暑い。夏のメイド服を着て良かった」
有紗さんはニヤニヤしながら僕達のこと見ている。
「ふふっ、そうですか。もしかしたら下着姿になりたいくらいに暑くなってしまうかもしれませんよ? まあ、事と次第では私の方が下着姿になったり、下着さえもつけない状態になったりするかもしれませんが……」
有紗さんからのからかいに動じず、美来は艶やかな笑みを浮かべながらそう言った。そんな美来の言葉を真に受けたのか、有紗さんの顔が真っ赤になる。
「ふふっ、有紗さんったら顔を赤くしちゃってかわいい。もし、そうなるとしたら、お風呂に入るときくらいですよ」
「そ、そうだよね。てっきり、私のいる前で智也君と営んじゃうかと思ってさ」
「……さすがに、夫婦の営みは智也さんと2人きりのときにしますよ」
今の有紗さんの言葉は予想外だったのか、美来も顔を真っ赤にする。まったく、朝から何を話しているんだか。
「話は変わりますけど、智也さんはいつから有紗さんと私が入れ替わっていないって気付いたんですか?」
「最初から何かおかしいなとは思っていたよ。話し方がぎこちなかったし。ただ、実際に入れ替わると戸惑って上手く話せないのかな……とも思ったけれど」
「なるほどです」
「最初から感付かれていたんだね、美来ちゃん」
「でも、昨日は映画を観ましたし、お昼ご飯を食べているときにもしも入れ替わったらどうするかって話しましたからね。言霊ってあるじゃないですか。だから、本当のことになっちゃったのかな……って真剣に思いましたよ」
あと、夏休みに美来と一緒に旅行に行ったとき、旅先のホテルの部屋で幽霊と出会ったことがあったから。しかも、冷たい体に触ったし。そんな不思議な体験をしているので入れ替わりもあり得るかもしれないとは思ったよ。もしかしたら、その幽霊の仕業かもしれないと考えたほどだ。
「話しているときはそう思いましたけど、黙っているときの様子は普段の美来と有紗さんにしか見えなかったです。だから、2人は本当に入れ替わったんじゃなくて、僕を驚かそうと嘘をついていると思ったんですよ」
「なるほどね。さすがは智也君」
「そうですね。ただ、智也さんを驚かせるつもりだったのに、逆に私達が驚かされちゃいましたよね。まさか、私達が寝ぼけて口づけをしていたところを見られていたなんて」
「……だよね。……ごめん、夢の中で智也君と口づけしちゃって」
「いえ、気にしないでください。むしろ、夢で見ることは自由であっていいと思っているくらいですから」
「そう言ってくれると安心するよ」
意外だな、僕に関することなのに美来が寛容な発言をするなんて。現実のことじゃないから自由でいいと思っているのかも。
「ただ、夢の中でした智也君との口づけがあまりにも気持ちいいと思ったら、まさか現実では美来ちゃんと口づけをしているなんてね」
「私もですよ。まるで本当に口づけをしているような感じでしたから。まあ、有紗さんの唇は柔らかくて甘い匂いがしたので、悪くはなかったですけど……」
「……美来ちゃんにそう言ってもらえると結構嬉しいよ。それに、あのときは驚いてすぐに唇を離したけれど、いい意味で結構ドキドキしたよ。女の子との口づけもなかなかいいなって思えるくらいに」
「そ、そうですか……」
端から見ていると、有紗さんが美来のことを口説いているようにしか思えない。今の有紗さんの言葉からして、もしかしたら誰か女性と付き合っている未来もあり得るかもしれないな。
「智也さん、有紗さん。今日はどうしますか?」
「夕方に帰るまでここでゆっくりしたいなって思っているけれど」
「僕もそのつもりかな。せっかくの祝日だし、家でゆっくりとしようかなって」
「そうですか。では、今日は有紗さんと私でたっぷりと智也さんにご奉仕させていただきますね」
「えっ、あたしも?」
「ええ。だって、入れ替わったと智也さんに嘘をついちゃいましたし」
「そ、そうだね……」
どうやら、美来と有紗さんは僕を騙したことに罪悪感を抱いているようだ。僕は全然怒っていないんだけれどな。嘘をつくことは基本的には良くないけれど。
「お礼としてのご奉仕は喜んで受けるつもりですけど、お詫びとしてのご奉仕なら受けるつもりはありませんよ。もし、嘘をついてお詫びをしたいのであれば……そんなことは気にせずに3人で楽しくゆっくりと過ごしましょう。ただ、2人は今、可愛いメイドさんとしてここにいるようなので、美味しいコーヒーを淹れてくれませんか」
あんな嘘をつかれたからこそ、普段と変わらずゆったりとした時間を過ごしたいのだ。
「……こうなったら、とびっきり美味しいコーヒーを淹れないといけませんね」
「そうね、美来ちゃん。ただ、美来ちゃんの言葉を借りれば、愛情をたっぷり注ぐと味わい深くなるかもね」
「そういう風に言われると何だか恥ずかしいです……」
「頑張って智也君に美味しいコーヒーを淹れようね」
「……ええ」
こうして見てみると仲のいい姉妹みたいだな。
段々と涼しくなり秋めいてきたこの時期。これからはより秋が深くなっていくけれど、僕達はきっと今のような温かい時間を過ごし、愛おしく思うことだろう。
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次の話から、特別編-ホームでシック2-です。
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