文字の大きさ
大
中
小
244 / 311
2学期編3
第10話『メイド&執事喫茶-1日目・前編-』
「おかえりなさいませ、お嬢様方。何名様でのご利用でしょうか」
「では、美味しくなるおまじないをかけさせていただきますね! 美味しくな~れ、美味しくな~れ、萌え萌えきゅん!」
「ご注文をお伺いするのです、ご主人様」
文化祭が始まってすぐ。
我ら1年2組のメイド&執事喫茶はさっそく、たくさんのお客様が来店され、賑わっている。王道の出し物だし、メイドや執事に惹かれた人が多いのかも。あとは、メイド服や執事服を着て開会式に参加した接客係の生徒の姿を見て、喫茶店に行こうと決めた人もいるかもしれない。
始まってから間もないので今は生徒が多いけど、一般の方達もいる。
男女の比率は男性がやや多めといった感じだ。女子はみんなメイド服が似合っているし、特に結衣は美人で可愛くてスタイル抜群、伊集院さんは物凄く可愛いからな。それに、
「他のメイドや執事の子達よりもちょっと大人な私が、おまじないをかけさせていただきますね。美味しくな~れ、美味しくな~れ、萌え萌えきゅん!」
接客には福王寺先生も参加しているし。先生のメイド服姿は大人な雰囲気が醸し出されているし、メイドらしく接客をするのもノリノリで。先生目当てで喫茶店に来る人も増えてきそう。
「では、アイスティーといちごクレープが美味しくなるおまじないをかけさせてもらいます」
「うんっ、お願いします! 大賀君!」
「美味しくなーれ」
「きゃあっ!」
シフトに入っている橋本は、恋人の相原さんから注文を受けたアイスティーといちごクレープに、美味しくなるおまじないをかけていた。
相原さんはとても嬉しそうで。そんな相原さんの反応を受けてか、橋本も嬉しそうにしている。微笑ましい光景だ。
今のところ、女子も男子も福王寺先生も笑顔で接客できている。特に大きなミスもないし。バックヤードで調理する調理係も特に問題はなさそうだ。
メイド服姿や執事服姿が似合っているのもあってか、接客係の生徒達を見ているお客様は多い。見ているだけならまだいいけど、触ったり、ナンパをしたり、写真を撮ろうとしたりとかしてきたらちゃんと対処しないとな。
それにしても、高校の文化祭とはいえ、結衣や伊集院さんや福王寺先生と一緒に接客の仕事をするときが来るとは。何だか感慨深い気持ちになる。
「ゆう君、結衣ちゃん、姫奈ちゃん、来たよ。あっ、杏樹先生もメイドさんになってる」
「みんなよく似合ってるよね、華頂ちゃん。来たよ~」
胡桃と中野先輩が来店してくれた。親しい人が来てくれると嬉しい気持ちになる。
胡桃も中野先輩もクラスTシャツだ。先輩のクラスTシャツはオレンジで、前面には焼きそばのイラストが描かれている。背中側には胡桃のクラスTシャツのように生徒と先生の名前が描かれている。
親しい人が来たのもあり、俺と結衣と伊集院さんと福王寺先生は2人のところに向かう。4人で視線を合わせた後、
『おかえりなさいませ、お嬢様方』
と声を揃えて言った。お客様が来店されたときの決まり文句なので、視線を合わせただけで声を揃えて言うことができたな。
俺達の出迎えもあってか、胡桃と中野先輩は嬉しそうだ。
「おぉ、お嬢様になった気分だ。夏休みにメイドカフェに行ったことを思い出すね」
「ですね!」
「懐かしいですね。……2名様でのご利用でしょうか」
「はいっ、ゆう君」
胡桃は俺を見つめながら返事をしてくれる。ニコッとした笑顔で可愛い。
「2名様ですね。かしこまりました。テーブル席とカウンター席が空いておりますが、どちらの席がよろしいでしょうか」
「どうします? 千佳先輩」
「テーブル席がいいんじゃない? 向かい合えるし」
「そうですね。では、テーブル席をお願いします」
「テーブル席ですね。かしこまりました」
俺達は胡桃と中野先輩をテーブル席へと案内した。
「こちらが当店のメニューになります」
と言い、俺がテーブルにメニュー表を置いた。
「前に送ってもらった写真で、執事服姿やメイド服姿のみんなを見たことあるけど、実際に見るとよりいいね」
「いいですよね。ゆう君はかっこいいですし、結衣ちゃんと姫奈ちゃんと杏樹先生は可愛いですよね」
「そうだね」
「胡桃お嬢様と千佳お嬢様に褒めてもらえて嬉しい限りです。ありがとうございます」
「ふふっ、悠真君、執事さんになりきってるね。ありがとうございます、胡桃お嬢様、千佳お嬢様!」
「ありがとうございます、胡桃お嬢様、千佳お嬢様!」
「2人から褒めてもらえて先生は嬉しいよ。胡桃お嬢様、千佳お嬢様、ありがとうございます」
結衣達はニコニコ顔でお礼を言った。
その後、俺が注文を承り、胡桃はアイスティーといちごクレープ、中野先輩はアイスコーヒーとチョコバナナクレープを注文した。2人ともガムシロップを1つずついるとのこと。
まだ序盤だけど、飲み物はコーヒーや紅茶、食べ物はクレープが人気だなぁ。そう思いながら、バックヤードに入り、調理係の生徒達に注文を伝えた。
直後に結衣がバックヤードに入り、カウンター席のお客様から入った注文を伝えた。
「友達や先輩が来てくれると嬉しいね」
「そうだな」
「今日はお母さんとお父さん、悠真君のお母様とお父様、お姉様と彩乃さん、朋実ちゃん、姫奈ちゃんの御両親が来るし。楽しみだよ!」
「そうだな。……妹の柚月ちゃんは?」
「柚月は明日来る予定だよ。今日は部活があるから。明日を楽しみに今日の部活を頑張るって言ってた」
「そっか」
快活な性格の柚月ちゃんらしいな。中学の友達と一緒に来ると言っていたし、明日の楽しみができたな。
「9番テーブル、アイスティーといちごクレープ、アイスコーヒーとチョコバナナクレープ、ガムシロップ2つ用意できたよ」
9番テーブル……胡桃と中野先輩のいるテーブルか。
「ありがとう。持っていきます。……胡桃と中野先輩のテーブルだ。一緒に行くか?」
「もちろん! おまじないをかけるよ」
「分かった」
俺は胡桃と中野先輩が注文したものが乗ったトレーを持ち、結衣と一緒に喫茶スペースへと出る。胡桃と中野先輩が待つ9番テーブルに行く。
「お待たせしました。アイスティーといちごクレープ、アイスコーヒーとチョコバナナクレープでございます。あと、ガムシロップ2つご用意しました」
「ありがとう」
「ありがとね」
胡桃の前にアイスティーといちごクレープ、中野先輩の前にはアイスコーヒーとチョコバナナクレープをそれぞれ置いた。また、それぞれの前にはガムシロップとストローも。あと、伝票立てに伝票を立てた。
胡桃も美味しそうと呟き、スマホで写真を撮る。
「では、私達が心を込めて美味しくなるおまじないをかけさせてもらいます」
「おっ、執事の悠真もかけてくれるんだ」
「左様でございます。執事とメイドではおまじないのかけ方が違うので、まずは私が」
そう言い、俺は右手の人差し指でテーブルを指さす。人差し指をクルクルと回しながら、
「美味しくなーれ」
と執事バージョンのおまじないをかけた。
「シンプルだけどいいね、ゆう君!」
「優しく言うところがいいね」
胡桃は嬉しそうに、中野先輩は微笑みながらそう言ってくれた。親しい友人や先輩相手にかけるのは初めてで緊張したけど、好評で良かった。
「ありがとうございます」
「では、次に私達メイドから」
結衣が「私達」と言うので結衣の方を見ると、結衣の横に伊集院さんと福王寺先生が立っていた。さっきの俺達の会話を聞いて、おまじないをかけるためにここに来たのだろう。
結衣が小声で「せーの」と言うと、3人はニッコリとした笑顔になって両手でハートマークを作り、
『美味しくな~れ、美味しくな~れ、萌え萌えきゅん!』
可愛らしい声でメイドバージョンのおまじないを言った。3人それぞれで言うのも可愛いけど、3人で一緒に言うともっと可愛くなるな。
「3人とも凄く可愛いですっ!」
「可愛いよね! あと、4人のおまじないのおかげで、コーヒーとクレープがもっと美味しく見えてきたよ」
「ふふっ、あたしもです。では、いただきましょうか」
「そうだね。じゃあ、いただきます」
「いただきます」
胡桃はいちごクレープ、中野先輩はチョコバナナクレープを一口食べる。
「うんっ、いちごクレープ凄く美味しい!」
「チョコバナナも美味しいよ!」
胡桃と中野先輩は幸せそうな様子でそう言った。バイトのときと同じで、お客様が飲み物や食べ物を美味しいと言ってくれると嬉しい気持ちになる。
「お嬢様方にそう言ってもらえて嬉しいです!」
結衣がニコッとした笑顔でそう言った。俺、伊集院さん、福王寺先生は結衣の今の言葉に頷く。
「ゆう君達におまじないをかけてもらったからですね」
「そうだね」
「良かったです。では、ごゆっくり」
俺がそう言うと、俺達は胡桃と中野先輩に軽くお辞儀をして、2人のいるテーブルから離れた。
それからも執事として接客の仕事をしていく。
お客様の中に親しい友人や先輩がいるのっていいな。気持ちが軽くなるし、楽しそうにしている胡桃と中野先輩を見ていると癒やされるから。そう思いながら仕事をしていると、
「ユウちゃん、来たよ!」
「来たよ。わぁっ、いい雰囲気の喫茶店だね」
芹花姉さんと月読さんがやってきた。俺と目が合うと、姉さんと月読さんはニコッと笑ってこちらに手を振ってくる。姉さんはちょっと興奮気味だ。
俺は芹花姉さんと月読さんのところに行く。
「おかえりなさいませ、芹花お姉様、彩乃お嬢様」
「帰ってきたよ! 生で見る執事服のユウちゃん最高だよ! かっこいいよ!」
「かっこいいよね。執事服よく似合ってるよ、悠真君」
「ありがとうございます」
お礼を言って、芹花姉さんと月読さんに向けて軽く頭を下げる。その立ち振る舞いが良かったのか、姉さんは「きゃっ」と黄色い声を漏らしていて。姉さん……恍惚とした様子で俺のことを見ているなぁ。
「おかえりなさいませ、お嬢様方!」
「帰ってきてくれてとても嬉しいのです! お嬢様方!」
「お嬢様方、おかえりなさいませ」
結衣と伊集院さんと福王寺先生もこちらにやってきた。可愛いメイドさんが3人も来たのもあってか、芹花姉さんと月読さんはニッコリ。
「結衣ちゃんも姫奈ちゃんも杏樹先生も可愛いですね!」
「みんな可愛いよね、芹花ちゃん!」
芹花姉さんと月読さんはメイド服姿の3人を大絶賛。それが嬉しかったようで、
『ありがとうございます、お嬢様方!』
と、3人は声を揃えてお礼を言った。この3人、結構息ピッタリだな。
「ねえねえ、ユウちゃん」
「何でしょうか?」
「お姉様って呼んでもらえるのももちろん嬉しいんだけど、一度……お嬢様って呼んでみてくれないかな? 執事さんだから、彩乃ちゃんみたいにお嬢様とも呼ばれてみたくて」
芹花姉さんは俺を見つめながらそんなお願いをしてくる。
芹花姉さんは姉なので「お姉様」と呼んだけど、俺が執事として接客しているから月読さんのように「お嬢様」と呼ばれてみたいのだろう。
「かしこまりました。……芹花お嬢様」
芹花姉さんの目を見つめながら、俺はお嬢様呼びした。芹花姉さんは「あうっ」と可愛らしい声を漏らし、凄く嬉しそうな表情になる。
「ありがとう、ユウちゃん! 凄く嬉しいよ! 執事服姿で『お嬢様』って言ってくれるから、キュンってなっちゃった」
「ふふっ、芹花ちゃん可愛い。良かったね、芹花ちゃん」
「うんっ!」
月読さんに向けて物凄く嬉しそうに返事をする芹花姉さん。接客する人間として、姉さんの唯一人の弟としても嬉しいよ。
「喜んでいただけて何よりです」
「ありがとう! 文化祭の思い出ができたよ。一番の思い出になるかも」
一番になるかもしれないとは。相当嬉しかったのが窺える。
その後、俺が芹花姉さんと月読さんをテーブル席に案内する。まだ店内には胡桃と中野先輩がいるので、芹花姉さんと月読さんは軽く挨拶していた。
芹花姉さんと月読さんが席に座って、メニュー表を渡した。
「色々あるね、彩乃ちゃん」
「ドリンクもスイーツも豊富だね」
芹花姉さんと月読さんはちょっとワクワクとした様子でメニュー表を見ている。
その後、俺が注文を受けることになり、芹花姉さんはホットコーヒーといちごクレープ、月読さんはホットティーとチョコバナナクレープ、あとは2人ともプレーンクッキーを注文した。また、ガムシロップやミルクはいらないとのこと。
芹花姉さんと月読さんのテーブルのオーダーをバックヤードにいる調理係のメンバーに伝えた。
再び喫茶スペースに出ると、結衣がレジで胡桃と伊集院さんが会計作業をしているのが見える。そのため、俺はレジへ行く。
「……あっ、ゆう君。とても楽しい時間だったよ」
「いい時間だったよ。この後、クラスの屋台のシフトに入るけど頑張れそう」
「あたしもお化け屋敷頑張れそうです」
「それは良かったです。お昼にシフトが終わるので、その後に伺いますね」
「うん、待ってるよ」
「うちの焼きそば美味しいよ。お昼にちょうどいいよ。来てね~」
胡桃と中野先輩は快活な笑顔でそう言ってくれる。2人のおかげで、今日のシフトをより頑張れそうだ。
「あと、明日は両親が来るから、3人で一緒に行くね」
「あたしの方も明日に両親とお姉ちゃんが来るから4人で行くよ」
「分かりました」
「お待ちしていますね!」
中野先輩と胡桃は明日も来てくれるのか。それぞれのご家族と会えるのが楽しみだ。
俺達が話していると、伊集院さんと福王寺先生がやってきた。なので、4人で胡桃と中野先輩を見送ることに。俺が合図をして、
『いってらっしゃいませ、お嬢様方』
と声を揃えて見送りの言葉を言った。そのことに、胡桃と中野先輩は満足そうな様子になり、教室を後にしていった。
見送ってすぐ、調理係の女子生徒から芹花姉さんと月読さんのいるテーブルのメニューが用意できたと言われた。そのため、俺が芹花姉さんと月読さんのところへと運んでいく。
メニューをテーブルに置いたところで、
「では、私達が心を込めて美味しくなるおまじないをかけさせてもらいます。執事とメイドではおまじないが違うので、まずは私から。……美味しくなーれ」
『美味しくな~れ、美味しくな~れ、萌え萌えきゅん!』
胡桃と中野先輩のときのように、俺達4人でおまじないをかけた。
芹花姉さんと月読さんはとても喜んでいた。特に、俺がおまじないをかけたときの芹花姉さんは。
芹花姉さんと月読さんは自分の注文したクレープを一口食べる。
「美味しい!」
「美味しいね、芹花ちゃん!」
芹花姉さんと月読さんは笑顔になってそう言った。提供したメニューで笑顔になってくれると本当に嬉しいよ。
結衣や伊集院さんや福王寺先生が接客する姿を見て力をもらったり、芹花姉さんと月読さんがドリンクやスイーツを楽しむ姿に癒やされたりしながら、俺は執事として接客係の仕事に励むのであった。
「では、美味しくなるおまじないをかけさせていただきますね! 美味しくな~れ、美味しくな~れ、萌え萌えきゅん!」
「ご注文をお伺いするのです、ご主人様」
文化祭が始まってすぐ。
我ら1年2組のメイド&執事喫茶はさっそく、たくさんのお客様が来店され、賑わっている。王道の出し物だし、メイドや執事に惹かれた人が多いのかも。あとは、メイド服や執事服を着て開会式に参加した接客係の生徒の姿を見て、喫茶店に行こうと決めた人もいるかもしれない。
始まってから間もないので今は生徒が多いけど、一般の方達もいる。
男女の比率は男性がやや多めといった感じだ。女子はみんなメイド服が似合っているし、特に結衣は美人で可愛くてスタイル抜群、伊集院さんは物凄く可愛いからな。それに、
「他のメイドや執事の子達よりもちょっと大人な私が、おまじないをかけさせていただきますね。美味しくな~れ、美味しくな~れ、萌え萌えきゅん!」
接客には福王寺先生も参加しているし。先生のメイド服姿は大人な雰囲気が醸し出されているし、メイドらしく接客をするのもノリノリで。先生目当てで喫茶店に来る人も増えてきそう。
「では、アイスティーといちごクレープが美味しくなるおまじないをかけさせてもらいます」
「うんっ、お願いします! 大賀君!」
「美味しくなーれ」
「きゃあっ!」
シフトに入っている橋本は、恋人の相原さんから注文を受けたアイスティーといちごクレープに、美味しくなるおまじないをかけていた。
相原さんはとても嬉しそうで。そんな相原さんの反応を受けてか、橋本も嬉しそうにしている。微笑ましい光景だ。
今のところ、女子も男子も福王寺先生も笑顔で接客できている。特に大きなミスもないし。バックヤードで調理する調理係も特に問題はなさそうだ。
メイド服姿や執事服姿が似合っているのもあってか、接客係の生徒達を見ているお客様は多い。見ているだけならまだいいけど、触ったり、ナンパをしたり、写真を撮ろうとしたりとかしてきたらちゃんと対処しないとな。
それにしても、高校の文化祭とはいえ、結衣や伊集院さんや福王寺先生と一緒に接客の仕事をするときが来るとは。何だか感慨深い気持ちになる。
「ゆう君、結衣ちゃん、姫奈ちゃん、来たよ。あっ、杏樹先生もメイドさんになってる」
「みんなよく似合ってるよね、華頂ちゃん。来たよ~」
胡桃と中野先輩が来店してくれた。親しい人が来てくれると嬉しい気持ちになる。
胡桃も中野先輩もクラスTシャツだ。先輩のクラスTシャツはオレンジで、前面には焼きそばのイラストが描かれている。背中側には胡桃のクラスTシャツのように生徒と先生の名前が描かれている。
親しい人が来たのもあり、俺と結衣と伊集院さんと福王寺先生は2人のところに向かう。4人で視線を合わせた後、
『おかえりなさいませ、お嬢様方』
と声を揃えて言った。お客様が来店されたときの決まり文句なので、視線を合わせただけで声を揃えて言うことができたな。
俺達の出迎えもあってか、胡桃と中野先輩は嬉しそうだ。
「おぉ、お嬢様になった気分だ。夏休みにメイドカフェに行ったことを思い出すね」
「ですね!」
「懐かしいですね。……2名様でのご利用でしょうか」
「はいっ、ゆう君」
胡桃は俺を見つめながら返事をしてくれる。ニコッとした笑顔で可愛い。
「2名様ですね。かしこまりました。テーブル席とカウンター席が空いておりますが、どちらの席がよろしいでしょうか」
「どうします? 千佳先輩」
「テーブル席がいいんじゃない? 向かい合えるし」
「そうですね。では、テーブル席をお願いします」
「テーブル席ですね。かしこまりました」
俺達は胡桃と中野先輩をテーブル席へと案内した。
「こちらが当店のメニューになります」
と言い、俺がテーブルにメニュー表を置いた。
「前に送ってもらった写真で、執事服姿やメイド服姿のみんなを見たことあるけど、実際に見るとよりいいね」
「いいですよね。ゆう君はかっこいいですし、結衣ちゃんと姫奈ちゃんと杏樹先生は可愛いですよね」
「そうだね」
「胡桃お嬢様と千佳お嬢様に褒めてもらえて嬉しい限りです。ありがとうございます」
「ふふっ、悠真君、執事さんになりきってるね。ありがとうございます、胡桃お嬢様、千佳お嬢様!」
「ありがとうございます、胡桃お嬢様、千佳お嬢様!」
「2人から褒めてもらえて先生は嬉しいよ。胡桃お嬢様、千佳お嬢様、ありがとうございます」
結衣達はニコニコ顔でお礼を言った。
その後、俺が注文を承り、胡桃はアイスティーといちごクレープ、中野先輩はアイスコーヒーとチョコバナナクレープを注文した。2人ともガムシロップを1つずついるとのこと。
まだ序盤だけど、飲み物はコーヒーや紅茶、食べ物はクレープが人気だなぁ。そう思いながら、バックヤードに入り、調理係の生徒達に注文を伝えた。
直後に結衣がバックヤードに入り、カウンター席のお客様から入った注文を伝えた。
「友達や先輩が来てくれると嬉しいね」
「そうだな」
「今日はお母さんとお父さん、悠真君のお母様とお父様、お姉様と彩乃さん、朋実ちゃん、姫奈ちゃんの御両親が来るし。楽しみだよ!」
「そうだな。……妹の柚月ちゃんは?」
「柚月は明日来る予定だよ。今日は部活があるから。明日を楽しみに今日の部活を頑張るって言ってた」
「そっか」
快活な性格の柚月ちゃんらしいな。中学の友達と一緒に来ると言っていたし、明日の楽しみができたな。
「9番テーブル、アイスティーといちごクレープ、アイスコーヒーとチョコバナナクレープ、ガムシロップ2つ用意できたよ」
9番テーブル……胡桃と中野先輩のいるテーブルか。
「ありがとう。持っていきます。……胡桃と中野先輩のテーブルだ。一緒に行くか?」
「もちろん! おまじないをかけるよ」
「分かった」
俺は胡桃と中野先輩が注文したものが乗ったトレーを持ち、結衣と一緒に喫茶スペースへと出る。胡桃と中野先輩が待つ9番テーブルに行く。
「お待たせしました。アイスティーといちごクレープ、アイスコーヒーとチョコバナナクレープでございます。あと、ガムシロップ2つご用意しました」
「ありがとう」
「ありがとね」
胡桃の前にアイスティーといちごクレープ、中野先輩の前にはアイスコーヒーとチョコバナナクレープをそれぞれ置いた。また、それぞれの前にはガムシロップとストローも。あと、伝票立てに伝票を立てた。
胡桃も美味しそうと呟き、スマホで写真を撮る。
「では、私達が心を込めて美味しくなるおまじないをかけさせてもらいます」
「おっ、執事の悠真もかけてくれるんだ」
「左様でございます。執事とメイドではおまじないのかけ方が違うので、まずは私が」
そう言い、俺は右手の人差し指でテーブルを指さす。人差し指をクルクルと回しながら、
「美味しくなーれ」
と執事バージョンのおまじないをかけた。
「シンプルだけどいいね、ゆう君!」
「優しく言うところがいいね」
胡桃は嬉しそうに、中野先輩は微笑みながらそう言ってくれた。親しい友人や先輩相手にかけるのは初めてで緊張したけど、好評で良かった。
「ありがとうございます」
「では、次に私達メイドから」
結衣が「私達」と言うので結衣の方を見ると、結衣の横に伊集院さんと福王寺先生が立っていた。さっきの俺達の会話を聞いて、おまじないをかけるためにここに来たのだろう。
結衣が小声で「せーの」と言うと、3人はニッコリとした笑顔になって両手でハートマークを作り、
『美味しくな~れ、美味しくな~れ、萌え萌えきゅん!』
可愛らしい声でメイドバージョンのおまじないを言った。3人それぞれで言うのも可愛いけど、3人で一緒に言うともっと可愛くなるな。
「3人とも凄く可愛いですっ!」
「可愛いよね! あと、4人のおまじないのおかげで、コーヒーとクレープがもっと美味しく見えてきたよ」
「ふふっ、あたしもです。では、いただきましょうか」
「そうだね。じゃあ、いただきます」
「いただきます」
胡桃はいちごクレープ、中野先輩はチョコバナナクレープを一口食べる。
「うんっ、いちごクレープ凄く美味しい!」
「チョコバナナも美味しいよ!」
胡桃と中野先輩は幸せそうな様子でそう言った。バイトのときと同じで、お客様が飲み物や食べ物を美味しいと言ってくれると嬉しい気持ちになる。
「お嬢様方にそう言ってもらえて嬉しいです!」
結衣がニコッとした笑顔でそう言った。俺、伊集院さん、福王寺先生は結衣の今の言葉に頷く。
「ゆう君達におまじないをかけてもらったからですね」
「そうだね」
「良かったです。では、ごゆっくり」
俺がそう言うと、俺達は胡桃と中野先輩に軽くお辞儀をして、2人のいるテーブルから離れた。
それからも執事として接客の仕事をしていく。
お客様の中に親しい友人や先輩がいるのっていいな。気持ちが軽くなるし、楽しそうにしている胡桃と中野先輩を見ていると癒やされるから。そう思いながら仕事をしていると、
「ユウちゃん、来たよ!」
「来たよ。わぁっ、いい雰囲気の喫茶店だね」
芹花姉さんと月読さんがやってきた。俺と目が合うと、姉さんと月読さんはニコッと笑ってこちらに手を振ってくる。姉さんはちょっと興奮気味だ。
俺は芹花姉さんと月読さんのところに行く。
「おかえりなさいませ、芹花お姉様、彩乃お嬢様」
「帰ってきたよ! 生で見る執事服のユウちゃん最高だよ! かっこいいよ!」
「かっこいいよね。執事服よく似合ってるよ、悠真君」
「ありがとうございます」
お礼を言って、芹花姉さんと月読さんに向けて軽く頭を下げる。その立ち振る舞いが良かったのか、姉さんは「きゃっ」と黄色い声を漏らしていて。姉さん……恍惚とした様子で俺のことを見ているなぁ。
「おかえりなさいませ、お嬢様方!」
「帰ってきてくれてとても嬉しいのです! お嬢様方!」
「お嬢様方、おかえりなさいませ」
結衣と伊集院さんと福王寺先生もこちらにやってきた。可愛いメイドさんが3人も来たのもあってか、芹花姉さんと月読さんはニッコリ。
「結衣ちゃんも姫奈ちゃんも杏樹先生も可愛いですね!」
「みんな可愛いよね、芹花ちゃん!」
芹花姉さんと月読さんはメイド服姿の3人を大絶賛。それが嬉しかったようで、
『ありがとうございます、お嬢様方!』
と、3人は声を揃えてお礼を言った。この3人、結構息ピッタリだな。
「ねえねえ、ユウちゃん」
「何でしょうか?」
「お姉様って呼んでもらえるのももちろん嬉しいんだけど、一度……お嬢様って呼んでみてくれないかな? 執事さんだから、彩乃ちゃんみたいにお嬢様とも呼ばれてみたくて」
芹花姉さんは俺を見つめながらそんなお願いをしてくる。
芹花姉さんは姉なので「お姉様」と呼んだけど、俺が執事として接客しているから月読さんのように「お嬢様」と呼ばれてみたいのだろう。
「かしこまりました。……芹花お嬢様」
芹花姉さんの目を見つめながら、俺はお嬢様呼びした。芹花姉さんは「あうっ」と可愛らしい声を漏らし、凄く嬉しそうな表情になる。
「ありがとう、ユウちゃん! 凄く嬉しいよ! 執事服姿で『お嬢様』って言ってくれるから、キュンってなっちゃった」
「ふふっ、芹花ちゃん可愛い。良かったね、芹花ちゃん」
「うんっ!」
月読さんに向けて物凄く嬉しそうに返事をする芹花姉さん。接客する人間として、姉さんの唯一人の弟としても嬉しいよ。
「喜んでいただけて何よりです」
「ありがとう! 文化祭の思い出ができたよ。一番の思い出になるかも」
一番になるかもしれないとは。相当嬉しかったのが窺える。
その後、俺が芹花姉さんと月読さんをテーブル席に案内する。まだ店内には胡桃と中野先輩がいるので、芹花姉さんと月読さんは軽く挨拶していた。
芹花姉さんと月読さんが席に座って、メニュー表を渡した。
「色々あるね、彩乃ちゃん」
「ドリンクもスイーツも豊富だね」
芹花姉さんと月読さんはちょっとワクワクとした様子でメニュー表を見ている。
その後、俺が注文を受けることになり、芹花姉さんはホットコーヒーといちごクレープ、月読さんはホットティーとチョコバナナクレープ、あとは2人ともプレーンクッキーを注文した。また、ガムシロップやミルクはいらないとのこと。
芹花姉さんと月読さんのテーブルのオーダーをバックヤードにいる調理係のメンバーに伝えた。
再び喫茶スペースに出ると、結衣がレジで胡桃と伊集院さんが会計作業をしているのが見える。そのため、俺はレジへ行く。
「……あっ、ゆう君。とても楽しい時間だったよ」
「いい時間だったよ。この後、クラスの屋台のシフトに入るけど頑張れそう」
「あたしもお化け屋敷頑張れそうです」
「それは良かったです。お昼にシフトが終わるので、その後に伺いますね」
「うん、待ってるよ」
「うちの焼きそば美味しいよ。お昼にちょうどいいよ。来てね~」
胡桃と中野先輩は快活な笑顔でそう言ってくれる。2人のおかげで、今日のシフトをより頑張れそうだ。
「あと、明日は両親が来るから、3人で一緒に行くね」
「あたしの方も明日に両親とお姉ちゃんが来るから4人で行くよ」
「分かりました」
「お待ちしていますね!」
中野先輩と胡桃は明日も来てくれるのか。それぞれのご家族と会えるのが楽しみだ。
俺達が話していると、伊集院さんと福王寺先生がやってきた。なので、4人で胡桃と中野先輩を見送ることに。俺が合図をして、
『いってらっしゃいませ、お嬢様方』
と声を揃えて見送りの言葉を言った。そのことに、胡桃と中野先輩は満足そうな様子になり、教室を後にしていった。
見送ってすぐ、調理係の女子生徒から芹花姉さんと月読さんのいるテーブルのメニューが用意できたと言われた。そのため、俺が芹花姉さんと月読さんのところへと運んでいく。
メニューをテーブルに置いたところで、
「では、私達が心を込めて美味しくなるおまじないをかけさせてもらいます。執事とメイドではおまじないが違うので、まずは私から。……美味しくなーれ」
『美味しくな~れ、美味しくな~れ、萌え萌えきゅん!』
胡桃と中野先輩のときのように、俺達4人でおまじないをかけた。
芹花姉さんと月読さんはとても喜んでいた。特に、俺がおまじないをかけたときの芹花姉さんは。
芹花姉さんと月読さんは自分の注文したクレープを一口食べる。
「美味しい!」
「美味しいね、芹花ちゃん!」
芹花姉さんと月読さんは笑顔になってそう言った。提供したメニューで笑顔になってくれると本当に嬉しいよ。
結衣や伊集院さんや福王寺先生が接客する姿を見て力をもらったり、芹花姉さんと月読さんがドリンクやスイーツを楽しむ姿に癒やされたりしながら、俺は執事として接客係の仕事に励むのであった。
感想 6
あなたにおすすめの小説
桃太郎ですが、俺をガチ推ししていた鬼姫と付き合うことになりました ~鬼ヶ島に行ったら巨乳で天然すぎる彼女ができた件~
月城琴晴おとぎの国で流行っているSNS
――「美女革命ランキング」。
そこには絶世の美女たちがランキング形式で掲載されている。
団子屋の青年・桃太郎は、ランキング三位の鬼姫が気になり、
友人たち(犬・猿・雉)と一緒に鬼ヶ島へ行くことにした。
「どうせ写真は盛ってるだろ?」
そう思っていたのだが――
実際に会った鬼姫は
想像以上の美人で、しかも巨乳。
さらに。
「桃太郎様、ずっとファンでした。」
まさかのガチ推しだった。
そのまま流れで――
付き合うことに。
しかも鬼姫の部屋には桃太郎のポスターが貼られ、
恋愛シミュレーションまで済んでいるらしい。
天然で可愛すぎる鬼姫と、
初彼女に戸惑う桃太郎。
これは――
俺を推していた鬼姫が彼女になったラブコメである。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
サンスクミ〜学園のアイドルと偶然同じバイト先になったら俺を3度も振った美少女までついてきた〜
野谷 海「俺、やっぱり君が好きだ! 付き合って欲しい!」
「ごめんね青嶋くん……やっぱり青嶋くんとは付き合えない……」
この3度目の告白にも敗れ、青嶋将は大好きな小浦舞への想いを胸の内へとしまい込んで前に進む。
半年ほど経ち、彼らは何の因果か同じクラスになっていた。
別のクラスでも仲の良かった去年とは違い、距離が近くなったにも関わらず2人が会話をする事はない。
そんな折、将がアルバイトする焼鳥屋に入ってきた新人が同じ学校の同級生で、さらには舞の親友だった。
学校とアルバイト先を巻き込んでもつれる彼らの奇妙な三角関係ははたしてーー
⭐︎第3部より毎週月・木・土曜日の朝7時に最新話を投稿します。
⭐︎もしも気に入って頂けたら、ぜひブックマークやいいね、コメントなど頂けるととても励みになります。
※表紙絵、挿絵はAI作成です。
※この作品はフィクションであり、作中に登場する人物、団体等は全て架空です。
イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について
のびすけ。春から一人暮らしを始めた大学一年生、天城コウは――ただの一般人だった。
だが、再会した義妹・ひよりのひと言で、そんな日常は吹き飛ぶ。
「お兄ちゃんにしか頼めないの、私の“中の人”になって!」
ひよりはフォロワー20万人超えの人気Vtuber《ひよこまる♪》。
だが突然の喉の不調で、配信ができなくなったらしい。
その代役に選ばれたのが、イケボだけが取り柄のコウ――つまり俺!?
仕方なく始めた“妹の中の人”としての活動だったが、
「え、ひよこまるの声、なんか色っぽくない!?」
「中の人、彼氏か?」
視聴者の反応は想定外。まさかのバズり現象が発生!?
しかも、ひよりはそのまま「兄妹ユニット結成♡」を言い出して――
同居、配信、秘密の関係……って、これほぼ恋人同棲じゃん!?
「お兄ちゃんの声、独り占めしたいのに……他の女と絡まないでよっ!」
代役から始まる、妹と秘密の“中の人”Vライフ×甘々ハーレムラブコメ、ここに開幕!
妹の秘密チャンネルで俺の日常が世界に配信されていた件。隠れイケメンがバレて学園の美少女たちから求愛されています
葉山 乃愛私の自慢は、世界一かっこよくて、優しくて、完璧なお兄ちゃん。
でも、お兄ちゃんは自分の魅力にこれっぽっちも気づいていない。
分厚い伊達メガネにボサボサの髪。
「目立ちたくない」なんて言って、せっかくの国宝級の素顔を隠して生きている。
こんなの、世界の損失だ。
お兄ちゃんの素晴らしさを、全人類に分からせなきゃいけない。
そう決意した私、結奈(14歳)は、超人気YouTuberとしての特権をフル活用し、こっそり『お兄ちゃんねる』を開設した。
朝食を作る綺麗な指先。
勉強を教える時の優しい声。
ふとした瞬間に見せる、無自覚で色気たっぷりの微笑み。
「……尊い。お兄ちゃん、今日も最高に輝いてるよ」
隠し撮り配信を始めた結果、チャンネル登録者数は瞬く間に数百万人を突破。
お兄ちゃんはいつの間にか、日本中の女子たちが恋に落ちる『伝説の王子様』になっていた。
そんなこととは露知らず、翌朝、いつものように登校したお兄ちゃん。
そこで彼を待っていたのは、全校生徒による熱狂的な「お兄様」コールと、学園の美女たちによる全力の求愛バトルだった!?
「結奈……助けてくれ。なぜか知らない女子たちに婚姻届を突きつけられているんだが」
ごめんねお兄ちゃん。
でも、もう手遅れだよ。
世界に見つかってしまった「隠れイケメン」な兄と、兄を愛しすぎるブラコン妹が贈る、全方位から愛されまくりの学園ラブコメディ、開幕!
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
まずはお嫁さんからお願いします。
桜庭かなめ 高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。
4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。
総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。
いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。
デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!
※ショートストーリー集が完結しました!(2026.5.2)
※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録、感想をお待ちしております。
うちの幼馴染がデレすぎてて俺の理性はもう限界。でも毎日が最高に甘いからもうどうでもいいや
静内燕相沢悠太の日常は、規格外の美少女である幼馴染、白石葵によって完全に支配されている。
朝のモーニングコール(ベッドへのダイブ付き)から始まり、登校中の腕組み、そして「あーん」が義務付けられた手作り弁当。誰もが羨むラブラブっぷりだが、悠太はこれを「家族愛」だと頑なに誤解(無視)している。
「ゆーたは私の運命の相手なんだもん!」と、葵のデレデレは今日も過剰の一途。周囲の冷やかしや、葵を狙う男子生徒のプレッシャーが高まる中、悠太の**「幼馴染フィルター」**はついに限界を迎える。
この溺愛っぷり、いつまで「家族」で通せるのか?
甘すぎる日常が、悠太の鈍感な理性を溶かし尽くす――最初からクライマックスの、超高濃度イチャイチャ・ラブコメ、開幕!