高嶺の花の高嶺さんに好かれまして。

桜庭かなめ

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2学期編3

第10話『メイド&執事喫茶-1日目・前編-』

「おかえりなさいませ、お嬢様方。何名様でのご利用でしょうか」

「では、美味しくなるおまじないをかけさせていただきますね! 美味しくな~れ、美味しくな~れ、萌え萌えきゅん!」

「ご注文をお伺いするのです、ご主人様」

 文化祭が始まってすぐ。
 我ら1年2組のメイド&執事喫茶はさっそく、たくさんのお客様が来店され、賑わっている。王道の出し物だし、メイドや執事に惹かれた人が多いのかも。あとは、メイド服や執事服を着て開会式に参加した接客係の生徒の姿を見て、喫茶店に行こうと決めた人もいるかもしれない。
 始まってから間もないので今は生徒が多いけど、一般の方達もいる。
 男女の比率は男性がやや多めといった感じだ。女子はみんなメイド服が似合っているし、特に結衣は美人で可愛くてスタイル抜群、伊集院さんは物凄く可愛いからな。それに、

「他のメイドや執事の子達よりもちょっと大人な私が、おまじないをかけさせていただきますね。美味しくな~れ、美味しくな~れ、萌え萌えきゅん!」

 接客には福王寺先生も参加しているし。先生のメイド服姿は大人な雰囲気が醸し出されているし、メイドらしく接客をするのもノリノリで。先生目当てで喫茶店に来る人も増えてきそう。

「では、アイスティーといちごクレープが美味しくなるおまじないをかけさせてもらいます」
「うんっ、お願いします! 大賀君!」
「美味しくなーれ」
「きゃあっ!」

 シフトに入っている橋本は、恋人の相原あいはらさんから注文を受けたアイスティーといちごクレープに、美味しくなるおまじないをかけていた。
 相原さんはとても嬉しそうで。そんな相原さんの反応を受けてか、橋本も嬉しそうにしている。微笑ましい光景だ。
 今のところ、女子も男子も福王寺先生も笑顔で接客できている。特に大きなミスもないし。バックヤードで調理する調理係も特に問題はなさそうだ。
 メイド服姿や執事服姿が似合っているのもあってか、接客係の生徒達を見ているお客様は多い。見ているだけならまだいいけど、触ったり、ナンパをしたり、写真を撮ろうとしたりとかしてきたらちゃんと対処しないとな。
 それにしても、高校の文化祭とはいえ、結衣や伊集院さんや福王寺先生と一緒に接客の仕事をするときが来るとは。何だか感慨深い気持ちになる。

「ゆう君、結衣ちゃん、姫奈ちゃん、来たよ。あっ、杏樹先生もメイドさんになってる」
「みんなよく似合ってるよね、華頂ちゃん。来たよ~」

 胡桃と中野先輩が来店してくれた。親しい人が来てくれると嬉しい気持ちになる。
 胡桃も中野先輩もクラスTシャツだ。先輩のクラスTシャツはオレンジで、前面には焼きそばのイラストが描かれている。背中側には胡桃のクラスTシャツのように生徒と先生の名前が描かれている。
 親しい人が来たのもあり、俺と結衣と伊集院さんと福王寺先生は2人のところに向かう。4人で視線を合わせた後、

『おかえりなさいませ、お嬢様方』

 と声を揃えて言った。お客様が来店されたときの決まり文句なので、視線を合わせただけで声を揃えて言うことができたな。
 俺達の出迎えもあってか、胡桃と中野先輩は嬉しそうだ。

「おぉ、お嬢様になった気分だ。夏休みにメイドカフェに行ったことを思い出すね」
「ですね!」
「懐かしいですね。……2名様でのご利用でしょうか」
「はいっ、ゆう君」

 胡桃は俺を見つめながら返事をしてくれる。ニコッとした笑顔で可愛い。

「2名様ですね。かしこまりました。テーブル席とカウンター席が空いておりますが、どちらの席がよろしいでしょうか」
「どうします? 千佳先輩」
「テーブル席がいいんじゃない? 向かい合えるし」
「そうですね。では、テーブル席をお願いします」
「テーブル席ですね。かしこまりました」

 俺達は胡桃と中野先輩をテーブル席へと案内した。

「こちらが当店のメニューになります」

 と言い、俺がテーブルにメニュー表を置いた。

「前に送ってもらった写真で、執事服姿やメイド服姿のみんなを見たことあるけど、実際に見るとよりいいね」
「いいですよね。ゆう君はかっこいいですし、結衣ちゃんと姫奈ちゃんと杏樹先生は可愛いですよね」
「そうだね」
「胡桃お嬢様と千佳お嬢様に褒めてもらえて嬉しい限りです。ありがとうございます」
「ふふっ、悠真君、執事さんになりきってるね。ありがとうございます、胡桃お嬢様、千佳お嬢様!」
「ありがとうございます、胡桃お嬢様、千佳お嬢様!」
「2人から褒めてもらえて先生は嬉しいよ。胡桃お嬢様、千佳お嬢様、ありがとうございます」

 結衣達はニコニコ顔でお礼を言った。
 その後、俺が注文を承り、胡桃はアイスティーといちごクレープ、中野先輩はアイスコーヒーとチョコバナナクレープを注文した。2人ともガムシロップを1つずついるとのこと。
 まだ序盤だけど、飲み物はコーヒーや紅茶、食べ物はクレープが人気だなぁ。そう思いながら、バックヤードに入り、調理係の生徒達に注文を伝えた。
 直後に結衣がバックヤードに入り、カウンター席のお客様から入った注文を伝えた。

「友達や先輩が来てくれると嬉しいね」
「そうだな」
「今日はお母さんとお父さん、悠真君のお母様とお父様、お姉様と彩乃さん、朋実ちゃん、姫奈ちゃんの御両親が来るし。楽しみだよ!」
「そうだな。……妹の柚月ちゃんは?」
「柚月は明日来る予定だよ。今日は部活があるから。明日を楽しみに今日の部活を頑張るって言ってた」
「そっか」

 快活な性格の柚月ちゃんらしいな。中学の友達と一緒に来ると言っていたし、明日の楽しみができたな。

「9番テーブル、アイスティーといちごクレープ、アイスコーヒーとチョコバナナクレープ、ガムシロップ2つ用意できたよ」

 9番テーブル……胡桃と中野先輩のいるテーブルか。

「ありがとう。持っていきます。……胡桃と中野先輩のテーブルだ。一緒に行くか?」
「もちろん! おまじないをかけるよ」
「分かった」

 俺は胡桃と中野先輩が注文したものが乗ったトレーを持ち、結衣と一緒に喫茶スペースへと出る。胡桃と中野先輩が待つ9番テーブルに行く。

「お待たせしました。アイスティーといちごクレープ、アイスコーヒーとチョコバナナクレープでございます。あと、ガムシロップ2つご用意しました」
「ありがとう」
「ありがとね」

 胡桃の前にアイスティーといちごクレープ、中野先輩の前にはアイスコーヒーとチョコバナナクレープをそれぞれ置いた。また、それぞれの前にはガムシロップとストローも。あと、伝票立てに伝票を立てた。
 胡桃も美味しそうと呟き、スマホで写真を撮る。

「では、私達が心を込めて美味しくなるおまじないをかけさせてもらいます」
「おっ、執事の悠真もかけてくれるんだ」
「左様でございます。執事とメイドではおまじないのかけ方が違うので、まずは私が」

 そう言い、俺は右手の人差し指でテーブルを指さす。人差し指をクルクルと回しながら、

「美味しくなーれ」

 と執事バージョンのおまじないをかけた。

「シンプルだけどいいね、ゆう君!」
「優しく言うところがいいね」

 胡桃は嬉しそうに、中野先輩は微笑みながらそう言ってくれた。親しい友人や先輩相手にかけるのは初めてで緊張したけど、好評で良かった。

「ありがとうございます」
「では、次に私達メイドから」

 結衣が「私達」と言うので結衣の方を見ると、結衣の横に伊集院さんと福王寺先生が立っていた。さっきの俺達の会話を聞いて、おまじないをかけるためにここに来たのだろう。
 結衣が小声で「せーの」と言うと、3人はニッコリとした笑顔になって両手でハートマークを作り、

『美味しくな~れ、美味しくな~れ、萌え萌えきゅん!』

 可愛らしい声でメイドバージョンのおまじないを言った。3人それぞれで言うのも可愛いけど、3人で一緒に言うともっと可愛くなるな。

「3人とも凄く可愛いですっ!」
「可愛いよね! あと、4人のおまじないのおかげで、コーヒーとクレープがもっと美味しく見えてきたよ」
「ふふっ、あたしもです。では、いただきましょうか」
「そうだね。じゃあ、いただきます」
「いただきます」

 胡桃はいちごクレープ、中野先輩はチョコバナナクレープを一口食べる。

「うんっ、いちごクレープ凄く美味しい!」
「チョコバナナも美味しいよ!」

 胡桃と中野先輩は幸せそうな様子でそう言った。バイトのときと同じで、お客様が飲み物や食べ物を美味しいと言ってくれると嬉しい気持ちになる。

「お嬢様方にそう言ってもらえて嬉しいです!」

 結衣がニコッとした笑顔でそう言った。俺、伊集院さん、福王寺先生は結衣の今の言葉に頷く。

「ゆう君達におまじないをかけてもらったからですね」
「そうだね」
「良かったです。では、ごゆっくり」

 俺がそう言うと、俺達は胡桃と中野先輩に軽くお辞儀をして、2人のいるテーブルから離れた。
 それからも執事として接客の仕事をしていく。
 お客様の中に親しい友人や先輩がいるのっていいな。気持ちが軽くなるし、楽しそうにしている胡桃と中野先輩を見ていると癒やされるから。そう思いながら仕事をしていると、

「ユウちゃん、来たよ!」
「来たよ。わぁっ、いい雰囲気の喫茶店だね」

 芹花姉さんと月読さんがやってきた。俺と目が合うと、姉さんと月読さんはニコッと笑ってこちらに手を振ってくる。姉さんはちょっと興奮気味だ。
 俺は芹花姉さんと月読さんのところに行く。

「おかえりなさいませ、芹花お姉様、彩乃お嬢様」
「帰ってきたよ! 生で見る執事服のユウちゃん最高だよ! かっこいいよ!」
「かっこいいよね。執事服よく似合ってるよ、悠真君」
「ありがとうございます」

 お礼を言って、芹花姉さんと月読さんに向けて軽く頭を下げる。その立ち振る舞いが良かったのか、姉さんは「きゃっ」と黄色い声を漏らしていて。姉さん……恍惚とした様子で俺のことを見ているなぁ。

「おかえりなさいませ、お嬢様方!」
「帰ってきてくれてとても嬉しいのです! お嬢様方!」
「お嬢様方、おかえりなさいませ」

 結衣と伊集院さんと福王寺先生もこちらにやってきた。可愛いメイドさんが3人も来たのもあってか、芹花姉さんと月読さんはニッコリ。

「結衣ちゃんも姫奈ちゃんも杏樹先生も可愛いですね!」
「みんな可愛いよね、芹花ちゃん!」

 芹花姉さんと月読さんはメイド服姿の3人を大絶賛。それが嬉しかったようで、

『ありがとうございます、お嬢様方!』

 と、3人は声を揃えてお礼を言った。この3人、結構息ピッタリだな。

「ねえねえ、ユウちゃん」
「何でしょうか?」
「お姉様って呼んでもらえるのももちろん嬉しいんだけど、一度……お嬢様って呼んでみてくれないかな? 執事さんだから、彩乃ちゃんみたいにお嬢様とも呼ばれてみたくて」

 芹花姉さんは俺を見つめながらそんなお願いをしてくる。
 芹花姉さんは姉なので「お姉様」と呼んだけど、俺が執事として接客しているから月読さんのように「お嬢様」と呼ばれてみたいのだろう。

「かしこまりました。……芹花お嬢様」

 芹花姉さんの目を見つめながら、俺はお嬢様呼びした。芹花姉さんは「あうっ」と可愛らしい声を漏らし、凄く嬉しそうな表情になる。

「ありがとう、ユウちゃん! 凄く嬉しいよ! 執事服姿で『お嬢様』って言ってくれるから、キュンってなっちゃった」
「ふふっ、芹花ちゃん可愛い。良かったね、芹花ちゃん」
「うんっ!」

 月読さんに向けて物凄く嬉しそうに返事をする芹花姉さん。接客する人間として、姉さんの唯一人の弟としても嬉しいよ。

「喜んでいただけて何よりです」
「ありがとう! 文化祭の思い出ができたよ。一番の思い出になるかも」

 一番になるかもしれないとは。相当嬉しかったのが窺える。
 その後、俺が芹花姉さんと月読さんをテーブル席に案内する。まだ店内には胡桃と中野先輩がいるので、芹花姉さんと月読さんは軽く挨拶していた。
 芹花姉さんと月読さんが席に座って、メニュー表を渡した。

「色々あるね、彩乃ちゃん」
「ドリンクもスイーツも豊富だね」

 芹花姉さんと月読さんはちょっとワクワクとした様子でメニュー表を見ている。
 その後、俺が注文を受けることになり、芹花姉さんはホットコーヒーといちごクレープ、月読さんはホットティーとチョコバナナクレープ、あとは2人ともプレーンクッキーを注文した。また、ガムシロップやミルクはいらないとのこと。
 芹花姉さんと月読さんのテーブルのオーダーをバックヤードにいる調理係のメンバーに伝えた。
 再び喫茶スペースに出ると、結衣がレジで胡桃と伊集院さんが会計作業をしているのが見える。そのため、俺はレジへ行く。

「……あっ、ゆう君。とても楽しい時間だったよ」
「いい時間だったよ。この後、クラスの屋台のシフトに入るけど頑張れそう」
「あたしもお化け屋敷頑張れそうです」
「それは良かったです。お昼にシフトが終わるので、その後に伺いますね」
「うん、待ってるよ」
「うちの焼きそば美味しいよ。お昼にちょうどいいよ。来てね~」

 胡桃と中野先輩は快活な笑顔でそう言ってくれる。2人のおかげで、今日のシフトをより頑張れそうだ。

「あと、明日は両親が来るから、3人で一緒に行くね」
「あたしの方も明日に両親とお姉ちゃんが来るから4人で行くよ」
「分かりました」
「お待ちしていますね!」

 中野先輩と胡桃は明日も来てくれるのか。それぞれのご家族と会えるのが楽しみだ。
 俺達が話していると、伊集院さんと福王寺先生がやってきた。なので、4人で胡桃と中野先輩を見送ることに。俺が合図をして、

『いってらっしゃいませ、お嬢様方』

 と声を揃えて見送りの言葉を言った。そのことに、胡桃と中野先輩は満足そうな様子になり、教室を後にしていった。
 見送ってすぐ、調理係の女子生徒から芹花姉さんと月読さんのいるテーブルのメニューが用意できたと言われた。そのため、俺が芹花姉さんと月読さんのところへと運んでいく。
 メニューをテーブルに置いたところで、

「では、私達が心を込めて美味しくなるおまじないをかけさせてもらいます。執事とメイドではおまじないが違うので、まずは私から。……美味しくなーれ」
『美味しくな~れ、美味しくな~れ、萌え萌えきゅん!』

 胡桃と中野先輩のときのように、俺達4人でおまじないをかけた。
 芹花姉さんと月読さんはとても喜んでいた。特に、俺がおまじないをかけたときの芹花姉さんは。
 芹花姉さんと月読さんは自分の注文したクレープを一口食べる。

「美味しい!」
「美味しいね、芹花ちゃん!」

 芹花姉さんと月読さんは笑顔になってそう言った。提供したメニューで笑顔になってくれると本当に嬉しいよ。
 結衣や伊集院さんや福王寺先生が接客する姿を見て力をもらったり、芹花姉さんと月読さんがドリンクやスイーツを楽しむ姿に癒やされたりしながら、俺は執事として接客係の仕事に励むのであった。
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