向日葵と隣同士で咲き誇る。~ツンツンしているクラスメイトの美少女が、可愛い笑顔を僕に見せてくれることが段々と多くなっていく件~

桜庭かなめ

文字の大きさ
30 / 41

第29話『ひまわりネーム&ヘアー』

しおりを挟む
 今日の授業で課題が出ているので、まずは課題を終わらせることに。ただ、その中には数学Ⅱもあり、

「加瀬。問4も教えてくれー」
「その問題、あたしも分からない。教えてくれるかな、加瀬君」
「あたしも今、問4をやっているんだけど……難しいわ。桔梗、教えてくれない?」
「私も加瀬君に教えてほしいな」
「分かった」

 岡嶋や津川さんにはもちろんのこと、向日葵と福山さんにも教える。苦手といっても、学年2位の成績を取り続けるだけあって、向日葵は理解が早い。福山さんもなかなか。
 唯一の1年生の撫子も、分からないところを僕に訊いてくる。ただ、僕が他の人に教えているときも多く、そんなときは冴島さんに訊いていた。彼女は撫子の左斜め前にいるし、部活の先輩だから僕以外の勉強会メンバーの中では一番訊きやすいのだろう。あと、最近知ったけど、冴島さんは1年生の間、成績順位は5位から10位の間を推移していたそうだ。
 僕も英語の課題で分からないところがあった。なので、一度、向日葵に質問した。すると、向日葵は得意げな様子で、

「教えてあげるわぁ」

 と言ってくれた。いつもは僕に教えてもらっているので、僕に教える立場になるのが嬉しいのかな。もしそうなら本当に可愛い子だ。そんな向日葵の解説はとても分かりやすかった。
 互いに助け合いながら、和気藹々とした雰囲気で勉強会が進んだ。
 勉強会が始まってから小一時間。
 全員が今日出された課題を終えられたので、一旦、休憩に入る。
 勉強中にはクッキーを1枚も食べていなかったので、お皿からクッキーを1枚掴んで、口の中に入れた。

「……うん、甘くて美味しい。香ばしさもあって」
「お母さんはお菓子作りが趣味で。昔から、今日みたいに、パートのない日にはお菓子を作ってくれることがあるの」
「そうなんだ。凄く美味しいよ」
「あとでお母さんに伝えておく。きっと喜ぶと思う」

 帰るときにでも、僕もお礼を言っておくか。……そうだ、お礼を言うと言えば、

「冴島さん。撫子に勉強を教えてくれてありがとう」

 きっと、撫子にとって心強いんじゃないかと思う。
 冴島さんは僕の方を見るとクスッと笑った。

「いえいえ。撫子ちゃんの疑問を解決できるお手伝いができて嬉しいです。それに、1年生の内容を復習できるいい機会になっていますよ」
「そうか」
「……あと、撫子ちゃんに何度か教えたので、もしかしたら加瀬君にもお礼を言われるかもって思っていました」
「あたしも同じことを思ったわ」

 向日葵は楽しそうに言った。福山さん達も頷いているし。みんな、撫子絡みのことならお見通しなのかな。

「兄さんと同じくらいに分かりやすいよ」
「そうか」

 撫子に勉強のことで頼れる先輩がいるのは嬉しい。若干の寂しさを感じるけど。

「向日葵ちゃん、本棚を見てもいい?」
「ええ、いいわよ」
「じゃあ、俺も見させてもらおう」

 津川さんと岡嶋はクッションから立ち上がって、本棚の前まで行く。
 岡嶋はさっそく本棚から本を取り出している。表紙を見てみると……『秋目知人帳』の第1巻か。前にアニメは観たことあると言っていたな。

「『秋目知人帳』といえば……向日葵。ベッドの上に、これまで僕がクレーンゲームで取ったぬいぐるみがあるけど、一緒に寝ているのか?」
「うん。ニャン太郎先生も猫のぬいぐるみも抱き心地がいいから、抱いて寝てる。おかげさまでよく眠れてるよ」
「それは良かった」

 ニャン太郎先生と猫のぬいぐるみを取ってあげて良かったな。

「ねえねえ、向日葵ちゃん。一番下の段にあるこの『Memories』って書いてあるのってアルバム?」
「ええ、そうよ。あたしが写っている写真中心に貼ってあるの」

 やっぱり、あれはアルバムだったのか。
 アルバムに興味があるのか、津川さんの顔に明るい笑みが浮かぶ。

「そうなんだ! 見てみたいんだけど、いい?」
「もちろん」
「ありがとう! じゃあ、テーブルで見ようかな」

 津川さんは本棚からアルバムを取り出して、テーブルへと戻ってくる。
 岡嶋は……面白いのか、笑いながら漫画を読んでいる。これまでも、僕の家で漫画を集中して読むことが何度もあった。休憩が終わるまではそっとしておこう。
 津川さんは自分の座っていた場所に戻り、向日葵のアルバムを広げる。

「うわあっ! 赤ちゃんの頃の向日葵ちゃん可愛い!」

 目を輝かせ、普段よりもかなり高い声色で言う津川さん。
 褒められたのが赤ちゃん時代のことだからか、向日葵は特に照れることなく、明るい笑顔を見せてくれる。

「ありがとう。おおよそ時系列順に貼られているわ」

 アルバムが見やすいように、僕らは津川さんの周りに集まる。
 向日葵のアルバムを見てみると……ふとんの上で仰向けになっている赤ちゃん時代の向日葵の写真が貼られていた。ご機嫌が良かったのかいい笑顔だ。

「向日葵先輩、赤ちゃんの頃から可愛いですね!」
「可愛らしい笑顔で写っていますね、向日葵さん。向日葵の花のような素敵な笑顔です」
「撫子と冴島さんの言うとおりだな。この写真を見ると癒されるよ」
「そこまで言われると……ちょっと照れるわ。お姉ちゃんが『百合』って名前だから、生まれる前から両親が花の名前がいいって話していたみたい。あたしの生まれたのが7月の終わり頃で。病院の近くに向日葵の花が綺麗に咲いている花壇があったんだって。あと……生まれてすぐのあたしの笑顔が明るくて可愛かったから向日葵にしたって言ってた」

 穏やかな様子で向日葵は言う。とても素敵な由来だと思う。向日葵もそんな自分の名前が気に入っていると窺える。
 うちは確か……母親が特に花が好きで、子供に『桔梗』と『撫子』っていう名前を付けたんだよな。
 それからも向日葵のアルバムを見ていく。小さい頃から向日葵は可愛い。時系列に貼られているので、ページをめくる度に写真に写る向日葵が成長していく。最初は家族と一緒に写る写真だけだったが、保育園時代からは友人らしき女の子と一緒に写る写真も。
 そういえば、小さい頃の向日葵って、

「髪型がストレートだったんだね、向日葵」
「昔から今みたいにワンサイドにまとめていると思ったよね、兄さん」
「小学校の2、3年生くらいまではストレートだったわ。ただ、お姉ちゃんが髪をまとめた方がもっと可愛くなると思うって言って。それで、今の髪型になったの。夏もこの髪型の方が涼しくていいからね」
「そうだったんだ。あたしは今の向日葵ちゃんがストレートになったも興味あるな」
「私もひさしぶりに見てみたいな。髪をストレートにしたひまちゃん」
「日中はこの髪型だものね。いいわよ」

 向日葵は快諾して、髪をまとめている赤いシュシュを左手で取る。その瞬間、ストレートのセミロングの向日葵が誕生した。ほどけた瞬間にシャンプーの甘い匂いがふんわり香ってきて。
 今の向日葵の髪型を初めて見る撫子と津川さん、冴島さんは「かわいい!」と大きな声を上げた。
 撫子達の声には、漫画に集中していた岡嶋もこちらを向く。すると、岡嶋は目を見開いて向日葵のことを見る。

「その金髪ストレートの人は? 宝来のお姉さんか妹さん?」
「向日葵本人だよ、岡嶋」
「アルバムを見て、昔のようなストレートの髪型を見たいって言われたから。あと、姉が1人いるけど大学生だよ」
「そうなのか。……その声は宝来本人だな。今まで漫画を読むのに集中していたから驚いたわ。その髪型で学校に行ったら、今まで以上に告白するヤツが増えそうだ。……す、素直にそう思っただけだぞ、ちー」
「分かってるよ、カイ君」

 津川さんは快活に笑う。そのことに岡嶋はほっとしている。もしかして、今のようなやり取りで津川さんに浮気と勘違いされたことがあるのだろうか。
 岡嶋の言う通り、ストレートの髪型で学校に行ったら、今まで以上に告白してくる人が増えそうだ。そのくらいにストレートの髪が似合っている。あと、百合さんの髪もストレートだからか、百合さんの面影も感じられる。

「向日葵ちゃん、ストレートも可愛いよ!」
「似合っていますよ! あと、少し雰囲気が変わりますね、先輩!」
「2人の言葉に同意ですね」
「ストレートひまちゃんいいね。髪をストレートにすると、百合さんに似た姉妹だって思うよ」
「それは僕も思ったよ。ストレートの髪型もいいね、向日葵」
「そ、そう? どうもありがとう」

 頬が赤くなるけれど、みんながストレートの髪型を褒めたからか、向日葵は嬉しそうな笑顔を見せてくれる。髪型が普段と違うこともあり、その姿にドキッとした。
 向日葵は再び髪をまとめようとはせず、赤いシュシュを勉強机に置いた。
 小学校の低学年あたりまでの写真を見ていたようで、アルバム鑑賞を再開すると、すぐに向日葵の髪型はおなじみのワンサイドアップに。
 そして、中学生になると福山さんと一緒に写る写真がかなり多くなる。他にも友人らしき人と写る写真もあるけど、福山さんと比べたら少ない。福山さんが向日葵にとって一番の親友であると分かった。

「あら、休憩に入ってから30分も経っているわ。そろそろ勉強を再開しましょうか」

 向日葵のその言葉にみんな賛成。勉強会を再開する。みんな課題が終わったので、今度は各々が定期試験に向けて勉強をしていくことに。
 僕も英語科目の勉強をする。ただ、ストレートの髪型を見るのが初めてだからか、たまに向日葵の方を見てしまうのであった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

陰キャの俺が学園のアイドルがびしょびしょに濡れているのを見てしまった件

暁ノ鳥
キャラ文芸
陰キャの俺は見てしまった。雨の日、校舎裏で制服を濡らし恍惚とする学園アイドルの姿を。「見ちゃったのね」――その日から俺は彼女の“秘密の共犯者”に!? 特殊な性癖を持つ彼女の無茶な「実験」に振り回され、身も心も支配される日々の始まり。二人の禁断の関係の行方は?。二人の禁断の関係が今、始まる!

イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について

のびすけ。
恋愛
春から一人暮らしを始めた大学一年生、天城コウは――ただの一般人だった。 だが、再会した義妹・ひよりのひと言で、そんな日常は吹き飛ぶ。 「お兄ちゃんにしか頼めないの、私の“中の人”になって!」 ひよりはフォロワー20万人超えの人気Vtuber《ひよこまる♪》。 だが突然の喉の不調で、配信ができなくなったらしい。 その代役に選ばれたのが、イケボだけが取り柄のコウ――つまり俺!? 仕方なく始めた“妹の中の人”としての活動だったが、 「え、ひよこまるの声、なんか色っぽくない!?」 「中の人、彼氏か?」 視聴者の反応は想定外。まさかのバズり現象が発生!? しかも、ひよりはそのまま「兄妹ユニット結成♡」を言い出して―― 同居、配信、秘密の関係……って、これほぼ恋人同棲じゃん!? 「お兄ちゃんの声、独り占めしたいのに……他の女と絡まないでよっ!」 代役から始まる、妹と秘密の“中の人”Vライフ×甘々ハーレムラブコメ、ここに開幕!

陰キャ幼馴染に振られた負けヒロインは俺がいる限り絶対に勝つ!

みずがめ
恋愛
★講談社ラノベ文庫新人賞佳作を受賞しました!  杉藤千夏はツンデレ少女である。  そんな彼女は誤解から好意を抱いていた幼馴染に軽蔑されてしまう。その場面を偶然目撃した佐野将隆は絶好のチャンスだと立ち上がった。  千夏に好意を寄せていた将隆だったが、彼女には生まれた頃から幼馴染の男子がいた。半ば諦めていたのに突然転がり込んできた好機。それを逃すことなく、将隆は千夏の弱った心に容赦なくつけ込んでいくのであった。  徐々に解されていく千夏の心。いつしか彼女は将隆なしではいられなくなっていく…。口うるさいツンデレ女子が優しい美少女幼馴染だと気づいても、今さらもう遅い! ※他サイトにも投稿しています。 ※表紙絵イラストはおしつじさん、ロゴはあっきコタロウさんに作っていただきました。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件

遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。 一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた! 宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!? ※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。

罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。 だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。 それで終わるはずだった――なのに。 ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。 さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。 そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。 由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。 一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。 そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。 罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。 ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。 そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。 これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。

距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる

歩く魚
恋愛
 かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。  だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。  それは気にしてない。俺は深入りする気はない。  人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。  だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。  ――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。

【完結】かつて憧れた陰キャ美少女が、陽キャ美少女になって転校してきた。

エース皇命
青春
 高校でボッチ陰キャを極めているカズは、中学の頃、ある陰キャ少女に憧れていた。実は元々陽キャだったカズは、陰キャ少女の清衣(すい)の持つ、独特な雰囲気とボッチを楽しんでいる様子に感銘を受け、高校で陰キャデビューすることを決意したのだった。  そして高校2年の春。ひとりの美少女転校生がやってきた。  最初は雰囲気が違いすぎてわからなかったが、自己紹介でなんとその美少女は清衣であるということに気づく。  陽キャから陰キャになった主人公カズと、陰キャから陽キャになった清衣。  以前とはまったく違うキャラになってしまった2人の間に、どんなラブコメが待っているのだろうか。 ※小説家になろう、カクヨムでも公開しています。 ※表紙にはAI生成画像を使用しています。

処理中です...