恋人、はじめました。

桜庭かなめ

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夏休み小話編

『恭子さんのバイト先で初バイトです。-③-』

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 恭子さんと一緒に、カウンターでの接客を中心にお仕事をしていきます。
 恭子さんと甘崎さんが分かりやすく教えてくれたり、恭子さんが一緒にいてくれる心強さがあったりするおかげで、大きなミスをすることなくお仕事をすることができています。また、

「青山さん。タピオカミルクティー美味しかったよ。ごちそうさま。この後も頑張ってね」

 と、最初に接客した女性のお客様からそう言ってもらえて。自分で提供した飲み物なので、『ごちそうさま』の言葉が特に嬉しいですね。この言葉を嬉しく思う飲食店に従事する方は多いかもしれません。
 あと、お仕事をしている中で、

「恭子さん。抹茶ラテはレギュラーサイズではなく、ラージサイズでは? 隣なので聞こえました」
「……あっ、そうだったわね。ありがとう。さすがは氷織だわっ」

 と、恭子さんのミスを指摘することもありましたね。
 お仕事をするときはもちろん、休憩するときも恭子さんと一緒です。
 お昼頃に休憩するときにスマホを確認すると、明斗さんや沙綾さん達から『接客のバイトはどう?』という旨のメッセージが送られてきていました。それに対して恭子さんが、

『さすがは氷織だわ! あたしがカウンターや客席での仕事を教えたら、すぐに覚えたわ。とてもいい笑顔で接客できてる』

 とメッセージを送ってくれました。バイト中も褒めてくれましたが、こうして明斗さん達にお褒めの言葉を送ってくれると嬉しい気持ちになりますね。

『恭子さんやお店の方の教え方が上手ですし、恭子さんが一緒にいてくれるおかげで、何とかやれています』

 恭子さんのすぐ後に私もそんなメッセージを送ります。すると、恭子さんは私のことを見て「えへへっ」と笑いました。

「ねえ、氷織。この制服姿の氷織とのツーショット写真を送っていい? 氷織と一緒にバイトできて嬉しいし。それに、紙透や沙綾達も氷織の制服姿を見たら、この後のバイトとか部活を頑張れそうじゃない?」
「それは言えてるかもしれませんね。送っていいですよ」
「ありがとう!」

 恭子さんは今朝撮影した制服姿の私とのツーショット写真を送りました。
 明斗さんもバイトの休憩に入ったのでしょうか。私達の休憩中に明斗さんから、

『凄く似合ってるよ、氷織! 行くのがますます楽しみになったよ。この後のバイトを頑張れそうだ』

 と返信が来ました。恭子さんの予想が見事に当たったので、明斗さんのメッセージを見て一緒に笑いました。そして、明斗さんからメッセージをもらって元気をもらえました。また、その後に沙綾さん、美羽さん、倉木さんからも似合っているとメッセージが来ました。
 休憩を何回か挟みつつ、恭子さんと一緒にお仕事をしていきます。カウンターでの接客、テーブル掃除など様々なお仕事をするのであっという間に時間が過ぎていきます。
 そして、今日のバイトも終わりに近づいた午後4時半頃。明斗さんと沙綾さんが来店されました。

『いらっしゃいませ!』

 恭子さんと一緒にそう言いました。そのことに、沙綾さんは楽しそうな様子、明斗さんは感動した様子になっています。私に初めて接客されるからでしょうか。
 明斗さんと沙綾さんは私が担当しているカウンターに来ました。

「氷織、火村さん、バイトお疲れ様」
「2人ともバイトお疲れッス!」
「氷織にバイトお疲れ様って言うのは初めてだから新鮮だな」
「そうッスね」
「お二人ともありがとうございます!」
「ありがとう」

 明斗さんと沙綾さんにお礼を言いました。お二人が私に「バイトお疲れ様」と言うのが新鮮だと思うように、私もお二人に言われるのが新鮮に感じますね。

「明斗さんと沙綾さんもバイトがあったんですよね。お疲れ様でした」
「お疲れ様」
「どうもッス」
「ありがとう」

 沙綾さんは明るい笑顔で、明斗さんは落ち着いた笑顔でお礼を言いました。お二人に「バイトお疲れ様」と言ったことは何度もありますが、バイト中に言うのは初めてなので新鮮に感じます。

「あと、氷織……その制服本当に似合ってるな。可愛いよ」
「似合っているッスよ」
「似合っているわよね!」
「ありがとうございますっ。この制服のデザインがいいなと思っていましたので、お二人にそう言ってもらえて嬉しいです」

 メッセージでも似合っていると言われて嬉しかったですが、こうして直接言われるのが一番嬉しいですね。

「あたしの制服を貸そうと思ったんだけど、氷織はおっぱいが大きいから、あたしのじゃキツかったみたいで。それで、巨乳な店長の制服を貸したの」
「そうだったッスか」
「……そ、そうなんだな」

 明斗さんの視線が下がって、私と恭子さんのことを交互に見ています。おそらく、恭子さんが胸のことを言ったので、私と恭子さんの胸を見ているのでしょう。

「今日限定っていう名札を付けているんだな。送ってくれた写真に写る氷織が着ていた服には付いていなかったけど」

 明斗さんはそんなことを言いました。そういえば、写真を撮ったのは名札を作る前でしたね。

「着替えた直後に写真を撮ったからね。氷織はとても魅力的な容姿を持ち主だから、一度接客したらファンが付く可能性は十分にあるし。だから、今日限定の店員だって分かってもらうために、こういう名札を付けたの」
「なるほどな」

 明斗さんは納得した様子でそう言いました。沙綾さんも明斗さんの隣で納得しているようです。
 あと、今の明斗さんのように、名札に書かれている今日限定について訊いてくるお客様は何人もいましたね。

「氷織。お昼頃に接客できてるってメッセージが来たけど、その後はどうだ?」
「何とかやれています。隣のカウンターに恭子さんがずっといますし、恭子さんはもちろん他のスタッフの方々も優しくしてくださいますから。あと、お客様から笑顔で『ありがとう』とか『ごちそうさま』って言われて嬉しい気持ちになりますね」

 そう話す中で、恭子さんや甘崎さんを中心にスタッフの方々の笑顔や、『ありがとう』とか『ごちそうさま』と言ってくれたお客様達の笑顔を思い出します。そのことで胸がとても温かくなります。

「メッセージでも書いたけど、氷織は今日が初めてとは思えないくらいの接客ぶりだわ。氷織は凄いわよ! サイズを間違えそうになったあたしのミスも指摘してくれたしね」

 と、恭子さんはドヤ顔で言います。仕事に関することをメインで教えてくれたのは恭子さんなので、「あたしが育てたのよ!」と考えているのかもしれません。
 あと、私にミスを指摘されたこともドヤ顔で言うところに恭子さんらしさを感じます。

「そ、そうか。氷織はよく働けているんだな」
「そうッスね。さすがッス」
「いえいえ。恭子さん達のおかげだと思っています。あと、助っ人バイトをして、普段から接客のバイトをしている恭子さんと明斗さんと沙綾さんがとても凄いと思いました。みなさん、笑顔で落ち着いて接客していますし」

 恭子さんが側にいますけど、私は初めてなのもあって緊張したり、小さなミスをしてしまったりすることもありましたし。今はお客様の数が落ち着いていて余裕も出てきましたが、外に行列ができるほどにお客様が来店されたときは、次から次へと接客するのが大変でしたから。

「そう言ってもらえて嬉しいよ」
「そうッスね」
「これからのバイトをもっと頑張れるわ!」

 明斗さん、沙綾さん、恭子さんはみんな嬉しそうな笑顔でそう言いました。その姿はとても素敵だと思えたのでした。
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