55 / 83
第54話『仲直りする方法』
しおりを挟む
リビングに戻ろうと1階に降りようとしたとき、リビングからカレーと野菜スープ、麦茶を持っていこうとする月影さんと出くわした。
「常盤さんに持って行くんですか?」
「ええ。食欲はあまりないですが、少しは食べておきたいということで。ただ、リビングには明日香様がいるかもしれませんし、みなさまにご迷惑を掛けてしまって気まずいので、自分のお部屋で食べたいと言われまして」
常盤さんも食欲が多少あるだけで、明日香と同じような感じか。
「そうですか。明日香の方は食欲が全くないので、何か食べたくなったらそのときには連絡するという形にしました。今は部屋でゆっくりとしています」
「分かりました。とりあえず、私はこれを美波お嬢様のお部屋に持って行きます。みなさまは既にリビングで朝食を食べていますので、蓮見様も」
「はい」
とりあえず、僕も朝食を食べよう。
リビングに戻ると、咲希達7人は楽しそうに朝食を食べていた。カレーの匂いがさっきまであまりなかった食欲を湧かせてくれる。
「翼、明日香はどうだった?」
「今は食欲がないから、食べたいときには一言言うって。あと……旅行中なのもあって、常盤さんだけじゃなくて僕らに迷惑を掛けているとも思っているみたいで。それの気まずさもあるみたい」
「明日香も同じような感じか。美波もあたし達に罪悪感があるみたいで。美波の場合はまだ少しは食欲があって部屋で食べるみたい」
「さっき、部屋に食事を持って行く月影さんと会って、その話を聞いたよ。そういえば、月影さんと一緒に作った野菜スープはどうかな?」
「すっごく美味しいよ! あたし、おかわりしたもん」
「ははっ、今日もいつも通り咲希は食欲旺盛だなぁ。でも、嬉しいよ。僕も朝食を食べようかな」
咲希の屈託のない笑みを見ると、ちょっと疲れが取れた気がする。さっきの明日香の口づけのときも同じような感じだった。これが好きな人が持っている力なのかな。
僕はチキンカレーと野菜スープをよそって、指定席となった咲希の隣の席へと運ぶ。
普段なら僕の隣に明日香、更に隣に常盤さんと並んで座っているけれど今は空席。2席並んで空席だとやけに寂しさを感じる。
「いただきます」
僕も朝食を食べ始める。一晩経ったカレーって一段と美味しくなるんだよな。
「……美味しい」
やっぱり、昨日の夜ご飯のときよりも美味しくなってる。月影さんと一緒に作った野菜スープも飲んでみるけど、こちらも美味しくできている。
「ひさしぶりに見たよ、翼の笑顔」
「えっ?」
気付けば、僕のすぐ側で咲希がにっこりと笑っていた。
「咲希は……いつも以上にいい顔をしているね」
「ふふっ、ありがとう」
「ただ、僕も普通に笑顔は見せていたと思うけど……そうじゃなかった?」
「少なくとも、昨日の夜に明日香と美波のことを話に行ってからは見せてなかったよ。月影さんと話しているときに微笑んでいたくらいで」
「……そっか」
少なくとも、月影さんと話していたときは普通に笑っていたような気がしたけど。それは僕の勘違いだったのか。
「しかし、これで朝霧や有村の元気を取り戻し、2人が仲直りする方法が見えてきたような気がする」
羽村はいつもの落ち着いた笑みを浮かべながらそう言う。そういえば、朝、僕の部屋から立ち去る間際に、2人が仲直りできる方法を考えてみるって言っていたっけ。
「あの後、部屋で考えたり、蓮見や月影さんが2人を呼びに行っている間に7人で話し合ったりしたのだが、具体的な方法はあまり思いつかなかった。とりあえずは2人の様子を見守りつつ、俺達はそれぞれのことをするのがいいんじゃないかって」
「僕もそれが一番いいと思うけど。2人が少しでも元気な様子を見せたら、話を聞いて僕らに何ができるか考えればいいんじゃないかな」
2人とも、自分達の喧嘩で迷惑を掛けたと思っている。それなら、僕らは今日やろうと思っていたことをなるべく普段通りにやるのが一番いいんじゃないだろうか。
「蓮見もそう考えるか。今、カレーを美味しそうに食べる蓮見を見て、2人の好きな料理やお菓子を作れば元気になるんじゃないかと思ったのだが……」
「宗久会長の考えもいいとは思いますけど、美波先輩はまだしも食欲が全くない明日香先輩にはキツいかと。昨日のパンケーキのように作ればいいですけど、2人のために作ったら気を遣わせたと思って、ますます罪悪感を膨らんでしまう可能性もありそうです。もちろん、好きなものを食べて元気になることも十分にあると思います」
「なるほど。陽乃の言うことも分かるな。2人の食欲がある程度戻ってからやった方がいいかもしれない」
食欲が出てくれば、それも効果がありそうだ。月影さんも常盤さんの小さい頃、お姉さんと喧嘩したときは好きなお菓子を作ってご機嫌を取っていたと言っていたし。
「お菓子作戦……私はとてもいいと思っております。すぐに食べるのではなくても、お二人が好きなお菓子を私が買ったり、作ったりしておきましょう。さて、私も朝ご飯をいただきましょう」
気付けば、月影さんはリビングに戻ってきていた。お菓子があると分かるだけでも、2人も元気になるかもしれない。
彼女はカレーとスープをよそい、僕の隣の席に座った。チキンカレーを一口食べる。メイド服を着ているからか、何だか非現実的な光景だ。
「あら、このカレーはとても美味しいですね」
「あたしと陽乃ちゃん、芽依ちゃんの3人で作りました」
「そうなのですか。辛さがしっかりとありますが、鶏肉の旨みや牛乳のまろやかもあって食べるのが止まらないほど美味しいです」
月影さんはパクパクとカレーを食べている。そんな彼女のことを、カレーの作り手である芽依、三宅さん、鈴音さんは嬉しそうな様子で見ていた。
「そうだ。私は仲直りの方法として、肝試しなんていいんじゃないかなって思ったよ、お兄ちゃん」
「き、肝試し?」
どういう発想で、芽依は仲直りをするのに肝試しがいいと考えたんだろう。
「うん。明日香ちゃんと美波ちゃんをペアにして、肝試しに参加させて怖い想いをさせれば喧嘩したことなんてどうでも良くなって、気付けば距離が縮まって……みたいな。吊り橋効果ってあるじゃない」
「吊り橋効果っていう理論はあるけど、それって怖い状況の中で出会った人に対して、恋愛感情を抱きやすくなるっていう話じゃなかったかな。ただ、怖い体験を一緒に乗り越えられれば、仲直りできる可能性はあるかもね」
ただ、どちらかが逃げたりして、より険悪なムードになってしまうリスクもあるけど。常盤さんは分からないけど、明日香は心霊系があまり得意な方ではなかった気がする。
「まあ、先生だったら裸のお付き合いってことで、女の子なら一緒にお風呂に入れば大抵は一発で仲直りできるかな……」
「それは里奈さんの場合じゃないですか? でも、一昨日も昨日も、明日香ちゃんと美波ちゃんは特に仲良くお風呂に入っていましたから、いい雰囲気にはなれそうですね。夏でもお風呂は気持ちいいですし」
昨日の朝も明日香と常盤さんは一緒にお風呂に入りに来たほどだ。2人とも気持ち良さそうに入っていたし。いい方法かもしれない。
それにしても、お菓子に肝試しにお風呂か。みんな色々と仲直りのきっかけを考えてくれている。ただ、それらは今はやらずに今後の2人の様子次第かな。
「そういえば、みんなは今日、どんなことをするつもりでいるのかな? 先生は別荘でのんびりするしようかなって思ってる。もちろん、昨日みたいに勉強で分からないところがあったら教えるよ」
「それは嬉しいですね。俺はとりあえず、午前中は勉強するつもりです」
「あたしも羽村君と同じかな。昨日は昼ご飯の後から遊んでばかりだったので」
「あたしは昨日の翼君達の話を聞いて、午前中に陽乃ちゃんや芽依ちゃんと一緒に夏山神社と洞穴へ観光しに行こうかなと」
みんな、旅行だからか何をしようかちゃんと考えているんだな。
「洞穴は結構寒いから羽織るものがあった方がいいかも。翼や凛さんはどうします?」
「そうだな……昨日はあまり眠れなかったし、自分の部屋やリビングでゆっくりするよ。気分転換に何か作ったり、勉強したりするかもしれないけれど」
あと、明日香と咲希のことについて、少しでも考えを纏められることができればいいなとも思っている。
「私はお屋敷のお掃除と、美波お嬢様と明日香様の様子を見ることですね。あとは、お菓子や昼食を作ろうかと思います。蓮見様、何かあったら遠慮なくお申し付けください。お勉強でも、お料理でも、お買い物でも、海で遊ぶことでもお付き合いしますので」
「分かりました、ありがとうございます」
といっても、月影さんに付き合ってもらうとしたら、ここで一緒にコーヒーを飲むか、キッチンで何かを作るくらいだろうな。勉強は……教科によっては松雪先生よりも教え方が上手だったりして。ただ、月影さんは常盤家の専属メイドなのだから、あまり甘えてしまわないようにしよう。
それぞれがやりたいことをやる。それが明日香や常盤さんが元気になることにも繋がると信じて、旅行3日目を過ごすことにしよう。
「常盤さんに持って行くんですか?」
「ええ。食欲はあまりないですが、少しは食べておきたいということで。ただ、リビングには明日香様がいるかもしれませんし、みなさまにご迷惑を掛けてしまって気まずいので、自分のお部屋で食べたいと言われまして」
常盤さんも食欲が多少あるだけで、明日香と同じような感じか。
「そうですか。明日香の方は食欲が全くないので、何か食べたくなったらそのときには連絡するという形にしました。今は部屋でゆっくりとしています」
「分かりました。とりあえず、私はこれを美波お嬢様のお部屋に持って行きます。みなさまは既にリビングで朝食を食べていますので、蓮見様も」
「はい」
とりあえず、僕も朝食を食べよう。
リビングに戻ると、咲希達7人は楽しそうに朝食を食べていた。カレーの匂いがさっきまであまりなかった食欲を湧かせてくれる。
「翼、明日香はどうだった?」
「今は食欲がないから、食べたいときには一言言うって。あと……旅行中なのもあって、常盤さんだけじゃなくて僕らに迷惑を掛けているとも思っているみたいで。それの気まずさもあるみたい」
「明日香も同じような感じか。美波もあたし達に罪悪感があるみたいで。美波の場合はまだ少しは食欲があって部屋で食べるみたい」
「さっき、部屋に食事を持って行く月影さんと会って、その話を聞いたよ。そういえば、月影さんと一緒に作った野菜スープはどうかな?」
「すっごく美味しいよ! あたし、おかわりしたもん」
「ははっ、今日もいつも通り咲希は食欲旺盛だなぁ。でも、嬉しいよ。僕も朝食を食べようかな」
咲希の屈託のない笑みを見ると、ちょっと疲れが取れた気がする。さっきの明日香の口づけのときも同じような感じだった。これが好きな人が持っている力なのかな。
僕はチキンカレーと野菜スープをよそって、指定席となった咲希の隣の席へと運ぶ。
普段なら僕の隣に明日香、更に隣に常盤さんと並んで座っているけれど今は空席。2席並んで空席だとやけに寂しさを感じる。
「いただきます」
僕も朝食を食べ始める。一晩経ったカレーって一段と美味しくなるんだよな。
「……美味しい」
やっぱり、昨日の夜ご飯のときよりも美味しくなってる。月影さんと一緒に作った野菜スープも飲んでみるけど、こちらも美味しくできている。
「ひさしぶりに見たよ、翼の笑顔」
「えっ?」
気付けば、僕のすぐ側で咲希がにっこりと笑っていた。
「咲希は……いつも以上にいい顔をしているね」
「ふふっ、ありがとう」
「ただ、僕も普通に笑顔は見せていたと思うけど……そうじゃなかった?」
「少なくとも、昨日の夜に明日香と美波のことを話に行ってからは見せてなかったよ。月影さんと話しているときに微笑んでいたくらいで」
「……そっか」
少なくとも、月影さんと話していたときは普通に笑っていたような気がしたけど。それは僕の勘違いだったのか。
「しかし、これで朝霧や有村の元気を取り戻し、2人が仲直りする方法が見えてきたような気がする」
羽村はいつもの落ち着いた笑みを浮かべながらそう言う。そういえば、朝、僕の部屋から立ち去る間際に、2人が仲直りできる方法を考えてみるって言っていたっけ。
「あの後、部屋で考えたり、蓮見や月影さんが2人を呼びに行っている間に7人で話し合ったりしたのだが、具体的な方法はあまり思いつかなかった。とりあえずは2人の様子を見守りつつ、俺達はそれぞれのことをするのがいいんじゃないかって」
「僕もそれが一番いいと思うけど。2人が少しでも元気な様子を見せたら、話を聞いて僕らに何ができるか考えればいいんじゃないかな」
2人とも、自分達の喧嘩で迷惑を掛けたと思っている。それなら、僕らは今日やろうと思っていたことをなるべく普段通りにやるのが一番いいんじゃないだろうか。
「蓮見もそう考えるか。今、カレーを美味しそうに食べる蓮見を見て、2人の好きな料理やお菓子を作れば元気になるんじゃないかと思ったのだが……」
「宗久会長の考えもいいとは思いますけど、美波先輩はまだしも食欲が全くない明日香先輩にはキツいかと。昨日のパンケーキのように作ればいいですけど、2人のために作ったら気を遣わせたと思って、ますます罪悪感を膨らんでしまう可能性もありそうです。もちろん、好きなものを食べて元気になることも十分にあると思います」
「なるほど。陽乃の言うことも分かるな。2人の食欲がある程度戻ってからやった方がいいかもしれない」
食欲が出てくれば、それも効果がありそうだ。月影さんも常盤さんの小さい頃、お姉さんと喧嘩したときは好きなお菓子を作ってご機嫌を取っていたと言っていたし。
「お菓子作戦……私はとてもいいと思っております。すぐに食べるのではなくても、お二人が好きなお菓子を私が買ったり、作ったりしておきましょう。さて、私も朝ご飯をいただきましょう」
気付けば、月影さんはリビングに戻ってきていた。お菓子があると分かるだけでも、2人も元気になるかもしれない。
彼女はカレーとスープをよそい、僕の隣の席に座った。チキンカレーを一口食べる。メイド服を着ているからか、何だか非現実的な光景だ。
「あら、このカレーはとても美味しいですね」
「あたしと陽乃ちゃん、芽依ちゃんの3人で作りました」
「そうなのですか。辛さがしっかりとありますが、鶏肉の旨みや牛乳のまろやかもあって食べるのが止まらないほど美味しいです」
月影さんはパクパクとカレーを食べている。そんな彼女のことを、カレーの作り手である芽依、三宅さん、鈴音さんは嬉しそうな様子で見ていた。
「そうだ。私は仲直りの方法として、肝試しなんていいんじゃないかなって思ったよ、お兄ちゃん」
「き、肝試し?」
どういう発想で、芽依は仲直りをするのに肝試しがいいと考えたんだろう。
「うん。明日香ちゃんと美波ちゃんをペアにして、肝試しに参加させて怖い想いをさせれば喧嘩したことなんてどうでも良くなって、気付けば距離が縮まって……みたいな。吊り橋効果ってあるじゃない」
「吊り橋効果っていう理論はあるけど、それって怖い状況の中で出会った人に対して、恋愛感情を抱きやすくなるっていう話じゃなかったかな。ただ、怖い体験を一緒に乗り越えられれば、仲直りできる可能性はあるかもね」
ただ、どちらかが逃げたりして、より険悪なムードになってしまうリスクもあるけど。常盤さんは分からないけど、明日香は心霊系があまり得意な方ではなかった気がする。
「まあ、先生だったら裸のお付き合いってことで、女の子なら一緒にお風呂に入れば大抵は一発で仲直りできるかな……」
「それは里奈さんの場合じゃないですか? でも、一昨日も昨日も、明日香ちゃんと美波ちゃんは特に仲良くお風呂に入っていましたから、いい雰囲気にはなれそうですね。夏でもお風呂は気持ちいいですし」
昨日の朝も明日香と常盤さんは一緒にお風呂に入りに来たほどだ。2人とも気持ち良さそうに入っていたし。いい方法かもしれない。
それにしても、お菓子に肝試しにお風呂か。みんな色々と仲直りのきっかけを考えてくれている。ただ、それらは今はやらずに今後の2人の様子次第かな。
「そういえば、みんなは今日、どんなことをするつもりでいるのかな? 先生は別荘でのんびりするしようかなって思ってる。もちろん、昨日みたいに勉強で分からないところがあったら教えるよ」
「それは嬉しいですね。俺はとりあえず、午前中は勉強するつもりです」
「あたしも羽村君と同じかな。昨日は昼ご飯の後から遊んでばかりだったので」
「あたしは昨日の翼君達の話を聞いて、午前中に陽乃ちゃんや芽依ちゃんと一緒に夏山神社と洞穴へ観光しに行こうかなと」
みんな、旅行だからか何をしようかちゃんと考えているんだな。
「洞穴は結構寒いから羽織るものがあった方がいいかも。翼や凛さんはどうします?」
「そうだな……昨日はあまり眠れなかったし、自分の部屋やリビングでゆっくりするよ。気分転換に何か作ったり、勉強したりするかもしれないけれど」
あと、明日香と咲希のことについて、少しでも考えを纏められることができればいいなとも思っている。
「私はお屋敷のお掃除と、美波お嬢様と明日香様の様子を見ることですね。あとは、お菓子や昼食を作ろうかと思います。蓮見様、何かあったら遠慮なくお申し付けください。お勉強でも、お料理でも、お買い物でも、海で遊ぶことでもお付き合いしますので」
「分かりました、ありがとうございます」
といっても、月影さんに付き合ってもらうとしたら、ここで一緒にコーヒーを飲むか、キッチンで何かを作るくらいだろうな。勉強は……教科によっては松雪先生よりも教え方が上手だったりして。ただ、月影さんは常盤家の専属メイドなのだから、あまり甘えてしまわないようにしよう。
それぞれがやりたいことをやる。それが明日香や常盤さんが元気になることにも繋がると信じて、旅行3日目を過ごすことにしよう。
0
あなたにおすすめの小説
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
まずはお嫁さんからお願いします。
桜庭かなめ
恋愛
高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。
4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。
総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。
いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。
デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!
※特別編6が完結しました!(2025.11.25)
※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録、感想をお待ちしております。
あの日、幼稚園児を助けたけど、歳の差があり過ぎてその子が俺の運命の人になるなんて気付くはずがない。
NOV
恋愛
俺の名前は鎌田亮二、18歳の普通の高校3年生だ。
中学1年の夏休みに俺は小さい頃から片思いをしている幼馴染や友人達と遊園地に遊びに来ていた。
しかし俺の目の前で大きなぬいぐるみを持った女の子が泣いていたので俺は迷子だと思いその子に声をかける。そして流れで俺は女の子の手を引きながら案内所まで連れて行く事になった。
助けた女の子の名前は『カナちゃん』といって、とても可愛らしい女の子だ。
無事に両親にカナちゃんを引き合わす事ができた俺は安心して友人達の所へ戻ろうとしたが、別れ間際にカナちゃんが俺の太ももに抱き着いてきた。そしてカナちゃんは大切なぬいぐるみを俺にくれたんだ。
だから俺もお返しに小学生の頃からリュックにつけている小さなペンギンのぬいぐるみを外してカナちゃんに手渡した。
この時、お互いの名前を忘れないようにぬいぐるみの呼び名を『カナちゃん』『りょうくん』と呼ぶ約束をして別れるのだった。
この時の俺はカナちゃんとはたまたま出会い、そしてたまたま助けただけで、もう二度とカナちゃんと会う事は無いだろうと思っていたんだ。だから当然、カナちゃんの事を運命の人だなんて思うはずもない。それにカナちゃんの初恋の相手が俺でずっと想ってくれていたなんて考えたことも無かった……
7歳差の恋、共に大人へと成長していく二人に奇跡は起こるのか?
NOVがおおくりする『タイムリープ&純愛作品第三弾(三部作完結編)』今ここに感動のラブストーリーが始まる。
※この作品だけを読まれても普通に面白いです。
関連小説【初恋の先生と結婚する為に幼稚園児からやり直すことになった俺】
【幼馴染の彼に好きって伝える為、幼稚園児からやり直す私】
【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語
ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。
だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。
それで終わるはずだった――なのに。
ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。
さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。
そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。
由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。
一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。
そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。
罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。
ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。
そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。
これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。
小さい頃「お嫁さんになる!」と妹系の幼馴染みに言われて、彼女は今もその気でいる!
竜ヶ崎彰
恋愛
「いい加減大人の階段上ってくれ!!」
俺、天道涼太には1つ年下の可愛い幼馴染みがいる。
彼女の名前は下野ルカ。
幼少の頃から俺にベッタリでかつては将来"俺のお嫁さんになる!"なんて事も言っていた。
俺ももう高校生になったと同時にルカは中学3年生。
だけど、ルカはまだ俺のお嫁さんになる!と言っている!
堅物真面目少年と妹系ゆるふわ天然少女による拗らせ系ラブコメ開幕!!
S級ハッカーの俺がSNSで炎上する完璧ヒロインを助けたら、俺にだけめちゃくちゃ甘えてくる秘密の関係になったんだが…
senko
恋愛
「一緒に、しよ?」完璧ヒロインが俺にだけベタ甘えしてくる。
地味高校生の俺は裏ではS級ハッカー。炎上するクラスの完璧ヒロインを救ったら、秘密のイチャラブ共闘関係が始まってしまった!リアルではただのモブなのに…。
クラスの隅でPCを触るだけが生きがいの陰キャプログラマー、黒瀬和人。
彼にとってクラスの中心で太陽のように笑う完璧ヒロイン・天野光は決して交わることのない別世界の住人だった。
しかしある日、和人は光を襲う匿名の「裏アカウント」を発見してしまう。
悪意に満ちた誹謗中傷で完璧な彼女がひとり涙を流していることを知り彼は決意する。
――正体を隠したまま彼女を救い出す、と。
謎の天才ハッカー『null』として光に接触した和人。
ネットでは唯一頼れる相棒として彼女に甘えられる一方、現実では目も合わせられないただのクラスメイト。
この秘密の二重生活はもどかしくて、だけど最高に甘い。
陰キャ男子と完璧ヒロインの秘密の二重生活ラブコメ、ここに開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる