27 / 80
うごきだす感情
ー優大ーまたね 5
しおりを挟む
しばらくして、彼女が帰ってきた。
あまり帰りが遅いと危ないからね。送って行くけど。帰してあげる。凄く楽しかったよ。
22時をちょっと過ぎたから、そろそろ帰る?
そう僕が聞くと、そうですね。お開きにしましょうと真希ちゃんが返事をした。
彼女、3杯飲んだな。話をするのが楽しそうだったから、何気に追加で頼んでた。
僕はお酒に強いけれど、あえて控えめにした。
お持ち帰りすると思われたくないし。
会計をする時、彼女が自分の分を払おうとしたから、止めた。
今日は話に付き合ってくれたんだから僕が払うよ。
そういうと彼女は遠慮をした。
後、僕の分まで払おうとしてたみたい。
一緒に飲みに行く女の子は、僕に払って貰うのが当たり前だと思ってる子が割と多い。
まあ、当たり前だと思ってくれても良いんだけどね。全然気にしないし大丈夫なんだけど、でも彼女みたいに遠慮する人は本当に好感が持てる。
こういう気遣いが出来る女性って凄く素敵だよね。
どうしても僕が払いたいからと言うと、何度もお礼を言ってくれた。凄く優しいな。
当たり前の事だと思わずに、ちゃんとお礼を言ってくれる。やっぱり真面目で良い子だな。
店を出てから、真希ちゃんは僕を見ながら言った。
「私、びっくりしました」
「ん? 何で? 」
「あの、凄い自意識過剰ですが、お持ち帰りされるかと」
「えー? 真希ちゃんが嫌がる事は絶対にしないよ」
「優大さんって凄くいい人ですね。素敵すぎます。私、男性って何を考えてるか分からないから、凄い苦手だったんですが。でも、優大さんは違います。男性として凄く尊敬します」
「そんな風に言われるとは。あ、手、繋ごうよ。危ないから」
「え? 手、繋ぐんですか」
「うん、だって危ないよ。真希ちゃん、転ぶかもだし?」
「私、そこまで酔っ払ってないです」
「でも、ね? 危なくない様にしたいから。姫を安全に送り届けなければ。はい。僕、手が冷たいかもだけど。冷え性だからさ」
「分かりました、照れちゃいますけど。ちゃんと送り届けてくださいね。王子」
「王子様か。あれ? 家来じゃないんだ? いや、守るんだからナイトか」
「優大さんは王子様っぽいです」
「なんか、照れるなあ」
「ふふっ」
僕が手を差し伸べると、真希ちゃんがそっと自分の手を添えてくれた。
「あっ!本当につめたーい。大丈夫ですか?」
「ん。大丈夫だよ。ありがとう」
彼女の顔を見ると、繋いでない方の手で口元を押さえていた。
その口元は微笑んでいる。
街灯に照らされて、わずかに見えた。
真希ちゃんの手が冷たい。夜はやっぱり冷えるな。
12月だもんな、冬は嫌いだ。寒いと物悲しい気持ちにさせられるから。
それにたまらなく人恋しくなってしまう。
帰り道にどうしても、聞かなきゃいけない。次があるかどうか。
「あの、さ。やっぱり、もう会ってくれないのかな」
あんなに強気だったはずなのにもう、会わないって言われるのが怖くなってきた。
凄く怖い。
メッセージアプリでの楽しいやり取りも、もう終わりか。ブロックされちゃうんだろうな。
「パワーストーンの話が出来る人、優大さん以外に居ないから、会わなくなったら凄く寂しいなって思ってしまいました」
え?それって、もしかして?
期待で胸が高なってしまう。
僕の勘違いじゃなかったら、また……
「優大さんさえ良かったら、これからも仲良くしてくれませんか」
「え!? 本当に!? 」
自分でもびっくりするくらい、大きな声をあげていた。
「友達として」
「友達か。彼氏じゃないんだ」
「あはは! 友達ですよ! 」
凄く嬉しいよ、真希ちゃん。
だって、これからも仲良く出来るんでしょう?
友達でも良いかな。今だけね。
「友達なら、敬語止めようよ」
「それは、優大さんのお願いですか」
「そうだね。いつもお願いばっかりで申し訳ない」
「いいですよ。優大さんのお願いは好きです」
「好きなのは僕じゃないんかい! お願いの方なんだ」
「あははは! 楽しい! 敬語止めるね! 優大さん」
「優大で良いって」
「それは流石に?……じゃあ、優大君」
「優大君かあ。まあ、それでも良いよ! 」
他にも楽しい会話をしてたらもう、着いてしまった。
居酒屋から駅まで割と近くて良かった。
腕時計を見ると歩いて、20分くらいだった。
真希ちゃんを無事に送り届けたから、ひと安心。
こんな事になるなんて。友達になれるとは、正直想定外だった。
今日は凄く楽しかったよ。本当にありがとう。バイバイ、また後で連絡するね。おやすみ。と言うと彼女はこちらこそありがとう。またね、おやすみなさいと手を振ってくれた。
心の中が彼女でいっぱいになりそうだ。
結構好きになってしまってる自分にびっくりした。
空を見ると月は見えなかったけど星がちらついていた。
息を吸った。恋してる自分が微笑ましいな、なんて思えてきて。笑ってしまった息が白い。
……あの作戦は意味が無くなってしまったような気がする。まあ良いか。
あまり帰りが遅いと危ないからね。送って行くけど。帰してあげる。凄く楽しかったよ。
22時をちょっと過ぎたから、そろそろ帰る?
そう僕が聞くと、そうですね。お開きにしましょうと真希ちゃんが返事をした。
彼女、3杯飲んだな。話をするのが楽しそうだったから、何気に追加で頼んでた。
僕はお酒に強いけれど、あえて控えめにした。
お持ち帰りすると思われたくないし。
会計をする時、彼女が自分の分を払おうとしたから、止めた。
今日は話に付き合ってくれたんだから僕が払うよ。
そういうと彼女は遠慮をした。
後、僕の分まで払おうとしてたみたい。
一緒に飲みに行く女の子は、僕に払って貰うのが当たり前だと思ってる子が割と多い。
まあ、当たり前だと思ってくれても良いんだけどね。全然気にしないし大丈夫なんだけど、でも彼女みたいに遠慮する人は本当に好感が持てる。
こういう気遣いが出来る女性って凄く素敵だよね。
どうしても僕が払いたいからと言うと、何度もお礼を言ってくれた。凄く優しいな。
当たり前の事だと思わずに、ちゃんとお礼を言ってくれる。やっぱり真面目で良い子だな。
店を出てから、真希ちゃんは僕を見ながら言った。
「私、びっくりしました」
「ん? 何で? 」
「あの、凄い自意識過剰ですが、お持ち帰りされるかと」
「えー? 真希ちゃんが嫌がる事は絶対にしないよ」
「優大さんって凄くいい人ですね。素敵すぎます。私、男性って何を考えてるか分からないから、凄い苦手だったんですが。でも、優大さんは違います。男性として凄く尊敬します」
「そんな風に言われるとは。あ、手、繋ごうよ。危ないから」
「え? 手、繋ぐんですか」
「うん、だって危ないよ。真希ちゃん、転ぶかもだし?」
「私、そこまで酔っ払ってないです」
「でも、ね? 危なくない様にしたいから。姫を安全に送り届けなければ。はい。僕、手が冷たいかもだけど。冷え性だからさ」
「分かりました、照れちゃいますけど。ちゃんと送り届けてくださいね。王子」
「王子様か。あれ? 家来じゃないんだ? いや、守るんだからナイトか」
「優大さんは王子様っぽいです」
「なんか、照れるなあ」
「ふふっ」
僕が手を差し伸べると、真希ちゃんがそっと自分の手を添えてくれた。
「あっ!本当につめたーい。大丈夫ですか?」
「ん。大丈夫だよ。ありがとう」
彼女の顔を見ると、繋いでない方の手で口元を押さえていた。
その口元は微笑んでいる。
街灯に照らされて、わずかに見えた。
真希ちゃんの手が冷たい。夜はやっぱり冷えるな。
12月だもんな、冬は嫌いだ。寒いと物悲しい気持ちにさせられるから。
それにたまらなく人恋しくなってしまう。
帰り道にどうしても、聞かなきゃいけない。次があるかどうか。
「あの、さ。やっぱり、もう会ってくれないのかな」
あんなに強気だったはずなのにもう、会わないって言われるのが怖くなってきた。
凄く怖い。
メッセージアプリでの楽しいやり取りも、もう終わりか。ブロックされちゃうんだろうな。
「パワーストーンの話が出来る人、優大さん以外に居ないから、会わなくなったら凄く寂しいなって思ってしまいました」
え?それって、もしかして?
期待で胸が高なってしまう。
僕の勘違いじゃなかったら、また……
「優大さんさえ良かったら、これからも仲良くしてくれませんか」
「え!? 本当に!? 」
自分でもびっくりするくらい、大きな声をあげていた。
「友達として」
「友達か。彼氏じゃないんだ」
「あはは! 友達ですよ! 」
凄く嬉しいよ、真希ちゃん。
だって、これからも仲良く出来るんでしょう?
友達でも良いかな。今だけね。
「友達なら、敬語止めようよ」
「それは、優大さんのお願いですか」
「そうだね。いつもお願いばっかりで申し訳ない」
「いいですよ。優大さんのお願いは好きです」
「好きなのは僕じゃないんかい! お願いの方なんだ」
「あははは! 楽しい! 敬語止めるね! 優大さん」
「優大で良いって」
「それは流石に?……じゃあ、優大君」
「優大君かあ。まあ、それでも良いよ! 」
他にも楽しい会話をしてたらもう、着いてしまった。
居酒屋から駅まで割と近くて良かった。
腕時計を見ると歩いて、20分くらいだった。
真希ちゃんを無事に送り届けたから、ひと安心。
こんな事になるなんて。友達になれるとは、正直想定外だった。
今日は凄く楽しかったよ。本当にありがとう。バイバイ、また後で連絡するね。おやすみ。と言うと彼女はこちらこそありがとう。またね、おやすみなさいと手を振ってくれた。
心の中が彼女でいっぱいになりそうだ。
結構好きになってしまってる自分にびっくりした。
空を見ると月は見えなかったけど星がちらついていた。
息を吸った。恋してる自分が微笑ましいな、なんて思えてきて。笑ってしまった息が白い。
……あの作戦は意味が無くなってしまったような気がする。まあ良いか。
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
独占欲全開の肉食ドクターに溺愛されて極甘懐妊しました
せいとも
恋愛
旧題:ドクターと救急救命士は天敵⁈~最悪の出会いは最高の出逢い~
救急救命士として働く雫石月は、勤務明けに乗っていたバスで事故に遭う。
どうやら、バスの運転手が体調不良になったようだ。
乗客にAEDを探してきてもらうように頼み、救助活動をしているとボサボサ頭のマスク姿の男がAEDを持ってバスに乗り込んできた。
受け取ろうとすると邪魔だと言われる。
そして、月のことを『チビ団子』と呼んだのだ。
医療従事者と思われるボサボサマスク男は運転手の処置をして、月が文句を言う間もなく、救急車に同乗して去ってしまった。
最悪の出会いをし、二度と会いたくない相手の正体は⁇
作品はフィクションです。
本来の仕事内容とは異なる描写があると思います。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる