(完結)好きな人には好きな人がいる

いちみやりょう

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目が覚めて

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目が覚めると身体中がギシギシいっていて、喘ぎすぎたのか喉も少し痛かった。

「せんぱい?」

かすれた声で呼びかけても返事がない。
さっきまで居たんだろうなと思うほどに、自分の周りには先輩の匂いが残っていたけど、先輩は部屋の中におらず、枕元にメモ用紙が残されていた。

『目が覚めて授業を受けたいようなら、タブレット端末を使ってリモートで授業を受けてください。飲み物とお昼のお弁当は、ベッドの横のクーラーボックスに入っています。授業が終わり次第すぐに帰ります。無理をせず今日は一日ベッドの上で過ごしてください 辰巳』

やたらと心配性な手紙は、なぜだか敬語で書かれていて新鮮で面白かった。
メモの端には先輩が描いたのだろう。小さなパンダが身を寄せ合っている絵が描かれていて可愛らしい。

ベッドから身を乗り出して、下を確認するとそこには確かにクーラボックスと、その上にタブレット端末とその使用方法のメモ用紙が置かれていた。
タブレット端末などをどかしてクーラーボックスから飲み物を確認した。
コーラやお茶などが入っていたけど、その中からスポーツ飲料を手に取りキャップをひねると、簡単に開けられた。

「ふふ。本当、甘やかしたがりなんだから」

見てみるとどの飲み物も、一度開封し程よい締め加減で閉じたんだろうと確認できた。

昨日は良い夢を見て幸せだったけど、こうして先輩に甘やかしてもらえるのも後少し。
正確に言えばあと6日しかないのだから、夢ばかりにすがってないでせっかくなら残りの期間先輩に思う存分甘やかしてもらおう。

「あ……そうだ。義母さん」

きっとすごく心配してるだろう。
昨日は余裕がなくて確認できなかったからと、スマホを確認してみると、案の定メッセージアプリのアイコンの右上にはすごい桁の数字が表示されていた。

開くと、どのメッセージも俺を心配するもので、着信も何度もあったみたいだった。

『心配してくれて、ありがとう。俺は全然平気だよ。夜、電話するね』

今は仕事中だろうと思い、それだけメッセージを送ってスマホを閉じた。
それから授業が始まる時間までうつらうつらとして、授業が始まった頃、先輩のメモに書いてあった通りタブレット端末に電源を入れた。
1限目は国語で、担当の教師が黒板の前に立っているのが映し出される。
前はちんぷんかんぷんだった授業の内容は、ここ最近先輩が家庭教師のようなことをしてくれているおかげでかなり分かる様になって、今は勉強するのが楽しいと思うほどになっていた。

けれど、こんな状態で真面目に授業など聞けるはずもない。考えは色んな方向に飛んでいき、授業の内容などまるで頭に入ってこなかった。

ヒートのセックス直後はこんなに体がだるくなるんだなぁとどこか他人事のように思ってから、俺は大変な事実に気がついてしまった。
幼い頃はヒートなどまだきておらず、父も兄も俺を犯すとき正気だった。それが今、俺はヒートが来る体になってしまった。無理やり番にされるかもしれないし、ヒートにあてられて、幼い頃よりもひどい目に合うかもしれない。

「嫌だ」

怖くなって先輩の服に顔を埋める。
昨日俺が作った巣は、先輩がそのままにしておいてくれたらしく、その中に入ってしまえば不安な気持ちも少し安らいだ。

「先輩、早く帰ってきて……」

そうしている間に、また俺は眠りについていた。
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