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律葉視点 律葉の恋14
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「どうぞ」
「お邪魔します」
会長に続いて部屋に入ると、僕の部屋に比べて少し広くて綺麗だった。
パタリと玄関のドアが閉まると、会長は僕をドアに押し付ける形で玄関に手をついてその両腕の中に僕を閉じ込めて、カチャリと鍵をしめた。
「な……え? な……?」
突然の出来事になにが起こっているのか分からず、口からは意味のない言葉だけが漏れる。
「俺が、律葉くんを嫌いだって?」
低い声が上から聞こえた。
「え、っと。その」
「どうして俺が律葉くんを嫌いだと思ったの?」
頭1つ分ほど上にある会長の顔を見上げると、会長は僕をジッと見ていた。
その顔は、いつもの穏やかさがない。
生徒会室でも声を荒げていたように、やっぱり会長をかなり怒らせていたようで、どうすれば良いのか分からなくなった。
「怒っていないから、教えて?」
「……あの、僕、その。だって」
「うん」
会長の顔を見ていられなくて、俯くと溢れてしまった滴が1滴、頬を伝うのが分かった。
「会長は僕がいると迷惑だって……」
そう言われた時のことを思い出し、しゃくりあげそうになるのを何とか耐えて、喉から絞り出すようにそう言うと、上から息を飲む音が聞こえた。
自分で声に出して言うと、あまりにも悲しすぎてまた涙が出そうになった。
それをぐっと耐えると、喉の奥がキンっと痛くなる。
「ああ……。確かに……、言ったね」
「会長が僕にも優しくしてくれるのは、ただ、会長が優しいからだと分かっています。でも僕、そんな会長に嫌われるほどのことをした覚えがなくて……その、教えて欲しい、です。会長を不快にさせたのは僕のどんな行動なのか、言葉なのか」
「……不快になんてなってないよ、律葉くんを見て、律葉くんと接して、不快になるはずないでしょ」
「今更そんな……、僕ちゃんと直しますから。直してそれで、会長補佐を続けたいんです……会長?」
扉についていた手は僕の背中に回った。
そしてぐっと抱き寄せられて、僕の肩口に顔を埋められた。
「好きだよ。律葉くん。俺の言葉で辛い気持ちにさせてごめん。でも、俺は律葉くんが好き。律葉くんと居るといつも元気になれる。気分が沈んでいても、律葉くんの顔を見れば癒されるし、律葉くんが入れてくれる苦いコーヒーも癖になる……それに、この甘い匂いも」
「ひゃっ」
スンっと首筋を嗅がれて、ビクリと体が跳ねた。
「抑制剤……飲んでるんです、けど」
抑制剤の効きは良い方だし、テストで良い点を取るために強い薬に変えたのをきっかけに、いまだに強い抑制剤のままだ。だから匂いが好きだと言われても、ピンと来なかった。
「ああ。フェロモンの匂いは薄いね。でもちゃんと律葉の匂いがするんだよ」
「んんっ、やめ……かがないで」
「ずっとこうしていたい。俺は、律葉くんを好きなんだよ。嫌いなんてあるわけない……。ね?」
僕が動けないように抱きしめつつ、会長は器用にも手をサワサワと動かして、僕の至る所を撫でつけた。
「ぁっ、ひっ、やめ」
「ねぇ。律葉くん。好き……。俺の気持ち分かってくれる?」
「ぁふ、んん……やめっ、ぁ」
首筋に息を吹きつけられ、そこを舐め上げられ、僕はまともな言葉を発することもできない。
「どうして嫌がらないの? どうして少しも抵抗しないの? 突き飛ばしてくれてもいいんだよ。でなきゃ俺の良いように捉えてしまうよ」
確かに、動けないように抱きしめられているとは言っても、全力で嫌がれば抵抗できただろう。
だけど、僕にそんなことできるはずがなかった。
だって……。
「ふ……ん、嫌がる、訳ないです。だって、僕は会長が好きだから」
会長が息を飲むのが分かった。
「っ……俺が好き? 律葉くんが?」
「そ、です」
「じゃあ、結婚を前提にお付き合いしてくれる?」
「けっ……ぜん……!?」
それはいくら何でも話が飛躍しすぎているような気がして絶句していると、会長がフッと気を漏らした。
「ごめん。急ぎすぎたね……。おいで」
「あっ」
そのまますぐに抱き上げられて、ベッドに運ばれて、腰を下ろした会長の足の間に座らせられた。
この体勢は背中越しに会長の熱が伝わって、胸がドキドキした。
「お邪魔します」
会長に続いて部屋に入ると、僕の部屋に比べて少し広くて綺麗だった。
パタリと玄関のドアが閉まると、会長は僕をドアに押し付ける形で玄関に手をついてその両腕の中に僕を閉じ込めて、カチャリと鍵をしめた。
「な……え? な……?」
突然の出来事になにが起こっているのか分からず、口からは意味のない言葉だけが漏れる。
「俺が、律葉くんを嫌いだって?」
低い声が上から聞こえた。
「え、っと。その」
「どうして俺が律葉くんを嫌いだと思ったの?」
頭1つ分ほど上にある会長の顔を見上げると、会長は僕をジッと見ていた。
その顔は、いつもの穏やかさがない。
生徒会室でも声を荒げていたように、やっぱり会長をかなり怒らせていたようで、どうすれば良いのか分からなくなった。
「怒っていないから、教えて?」
「……あの、僕、その。だって」
「うん」
会長の顔を見ていられなくて、俯くと溢れてしまった滴が1滴、頬を伝うのが分かった。
「会長は僕がいると迷惑だって……」
そう言われた時のことを思い出し、しゃくりあげそうになるのを何とか耐えて、喉から絞り出すようにそう言うと、上から息を飲む音が聞こえた。
自分で声に出して言うと、あまりにも悲しすぎてまた涙が出そうになった。
それをぐっと耐えると、喉の奥がキンっと痛くなる。
「ああ……。確かに……、言ったね」
「会長が僕にも優しくしてくれるのは、ただ、会長が優しいからだと分かっています。でも僕、そんな会長に嫌われるほどのことをした覚えがなくて……その、教えて欲しい、です。会長を不快にさせたのは僕のどんな行動なのか、言葉なのか」
「……不快になんてなってないよ、律葉くんを見て、律葉くんと接して、不快になるはずないでしょ」
「今更そんな……、僕ちゃんと直しますから。直してそれで、会長補佐を続けたいんです……会長?」
扉についていた手は僕の背中に回った。
そしてぐっと抱き寄せられて、僕の肩口に顔を埋められた。
「好きだよ。律葉くん。俺の言葉で辛い気持ちにさせてごめん。でも、俺は律葉くんが好き。律葉くんと居るといつも元気になれる。気分が沈んでいても、律葉くんの顔を見れば癒されるし、律葉くんが入れてくれる苦いコーヒーも癖になる……それに、この甘い匂いも」
「ひゃっ」
スンっと首筋を嗅がれて、ビクリと体が跳ねた。
「抑制剤……飲んでるんです、けど」
抑制剤の効きは良い方だし、テストで良い点を取るために強い薬に変えたのをきっかけに、いまだに強い抑制剤のままだ。だから匂いが好きだと言われても、ピンと来なかった。
「ああ。フェロモンの匂いは薄いね。でもちゃんと律葉の匂いがするんだよ」
「んんっ、やめ……かがないで」
「ずっとこうしていたい。俺は、律葉くんを好きなんだよ。嫌いなんてあるわけない……。ね?」
僕が動けないように抱きしめつつ、会長は器用にも手をサワサワと動かして、僕の至る所を撫でつけた。
「ぁっ、ひっ、やめ」
「ねぇ。律葉くん。好き……。俺の気持ち分かってくれる?」
「ぁふ、んん……やめっ、ぁ」
首筋に息を吹きつけられ、そこを舐め上げられ、僕はまともな言葉を発することもできない。
「どうして嫌がらないの? どうして少しも抵抗しないの? 突き飛ばしてくれてもいいんだよ。でなきゃ俺の良いように捉えてしまうよ」
確かに、動けないように抱きしめられているとは言っても、全力で嫌がれば抵抗できただろう。
だけど、僕にそんなことできるはずがなかった。
だって……。
「ふ……ん、嫌がる、訳ないです。だって、僕は会長が好きだから」
会長が息を飲むのが分かった。
「っ……俺が好き? 律葉くんが?」
「そ、です」
「じゃあ、結婚を前提にお付き合いしてくれる?」
「けっ……ぜん……!?」
それはいくら何でも話が飛躍しすぎているような気がして絶句していると、会長がフッと気を漏らした。
「ごめん。急ぎすぎたね……。おいで」
「あっ」
そのまますぐに抱き上げられて、ベッドに運ばれて、腰を下ろした会長の足の間に座らせられた。
この体勢は背中越しに会長の熱が伝わって、胸がドキドキした。
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