(完結)好きな人には好きな人がいる

いちみやりょう

文字の大きさ
49 / 61

律葉視点 律葉の恋14

しおりを挟む
「どうぞ」
「お邪魔します」

会長に続いて部屋に入ると、僕の部屋に比べて少し広くて綺麗だった。
パタリと玄関のドアが閉まると、会長は僕をドアに押し付ける形で玄関に手をついてその両腕の中に僕を閉じ込めて、カチャリと鍵をしめた。

「な……え? な……?」

突然の出来事になにが起こっているのか分からず、口からは意味のない言葉だけが漏れる。

「俺が、律葉くんを嫌いだって?」

低い声が上から聞こえた。

「え、っと。その」
「どうして俺が律葉くんを嫌いだと思ったの?」

頭1つ分ほど上にある会長の顔を見上げると、会長は僕をジッと見ていた。
その顔は、いつもの穏やかさがない。
生徒会室でも声を荒げていたように、やっぱり会長をかなり怒らせていたようで、どうすれば良いのか分からなくなった。

「怒っていないから、教えて?」
「……あの、僕、その。だって」
「うん」

会長の顔を見ていられなくて、俯くと溢れてしまった滴が1滴、頬を伝うのが分かった。

「会長は僕がいると迷惑だって……」

そう言われた時のことを思い出し、しゃくりあげそうになるのを何とか耐えて、喉から絞り出すようにそう言うと、上から息を飲む音が聞こえた。
自分で声に出して言うと、あまりにも悲しすぎてまた涙が出そうになった。
それをぐっと耐えると、喉の奥がキンっと痛くなる。

「ああ……。確かに……、言ったね」
「会長が僕にも優しくしてくれるのは、ただ、会長が優しいからだと分かっています。でも僕、そんな会長に嫌われるほどのことをした覚えがなくて……その、教えて欲しい、です。会長を不快にさせたのは僕のどんな行動なのか、言葉なのか」
「……不快になんてなってないよ、律葉くんを見て、律葉くんと接して、不快になるはずないでしょ」
「今更そんな……、僕ちゃんと直しますから。直してそれで、会長補佐を続けたいんです……会長?」

扉についていた手は僕の背中に回った。
そしてぐっと抱き寄せられて、僕の肩口に顔を埋められた。

「好きだよ。律葉くん。俺の言葉で辛い気持ちにさせてごめん。でも、俺は律葉くんが好き。律葉くんと居るといつも元気になれる。気分が沈んでいても、律葉くんの顔を見れば癒されるし、律葉くんが入れてくれる苦いコーヒーも癖になる……それに、この甘い匂いも」
「ひゃっ」

スンっと首筋を嗅がれて、ビクリと体が跳ねた。

「抑制剤……飲んでるんです、けど」

抑制剤の効きは良い方だし、テストで良い点を取るために強い薬に変えたのをきっかけに、いまだに強い抑制剤のままだ。だから匂いが好きだと言われても、ピンと来なかった。

「ああ。フェロモンの匂いは薄いね。でもちゃんと律葉の匂いがするんだよ」
「んんっ、やめ……かがないで」
「ずっとこうしていたい。俺は、律葉くんを好きなんだよ。嫌いなんてあるわけない……。ね?」

僕が動けないように抱きしめつつ、会長は器用にも手をサワサワと動かして、僕の至る所を撫でつけた。

「ぁっ、ひっ、やめ」
「ねぇ。律葉くん。好き……。俺の気持ち分かってくれる?」
「ぁふ、んん……やめっ、ぁ」

首筋に息を吹きつけられ、そこを舐め上げられ、僕はまともな言葉を発することもできない。

「どうして嫌がらないの? どうして少しも抵抗しないの? 突き飛ばしてくれてもいいんだよ。でなきゃ俺の良いように捉えてしまうよ」

確かに、動けないように抱きしめられているとは言っても、全力で嫌がれば抵抗できただろう。
だけど、僕にそんなことできるはずがなかった。

だって……。

「ふ……ん、嫌がる、訳ないです。だって、僕は会長が好きだから」

会長が息を飲むのが分かった。

「っ……俺が好き? 律葉くんが?」
「そ、です」
「じゃあ、結婚を前提にお付き合いしてくれる?」
「けっ……ぜん……!?」

それはいくら何でも話が飛躍しすぎているような気がして絶句していると、会長がフッと気を漏らした。

「ごめん。急ぎすぎたね……。おいで」
「あっ」

そのまますぐに抱き上げられて、ベッドに運ばれて、腰を下ろした会長の足の間に座らせられた。
この体勢は背中越しに会長の熱が伝わって、胸がドキドキした。
しおりを挟む
感想 27

あなたにおすすめの小説

俺がモテない理由

秋元智也
BL
平凡な大学生活を送っていた桜井陸。 彼には仲のいい幼馴染の友人がいた。 友人の名は森田誠治という。 周りからもチヤホヤされるほどに顔も良く性格もいい。 困っている人がいると放かってはおけない世話焼きな 性格なのだった。 そんな二人が、いきなり異世界へと来た理由。 それは魔王を倒して欲しいという身勝手な王様の願い だった。 気づいたら異世界に落とされ、帰りかたもわからない という。 勇者となった友人、森田誠治と一緒に旅を続けやっと 終わりを迎えたのだった。 そして長い旅の末、魔王を倒した勇者一行。 途中で仲間になった聖女のレイネ。 戦士のモンド・リオールと共に、ゆっくりとした生活 を続けていたのだった。 そこへ、皇帝からの打診があった。 勇者と皇女の結婚の話だった。 どこに行ってもモテまくる友人に呆れるように陸は離 れようとしたのだったが……。

ただ愛されたいと願う

藤雪たすく
BL
自分の居場所を求めながら、劣等感に苛まれているオメガの清末 海里。 やっと側にいたいと思える人を見つけたけれど、その人は……

たとえば、俺が幸せになってもいいのなら

夜月るな
BL
全てを1人で抱え込む高校生の少年が、誰かに頼り甘えることを覚えていくまでの物語――― 父を目の前で亡くし、母に突き放され、たった一人寄り添ってくれた兄もいなくなっていまった。 弟を守り、罪悪感も自責の念もたった1人で抱える新谷 律の心が、少しずつほぐれていく。 助けてほしいと言葉にする権利すらないと笑う少年が、救われるまでのお話。

兄の親友と恋人ごっこしています

さくら乃
BL
兄の親友を好きなことを隠して恋人ごっこをする話。 兄優雅の親友陸郎は兄が好き。そして、僕、温は陸郎が好き。 そのことを隠して「兄の代わりにしていいよ」と持ちかける。 恋人ごっこをしながらどうにか自分のことを本当に好きになって貰えないかと画策する。 表紙は自前の写真を加工して作りました。

君に不幸あれ。

ぽぽ
BL
家族にも見捨てられ、学校で孤独を感じていた静。 毎日が辛くて生きる意味を失いかけた彼の前に現れたのは、眩しい太陽のような青年天輝玲。 玲の存在は、静の壊れかけていた心の唯一の救いだった。 しかしある日、玲の口から聞いたある言葉で、信頼から憎悪へと変わった。 それから十年。 玲と再会を果たした静は復讐を果たそうとする。

両片思いの幼馴染

kouta
BL
密かに恋をしていた幼馴染から自分が嫌われていることを知って距離を取ろうとする受けと受けの突然の変化に気づいて苛々が止まらない攻めの両片思いから始まる物語。 くっついた後も色々とすれ違いながら最終的にはいつもイチャイチャしています。 めちゃくちゃハッピーエンドです。

あなたと過ごせた日々は幸せでした

蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。

流れる星、どうかお願い

ハル
BL
羽水 結弦(うすい ゆずる) オメガで高校中退の彼は国内の財閥の一つ、羽水本家の次男、羽水要と番になって約8年 高層マンションに住み、気兼ねなくスーパーで買い物をして好きな料理を食べられる。同じ性の人からすれば恵まれた生活をしている彼 そんな彼が夜、空を眺めて流れ星に祈る願いはただ一つ ”要が幸せになりますように” オメガバースの世界を舞台にしたアルファ×オメガ 王道な関係の二人が織りなすラブストーリーをお楽しみに! 一応、更新していきますが、修正が入ることは多いので ちょっと読みづらくなったら申し訳ないですが お付き合いください!

処理中です...