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2:目が覚めて
「ん、ん……?」
起き上がり、寝ぼけ眼で周りを見渡すと、ずいぶんと豪華なシャンデリアや壺などがあり、俺自身が居るのはこれまた高級そうなベットの上であることに気がついた。
「なに、これ」
ふかふかの布団から出した手は、小さな紅葉のよう。
部屋の端の方に、ドレッサーのようなものがあったので、俺は小さな体でなんとかベッドを降りて、ドレッサーの前にたどり着いた。
「これ……、バトラル……? まじ、夢じゃなかったの? っいたっ。つまんでも痛いってことは、夢じゃない? え、え? これって異世界転生ってやつ? しかも俺、マジでバトラルになれたの!? 最高じゃんか!」
鏡に映る俺の姿は、完全にバトラルだった。
ゲームで見ていた彼よりもかなり幼いけれど、それでも何度も見ていた俺が間違うはずもない。
「これはまさしく、悪役令息に転生する系のあれだ」
異世界転生といえば処刑を免れようとしたり、逆ざまあをしてみたりするやつという認識だが、『真愛ください』のバトラルの断罪の場合、肉便器、凌辱、鞭打ち、輪姦、娼館、魔物への生贄エトセトラどう転んでも俺の望むものだ。
「よっしゃ。そうと決まればゲーム開始まで……そしてゲーム開始後も断罪に向かって突き進むぞ!」
俺は決意を胸に一人で拳を突き上げた。
断罪への道を突き進むにしても、俺がドMであることは極秘事項だ。
ドMだとバレれば、断罪後に俺の望む罰は下されない。罰とは受ける本人が嬉々として受け入れる内容ではダメだからだ。つまり俺は表向きには禁欲的のようにあらねばならないのだ。
「バトラル坊ちゃん。旦那様がお呼びです」
「……分かった」
扉の向こうから聞こえた声に、俺はやや遅れ気味で応えた。
旦那様というのは、バトラルを虐待する極悪非道な父親で、バトラルが悪役令息という性格のひん曲がった人間になったのは、その最低な家庭環境が大きい。バトラルの母はバトラルを産んだ後、産後の肥立ちが悪く、すでに亡くなっており、バトラルはゲーム開始時まで息子を道具としてしか見ない父親と、その父親に付き従う使用人たちと共に生活してきたのだと設定集に書かれていた。
「そりゃあ、産まれてからずっとそんなところで過ごしてたら、コリンを襲わせて殺そうとするくらいに精神がイカれてもおかしくないよな」
ドMでもなんでもないバトラルの今までを思うとかわいそうで仕方がない。バトラルの体には俺が入ってしまって、バトラルは無事俺の体に入れただろうか。あそこなら虐待されることはないだろうから安心だ。バトラルのドMの人間以外にはハードモードに感じるような人生を歩むよりも、俺の体に入っていた方がきっと幸せに過ごせるだろう。
「この世界はドMの俺に任せておけ」
今頃は俺の体に入って楽しんでいるかもしれないバトラルに向かって小さくつぶやき、俺は使用人に付き添われて父親の部屋にやってきた。
起き上がり、寝ぼけ眼で周りを見渡すと、ずいぶんと豪華なシャンデリアや壺などがあり、俺自身が居るのはこれまた高級そうなベットの上であることに気がついた。
「なに、これ」
ふかふかの布団から出した手は、小さな紅葉のよう。
部屋の端の方に、ドレッサーのようなものがあったので、俺は小さな体でなんとかベッドを降りて、ドレッサーの前にたどり着いた。
「これ……、バトラル……? まじ、夢じゃなかったの? っいたっ。つまんでも痛いってことは、夢じゃない? え、え? これって異世界転生ってやつ? しかも俺、マジでバトラルになれたの!? 最高じゃんか!」
鏡に映る俺の姿は、完全にバトラルだった。
ゲームで見ていた彼よりもかなり幼いけれど、それでも何度も見ていた俺が間違うはずもない。
「これはまさしく、悪役令息に転生する系のあれだ」
異世界転生といえば処刑を免れようとしたり、逆ざまあをしてみたりするやつという認識だが、『真愛ください』のバトラルの断罪の場合、肉便器、凌辱、鞭打ち、輪姦、娼館、魔物への生贄エトセトラどう転んでも俺の望むものだ。
「よっしゃ。そうと決まればゲーム開始まで……そしてゲーム開始後も断罪に向かって突き進むぞ!」
俺は決意を胸に一人で拳を突き上げた。
断罪への道を突き進むにしても、俺がドMであることは極秘事項だ。
ドMだとバレれば、断罪後に俺の望む罰は下されない。罰とは受ける本人が嬉々として受け入れる内容ではダメだからだ。つまり俺は表向きには禁欲的のようにあらねばならないのだ。
「バトラル坊ちゃん。旦那様がお呼びです」
「……分かった」
扉の向こうから聞こえた声に、俺はやや遅れ気味で応えた。
旦那様というのは、バトラルを虐待する極悪非道な父親で、バトラルが悪役令息という性格のひん曲がった人間になったのは、その最低な家庭環境が大きい。バトラルの母はバトラルを産んだ後、産後の肥立ちが悪く、すでに亡くなっており、バトラルはゲーム開始時まで息子を道具としてしか見ない父親と、その父親に付き従う使用人たちと共に生活してきたのだと設定集に書かれていた。
「そりゃあ、産まれてからずっとそんなところで過ごしてたら、コリンを襲わせて殺そうとするくらいに精神がイカれてもおかしくないよな」
ドMでもなんでもないバトラルの今までを思うとかわいそうで仕方がない。バトラルの体には俺が入ってしまって、バトラルは無事俺の体に入れただろうか。あそこなら虐待されることはないだろうから安心だ。バトラルのドMの人間以外にはハードモードに感じるような人生を歩むよりも、俺の体に入っていた方がきっと幸せに過ごせるだろう。
「この世界はドMの俺に任せておけ」
今頃は俺の体に入って楽しんでいるかもしれないバトラルに向かって小さくつぶやき、俺は使用人に付き添われて父親の部屋にやってきた。
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