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20:なぜ?
それから、学園での授業は普通に始まった。
学園が始まって数日のうちに、コリンもヨハイドも、家名だと長いということで名前で呼び合うことになったのだが。
「君ではクライブ様と家格が合わないと、なぜ気が付かないんでしょう? クライブ様には僕の方が合っていると思うのですが」
「ヨハイド殿」
最初のうちは俺に対しても表向き微笑んで対応していたヨハイドも、明らかにヨハイドが犯人だと分かるような稚拙な嫌がらせを始めた。そしてそれを意に介さない俺に痺れを切らしたのか、最近では堂々と文句を言いにくるようになった。
「さすが下位貴族だけあって、ご自分の身分も弁えないとは」
鼻で笑ったヨハイドの周りには「そーだそーだ」要員の令息たちが集まり、俺に向かって「そーだそーだ」と捲し立てている。「そーだそーだ」要員の中には男爵令息や子爵令息もいるが、伯爵令息であるバトラルを下位貴族だと馬鹿にするのはどんな気分なのだろうか。俺は小さく息を吐いた。ドMにも種類があるだろうが、俺はこういっためんどくさい付き合いを、言葉責めと捉えられるタイプのドMではないため、正直に言って最近はヨハイドたちの対応に疲れていた。
「はぁ~。疲れた」
何を言ってもあまり反応のない俺に怒り、ヨハイドたちはつい今し方教室から出て行った。
「大丈夫ですか」
「コリン。いやぁ、さすがにドMの俺でも疲れるよ。ヨハイド殿はクライブ様のことが好きなんだろうか」
コリンには巻き込まないように、彼らがきたら離れていてほしいと頼んである。コリンは男爵令息であるし、ドMでもないので、もしも何かがあって巻き込まれたときに道連れにしたくはない。
「いつも『クライブ様には僕が合ってると思う』って言ってますから、言動を聞いたり、行動を見たりしていると確かに皇太子殿下のことがお好きなように見えますが」
コリンは、顎に人差し指を添えて何やら難しい顔をしている。
「何?」
「どうもおかしいんですよ。最初は俺も、皇太子殿下とヨハイド殿のカップリングで妄想しようと試みたんです。腐男子目線で物事を見る俺は、どうしたって誰が誰を好きなのかもと言う感じで1人で盛り上がったりするのですが、ヨハイド殿の皇太子殿下を見る瞳からは、愛とか恋とかそういった熱を感じないような気がするんですよね」
「つまり、ヨハイド殿はクライブ様が好きなわけではない……と?」
「もしかしたら、そうなのかもしれないというだけなんですけど」
「うーん。そうなのか。もし好きじゃなかったとしたら、ちょっと残念だな。クライブ様がヨハイド殿とうまく行ったら、俺が断罪してもらえるかもしれないと思ったんだけど。でもそうなると、あの実写版バトラルみたいな嫌がらせはなんなんだろう」
主にゲーム序盤に行われるようなバトラルの稚拙な嫌がらせを、ヨハイドがバトラルにしているというおかしな状況に首を傾げた。嫌われるようなことをする前から、嫌がらせを受け始めたので、ヨハイドがクライブを好きじゃないのだとしたら本当に訳がわからない。
「ヨハイド殿は他に何か目的があるのかもしれません。それか、そうじゃないなら、この世界に強制力と言うものがあるのかもしれません。本当はコリンに嫌がらせをするはずだったバトラル殿が、俺、つまりはコリンと仲良くしてしまっているから、バトラル殿が担うはずだったポジションを、世界がヨハイド殿を用意することで埋めたとか……」
「ゲームの強制力?」
「はい。もしかしたらそういう可能性も……」
「俺も前にそう考えたことがあったけど、でもそれならコリンはオメガとして生まれるはずだし、オメガで生まれなかったとしてもオメガに転換しているはず」
「……確かにそうですね」
結局その日は答えが出ないままになった。
学園が始まって数日のうちに、コリンもヨハイドも、家名だと長いということで名前で呼び合うことになったのだが。
「君ではクライブ様と家格が合わないと、なぜ気が付かないんでしょう? クライブ様には僕の方が合っていると思うのですが」
「ヨハイド殿」
最初のうちは俺に対しても表向き微笑んで対応していたヨハイドも、明らかにヨハイドが犯人だと分かるような稚拙な嫌がらせを始めた。そしてそれを意に介さない俺に痺れを切らしたのか、最近では堂々と文句を言いにくるようになった。
「さすが下位貴族だけあって、ご自分の身分も弁えないとは」
鼻で笑ったヨハイドの周りには「そーだそーだ」要員の令息たちが集まり、俺に向かって「そーだそーだ」と捲し立てている。「そーだそーだ」要員の中には男爵令息や子爵令息もいるが、伯爵令息であるバトラルを下位貴族だと馬鹿にするのはどんな気分なのだろうか。俺は小さく息を吐いた。ドMにも種類があるだろうが、俺はこういっためんどくさい付き合いを、言葉責めと捉えられるタイプのドMではないため、正直に言って最近はヨハイドたちの対応に疲れていた。
「はぁ~。疲れた」
何を言ってもあまり反応のない俺に怒り、ヨハイドたちはつい今し方教室から出て行った。
「大丈夫ですか」
「コリン。いやぁ、さすがにドMの俺でも疲れるよ。ヨハイド殿はクライブ様のことが好きなんだろうか」
コリンには巻き込まないように、彼らがきたら離れていてほしいと頼んである。コリンは男爵令息であるし、ドMでもないので、もしも何かがあって巻き込まれたときに道連れにしたくはない。
「いつも『クライブ様には僕が合ってると思う』って言ってますから、言動を聞いたり、行動を見たりしていると確かに皇太子殿下のことがお好きなように見えますが」
コリンは、顎に人差し指を添えて何やら難しい顔をしている。
「何?」
「どうもおかしいんですよ。最初は俺も、皇太子殿下とヨハイド殿のカップリングで妄想しようと試みたんです。腐男子目線で物事を見る俺は、どうしたって誰が誰を好きなのかもと言う感じで1人で盛り上がったりするのですが、ヨハイド殿の皇太子殿下を見る瞳からは、愛とか恋とかそういった熱を感じないような気がするんですよね」
「つまり、ヨハイド殿はクライブ様が好きなわけではない……と?」
「もしかしたら、そうなのかもしれないというだけなんですけど」
「うーん。そうなのか。もし好きじゃなかったとしたら、ちょっと残念だな。クライブ様がヨハイド殿とうまく行ったら、俺が断罪してもらえるかもしれないと思ったんだけど。でもそうなると、あの実写版バトラルみたいな嫌がらせはなんなんだろう」
主にゲーム序盤に行われるようなバトラルの稚拙な嫌がらせを、ヨハイドがバトラルにしているというおかしな状況に首を傾げた。嫌われるようなことをする前から、嫌がらせを受け始めたので、ヨハイドがクライブを好きじゃないのだとしたら本当に訳がわからない。
「ヨハイド殿は他に何か目的があるのかもしれません。それか、そうじゃないなら、この世界に強制力と言うものがあるのかもしれません。本当はコリンに嫌がらせをするはずだったバトラル殿が、俺、つまりはコリンと仲良くしてしまっているから、バトラル殿が担うはずだったポジションを、世界がヨハイド殿を用意することで埋めたとか……」
「ゲームの強制力?」
「はい。もしかしたらそういう可能性も……」
「俺も前にそう考えたことがあったけど、でもそれならコリンはオメガとして生まれるはずだし、オメガで生まれなかったとしてもオメガに転換しているはず」
「……確かにそうですね」
結局その日は答えが出ないままになった。
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