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ユリウス視点:パーティー
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ハルミのおかげで実現したミヒャエルとの話し合いは、結局、朝食には遅く、昼食には早い時間に終わり、ミヒャエルとハルミとユリウスの3人は食堂に向かった。食堂にはニコニコと笑うクリストフが待っていて、4人でハルミの誕生パーティーをした。
その後は、庭に移動しミヒャエルとハルミの2人で小池に浮かべた小舟に乗ってキャッキャとはしゃいでいる姿を、クリストフと共に眺めていた。
「本心から話せて良かったね」
「……はい。蟠りが取れて安心しました。ハルミのおかげです」
「ふふ。そうだね」
微笑ましいハルミたちの様子を、目を細めて見ているクリストフの横顔を見て、ユリウスはやっと違和感に気がついた。
「教官はいつも何もかもお見通しで、何でも知っているから、私の両親のことも、今回のことも……」
「僕はなんでも知っているわけではないよ。確かに人よりは先に起こることが分かることもあるけれど。でも、どうなるのか全てが分かるわけではない。未来は確定しているわけではないからね。それに、そこに僕が手を加わえてしまうのは、恐ろしく感じる。だからユリウスを手伝うくらいしか手を出せなかった。ごめんね」
「……いえ。色々助けていただきましたから。それに、自分自身で解決できて、良かったです」
申し訳けなさげに眉を下げるクリストフに、ユリウスはやっとそう返した。
尋常ではない魔力に恵まれ、未来を知る力を持っているらしいクリストフは、きっとユリウスには想像も出来ないほどの辛い思いをしているのだろう。ユリウスと同年代の甥を持つ年齢で、公爵の爵位を継ぐ立場にもかかわらず誰とも結婚することなく、ユリウスやハルミのような血の繋がらない子供を保護するのも、その能力故の孤独からなのかもしれない。
「おっと」
小池ではしゃぐ二人がボートから落ちそうになったのを見て、クリストフが慌てて魔力で2人を包み込み、2人は濡れることなく魔力の玉の中で驚きに目を見開いていた。
「わっ、すごい!! クリスさん! ありがとうございます」
「わああっ。すごいねっ。高い」
クリストフが魔力玉をポヨンポヨンと弾ませると、魔力玉の中の二人は慌ててバランスをとるような体勢をとった。
「わわわ、あははは」
「わー!!」
そのままポヨンポヨンとしながら、魔力玉はユリウスたちのもとに運ばれて、2人は地面にそっと下ろされた。
「だいぶ冷えてきたから、そろそろ戻ろうか」
「はい!」
クリストフの言葉に、ミヒャエルもハルミも元気よく返事をした。
ミヒャエルとハルミが嬉しそうに屋敷に駆けて行き、ユリウスとクリストフはそれを見ながらゆっくりと帰った。
(なんだか、家族みたいだな。いや、みたいじゃなくて家族なのか)
目の前の風景は、一般的な家族構成ではないかもしれないが、ユリウスの大切な家族の風景だった。
夕飯ももちろんいつもより豪華な食事を摂り、ユリウスとハルミは一緒に部屋に戻った。
「ハルミ、おいで」
「はい」
ベッドに座り、ハルミを呼び寄せると、ハルミはニコニコと嬉しそうに寄ってきて、ユリウスの隣にちょこんと座った。ハルミの落ち着きのある優しい安心するオーラが好きだが、今日は楽しい時間を過ごしたからかそわそわしていて、それもまた可愛い。
「今日は朝まで寝ないんですよね?」
「……っく、ふふ。そうだ」
色気もない聞き方だが、楽しみにそうに笑っているハルミが面白いのと同時に、これからすることはハルミにとって楽しいことなのか考え、多少の罪悪感も生まれていた。
「ハルミ」
「はい……んんっ!?」
そっと口付けると、ハルミは驚きに体を跳ねさせたものの、抵抗もなく難なく受け入れられ、ユリウスを調子づかせた。
その後は、庭に移動しミヒャエルとハルミの2人で小池に浮かべた小舟に乗ってキャッキャとはしゃいでいる姿を、クリストフと共に眺めていた。
「本心から話せて良かったね」
「……はい。蟠りが取れて安心しました。ハルミのおかげです」
「ふふ。そうだね」
微笑ましいハルミたちの様子を、目を細めて見ているクリストフの横顔を見て、ユリウスはやっと違和感に気がついた。
「教官はいつも何もかもお見通しで、何でも知っているから、私の両親のことも、今回のことも……」
「僕はなんでも知っているわけではないよ。確かに人よりは先に起こることが分かることもあるけれど。でも、どうなるのか全てが分かるわけではない。未来は確定しているわけではないからね。それに、そこに僕が手を加わえてしまうのは、恐ろしく感じる。だからユリウスを手伝うくらいしか手を出せなかった。ごめんね」
「……いえ。色々助けていただきましたから。それに、自分自身で解決できて、良かったです」
申し訳けなさげに眉を下げるクリストフに、ユリウスはやっとそう返した。
尋常ではない魔力に恵まれ、未来を知る力を持っているらしいクリストフは、きっとユリウスには想像も出来ないほどの辛い思いをしているのだろう。ユリウスと同年代の甥を持つ年齢で、公爵の爵位を継ぐ立場にもかかわらず誰とも結婚することなく、ユリウスやハルミのような血の繋がらない子供を保護するのも、その能力故の孤独からなのかもしれない。
「おっと」
小池ではしゃぐ二人がボートから落ちそうになったのを見て、クリストフが慌てて魔力で2人を包み込み、2人は濡れることなく魔力の玉の中で驚きに目を見開いていた。
「わっ、すごい!! クリスさん! ありがとうございます」
「わああっ。すごいねっ。高い」
クリストフが魔力玉をポヨンポヨンと弾ませると、魔力玉の中の二人は慌ててバランスをとるような体勢をとった。
「わわわ、あははは」
「わー!!」
そのままポヨンポヨンとしながら、魔力玉はユリウスたちのもとに運ばれて、2人は地面にそっと下ろされた。
「だいぶ冷えてきたから、そろそろ戻ろうか」
「はい!」
クリストフの言葉に、ミヒャエルもハルミも元気よく返事をした。
ミヒャエルとハルミが嬉しそうに屋敷に駆けて行き、ユリウスとクリストフはそれを見ながらゆっくりと帰った。
(なんだか、家族みたいだな。いや、みたいじゃなくて家族なのか)
目の前の風景は、一般的な家族構成ではないかもしれないが、ユリウスの大切な家族の風景だった。
夕飯ももちろんいつもより豪華な食事を摂り、ユリウスとハルミは一緒に部屋に戻った。
「ハルミ、おいで」
「はい」
ベッドに座り、ハルミを呼び寄せると、ハルミはニコニコと嬉しそうに寄ってきて、ユリウスの隣にちょこんと座った。ハルミの落ち着きのある優しい安心するオーラが好きだが、今日は楽しい時間を過ごしたからかそわそわしていて、それもまた可愛い。
「今日は朝まで寝ないんですよね?」
「……っく、ふふ。そうだ」
色気もない聞き方だが、楽しみにそうに笑っているハルミが面白いのと同時に、これからすることはハルミにとって楽しいことなのか考え、多少の罪悪感も生まれていた。
「ハルミ」
「はい……んんっ!?」
そっと口付けると、ハルミは驚きに体を跳ねさせたものの、抵抗もなく難なく受け入れられ、ユリウスを調子づかせた。
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