彼は俺を好きにならない (旧題 彼の左手薬指には)

いちみやりょう

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佐々木警視長

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翌日はタイミングの良いことに俺は休みだ。
夜になったら指定されたホテルに行けば良い。

俺は今日も仙石さんからのLIMEは見なかった。

夜になって俺は後ろの準備をしてホテルに向かった。
部屋に着くと警視長が扉を開けてくれて、中に入れてくれた。

「よく来たね。西くん、ここに来たら何されるか知ってるんじゃないの?」
「はい。お好きなようにどうぞ」

俺がそう言って自ら服を脱ごうとすると警視長に慌てて止められた。

「ちょ、ちょっと待って。西くん! 嘘だから! 冗談だから! ね?」
「え?」
「そんなことするわけないでしょ? 全く。どっからそんな噂流れてるんだか知らないけどさぁ、いい迷惑してるんだよ。ま、そのおかげで部下を躾るのに使えるんだけどさ?」
「どういうことですか?」
「俺がホテルに呼ぶとさ、みんな言うこと聞いちゃうわけよ。何が怖いんだ! 俺って美形じゃない? 俺とできるなら本望じゃない? なのに何その死にそうな顔~。感じ悪ぅ~」
「ふふ。佐々木警視長。そんなに軽い方だったんですか」
「そだよ~」
「でも躾るって言ったって池田は間違ったこと言ってないと思いますけど」
「お。間違ったこと言ってないと思ったのに、部下の責任取る! とか言ってここに来てくれたの?」
「そうですけど。だってあんな純粋で可愛い池田が警視長の毒牙にやられるくらいなら、俺の方がいいじゃないですか」
「ダメだよ~。自分をそんなに下げちゃ。池田くんはさ、間違ったことは言ってなかったけどちょっと熱くなりすぎだよね。もっと慎重に動かないと。というか毒牙って何聞き捨てならないんだけど」

その後は佐々木警視長の話をじっくり聞いて、俺は猛烈に反省した。
俺も池田も熱くなりすぎて冷静さを欠いていたと気付かされた。
警視長の話はとても勉強になった。

「警視長、ありがとうございました。勉強になりました」
「そ? よかった」

にっこりと笑って答える警視庁は、確かに本人が自称するように美形だと思う。

「あの、お願いがあるのですが」
「ん? なんだい?」
「俺をどこか地方に移動させてもらえませんか」
「なぜ?」
「俺、仙石さんに、あ、俺の上司なんですが、仙石さんにとても失礼なことをしてしまって。合わせる顔がないんです。謝っても意味ないくらいのことをしてしまったんです」

佐々木警視長は俺の目をじっと見据えてから小さく息を吐いた。

「ま、いいけど~。でも移動願いを自分でその仙石くんに出しなね。その仙石くんが受理したら、俺も許可してあげるから」
「そんな」
「大丈夫だって。君が言うように仙石くんに謝っても意味ないくらいのことをしたなら、仙石くんだって君が移動してくれるのを喜ぶんじゃない?」
「……た、確かに。あの、本当にありがとうございます。移動が決まったらまた挨拶に伺います!」
「はいはーい」

そうだ。移動願いを出したら仙石さんはホッとするだろう。
明日だそう。

俺のわがままで仙石さんには本当に沢山迷惑をかけたなぁ。
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