双子の兄になりすまし単位を取れと言われたが、おいおい何したらこんなに嫌われんの?

いちみやりょう

文字の大きさ
7 / 57

7 授業

しおりを挟む
「では、この問題を柊木さん。前に出て解いてください」
「はい」

1限目は黒月さんの授業だ。黒月さんの担当は数学だったらしい。
それはいいのだが、黒月さんが俺を指名した途端、また教室中がザワザワとした。

『え? あの柊木に解けるわけねぇって』
『先生も意地悪だ』
『これじゃまた明日から朝から来ないかもね』
『まぁいいんじゃない? その方が平和で』

そんな声を無視して俺は黒板前へ移動してチョークを取り答えをすらすらと書いていく。
黒月さんが意地悪って言ったやつは的を射ている。黒板に書かれた問題はかなり面倒くさい問題で、答えを書くまでの式がものすごく長い。
だが俺は何とか最後まで書き終えて黒月さんを見た。

「はい。正解です。席に戻っていいですよ」
「はい」

『嘘だ。あんなの解けるわけないって』
『僕だってあんなの解けないのに』
『ズルじゃない?』
『え、でもズルってどうやって?』

まぁ確かにずるかもな。だって俺替え玉だし。

「静かに。授業中におしゃべりはやめてください」

黒月さんの声でピタッと話は止んだ。
それから授業は淡々と進んだ。
チャイムが鳴り授業が終わって、俺はまた黒板の前に行った。
これから俺が何かするたびにザワザワされるのはごめんだからな。
休憩が始まってザワザワしていたクラスメイトたちは、俺の行動にまたシンと静まり返る。

「あのさ、俺にズルだって言ったやつ、誰?」
「僕だけど? 何か文句ある?」

勝気な目で俺を見てきたのは、これまた可愛らしい見た目の男子だ。

「文句はないけど、ズルじゃないって証明したいからさ。君が俺に問題を出してくれ。それを解くから。どれだけ意地悪な問題でも、難しい問題でも出してくれて構わない」
「へ~。いいよ。万年成績ビリッケツの君が、ちょっと山を張ったくらいじゃ解けないと思うけど、わざわざ恥をかきたいなんてやっぱ変なやつだね」

そう言いながら黒板に問題を書いていく。
確かに彼は勉強ができるのだろう。意地悪な問題をこともなげに作っている。
彼が書き終わって俺はその問題をふむと眺めた。

そして答えを書いていく。

「なっ……。そんな、まさか」
「どうだ。合ってるか?」

書き終わってから聞くと、彼はコクと力なくうなずいた。
そんなことがあったので、そのあとの授業はざわつくこともなく平和に過ごせた。

しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?

名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。 そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________ ※ ・非王道気味 ・固定カプ予定は未定 ・悲しい過去🐜のたまにシリアス ・話の流れが遅い ・本格的に嫌われ始めるのは2章から

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

アイドルくん、俺の前では生活能力ゼロの甘えん坊でした。~俺の住み込みバイト先は後輩の高校生アイドルくんでした。

天音ねる(旧:えんとっぷ)
BL
家計を助けるため、住み込み家政婦バイトを始めた高校生・桜井智也。豪邸の家主は、寝癖頭によれよれTシャツの青年…と思いきや、その正体は学校の後輩でキラキラ王子様アイドル・橘圭吾だった!? 学校では完璧、家では生活能力ゼロ。そんな圭吾のギャップに振り回されながらも、世話を焼く日々にやりがいを感じる智也。 ステージの上では完璧な王子様なのに、家ではカップ麺すら作れない究極のポンコツ男子。 智也の作る温かい手料理に胃袋を掴まれた圭吾は、次第に心を許し、子犬のように懐いてくる。 「先輩、お腹すいた」「どこにも行かないで」 無防備な素顔と時折見せる寂しげな表情に、智也の心は絆されていく。 住む世界が違うはずの二人。秘密の契約から始まる、甘くて美味しい青春ラブストーリー!

俺の体に無数の噛み跡。何度も言うが俺はαだからな?!いくら噛んでも、番にはなれないんだぜ?!

BL
背も小さくて、オメガのようにフェロモンを振りまいてしまうアルファの睟。そんな特異体質のせいで、馬鹿なアルファに体を噛まれまくるある日、クラス委員の落合が………!!

元執着ヤンデレ夫だったので警戒しています。

くまだった
BL
 新入生の歓迎会で壇上に立つアーサー アグレンを見た時に、記憶がざっと戻った。  金髪金目のこの才色兼備の男はおれの元執着ヤンデレ夫だ。絶対この男とは関わらない!とおれは決めた。 貴族金髪金目 元執着ヤンデレ夫 先輩攻め→→→茶髪黒目童顔平凡受け ムーンさんで先行投稿してます。 感想頂けたら嬉しいです!

私の庇護欲を掻き立てるのです

まめ
BL
ぼんやりとした受けが、よく分からないうちに攻めに囲われていく話。

あの夏の日を忘れない ~風紀委員長×過去あり総長~

猫村やなぎ
BL
椎名由は、似てるという言葉が嫌いだった。 髪を金にして、ピアスを付けて。精一杯の虚勢を張る。 そんな彼は双子の兄の通う桜楠学園に編入する。 「なぁ由、お前の怖いものはなんなんだ?」 全寮制の学園で頑張り屋の主人公が救われるまでの話。

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する幼少中高大院までの一貫校だ。しかし学校の規模に見合わず生徒数は一学年300人程の少人数の学院で、他とは少し違う校風の学院でもある。 そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語

処理中です...