ご主人様のオナホール

いちみやりょう

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姉サイド2

屋敷を抜け出して、私はしばらくベータの彼のもとにお世話になることにした。
彼は私にアルファの旦那がいることは知っていたけど、楽観的な性格で私との不倫関係については特に気にした様子はなかった。彼には何人か浮気相手がいて、私がそんな不誠実なことはやめてと言っても聞いてくれたことはなく、常にイライラして過ごしていた。

けど、旦那様が私を見つけ出して、連れ戻してくれれば私は以前よりも甘やかされて、ぬくぬくと生活できるのだから、もう少しの我慢だ。

そう思っていたのに、待てども待てども旦那様は私を見つけ出せなかった。
どうやら私が出て行っても、まだ私を好きだということに気が付かないらしい。

仕方がないから、私から帰ってあげることにした。

「お、おかえりなさいませ!!」
「奥様!! 帰ってきてくださったのですか!?」

使用人たち、特に男の使用人たちは、嬉しそうな顔をして私を出迎えてくれた。

ほら。やっぱり帰ってきて欲しかったんじゃん。
だったら早く迎えにくればいいのに、そういうところは奥手なのかな。
使用人たちは私を至れり尽くせりでもてなした。
やっぱりここにいるのは気分がいい。
早く、旦那様が帰ってこないかな。彼はどんな反応をするんだろう。
ホッとしたように笑う? それとも嬉しくなって私を抱きしめてしまうかな。
いずれにしても帰ってきた私に執着すること間違いなし。
けど、夕方になって旦那様から使用人に連絡があったらしい。
何でも、今日やらなければいけないことが発生したから、明日の朝一度帰ると。
使用人たちはそのあと、何かがなくなっただか、いなくなっただかと騒いでいて、あまり私を構わなくなり、私は暇になってとりあえず寝ることにした。

翌朝起きると、使用人から居間にいくように言われた。
昨日と比べ使用人の数がかなり少なくなっており、それも男性従業員はほぼいなくなっていた。
旦那様ったら、もしかして男性従業員に嫉妬して解雇してしまったのかな。

居間につくと旦那様が先に座っていた。

「やぁ、ひさしぶりだね」
「お久しぶりです」
「どうして帰ってきたのかな? 何か用事でも?」
「よ、用事って……。私はあなたの妻ですから、ここに帰ってくるのは当然じゃありませんか」
「ほう。妻ね。君が屋敷を出て行ってから例のベータの男のところに身を寄せていたことは知っているよ。興味がないので捨て置いたが、彼との間に何か不都合でもあったのだろうか? 何にせよ、君にはこれを書いてもらって、この屋敷を出て行ってもらわなければならない」
「これ、って」

旦那様が差し出したのは、離婚届だ。
静かに机の上に置いて指先でトンと叩いた。

「君がここに来てしまったおかげで、少々困ったことになってね。君に居座られると不都合があるんだよ。君も私のことを好いているわけではなさそうだし、書いてくれるだろう?」
「わ、私はそんなつもりは……。離婚するなんてそんな。旦那様は私のことを好きだと気がついていらっしゃらなかったから、だから、距離をおけば分かってくださると思って、それで」
「私が君を? 申し訳ないが、君に好意を抱くことはできない。私は、好きになるというのはどういうことなのか、それを知ってしまったからね」
「なっ、それはどういうことですか? まさか、浮気」
「それは君が言えたことではないだろう? さぁ、ここに記入してくれ。残念ながら君の浮気の証拠はもうかなり押さえてある。大人しくサインした方がお互いのためになるよ」

どこまでも穏やかだ。
それが尚更狂気を感じさせる。

私が震える手でサインをすると、旦那様はにっこりと笑ってその紙を回収し、近くの使用人に渡した。

「それではどこへなりと行ってくれ。ああ、そうだ。手切金をあげよう」

旦那様がそういうと、近くの使用人が私にアタッシュケースを渡してきた。
屋敷を追い出された私は納得できなかったけど仕方なく屋敷をあとにした。
アタッシュケースの中にはたくさんの札束が入っていた。
こんなにくれるということは、二度と関わるなということなのだろう。
思わず、まだ誰にも噛まれていない頸を手で押さえた。
そういえば、結婚して2年、お互いに何の問題もなければ番になろうと話し合って決めたのだった。本当に、どこまでも相手を思っているようで、誰のことにも興味を持たない人だったな。
そんな人の心を射止めた人はどんな人だったんだろう。
もう、旦那様は二度と私の旦那様にはなってくれない。

ツキと胸が痛んだ気がした。

「ああ、そっか。私の方が好きだったんだ」

それに気が付かずに、私だけが勝手にカラ回って、もうどうしようもないところまで来てしまったんだ。

私はそのまま実家に帰ることも、ベータの彼のところに戻ることもせず、旦那様からもらったお金で、飛行機の距離の場所に移動して、そこで生活することにした。
1人で生活したことがなくて大変なことが多いだろう。もしかしたら、私のやったことへの報いがあるかもしれない。だけどこれを機にもっと真っ当な生き方をしようと思った。
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