17 / 27
姉サイド2
屋敷を抜け出して、私はしばらくベータの彼のもとにお世話になることにした。
彼は私にアルファの旦那がいることは知っていたけど、楽観的な性格で私との不倫関係については特に気にした様子はなかった。彼には何人か浮気相手がいて、私がそんな不誠実なことはやめてと言っても聞いてくれたことはなく、常にイライラして過ごしていた。
けど、旦那様が私を見つけ出して、連れ戻してくれれば私は以前よりも甘やかされて、ぬくぬくと生活できるのだから、もう少しの我慢だ。
そう思っていたのに、待てども待てども旦那様は私を見つけ出せなかった。
どうやら私が出て行っても、まだ私を好きだということに気が付かないらしい。
仕方がないから、私から帰ってあげることにした。
「お、おかえりなさいませ!!」
「奥様!! 帰ってきてくださったのですか!?」
使用人たち、特に男の使用人たちは、嬉しそうな顔をして私を出迎えてくれた。
ほら。やっぱり帰ってきて欲しかったんじゃん。
だったら早く迎えにくればいいのに、そういうところは奥手なのかな。
使用人たちは私を至れり尽くせりでもてなした。
やっぱりここにいるのは気分がいい。
早く、旦那様が帰ってこないかな。彼はどんな反応をするんだろう。
ホッとしたように笑う? それとも嬉しくなって私を抱きしめてしまうかな。
いずれにしても帰ってきた私に執着すること間違いなし。
けど、夕方になって旦那様から使用人に連絡があったらしい。
何でも、今日やらなければいけないことが発生したから、明日の朝一度帰ると。
使用人たちはそのあと、何かがなくなっただか、いなくなっただかと騒いでいて、あまり私を構わなくなり、私は暇になってとりあえず寝ることにした。
翌朝起きると、使用人から居間にいくように言われた。
昨日と比べ使用人の数がかなり少なくなっており、それも男性従業員はほぼいなくなっていた。
旦那様ったら、もしかして男性従業員に嫉妬して解雇してしまったのかな。
居間につくと旦那様が先に座っていた。
「やぁ、ひさしぶりだね」
「お久しぶりです」
「どうして帰ってきたのかな? 何か用事でも?」
「よ、用事って……。私はあなたの妻ですから、ここに帰ってくるのは当然じゃありませんか」
「ほう。妻ね。君が屋敷を出て行ってから例のベータの男のところに身を寄せていたことは知っているよ。興味がないので捨て置いたが、彼との間に何か不都合でもあったのだろうか? 何にせよ、君にはこれを書いてもらって、この屋敷を出て行ってもらわなければならない」
「これ、って」
旦那様が差し出したのは、離婚届だ。
静かに机の上に置いて指先でトンと叩いた。
「君がここに来てしまったおかげで、少々困ったことになってね。君に居座られると不都合があるんだよ。君も私のことを好いているわけではなさそうだし、書いてくれるだろう?」
「わ、私はそんなつもりは……。離婚するなんてそんな。旦那様は私のことを好きだと気がついていらっしゃらなかったから、だから、距離をおけば分かってくださると思って、それで」
「私が君を? 申し訳ないが、君に好意を抱くことはできない。私は、好きになるというのはどういうことなのか、それを知ってしまったからね」
「なっ、それはどういうことですか? まさか、浮気」
「それは君が言えたことではないだろう? さぁ、ここに記入してくれ。残念ながら君の浮気の証拠はもうかなり押さえてある。大人しくサインした方がお互いのためになるよ」
どこまでも穏やかだ。
それが尚更狂気を感じさせる。
私が震える手でサインをすると、旦那様はにっこりと笑ってその紙を回収し、近くの使用人に渡した。
「それではどこへなりと行ってくれ。ああ、そうだ。手切金をあげよう」
旦那様がそういうと、近くの使用人が私にアタッシュケースを渡してきた。
屋敷を追い出された私は納得できなかったけど仕方なく屋敷をあとにした。
アタッシュケースの中にはたくさんの札束が入っていた。
こんなにくれるということは、二度と関わるなということなのだろう。
思わず、まだ誰にも噛まれていない頸を手で押さえた。
そういえば、結婚して2年、お互いに何の問題もなければ番になろうと話し合って決めたのだった。本当に、どこまでも相手を思っているようで、誰のことにも興味を持たない人だったな。
そんな人の心を射止めた人はどんな人だったんだろう。
もう、旦那様は二度と私の旦那様にはなってくれない。
ツキと胸が痛んだ気がした。
「ああ、そっか。私の方が好きだったんだ」
それに気が付かずに、私だけが勝手にカラ回って、もうどうしようもないところまで来てしまったんだ。
私はそのまま実家に帰ることも、ベータの彼のところに戻ることもせず、旦那様からもらったお金で、飛行機の距離の場所に移動して、そこで生活することにした。
1人で生活したことがなくて大変なことが多いだろう。もしかしたら、私のやったことへの報いがあるかもしれない。だけどこれを機にもっと真っ当な生き方をしようと思った。
彼は私にアルファの旦那がいることは知っていたけど、楽観的な性格で私との不倫関係については特に気にした様子はなかった。彼には何人か浮気相手がいて、私がそんな不誠実なことはやめてと言っても聞いてくれたことはなく、常にイライラして過ごしていた。
けど、旦那様が私を見つけ出して、連れ戻してくれれば私は以前よりも甘やかされて、ぬくぬくと生活できるのだから、もう少しの我慢だ。
そう思っていたのに、待てども待てども旦那様は私を見つけ出せなかった。
どうやら私が出て行っても、まだ私を好きだということに気が付かないらしい。
仕方がないから、私から帰ってあげることにした。
「お、おかえりなさいませ!!」
「奥様!! 帰ってきてくださったのですか!?」
使用人たち、特に男の使用人たちは、嬉しそうな顔をして私を出迎えてくれた。
ほら。やっぱり帰ってきて欲しかったんじゃん。
だったら早く迎えにくればいいのに、そういうところは奥手なのかな。
使用人たちは私を至れり尽くせりでもてなした。
やっぱりここにいるのは気分がいい。
早く、旦那様が帰ってこないかな。彼はどんな反応をするんだろう。
ホッとしたように笑う? それとも嬉しくなって私を抱きしめてしまうかな。
いずれにしても帰ってきた私に執着すること間違いなし。
けど、夕方になって旦那様から使用人に連絡があったらしい。
何でも、今日やらなければいけないことが発生したから、明日の朝一度帰ると。
使用人たちはそのあと、何かがなくなっただか、いなくなっただかと騒いでいて、あまり私を構わなくなり、私は暇になってとりあえず寝ることにした。
翌朝起きると、使用人から居間にいくように言われた。
昨日と比べ使用人の数がかなり少なくなっており、それも男性従業員はほぼいなくなっていた。
旦那様ったら、もしかして男性従業員に嫉妬して解雇してしまったのかな。
居間につくと旦那様が先に座っていた。
「やぁ、ひさしぶりだね」
「お久しぶりです」
「どうして帰ってきたのかな? 何か用事でも?」
「よ、用事って……。私はあなたの妻ですから、ここに帰ってくるのは当然じゃありませんか」
「ほう。妻ね。君が屋敷を出て行ってから例のベータの男のところに身を寄せていたことは知っているよ。興味がないので捨て置いたが、彼との間に何か不都合でもあったのだろうか? 何にせよ、君にはこれを書いてもらって、この屋敷を出て行ってもらわなければならない」
「これ、って」
旦那様が差し出したのは、離婚届だ。
静かに机の上に置いて指先でトンと叩いた。
「君がここに来てしまったおかげで、少々困ったことになってね。君に居座られると不都合があるんだよ。君も私のことを好いているわけではなさそうだし、書いてくれるだろう?」
「わ、私はそんなつもりは……。離婚するなんてそんな。旦那様は私のことを好きだと気がついていらっしゃらなかったから、だから、距離をおけば分かってくださると思って、それで」
「私が君を? 申し訳ないが、君に好意を抱くことはできない。私は、好きになるというのはどういうことなのか、それを知ってしまったからね」
「なっ、それはどういうことですか? まさか、浮気」
「それは君が言えたことではないだろう? さぁ、ここに記入してくれ。残念ながら君の浮気の証拠はもうかなり押さえてある。大人しくサインした方がお互いのためになるよ」
どこまでも穏やかだ。
それが尚更狂気を感じさせる。
私が震える手でサインをすると、旦那様はにっこりと笑ってその紙を回収し、近くの使用人に渡した。
「それではどこへなりと行ってくれ。ああ、そうだ。手切金をあげよう」
旦那様がそういうと、近くの使用人が私にアタッシュケースを渡してきた。
屋敷を追い出された私は納得できなかったけど仕方なく屋敷をあとにした。
アタッシュケースの中にはたくさんの札束が入っていた。
こんなにくれるということは、二度と関わるなということなのだろう。
思わず、まだ誰にも噛まれていない頸を手で押さえた。
そういえば、結婚して2年、お互いに何の問題もなければ番になろうと話し合って決めたのだった。本当に、どこまでも相手を思っているようで、誰のことにも興味を持たない人だったな。
そんな人の心を射止めた人はどんな人だったんだろう。
もう、旦那様は二度と私の旦那様にはなってくれない。
ツキと胸が痛んだ気がした。
「ああ、そっか。私の方が好きだったんだ」
それに気が付かずに、私だけが勝手にカラ回って、もうどうしようもないところまで来てしまったんだ。
私はそのまま実家に帰ることも、ベータの彼のところに戻ることもせず、旦那様からもらったお金で、飛行機の距離の場所に移動して、そこで生活することにした。
1人で生活したことがなくて大変なことが多いだろう。もしかしたら、私のやったことへの報いがあるかもしれない。だけどこれを機にもっと真っ当な生き方をしようと思った。
あなたにおすすめの小説
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
【短編集】こども病院の日常
moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。
18歳以下の子供が通う病院、
診療科はたくさんあります。
内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc…
ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。
恋愛要素などは一切ありません。
密着病院24時!的な感じです。
人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。
※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。
歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。