7 / 42
勇者シス
6
しおりを挟む「ひぃ! 」
聖職者は俺が目を向けるたびに驚くので面倒臭い。まるで俺が変質者のような態
度をとられるのは心外であるが、ここからの軌道修正は難しいのではないだろう
か? 何せ、すっかり魔法使いに毒されてしまったのだから。どうして目が合っ
ただけで子供が出来るなんて嘘を信じられるのか分からないが、それを信じてし
まえるという事が聖女の証なのだとしたらどうしようもない。
「ねえ、もうちょっとどうにかならないの? すごく揺れるんですけど! 」
どうにか王都から出発した俺達だが、移動手段は当然のように馬車を選んだのは
魔法使いが車を嫌がったからだ。まあ動力源にされる事を嫌がるのは分からなく
はないが、快適な旅をするには車の方が良かったのではと言いたくなる気持ちを
ぐっとこらえた。
「こんなものだよ馬車なんだし。魔法使いなら飛んだりできるんじゃないのか? 」
そんな魔法がある事は知っていたし、その方が魔法使いらしいではないか。
魔法使いとは空を飛んでいるものだろ?
「馬鹿なの? あんな疲れる事をする訳がないじゃない。車を動かすよりも疲れる
のよ、ありえないでしょ」
じゃあ車で良かったじゃないかとかは言わない。
「いい? 勇者は魔法というものをまったく理解していないのよ。そもそも魔法と
いうものはそう簡単に行使したりは出来ないものなのよ、まあ私には簡単だけど。
魔法を行使するにはまず呪文というトリガーがあってね、それをいかに上手く引
けるかが重要なの、まあ私は上手いんだけど。まあ普通の魔法使いなら精々3割
ぐらい? そこそこの奴でも5割ぐらいじゃないかしら。まあ私は失敗しないん
だけどね。だいたい根本がちがうのよね、魔力量が私はダンチだからね」
流石に限界だった。
「車で良かったんじゃね? 」
「はあ? 私、説明したよね。もう忘れたの? 」
「覚えてるさ! お前は簡単に魔法が使えるんだろ。それに失敗しないし、魔力量
はダンチなんだったら車で良かったんじゃね? 」
「はあ、アンタ何も分かっていないじゃない。それでも勇者なの? 」
「ああん? お前はやっぱり駄目だ。何も分かっていないのはお前の方だ! 」
「あの~お二人とも、ちょっといいです? 」
「「何! 」」
「ひぃ! その、前をご覧になってもらってもいいです? 」
聖職者に言われ、口喧嘩をしていた俺達が前を見ればそこには明らかにそれと分
かる奴が居た。上半身は裸で肌は深い青、腕は4本あるそれはどこからどう見て
も魔族と分かる風貌だった。そんな奴がどうどうと立っている。腕を組んでこち
らの馬車が進む先に居るそいつと目が合った瞬間に俺は二人を放り投げてから馬
車を飛び降りたのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。
灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。
彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。
タイトル通りのおっさんコメディーです。
黒の神官と夜のお世話役
苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜
桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。
上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。
「私も……私も交配したい」
太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる