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勇者シス
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しおりを挟む「我は悪魔大公クロヲ。君達は何処の誰なのだろうか? それがとても気になるの
だがね、教えてはくれないものだろうか」
その悪魔大公というものがどれくらいの地位なのかは分からないが、強いという
事だけは分かった。なにせ馬車と正面衝突をしたはずなのに、それを物ともせず
に何も無かったように平然としているのだから、そしてこいつが俺達にとって初
めての敵だった。
「まあそう警戒せずに少しばかり話そうではないか? それともこの言語では伝わ
っていないのかな? 何せこっちへ来たのは最近でね、少しばかり間違っている
かもしれないが許して欲しい」
同じ言語を話せる魔族が居るという事は知っていたが、こんな紳士ぶった話し方
をするなんて事は知らなかった。一体どこで学んだのだろうか?
「俺は勇者シス。いずれ魔王を倒す者だ! 」
そんな疑問は置いておいて、俺は名乗りを上げる。それはこの場面で言うべき事
であったから俺は言ったのであって、決して目立ちたいとかそういう頭の悪い理
由ではない。必要な事なのだ、絶対に。
「貴方が魔王様を倒すと? 」
「え、キモ。馬鹿じゃないの? 今、それを言う必要なんてないでしょ。そもそも
アンタに倒せる訳がないじゃない。笑わせないでよ! 」
何故か泥だらけの魔法使いが俺にキレていた。
「お前こそ、今言う必要がないだろうが! 」
「はあ? 今言わないでいつ言えっていうのよ! 今が正にその時でしょうが! 」
マジでこいつは何なのか! 意味が分からない。ふざけているにしても質が悪す
ぎるのだ。こいつは自分が何をするべきなのかを理解していないのだろうか?
とは言えだ、俺もこいつに合わせている場合ではないのだ。だから言いたい事は
ぐっとこらえ、この悪魔大公を倒す事に集中しなくてはいけない。
「お前は俺が倒す! 」
「いやいや無理だから。私がすぐに倒すからまあ見ておきなさいよ。私は魔法使い
のルルシラクミドランジョ、お前を消し炭にする者よ」
「おい、俺がやるって言ってるだろ! 」
「いやいや、そういうのいいから。私がやるから」
「あの~、私がやります? 」
「「やらない! 」」
聖職者にそんな事は求めてはいないのだ。
「いつまでふざけている? 誰でもいいからかかってこい。面倒臭いからもう全員
で来いよ。まったくわざわざ敬語を使ってやったというのに、もう少し相手に敬
意を払えないものかね。これだから知能が低い奴は嫌いなんだ。」
こうして悪魔に罵倒されながら俺達の戦いが始まったのだ。
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