そして女神は……

菫川ヒイロ

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勇者シス

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  そこは緑豊かな清流が流れる場所で、聞こえるのは水が流れる音だけでそん
  な場所でビュッっと竿がしなり、そして針が落とされた。上流から下流へと
  流れて行くそれが何に見えるのかは分からない。でも何かしらの物に見えた
  時に魚は食いつかずにはいられないのだろう。だからその瞬間がやって来る
  まで何度も何度も竿を振る。その作業に雑念はいらない、ただただ無心で竿
  を振るという行為がおよそ300を迎えた頃に竿がしなった。魚が食いつい
  たのである。その瞬間に竿を引くがそう簡単には釣られまいと魚も抵抗する
  しっかりと針が食い込んでいるであろう魚、それでもどうにかして逃げよう
  とするのは本能なのだろう。そしてバシャンッと水面から飛び出した魚の大
  きさは赤ん坊ぐらいのサイズで、それはこの川の主なのではないだろうか? 
  それならば尚の事逃がす訳にはいかない、これは真剣勝負、命のやり取りな
  のだ。だからこそ勝負は一瞬でつく。その赤ん坊ぐらいのさいずの魚は抵抗
  も空しく釣りあげられてしまった。これが自然の理なのだから当然のように
  その命を粗末に扱うなんて事は出来ない。しっかりと食べて供養しないとい
  けないのだ。だからその赤ん坊サイズの魚に串を刺し、塩をふった。
  
  
「この時に必要なものは何だと思う? 」


「火です? 」


「そう、火が必要よね。でもそれはどんな火かしら? 」


「どんなです? 」


「思い出してみて、魚は赤ん坊サイズなの」


「強くて大きい火です! 」


「そう! 強くて大きい火が必要よね!―――――煉獄! 」


 魔法使いがそう言って指を鳴らし差したその先にはクロヲが居り、そして発火し
 た。その炎は赤から黄色、白、そして青へと色を変えて行きそして最後には黒へ
 と変わった。そしてそれを見ていた勇者は思うのだ。「何か思っていたのと違う
 な」とそしてさらにはこう付け足した。「話が気持ち悪い! 」と。
 
 
「お前のこれは何だ魔法使い! 気持ち悪いな。もしかしてこれが魔法だとでもい
 うのか? いや、でもな、これは確かに……そんな訳がない。魔法とはこういう
 ものだろに」
 
 
 燃え続けているのに何故か話す事が出来る悪魔大公。
 そしてその目線の先に居るのは魔法使いだった。
 
 
 ドンッ!
 
 
 突然の落雷。
 そして魔法使いはもういなくなってしまっていた。
 そこにあるのはかつて魔法使いだった黒いもの。信じられないし、信じたくはな
 かった。この現実を俺はまだ受け入れられてはいなかったからこそ身体は意外と
 すんなり動いた。
 
 
 それはきっと修行の成果だったのだろう。
 でもすぐに分かる。
 ダメだって。
 俺は死ぬんだって。
 後悔はない。
 でも言っていた事と全然違うじゃんとは思った。
 
 
 そして俺達は全滅したのだ。
 
 






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