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そして天使がやってくる
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しおりを挟む今、やらなければならない事があった。
何も難しい事なんてない、ただ殺すと言うだけの事。それは悪魔大公であるクロ
ヲにとって昔からやってきた事なのだから、今更何をそんなに深刻に考える事が
あるというのだろうか? それにこの状況はどう考えたってうってつけの場面で
はないか! 何せ、ここに居る全員が素っ裸なのだから。
身を守る物などなにもない、生まれたままの姿でそこに居るのだ。
それならば簡単に殺す事は出来るはずである。いくらこいつらが強いとしても、
クロヲにはこの肉体があるではないか。この素晴らしくかっこいいぼでぃ。
鍛え抜いたこの身体には自信があるのだ。
それに腕も4本ある訳で、これで一気に攻めればどうにかいけるのではないだろ
うか? 大丈夫、勝算はある。きっとちゃんとあるから大丈夫なのだ。その発達
した大胸筋や肩の三角筋、広背筋に腹直筋、全てにおいて勝っているのだから何
も恐れる事などない。
だから殺ってしまおう。
殺るなら今しかない。
行け、今が正にその時。
ほら、最高の瞬間が待っている。
これは必ずこの戦いにおいての一番の山場なのだ。
ここで殺ってしまえれば次期魔王にだって成れる。
だから行け! 今すぐ行け!
何をしているんだ。
何を躊躇している、怖がる必要など何処にもない。
動け! 動け! 動け!
身体よ、今すぐ動け!
あっ、動いた?
動いたと思った身体はそこにあって、その身体を俯瞰して見ている。
え?
あいつ等は何かを言い争っているが、そんな事よりもそこにある身体には頭が付
いていなかった。そう、その頭は今絶賛空中飛行中である。いつの間にか身体と
離れ離れになってしまっていた。動いたと思ったのはただの勘違いで、首をチョ
ンパされていただけなのだ。まさかこんなにあっけない形で最後を迎えるなんて
思ってもみなかった。
死に様はもっとカッコいいものを想像していたのだ。
だというのにこんな最後とはなんとも惨めだった。
こんなはずではなかったのだ。子供の頃思い描いた未来はこんな最後などではな
いし、そもそも夢は大魔王だった。
誰もが憧れるようなそんな魔王になりたかった。
家柄もそんなに悪い訳じゃない、それなりのものを持って生まれて来たのだ。
だから何だって思った通りになるって信じていたのだ、あの時までは。
ママの浮気現場を見るまではちゃんとしたレールの上を走っていたというのに、
それがいつの間にか外れてしまい、もう元には戻れなくなってしまっていた。
何とか戻ろうと必死だった。
だからこそ頑張った。誰にも負けないぐらいの努力はした。それでもそれ以上に
はなれなかった。元には戻れなかったのだ。一度外れてしまったらもう元に戻る
なんて事は絶対に出来ないという事が今確かに証明された。
悔しかった。でももうどうでもいいとも思うのだ。
どうせあいつ等が全てを終わらすのだろうという事がなんとなく予感出来た。
みんなあいつ等に殺されるのならば納得は出来るかもしれない。こんな殺され方
をされたとしてもどうせ死ぬのは同じなのだから。
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