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そして天使がやってくる
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しおりを挟む「ちょっとミナ、また変なの拾ってきたの? 」
教会のおんぼろのドアを少女が乱暴に叩いたら出て来た女の子が俺を見るなりそ
う言った。
「変なのではないです。ちゃんと確認したただのダメ男です。だから何も問題はな
いのです」
最低な紹介をされてしまった。
「問題は大ありなのよ。ちょっとそこで待ってなさい、シスターを呼んでくるから
中に入れちゃダメだからね」
これは心証が最悪だろうけど、今更どうする事も出来ない。
「分かったです。おじさんもへらへらしないでここで待っているです」
ミナと呼ばれている少女がバンバンと階段を叩くので俺は階段に座ったが、決し
てへらへらなんてしてはいない。まあそんな事はどうでもいいのだ、それよりも
今は情報が欲しかった。
「ミナは魔王を知っているか? 」
この世界の事について知らなければならない。ここはボロボロでも教会である。
ミナは少なくとも教会に関係があるのならば何かしらの話は知っていてもおかし
くはない
「どうして私の名前が分かったです! もしかしてゴットです? 」
でもこの少女に俺の事情なんてものは関係がなかった。
「いや違うが。さっきそう呼ばれていただろうに、それよりも魔王は知っているの
か? 」
もう一度チャレンジだ。
「私は何でも知っているです。魔王とはいずれ勇者によって退治される者の事です。
でもその前に私が倒すです。そうすればここを綺麗な教会にしてシスターを喜ば
すです。それが私に出来る恩返しなのです。だから今の内に得を積んでおくです。
そういう訳でおじさんは私の糧となるdeath」
考え方がなかなかに物騒ではあるが、子供なんてそんなものであろうし、いい心
がけだとは思った。そしておんぼろのドアが開くとさっきの子がシスターを連れ
てやってきた。
「シスター、このおじさんを泊めてあげるです」
「だめだよミナ。ここは男子禁制だ」
シスターが出て来るなり言ったミナの願いはすぐに却下される。
「でも前は泊めてあげたです」
「何の事だい? 」
シスターが訝しげに女の子に顔を向けた。
「あれは犬だったでしょミナ。我が儘を言わないの」
「おじさんも犬も同じようなものです」
「ある意味間違っちゃあいないが、ダメなものはダメなんだよミナ。それに犬なん
ていつの間に。私は聞いていないのだがね? 」
酷い言われようだった。この子が口が悪いのはこの人の責任が大きいような気が
する。
「そうよミナ、規則を守れないような者は聖女になんてなれないからね」
矛先をミナに変えた女の子。
「そんな! どうしてこんな事に……ここで私の夢は終わってしまうです」
どうやらそれがクリティカルヒットしたようで、嘘みたいに項垂れるミナ。どう
してそんなにも必死になってくれるのか、俺の所為でミナの夢を終わらせるのも
寝覚めが悪い。それにこれが聖女の資質というやつなのかもしれない。
「そんなに落ち込むなよ。俺は別に泊めて貰わなくてもいいから気にするな。あり
がとうよ、ミナ。お前なら聖女になれるよ」
「おじさんはやっぱり――ゴットです? 」
「それはない。というか俺はおじさんじゃあない! 」
多少は気にしていたのだ。
「やっぱりゴットです! 」
もう面倒臭かったので走って逃げた。
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