そして女神は……

菫川ヒイロ

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そして天使がやってくる

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 創造の種をつかいますか?  はい/いいえ
 
 
 走っているとどんどんスピードが上がって行く。これは一体どういう現象なのか
 と考えてみるとやはりギフトが関係しているのだろうという事は想像に難くない。
 
 
 創造の種をつかいますか?  はい/いいえ
 
 
 だからこうして何度も使えば当然の様に速度は上がっていくのだが、その前にや
 るべき事があった。あちこちが痛てぇ、このままでは身体がもたない。走り続け
 ればきっと俺は木っ端微塵になっていただろうから何だって肉体が丈夫でなけれ
 ばダメなのだと実感した。
 
 
 身体が強く成れば今までに感じた事のない速度で走れる。
 だからいつの間にか景色が変わっており、目の前には森林が広がっていた。
 街で過ごすよりはここで過ごす方が安全なのではないか? なんて考えてはみる
 がそんな訳はない。
 
 
 ソロキャンなんてした事がないし、そもそもどうやってこんな所で生きて行ける
 というのだろうか? 無理だろう、普通なら。でも生憎今の俺は普通ではないし
 いろいろ試してみるのもいいかもしれないと思い直した。行き先など何処にもな
 いのだから。
 
 
 とは言え、まずは何が必要なのかを考えてみる。
 出来る事なら快適な環境で暮らしたいと思っているのだ。
 ベットで眠りたいし、風呂にだって入りたい。もちろんトイレもちゃんとあって
 欲しいし、虫とかも面倒だし動物とかも好きではない。何よりも落ち着ける環境
 が必要だった。何者にも邪魔されないそんな場所がいい。そんな夢のような空間
 を作り上げられるのならばいいと思ったのだ。
 
 
 想像が現実になる。
 そんな魔法があればいいと考えていたらいつの間にやら出来上がっていたのだ、
 俺の家が。家を建てるなんて誰もが一度は掲げる目標であろう。それがこうも簡
 単に出来てしまうというのは何とも素晴らしいじゃないか! まあ、ただのワン
 ルームではあるのだが。
 
 
 だからなのだろう。少しの休憩のはずだったのに、いつの間にか眠ってしまって
 いたのは仕方がない事ではある。これだけの環境の変化があったのだから知らな
 い内に疲れがたまっていても不思議ではなかった。眠りは深く、家が壊されてい
 ても気が付かない程だった。


「ねえ、ちょっと起きて! アンタは誰なの? ここで何をしているの? どうし
 てここにこんなものが立っているの? ねえ、どうしてどうしてどうして? 」
 
 
 そう言って俺の安眠の邪魔をした少女に揺すられながらの寝起きは最悪な気分だ
 った。出来るのならもう少し眠っていたかったのだが、それをゆるしてもらえる
 ような状況ではなかった。だって自分の家が、安住の地が破壊されていたのだ。
 はたして天井がない家なんて家と呼べるのだろうか?
 
 
「お前が誰だか知らないが、家に入る時は靴を脱げ」


 床は泥だらけである。どういうつもりかは知らないが、流石に行動が滅茶苦茶過
 ぎはしないだろうか? 一体どういう教育を受けて育てばこうなるのか理解が出
 来なかった。そもそも普通に育っていればこんな事はしない、ここは外国ではな
 いのだから靴ぐらい脱ぐものだろうが! 
 
 
 そして漸く俺は目が覚めた。
 








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