そして女神は……

菫川ヒイロ

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そして天使がやってくる

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 魔法はいつから使えるようになったの?
 なんて馬鹿な質問をされた時『生まれる前からよ』と私が答えればみんなが笑っ
 たものだ。別にいい、それはそれで正しい反応なのだろう。特別になれない者な
 んてそんな程度でしかないのだからその程度の事で怒ったりなんてしない。
 

 そもそも私は他人と同じ事が出来ないのだ。
 他人と同じことをしたって特別になんて成れるはずもないのに、何故か同じよう
 に出来る事が重要視されている。特別を目指しているなんて結局口先だけのもの
 でしかなく、結局は抜け駆けしないように監視しあっているというだけ。ただの
 なれ合いでしかないのなら私が居る理由なんて何処にもなかった。
 
 
 魔法学校を早々に飛び出した私に家族は冷たく、当然のように家を追い出された
 がそれでも問題はなかった。私を理解出来るものなどここには居ないのだから。
 そんな私が行くべき場所は森しかなかった。そこには魔法の根源があると言われ
 ており、私はそこへ行くべきだと思ったのだ。
 
 
 森を進んで行けばどんどん日差しは届かなくなり、そこは闇の世界である。時間
 の感覚なんてものは簡単に失ってしまうし、方向すらも分からなくなってしまう
 迷いの森。そんな場所へと足を踏み入れてどれくらいの月日が経っただろうか?
 私は森に順応していた。
 
 
 全ての感覚が研ぎ澄まされ、息をするように魔法が使えるようになった私が初め
 て森の声が聞こえたのだ。それはつまり根源との対話である。ただ私には根源と
 交わす言葉を持っていない、でもそんな理由だけで諦める事など出来はずがない。
 こんな機会は二度と訪れないかもしれないのだから何かしらのアクションを起こ
 さなければならない。そしれ私がとったのは真似る事だった。
 
 
 森の声を真似る。
 それならば今の私でも出来る。だから出来るかぎり真似をした。そうして興味を
 もってもらわなければならない。私はここに居る。私こそが特別なのだと知って
 欲しかった。
 
 
「そして私は出会ったのよこの子と。まだ赤ん坊だったこの子と出会いそして育て
 る事にしたの。大変だった。だって私、子育てなんてした事がなかったのですも
 の。どうすればいいのかなんて全然わからないから全部自己流でやったわ。きっ
 とその所為ね、こんな感じになってしまったのは」
 
 
 少女の方を振り返り、女は感慨深げに言った。
 
 
「そうですか、それは大変でしたね」


「そうなのよ、分かる!  まさかこんな事になるなんて思ってもみなかった。
 あり得ないでしょ? こんな子供が私よりも簡単に魔法をつかうのよ? しかも
 当たり前のように無詠唱で。そんなのは魔法ではないおままごとだって言って勝
 手に私の魔法を打ち消すのよ。私が今までやって来た事は何だったというの? 
 もうこんなの耐えられないわ、どうにかしてよ! 」
 
 
 そんな事を言われても知った事ではないし、どうにかして欲しいのはこっちの方
 なのだ。俺の家を壊したあげくに後からやって来た母親らしい女に愚痴を聞かさ
 れるとか一体どんな罰ゲームなのか。家族会議は家でやってくれ。
 
 
「ねえ、これってどういう魔法をつかってるの? 」


 そして少女はお構いなしにそんな事を聞いてくるのだ。
 
 








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