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そして天使がやってくる
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しおりを挟む「俺、勇者になりたいんだ」
そう言った少年の夢を叶えてあげる事は同時に食事の心配が無くなるという事だ
った。だから修行をしてあげる事を思い付いたのだ。なんとなくそれっぽい事を
してやれば納得するだろうと思い始めたそれは思っていたよりも長く続ける事に
なってしまった。
この世界には勇者試験というものがあるらしく、それに合格しないと勇者になれ
ないというのだ。まあそれはいいのだが、どんな事をすればいいのかなんて俺が
知っている訳もなく、合格をする為にはおそらく平気で殴でなぐられなければな
らないだろう。
みんな殴る練習ばかりをしてくるような奴らばかりで、殴られなれていないはず
なのだ。これからの戦いで一体どれだけ殴られる事があるだろうか? それはき
っと一般人よりも多いはずだし、敵よりは少ないはずなのである。
結局俺が何を言いたいのかと言えばそれは、なんだかんだで根性論が正しいとい
う事なのだろう、たぶん。
まずは根性、その次は何かと考えたらまあ演技力ってやつなのだろうと思う。勇
者ならカッコ良くいないといけないものだろう。紳士的な振る舞いは当然大事だ
し、カッコいいセリフも必要だ。中身なんて誰も見ていない、見ているのガワだ
けである。ガワさえよければ大抵の事はいい方へと勝手に変換してくれるのだか
ら必須の能力であろう。
そして勇者試験で修行の成果を遺憾なく発揮した少年は勇者になり、夢を叶えて
あげる事に成功した俺は王都でつまみ食いの日々を送っていた。それはとても楽
しい時間だった。ジビエもいいがやはりちゃんとした料理の方が美味いに決まっ
ているのだ。でもそんな楽しい時間はすぐに終わりがやってくる。
「やっと見つけた。おい、お前何をやっているんだ? 」
最初は俺に言っているとは思わなくて無視をしていたんだ。だって誰にも見える
はずがないのだから。
「お前に言ってるんだ。聞こえていないのか? 」
手が肩に触れて漸く俺は気が付き振り向くとそこには天使がいた。なぜそいつが
天使だと気が付いたかと言えば羽がついていたからだがそんな事はどうでもいい。
何故天使がここに居るのかという事が重要なのだ。一体何をしに来たのか? 俺
を探していたようだがなぜ探していたのか、これは面倒事になりそうな予感があ
った。
「うっせえな、今つまみ食いしてる最中だろうが! 」
取り敢えずの威嚇。そして天使の反応を待った。
「なんだよ、そんなに怒るなよ。まったく、そんな事をしなくても普通に食べれば
いいだろうが。お前は勇者なんだろ? 」
「違う、俺は勇者なんかじゃない! 」
「いやいや、そんな訳があるか。お前は勇者だよ。転移者のお前は紛れもなく勇者
だし、それ以外の者は転移なんてされないんだよ」
「ほう、それは初めて聞いたな。でも残念ながら俺は勇者ではない。勇者ならもう
決まったから待っていればいいんじゃないか? また戻って来ると言っていたか
らな」
「お前、一体何をしたんだ? 」
トオルはしばらくの間天使と過ごす事になる。
とてもストレスのたまる日々ではあったが、それは姿を隠しても天使には効果が
なかったせいだ。そして天使と一緒に勇者パーティの一部始終を見る事になって
しまったのだった。
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